この記事は Chrome プロダクト マネージャー、Mark Chang による Chromium Blog の記事 "Tab throttling and more performance improvements in Chrome M87" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。


たくさんのタブを開いていたとしても、タスクを完了するためによく使うのは一部のタブだけという方が多いはずです。今回のリリースより、Chrome はコンピュータのリソースを積極的に管理し、重要なタブを高速化する一方で、ユーザーが数百個のタブを開いたままにできるようにします。これにより、ユーザーは中断した場所から作業を続けられます。 

今回のリリースでは、タブ スロットリング、オクルージョン トラッキング、Back/Forward Cache によって、Chrome がリソースを把握して管理する方法を改善します。そのため、必要なときに必要なものにすばやくアクセスできるようになります。

タブ スロットリングとオクルージョン トラッキング

どのタブが使用されているかを認識することで、Chrome はコンピュータが作業に使うリソースをより効率的に管理できるようになります。今回は、バックグラウンドのタブが頻繁に CPU を使わないようにし、見えないタブの描画を行わないようにすることで、大幅な改善を実現しました。
バックグラウンドのタブがどのようにシステム リソースを使っているかを調査した結果、バックグラウンドのタブで動作している JavaScript のタイマーが 40% 超を占めていることがわかりました。これによる CPU や電源への影響を減らすことは、ブラウザを効率化するうえで重要です。M87 以降、バックグラウンドのタブで JavaScript タイマーのウェイクアップを 1 分ごとに 1 回に制限します。社内テストによると、これにより CPU の使用率が最大 5 分の 1 に減り、電池の寿命が最大 1.25 時間延びます。これは、ユーザーにとって重要なバックグラウンド機能(音楽の再生や通知など)を犠牲にすることなく実現します。
次に、Chrome OS と Mac には既に追加されているオクルージョン トラッキングを Windows にも導入します。これにより、Chrome はどのウィンドウやタブが実際にユーザーに見えているかを知ることができます。Chrome はこの情報を元に、最小化しているタブではなく、利用中のタブのリソースを最適化します。これにより、Chrome のメモリの使用量が減るにもかかわらず、起動は最大 25%、ページ読み込みは 7% 高速になります。
以上のアップデートは M87 と次のリリースである M88 で徐々にロールアウトされます。

Back/Forward Cache(戻る/進むのキャッシュ)

ウェブサイトにアクセスし、リンクをクリックして別のページを開いたとき、見たいページではないことに気づいて戻るボタンを押すというのは、よくある経験ではないでしょうか。モバイル端末では、これがよく起こります。ナビゲーション 5 回のうち 1 回は戻る/進むによるものです。そこで活躍するのが、Back/Forward Cache(戻る/進むのキャッシュ)です。この機能は、ブラウザを最適化し、戻ると進むのナビゲーションを瞬時に行うようにします。Chrome 87 では、 Back/Forward Cache によって、戻る/進むナビゲーションの 20% が高速化します。近い将来には、さらに改善を行い、より多くのデベロッパーを巻き込んだうえで、50% に増やしたいと考えています。これは次のように機能します。

Back/Forward Cache は、Chrome で長く望まれていた機能リクエストです。現在の Chrome 87 で、Android 版 Chrome のユーザーに徐々にロールアウトします。Chrome のマルチプロセス アーキテクチャにどのようにして Back/Forward Cache を追加したのかについて詳しく知りたい方は、こちらの技術記事をご覧ください。ウェブ デベロッパーの方は、ウェブサイトで Back/Forward Cache を最大限に活用する方法も学ぶことができます。 

データの出典: Chrome の安定版より前のチャンネルから匿名で収集した実データ

Reviewed by Eiji Kitamura - Developer Relations Team

この記事は Murat Yener による Android Developers Blog の記事 "AGP 7.0: Next major release for the Android Gradle plugin" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

