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「いくら返るのか」 ジャパンライフ被害 千葉県内被害者ら悲痛 県弁護士会が救済へ説明会

「声を上げることが大切」と訴える広山弁護士=18日午後、千葉市中央区の千葉県弁護士会館
「声を上げることが大切」と訴える広山弁護士=18日午後、千葉市中央区の千葉県弁護士会館

 磁気治療器の預託商法を展開し、多額の負債を抱えて事実上倒産した「ジャパンライフ」(東京)を巡り、千葉県弁護士会は18日、県弁護士会館(千葉市中央区)で被害説明会を開いた。参加した県内の被害者ら20人に「ジャパンライフ被害対策千葉弁護団」(団長・拝師徳彦弁護士)は同社商法の問題点や現状を改めて指摘。「いくら返るのか」「全部終わるまで生きていられるか…」。被害者からは質問が相次ぎ、悲痛な胸の内を訴えた。

 説明会には、高齢者を中心に県内の被害者ら22人が参加した。弁護団事務局長の広山相徳弁護士は、ジャパンライフのこれまでの経緯と現状を解説。2016年12月から1年間の間に4度の一部業務停止などの行政処分を受けたことに触れ「実際の負債額より過少に公表していた」と明かした。

 また、ジャパンライフの契約の中心となった「預託商法」が約2万2千個の契約商品個数に対して、実際のレンタル数はわずか2749個だったとする消費者庁の調査結果も指摘。「いつかどこかで破綻する制度。私個人は詐欺だと思っている」(広山弁護士)と語気を強めた。

 これまでの被害救済の取り組みや、債権者として弁護団に依頼する方法などを紹介。今後は全国の弁護団と連携し、破産手続きなどで被害弁済や経営者らへの刑事告訴などについても検討する方針という。広山弁護士は「多くの人が声を上げることで、より充実した破産手続きになる。誰かが動かないと前に進んでいかない」と訴えた。

 質疑応答では被害者から「いくら返ってくるのか」「配当金がない場合もあるのか」と不安の声が相次いだ。弁護団が「全額返ってくることは考えないで。すごく少ない額だと思う」と答えると、がっくりと椅子にもたれかかった。結論が出るまでの時間が見えず「生きていられるか…」と心配する声も聞かれた。

◆「全財産なくなった」 高齢者ら怒りあらわ

 「少しでも返済してほしい」「許せない」-。18日に開かれたジャパンライフの被害説明会。参加した被害者は高齢者が中心で、中にはつえをつく人も。弁護団の説明を熱心にうなずきながら聞いていたが、先の見えない不安に戸惑いの声が上がった。

 約200万円の被害に遭ったという佐倉市の女性(67)は「私は少ない方。前にも同様の被害に遭ったばかり。自分が悪いのだが、現金がなくなってしまい悲しい」と声を落とした。

 夫婦で1千万円以上の被害に遭った女性は「今会社がどうなっているのか知りたくて来た。会社に電話しても上司は出てこない。何かあれば解約すればいいと思っていた」と憔悴(しょうすい)しきった表情。

 80代の女性は「いつまでかかるか分からないが早くお金を返してほしい。一生の不徳で許せない。全財産がなくなってしまった」と怒りをあらわにしていた。

◇ジャパンライフ ホームページによると1974年創業。磁気治療器や寝具を販売した。山口隆祥代表取締役会長。従業員は昨年5月時点で746人。顧客が購入した磁気製品を、会社を通じて別の人にレンタルすれば年6%ほどのレンタル料が得られるという預託商法などを展開した。東京商工リサーチによると、2017年3月期の売上高は235億円。顧客への通知文によると、同年7月末時点で契約者は6855人、預託残高は1714億円。一方、同年3月末時点で338億円の債務超過が判明した。消費者庁の担当部署の元課長補佐が顧問として天下りしたことも明らかになった。


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