@chablis777
シャブリ

---------------------------

----O----006-------
----c-----------------------------
----h-----------------------
----o------------------------------
----y-a-n-----------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------

(柝の音とチンドン太鼓の音)
(黒衣)東西東西!
(千代)いずれのお方様方もご機嫌よろしゅう。
1週間ぶりに皆様のご尊顔を拝しまする。
竹井千代でございます。
よっ 「おちょやん」!2週目。
「おちょやん」第1週目ちょこっと振り返ってみましょか。
大正5年 大阪は南河内の小さい村で千代ちゃんは父 テルヲと 弟 ヨシヲと3人で貧しい暮らしをしておりました。
(ヨシヲ)姉やん おなか減った。
そんな千代ちゃんの前に 父は 栗子という新しいお母さんを連れてきました。
(テルヲ)どえらい土産やで!初めまして 栗子です。
けど 栗子におはぎを食べられてしもた千代ちゃんは彼女を絶対にお母さんと認めませんでした。
あんたなんか お母ちゃんとちゃうわ!
そんなこんなで 千代ちゃんは大阪の道頓堀へ奉公に出されることになったのです。
それ うっとこだす。
えらい はしょったな。
お母ちゃん言うてた。うちは かぐや姫やて。
うちは捨てられたんやない。
うちは捨てられたんやない。
もちろんや。お父ちゃんが そねなこと…。
うちが あんたらを捨てたんや。
千代! 待ってくれ!お父ちゃんが悪かった。
姉やん!堪忍や!頼むさけ行かんといてくれ 千代!姉やん!
いや そんなん ちゃうかった。
というわけで 「おちょやん」第2週目私ども一同 この後も なお一層の精進をしてまいります。
よろしゅうお願い申し上げ奉りまする~!
(テルヲ)おはぎ買うたるさけ 待ってくれ!
これ毎週やんの?
いやいや… やらん やらん。
♪「オレンジのクレヨンで描いた太陽だけじゃ」
♪「まだ何か足りない気がした」
♪「涙色したブルー こぼれて ひろがって」
♪「ほら いつも通りの空」
♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪「転んでも ただでは起きない」
♪「そう 強くなれる」
♪「かさぶたが消えたなら」
♪「聞いてくれるといいな」
♪「泣き笑いのエピソードを」
♪~
ここが 今日からおまんの生きていく場所や。
ええか 初めのうちは…。
おとぎの国やんけ!
大正5年 千代ちゃんは 奉公先である大阪・道頓堀にやって来ました。
夢とちゃうんけ?浮かれてる時やあれへん。
ここが 今日からおまんの生きていく場所や。
初めのうちは…。
道頓堀 ええとこや~!
聞かんか~い!
こっちや。
ここ 大阪・道頓堀は東京・浅草と肩を並べる芝居の街で多くの芝居小屋がひしめき日本のブロードウェイと呼んでええほどの娯楽の中心地でした。
♪~
ここが おまんの奉公先芝居茶屋の岡安や。
芝居茶屋っちゅうのはな…。(節子)ごめんやっしゃ ごめんやっしゃ!
(富士子)ごめんやっしゃ!
やい われ!(富士子)何だす?
痛いやないけ!
そないなとこで ぼ~っと突っ立ってるあんさんが悪い。
何やと!(玉)ごめんやっしゃ ごめんやっしゃ!あれまあ! ごめんやっしゃ!お玉 はよ。
(玉)へえ。やい われ 待たんかい!
何しくさんねんこの どあほう! すかたん!
・(シズ)あほ! すかたんは あんただす。
ご寮人さん。
道頓堀には この岡安のような芝居に関する よろず事を引き受ける芝居茶屋が数多うございました。
ごめんやっしゃ ごめんやっしゃ!ごめんやっしゃ!
そこで働くお茶子と呼ばれる女性たちは座席の確保や お酒や たばこ幕間に食事の手配などごひいきのお客様に満足してもらうために休むいとまもない毎日を送っておりました。
その芝居茶屋 岡安の全てを取りしきるのが…。
ここ岡安のご寮人さん 岡田シズさんや。
竹井千代いいます。
よろしゅうお頼申します。
何だす 来て早々 店先で大声張り上げて。しかも あないな汚い言葉で。
向こうが 先 ぶつかってきおって…。(シズ)何だす?
あんた 親孝行か?
お父さん お母さんのことどれぐらい大事に思てる?
<これは試されてるな…>
そら もうお父ちゃんも お母ちゃんも大好きや。
うちも 一生懸命 働いてはよ2人に恩返しせな。
待っててや お父ちゃん お母ちゃん。
そうか。 そない親孝行やねやったらうちでは使われしまへんな。
はあっ!? 何でや!