2020 年 12 月 1 日(日本時間12 月 2 日 )、Android Studio 4.3 の初めての Canary 版がリリースされ、それとともに Android Gradle プラグイン(AGP)バージョン 7.0.0-alpha01 もリリースされました。Gradle プラグインのバージョン番号の付け方は、Android Studio のバージョン番号のスキームから切り離した上で改めて調整したので、番号を一気に 2 つも飛ばしています。このブログ投稿では、この変更の理由について説明するとともに、インキュベーション状態になっている新しい Android Gradle プラグインの API と DSL について、いくつかの重要な変更点を簡単にご紹介します。


新しいバージョン番号のスキーム 

AGP 7.0.0 では、セマンティック バージョニングの考え方を採用しています。つまり、API の互換性がない変更が発生するのは、メジャー バージョンが変更された場合のみです。メジャー バージョンは、Gradle で年に 1 回のメジャー リリースが行われるタイミングで、毎年 1 つずつ上げることを想定しています。

さらに、互換性のない変更が行われる場合は、1 年ほど前から削除される API に @Deprecated を付け、それと同時期に削除される機能に代わる方法を提供することを保証します。これによりデベロッパーには約 1 年の猶予が与えられ、古い API が削除される前に新しい API を使ってプラグインのテストと移行を行えるようになります。

バージョン 5 と 6 を飛ばして直接 AGP 7.0.0 に変わったのは、Gradle のバージョンに合わせるという理由もあります。つまり、AGP 7.x は Gradle 7.x の API で動作するということです。Gradle 8.x でも動作するかもしれませんが、それは保証されていません。AGP が利用する API が 8.x で削除されていないかどうか次第です。

この変更に伴い、AGP のバージョン番号は Android Studio のバージョン番号とは切り離されます。ただし、当面の間、Android Studio と Android Gradle プラグインは同じタイミングでリリースする予定です。

Android Studio と Android Gradle プラグインとの互換性には、変更はありません。一般的なルールとして、AGP の安定版を使うプロジェクトはそれより新しいバージョンの Android Studio で開くことができます。


Java 11 要件

AGP 7.0.0-alpha01 では依然として Java プログラミング言語バージョン 8 を使用できますが、現在、最低限必要な Java プログラミング言語のバージョンを Java 11 に変更する作業を行っています。これは AGP 7.0.0-alpha02 から適用される予定です。この変更については、デベロッパーの皆さんが余裕を持って準備できるように、Canary 版のスケジュールという早い段階で、安定版リリースの何か月も前にお知らせしています。


インキュベーション状態の API と重要な API の変更点

今回の AGP のリリースでは、いくつかの API が変更されます。なお、AGP 4.1 で導入されたたくさんの API はインキュベーション状態としてマークされ、変更の可能性がありました。そして実際、AGP 4.2 で一部の API が変更されました。現在インキュベーション状態になっている API は、先ほど説明したサポート終了サイクルには従いません。

いくつかの重要な API の変更について、概要をまとめました。

  • バージョン 4.2 ベータ版では、onVariantsonPropertiesonVariantProperties ブロックが削除されます。

  • これらの API は、新しい androidComponents ブロックの beforeVariants および onVariants で置き換えられます。beforeVariantsonVariants を利用すると、省略可能な VariantSelector を使って、コールバックを実行するバリアントの数を減らすことができます。これは、ビルドタイプ、名前、フレーバーのいずれかに基づいて行うことができ、それぞれ withBuildTypewithNamewithFlavor を使います。onVariants および beforeVariants が受け取るラムダは、AGP が afterEvaluate でバリアントの組み合わせを計算した後に実行されます。onVariants 内のプロパティのネストは削除されます。

  • 同様の API が androidComponents にも追加され、バリアント内にテストをネストする代わりに、UnitTests 用(beforeUnitTestunitTest)と AndroidTests 用(beforeAndroidTestandroidTest)に別々のブロックが許可されるようになります。

  • 古い方法と新しい方法の両方でバリアントのアクションの登録に使われていた 2 つのクラスは、名前が変更されました。VariantVariantBuilder になり、beforeVariants で使われます。VariantPropertiesVariant になり、新しい onVariants ブロックに渡されます。

いくつかの変更について確認してみましょう。以下のコードは、リリースビルドをターゲットとするサンプルの onVariants ブロックです。onVariants ブロックは beforeVariants に変更され、次の例のバリアント セレクタを使用します。


```

android {

//onVariants.withName("release") {

// ...

//}

}

androidComponents {

val release = selector().withBuildType(“release”)

beforeVariants(release) { variant ->

...

}

}

```


同様に、onVariantProperties ブロックも onVariants に変更されます。


```

android {

...

//onVariantProperties {

// ...

\

//}

}

androidComponents.onVariants { variant ->

...

}

```


なお、このカスタマイズは通常はプラグインで行うもので、build.gradle に配置すべき内容ではありません。レシーバのある関数の使用は避けています。これは DSL 構文には適していますが、プラグインのコードには必要ありません。

これらの API は、AGP 7.0.0 で安定版になる予定です。また、すべてのプラグイン作成者は、新しい androidComponents に移行する必要があります。このような変更に対処するのを避けたい方は、プラグインで安定版の API のみ使用し、インキュベーション状態の API は使わないでください。

今回のリリースに含まれるその他の変更点の詳細については、リリースノートをご覧ください。

Java は Oracle および/またはその関連会社の登録商標です。


Reviewed by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC

ユーザーとデータの保護は、Chrome で行う作業の基本的な側面です。昨年、Google の の一環として、ユーザーとデータを保護するための、拡張機能の重要 ...
この記事は Chrome プロダクト & ポリシー、Alexandre Blondin、Mark M. Jaycox による Chromium Blog の記事 "Transparent privacy practices for Chrome Extensions" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。


ユーザーとデータの保護は、Chrome で行う作業の基本的な側面です。昨年、Google の Project Strobe の一環として、ユーザーとデータを保護するための、拡張機能の重要な一連のポリシーについてお知らせしました。これらのポリシーが拡張機能に求めているのは、機能を実装するために必要なアクセス許可のみをリクエストすることです。さらに、プライバシー ポリシーを掲載する拡張機能を増やし、ユーザーのデータを安全に扱うことも求めています。

本日(元記事公開当時)は、この保護をベースとして変更を行い、デベロッパー ポリシーをアップデートすることをお知らせします。これにより、拡張機能のデベロッパーが収集したデータを使ってできることに制限が生じます。新しいポリシーは、デベロッパーがデータ利用のプラクティスを保証することも求めています。また、ユーザーが拡張機能のプライバシー プラクティスを把握できるように、その情報を Chrome ウェブストアの掲載情報に直接表示する必要があります。

ユーザーのためにプライバシー プラクティスを簡素化する

2021 年 1 月より、Chrome ウェブストアの各拡張機能の詳細ページに、拡張機能によって収集されるデータについて、デベロッパーが提供した情報が明確かつわかりやすい言葉で表示されるようになります。デベロッパーは、本日よりデータ開示コレクションを利用できます。

ユーザーデータ プライバシー ポリシーのアップデート

さらに、拡張機能のデベロッパーが収集したデータの使い方を制限することを重視して、追加ポリシーを導入します。具体的には、以下のとおりです。
  • ユーザーデータの利用や転送は、ユーザーの主要な利益のためであり、明示されている拡張機能の目的に従っていることを保証します。
  • ユーザーデータの販売は決して許可されないことを繰り返し表明します。Google はユーザーデータを販売せず、拡張機能のデベロッパーも販売してはいけません。
  • パーソナライズド広告のためにユーザーデータを使用または転送することを禁じます。
  • 信用度やあらゆる形態の融資資格などの評価のためにユーザーデータを使用またはデータ ブローカーやその他の情報転売業者に転送することを禁じます。
掲載項目ページには、拡張機能が新しいポリシーに準拠していることをデベロッパーが保証しているかどうかも表示されます。