親思いの優しい子はなやれ お母さんが風邪ひいたのやれ お父さんがケガしたやのとすぐ帰ろうとするさかいな。
そないな子に 盆暮れ正月もあれへん芝居茶屋の仕事は 務まれしまへん。
<しもた 逆やった>
 回想 (栗子)あんたら 目障りなんや。
うちは テルヲさんと この子と家族3人で暮らしたいねん。
うちは もう すぐにでも出ていくさけ。
うちは もう 二度と家に戻らぃんさけ。
二度と?そうや。
よう そないな白々しい嘘…。
あの家には…うちが おれぃん方がええんや。
そやさけ ここに置いてやってください!一生懸命 働くさけ!
(宗助)帰りましたで~。高津さんにお参りしてきたわ。
(かめ)お家さん 旦さん お戻りやす。
えらい賑やかなこったすなあ。
表まで丸聞こえだすがな。
(シズ)すんまへん お母ちゃん。
まあ ええやないか。お母ちゃん。
(ハナ)しばらく様子見たり。ほんまに!?
さっき おみくじ引いたらな大吉やったし 気分よろしねん。
「待ち人来る」て書いたったしな。
それ きっと うちのことやわ。
何 ほたえたこと ぬかしとんねん。
あんた ほげたが達者やなあ。
ほげたが達者いうのは口が達者っちゅう意味やね。
ほげ… ほげ? ほげ…。
しょうおまへんな。ほな ひとつきだけ置いたげます。
ひとつき…。それまでに 代わりの子見つけといてんか。
もっと素直で賢い子。
あんたは それまでの つなぎや。
ひとつきも置いてもらえるやなんてうれしいなあ。
ほな わしは これで。
シズも おちょやん相手にこない厳しいせんかてええのになあ。
あの… 何で うちの名前 知りよるんけ?名前?
お千代やんて。
あ~ ハハハハ そやない そやない。
ちっちゃい女中見習のことをおちょぼとか おちょやんいいますのや。
お千代いうんか。そや。
「そや」やおまへん。 「へえ」。
へえ。
(ハナ)あのご寮人さんは きついで。
そやけどな このひとつきの間にしっかり仕事覚えたらご寮人さんの気ぃも変わるかも分かれへん。
せえだい お気張り おちょやん。
はいっ!「はい」やのうて 「へえ」。
へえ!
かめ あとは任したで。
(かめ)へえ。
♪~
竹井千代です。
あの…。何もせんかてええ。
ひとつきで いてへんようになる子に教えたとこで時間の無駄や。
そ… そねなこと言うとらんと 何ぞ。
せやないとご寮人さんの気ぃ変われぃん。
ほんなら そこの釜でも磨いとき。
へえ!
これ 食うてもええけ?
もったいないさけ。何や。
うちが粗末にしたとでも言いたいんか?いや そねなこと…。
ええで 集めて食べ。
ただし そこの走りにこぼれてるやつもやで。
ええんけ? こね ようけ。
おおきに おかめさん。
ちょっ… あっ…。
朝起きたら 表の道 ほうきで掃いて水まいといて。
今からは…。おかめさん… あっ 痛い。
お座敷の掃除や。丁寧に はたきかけて拭き掃除。
柱 机の水拭き 硯の水替えたばこ盆の掃除。
灰吹き洗たら 火鉢の灰 やわらげとく。
花瓶に花が生けてあったら水 取り替えること。
それが終わったら洗濯や。みんなの分 洗て干したら小学校の いとさんとこにお弁当届ける。ほで 帰りに郵便局寄って手紙出したらついでに 旦さんの たばこ買うてくる。
あっ 裏のドブに仕掛けた ねずみ取りにねずみ かかってたよって ほかしといて。
ねずみ…。
まあ 夕方までの仕事はこないなもんかな。
晩のことは また言うし。
<あかん… 最後のねずみで みんな忘れた>
(たたく音)あっ…。
きちんと目に沿うて 丁寧に拭くんやで。はい。
返事は へえ。
遅い! もっと はよう! けど丁寧に。
はよせな 日ぃ暮れてまう。
<お父ちゃんの ふんどしも よう洗たなあ>
(笑い声)
お父ちゃんの ふんどしやで。 におてみ。嫌や!
<ヨシヲは元気やろか>
この人が 今日から お前のお母ちゃんや。
<何で… 何で 何で うちが…>
<あの あほんだら!>
また世話なんで。うりゃっ!
(富士子)かぶりつきのええお席ご用意できましたさかい。
役者のふんどししか見えへんってことはないやろな。
アッハハハ!
あかん… この流れは あかん!
ハハハ…。
いったあ~っ!
そうなるわな やっぱり。
何やねん 上から落ちてきて ええっ?あけてみや コラ 広げてみいや。
(富士子)旦さんの… ふんどしや~!
千代~!
この疫病神! あんたのせいで うちまでご寮人さんに どやされたやないか!
すんません。
何してんねん。 さっさと いとさんとこにお弁当持っていかんかいな。
こないして 千代ちゃんの道頓堀の日々が幕を開けました。
気張りや おちょやん。


via Twishort Web App

Made by @trknov