デベロッパーが提供するプライバシーの開示

この新しいポリシーにより、拡張機能のアップデートを公開する場合、デベロッパーはデベロッパー ダッシュボードのプライバシー タブで直接データの使用方法を開示しなければならなくなります。この開示には、以下の内容が含まれます。
  • ユーザーから収集されるデータの性質
  • 新しい限定利用ポリシーに従っていることのデベロッパーによる保証
デベロッパーにとってシンプルなものにするため、開示フォームはカテゴリによってグループ化され、Chrome ユーザーに表示される開示に正確にマッピングされます。この情報の大部分は、デベロッパーが Chrome ウェブストアに提供した既存のプライバシー ポリシーと整合性があるものになります。


デベロッパーは、本日(元記事公開当時)よりデータ開示コレクションを利用できます。Chrome ウェブストアの掲載情報には、2021 年 1 月 18 日より表示されます。

2021 年 1 月 18 日までにプライバシー開示を提供しなかったデベロッパーには、Chrome ウェブストアの掲載情報に通知が表示されます。これにより、デベロッパーがまだ限定利用ポリシーへの準拠を保証していないことがユーザーに通知されます。

ポリシー全文は、デベロッパー プログラムのポリシーページで確認できます。また、詳細についてはユーザーデータに関する FAQ もご覧ください。

透明性が高く、あらゆるユーザーに選択肢や制御を提供できるウェブを作ることに協力してくださっている皆さん、どうもありがとうございます。

Reviewed by Eiji Kitamura - Developer Relations Team

この記事は Jamal Eason による Android Developers Blog の記事 "Announcing Android Studio Arctic Fox & Android Gradle plugin 7.0!" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

2020 年 12 月 1 日(日本時間 12 月 2 日)、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1) の初めてのバージョンが Canary チャンネルでリリースされ、それとともに Android Gradle プラグイン(AGP)バージョン 7.0.0-alpha01 もリリースされました。今回のリリースでは、Android Studio と Gradle プラグインのバージョン番号の付け方を調整しています。この変更で、Android Studio のバージョン番号スキームから Gradle プラグインを切り離し、Android Studio のそれぞれのリリースがどの年に行われて、どの IntelliJ バージョンに一致しているかを明らかにします。


新しいバージョン番号スキーム - Android Studio

Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)では、Android Studio のベースとなっている IDE である IntelliJ IDEA との整合性を高めるため、年に基づいた採番に移行します。バージョン番号スキームは、年、ベースとなった IntelliJ のバージョン、機能およびパッチレベルという重要な属性を組み込んだものに移行します。この名称変更により、Android Studio で使っている IntelliJ プラットフォームのバージョンがすぐにわかるようになります。さらに、メジャー バージョンごとに正規のコードネームを割り当てます。最初のコードネームは Arctic Fox で、以降はどのバージョンが新しいのかが簡単にわかるように、アルファベット順に進めます。

デベロッパーの皆さまには、最新の機能と品質改善を利用できるように、最新バージョンの Android Studio を使うことをおすすめします。バージョンを簡単に最新に保つことができるように、Android Studio のバージョンと Android Gradle プラグインのバージョンは明確に切り離します。覚えておくべき重要な点は、IDE をアップデートしても、ビルドシステムがアプリをコンパイルしたりパッケージングしたりする方法は何も変わらないことです。逆に、アプリのビルドプロセスの変更や APK / バンドルは、プロジェクトの AGP バージョンによって決まります。したがって、開発サイクルの後半であっても、Android Studio のバージョンは安全にアップデートできます。プロジェクトの AGP バージョンは、Android Studio のバージョンとは異なるタイミングでアップデートできるからです。また、新しいバージョンのシステムでは、安定版リリースの AGP バージョンを使っている限り、個人やチームのアプリ プロジェクトで安定版とプレビュー版の Android Studio を両方同時に実行することがこれまで以上に簡単になります。 

これまでのバージョン番号システムで言えば、今回のリリースは Android Studio 4.3 になります。新しい番号システムでは、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)Canary 1、または単に Arctic Fox となります。

今後、Android Studio のバージョン番号スキームは次のようになります。

<IntelliJ バージョンの年>.<IntelliJ メジャー バージョン>.<Studio メジャー バージョン>

  • 最初の 2 つの番号グループは、特定の Android Studio リリースが基づいている IntellIj プラットフォームのバージョンを表します。今回のリリースでは、2020.3 になります。

  • 3 つ目の番号グループは、Studio のメジャー バージョンを表します。これは 1 から始まり、メジャー リリースごとに 1 つずつ増えます。

  • 各バージョンを簡単に表せるように、メジャー リリースにコードネームも割り当てます。コードネームは動物の名前に基づくものとし、A から Z の順番に割り当てられます。最初のリリース名は Arctic Fox です。  


新しいバージョン番号スキーム - Android Gradle プラグイン

AGP 7.0.0 では、セマンティック バージョニングの考え方を採用し、AGP に必要な Gradle バージョンと一致させます。 Android Studio と Android Gradle プラグインとの互換性には、変更はありません。AGP の安定版を使うプロジェクトはそれより新しいバージョンの Android Studio で開くことができます。 

近日中には更に、AGP のバージョン番号の考え方と、今回の新しいメジャー リリースである AGP 7.0 の新機能について詳しく説明したブログ記事を公開する予定です。


Android Studio Arctic Fox の新機能

現在は Arctic Fox の機能開発フェーズの初期段階ですが、コードエディタ、アプリ インスペクション ツール、Layout Editor、組み込みエミュレータなど、IDE のさまざまな領域にわたる 200 以上の品質改善とバグの対応を行いました。具体的なバグの修正については、リリースノートをご覧ください。 

Jetpack Compose を使っている方のために、デバイスやエミュレータへの @Preview Composable のデプロイなど、多くの新しいアップデートを行っています。

Preview Composable のデプロイ


新しい Layout Validation ツールもお使いください。さまざまな画面サイズ、フォントサイズ、Android Color Correction / Color Blind Mode にレイアウトがどう反応するかを確認できます。この機能には、Layout Editor を使っているときに [Layout Validation] ツール ウィンドウからアクセスできます。 


最後に、MacOS(その他のプラットフォームも近日中に対応予定)で最新の Android プラットフォーム ツールと Android 11 デバイスを使っている方は、Run  ボタンのデバイス選択ダイアログ → [Pair Devices Using Wi-Fi] から、IDE に組み込まれた Wireless ADB 機能を使うことができます。   

Wireless ADB 機能にアクセスするためのメニュー


Wireless ADB セットアップ ウィンドウ 


Android Studio と Android Gradle プラグインの今回のリリースに含まれるその他の詳しい変更点については、リリースノートをご覧ください。

Reviewed by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC


この記事は Allan Banaag による The AMP Blog の記事 "AMP Packager is now available on Google Cloud Marketplace" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。


AMP Packager は、Signed Exchanges を使って AMP を提供することで AMP URL を改善するツールです。2018 年のリリース以来、たくさんのウェブサイトがこのツールを使って Signed Exchanges を導入してきました。サイト運営者に可能な限り最高の AMP コンテンツを作ってもらう取り組みの一環として、本番環境の設定で AMP Packager を簡単にデプロイしてもらえるよう、継続的に改善を続けています。 

先日は、unix シェル スクリプトと Docker コンテナを使って AMP Packager をデプロイするためのガイドを公開しました。これにより、ユーザーのデプロイ作業は軽減されますが、この手順を実行するには、かなりの技術的知識が必要になります。

そこで、この手順をさらに簡素化するため、Google Cloud Marketplace に AMP Packager Google Cloud Click-to-Deploy Installer を新しく公開したことをお知らせします。

スタートガイド

インストール

https://cloud.google.com/marketplace を開き、[MARKETPLACE を試す] をクリックします。

Marketplace で、“AMP Packager” で検索するか、[Kubernetes アプリ] をクリックして項目の一覧から AMP Packager を探します。

設定

項目を見つけたら、クリックしてデプロイ用のインターフェースを開きます。Click-to-deploy は、すべてブラウザで行える手順を提示し、最低限のユーザー操作で、インストールに必要なことをすべて行ってくれます。下の図で、赤いボックスの部分が必須フィールドです。  

既存の Kubernetes クラスタがない場合は、クラスタゾーンを選択して [Create Cluster] をクリックします。[StorageClass] も同様です。既存のストレージクラス(通常は “standard” という名前)を選択するか、独自のストレージクラスを作成します。

  • [Domain] は、生成する Signed Exchanges の対象となるドメイン名です。 
  • [Country]、[State]、[Locality] および [Organization] フィールドは、Signed Exchange の証明書を生成するために必要な項目です。通常は、DigiCert などの企業が生成します。  これらのフィールドは、証明書の署名リクエストの作成要求に必要です。
  • [ACME Account Email Address] と [ACME Directory URL] も、DigiCert などの SXG 証明書プロバイダ証明書生成設定に必要な項目です。 
  • [AMP Packager Load Balancer Source Range] についての説明は、こちらにあります。AMP Packager は、この設定で指定した Load Balancer Source Range からのみ参照できる点に注意してください。

すべて入力できたら、フォームの下部にある [Deploy] ボタンをクリックします。次の画面が表示されます。

すべて正常にインストールできたら、次の画面が表示されます。

あとは、リバース プロキシ サーバーを設定して、AMP Packager を外部 IP アドレス / ポートに向ける必要があります。  これにより、AMP Packager が AMP ドキュメントを Signed Exchanges にパッケージできるようになります。詳しくはこちらの手順で説明されています。

既存ツールをデプロイするこの新しい方法によって、Signed Exchanges を使った AMP ドキュメントの作成が大幅に簡易化され、技術者以外のユーザーでも使えるようになることを期待しています。 ACME 自動証明書更新サポートと合わせて利用すれば、導入後のメンテナンスの難易度も下がります。

投稿者: Allan Banaag(AMP Project、ソフトウェア エンジニア)


Reviewed by Chiko Shimizu - Developer Relations Team

この記事は The AMP Blog の記事 "No code required: Build a fast, world-class WordPress site" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

編集者のメモ: 以下のゲスト投稿は、Jetpack のリード アーキテクト、Dan Walmsley 氏による投稿です。元の記事は、 Jetpack ブログに投稿されました。

私たちは、今まで以上にオンラインで時間を使っています。ビジネスを立ち上げようとしている方にも、創造性を発揮しようとしている方にも、高速で美しく、最高のアイデアを優雅に表現できるウェブサイトは欠かせません。また、検索エンジンはこれまで以上にパフォーマンスを重視しているので、遅いウェブサイトでは最適化したはずの SEO が大きく損なわれる可能性があります。

この記事では、Jetpack と公式 AMP for WordPress プラグインという 2 つのプラグインだけを組み合わせて、ワールドクラスのパフォーマンスと SEO を実現する方法について説明します。準備はよろしいでしょうか。早速始めましょう!

プラグインの難題

WordPress には 55,000 個以上のプラグインがあり、さまざまな機能を実現しています。しかし、適切なプラグインを探すのが難しい場合もあります。プラグインを選べたとしても、すべてを高速に動作させることには大きな困難が伴います。それぞれのプラグインによってさまざまなファイルがページに追加され、サイトが遅くなっていきます。 

プラグインやテーマ自体を編集する以外に選択肢はない場合も珍しくありません。そのため、多くのサイト運営者は専門家を雇うことになりますが、その費用はどんどんかさんでいきます。

高速なウェブサイトを作成する最適なツールの 1 つに、AMP があります。AMP はもともと Google が作成し、現在は OpenJS Foundation の一部になっています。AMP は、パフォーマンスを向上させるさまざまなことを自動で行っています。しかし、AMP エコシステムは現在も拡大を続けており、他の WordPress プラグインすべてと互換性があるわけではありません。 

しかし、AMP と組み合わせることで、プログラマーでなくても簡単に使えるソリューションになるプラグインがあったとしたら、どうなるでしょうか。うれしいことに、1 セットのツールだけで、ほぼすべてのウェブサイトに必要なパワーとパフォーマンスをすべて活用できる方法が登場しています。 

AMP + Jetpack: シンプル、パワー、スピード

ここ半年以上にわたり、Google と Jetpack は、一流の WordPress 開発会社である XWP と連携し、WordPress 用の高パフォーマンスのオールインワン ツールキットを作成してきました。

Jetpack は、常に最高級の WordPress 用オールインワン プラグインであり続けています。Jetpack には、25 以上のブロックと 30 以上のウィジェットが含まれており、統計、ソーシャル共有、支払いボタン、動画ホスティング、Podcast プレーヤーなど、ほとんどのウェブサイトに必要なすべての機能を 1 か所で提供します。さらに、バックアップやスパム対策、マルウェア スキャンが組み込まれているので、サイトやデータの保護という面でも安心できます。

Google や XWP を含む AMP Project の貢献者が作成した公式 AMP for WordPress プラグインは、すぐに使えるソリューションを提供します。さらに、常に高いパフォーマンスで動作するサイトを最低限のリソースで構築および保守する際に役立ちます。  

この 2 つのプラグインを使えば、美しく高速で最先端のウェブサイトを、コーディングなしで構築するために必要な機能がすべて提供されます。

スタートガイド

Jetpack のインストールと設定
  1. [Plugins] > [Add New] を開きます([サイトの URL]/wp-admin/plugins-install.php)。一覧または検索ボックスを使って Jetpack を見つけて、インストールおよび有効化します。
  2. プロンプトが表示されたら、[Set Up Jetpack] をクリックします。
AMP のインストールと設定
  1. 再び、[Plugins] > [Add New] を開きます([サイトの URL]/wp-admin/plugins-install.php)。一覧または検索ボックスを使って AMP を見つけて、インストールおよび有効化します。 
  2. プラグインを有効化したら、プラグインの一覧から AMP の [Settings] リンクをクリックし、[Standard Mode] で AMP プラグインを設定します。これで、サイトのすべてのページを AMP を使ってレンダリングするように WordPress を設定できます(AMP プラグインで Standard Mode を使うには、AMP 対応のテーマを利用する必要があります。AMP と Jetpack を使う際に利用できるさまざまな設定オプションについては、AMP for WordPress プラグインのサイトをご覧ください。AMP 対応のテーマを使わない場合も、これをご確認ください)。

可能性は無限大

これで完了です。準備はできました。Jetpack と AMP を使うことで、超高速で最高の SEO を実現する真に傑出したウェブサイトを構築する力が得られます。  

すばらしいウェブサイトを支えるバックボーンを設定できました。次は、Jetpack ブロックを使ってエンゲージメントの高いさまざまな種類のコンテンツを追加する方法をご確認ください。もう一度言いますが、コーディングは不要です。


Reviewed by Chiko Shimizu - Developer Relations Team



12 月 17 日 16 時から開催する Chrome と Web についての最新情報をオンラインでお届けするカンファレンス Chrome Dev Summit Recap 2020 が迫ってきました。アジェンダが一部変更となりましたので、改めて変更された内容を含め、全てのアジェンダと登壇者について詳しくご紹介します。なお、本カンファレンスはイベントサイトからのみライブ配信とアーカイブの視聴、配信中の質問が行なえます。ぜひ事前に登録をお済ませください。

タイムテーブル・アジェンダ

  • 16:00 〜 16:05  Welcome(えーじ:Developer Advocate, Google)

  • Core Web Vitals:
    • 16:05  〜 16:15 Core Web Vitals に最適化した UX パターン(Garima Mimani:Senior Technical Solutions Consultant, Google)

      よりよいユーザエクスペリエンスを、Core Web Vitals に悪影響を及ぼすことのない形で提供する UX パターンについて、実践的なアプローチや事例を交えてご紹介します。

    • 16:15  〜 16:30  Fireside Chat([エキスパート]松本華歩:ヤフー株式会社 Webエンジニア, [モデレーター]宍戸俊哉:Web Ecosystem Consultant, Google)

      「Core Web Vitals に最適化した UX パターン」に関して外部のエキスパートの方と一緒に実例なども交えてお話しします。

    • 16:30  〜 16:40 Q & A([エキスパート]松本華歩:ヤフー株式会社 Webエンジニア, [モデレーター]宍戸俊哉:Web Ecosystem Consultant, Google)

  • Web アプリ:
    • 16:40  〜 16:50  次世代のデスクトップ Web アプリ(PJ Mclachlan:Product Manager, Google)

      デスクトップアプリでユーザー数を拡大するには、Web アプリ化することが最適です。また、ユーザーがアプリをインストールする前に試してもらう一番簡単な方法でもあります。このセッションでは、Web ベースで動作するアプリを開発するためにリリースされた下記のような様々な新機能について紹介していきます。

      * ログイン時の起動
      * ウィンドウの配置
      * ボーダレス ウィンドウ
      * タブ付き アプリケーションモード
      *ディスプレイ オーバーライド
      * 通知のトリガー
      * リンクのキャプチャ
      * ファイルタイプの取り扱い
      * バッジの表示
      * デジタルグッズの決済

    • 16:50  〜 17:05  Fireside Chat([エキスパート] 塩井 崇称:楽天株式会社 グループマーケティング部 モバイル戦略課 モバイル戦略チーム アシスタントマネージャー,[モデレーター] 小川安奈:Web Ecosystem Consultant, Google)

      「次世代のデスクトップ Web アプリ」に関して外部のエキスパートの方と一緒に実例なども交えてお話しします。

    • 17:05  - 17:15  Q & A([エキスパート] 塩井 崇称:楽天株式会社 グループマーケティング部 モバイル戦略課 モバイル戦略チーム アシスタントマネージャー,[モデレーター] 小川安奈:Web Ecosystem Consultant, Google)

  • 開発ツール/デバッグ: 
    • 17:15  〜 17:25  Chrome DevTools の新機能(Jecelyn Yeen:Developer Advocate, Google)

      Chrome DevTools の新しい機能の概要をご説明します。

    • 17:25  〜 17:40  Fireside Chat([エキスパート] あんどうやすし:株式会社カブク, [モデレーター] しみずちこ:Developer Advocate, Google)

      「Chrome DevTools の新機能」に関して外部のエキスパートの方と一緒に実例なども交えてお話しします。

    • 17:40  〜 17:50  Q & A([エキスパート] あんどうやすし:株式会社カブク, [モデレーター] しみずちこ:Google)

  • Trust & Safety:
    • 17:50  〜 18:00  プライバシーを強化して広告コンバージョンを測定するための方法(Charlie Harrison:Software Engineer, Google)

      Chrome チームは、サードパーティの Cookie を必要とせずに主な広告のユースケースを取得するための API、つまりコンバージョン測定 (Conversion Measurement) を積極的に開発しています。 これは、ウェブ上の広告のパフォーマンスを測定する目的で、コンバージョン(購入など)をコンバージョン前の広告エンゲージメント(広告クリックなど)に関連付けることを目的としています。本セッションでは、API の仕組みや、API がどう cookie よりもプライバシー強化に繋がるかを説明します。

    • 18:00  〜 18:15  Fireside Chat([エキスパート] 大津 繁樹:ヤフー株式会社, [モデレーター] えーじ:Developer Advocate, Google)

      「プライバシーを強化して広告コンバージョンを測定するための方法」に関して外部のエキスパートの方と一緒に実例なども交えてお話しします。

    • 18:15  〜 18:25  Q & A([エキスパート] 大津 繁樹:ヤフー株式会社, [モデレーター] えーじ:Developer Advocate, Google)

  • 18:25  〜 18:30  Closing(えーじ:Developer Advocate, Google)

※各セッションの Q&A は、セミナーページ右側に表示される質問入力ツールの Slido を通して随時「いいね」が多いものを優先して回答させていただきます。登壇者、内容は変更される場合がありますので、最新情報はウェブサイトでご確認ください。


新しい情報は、引き続き、ウェブサイトならびに本ブログでもお知らせします。 Twitter : #ChromeDevSummit


Posted by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems