ふだん、何気なく使っている「油揚げ」。みそ汁や煮物などに使われ、ご家庭ではどちらかと言えば“脇役”といった感じ・・・。でも実は、一流料理人によると油揚げは、料理に「コクをプラス」してくれ、また、だしなどの「味を吸収」してくれる“超優れもの”なんです! そこで今回のクイズ「とくもり」では、和食の達人が教える「正しい油揚げみそ汁の作り方」や、和洋中のプロ協力のもと、「みじん切り」にした油揚げを使った絶品料理、さらに油揚げを使ってとんかつやハンバーグを、ヘルシー料理に変身させるワザなどを紹介。油揚げのさまざまな活用術をお伝えしました。
油揚げでコクUP! 達人直伝のみそ汁の作り方
和食の達人・齊藤基晴さんに、油揚げでみそ汁のコクをアップさせる方法を教えていただきました。それは、「水の入った鍋を火にかけたら、すぐに油揚げを加え、沸騰後7分ほど煮る」というもの。しっかり加熱することで、油揚げの油が外に出てコクが増すといいます。7分たったら、だし(かりゅうタイプのもの)、具材、みそなど加えればできあがり。油揚げがだしやみそのうまみを吸うことで、味わいも深まるそうです。
※だしパックやかつお節などでだしをとる場合は、だしをとって、だしパックなどを取り除いたあとに油揚げを早めに入れるようにしてください。
豆腐と油揚げのみそ汁
材料・2人分
- 油揚げ2枚
- 長ねぎ3分の1本
- 絹ごし豆腐2分の1丁
- みそ大さじ2
- 水500ミリリットル
- みつば適量
作り方
- 油揚げ、豆腐、長ねぎを切る。
- 鍋に水、一口大に切った油揚げを入れてから火をつける。
- 沸騰したら中火にして7分ほどおき、火を弱火にしてみそを溶かす。
- 豆腐、ねぎを加える。
- 器に入れて、上にみつばをのせたら完成。
使える!「みじん切り油揚げ」 和洋中の絶品料理
和食の達人・齊藤基晴さんのおすすめは、食材のうまみをよく吸う油揚げの特長を生かした「みじん切り油揚げ」。それを使った一品として教わったのが「うまみそぼろ」。しいたけやごぼうのだしが「みじん切り油揚げ」にしみこみ、ごはんがすすむ一品です。
また、この「みじん切り油揚げ」を中華やイタリアンにも活用。中華料理の名シェフ・菰田欣也さんには、ジューシーな肉汁が楽しめる「ギョーザ」を。イタリアンの巨匠・片岡護さんには、みじん切り油揚げを使った、ソースがパスタとよく絡む「ペペロンチーノ」を紹介してもらいました。
さらに、「みじん切り油揚げ」を使った、サクサク食感が楽しめる「和風クルトン」や、「油揚げチャーハン」、「油揚げのカナッペ」などのレシピを紹介しました。
油揚げのうまみそぼろ
材料・つくりやすい分量
- 油揚げ(みじん切り)1枚
- ごぼう(みじん切り)150グラム
- 干ししいたけ(みじん切り)6枚
- 干ししいたけの戻し汁カップ1
- 砂糖大さじ1と4分の1
- 濃い口しょうゆ大さじ1
作り方
- 油揚げ、ごぼう、干しシイタケ(水で戻したもの)をみじん切りにする。
- 鍋で、油揚げを軽く炒める。
- ごぼう、しいたけ、干ししいたけの戻し汁、砂糖、しょうゆを入れ、10分ほど煮込む。
- 煮汁が完全に煮詰まったら、完成。
油揚げギョーザ
材料・2人分
- 油揚げ(みじん切り)1枚
- 豚ひき肉120グラム
- キャベツ80グラム
- かたくり粉大さじ1
- ギョーザの皮(市販)12枚ほど
- A
-
- 酒小さじ1
- しょうが(すりおろす)大さじ1
- 塩小さじ2分の1
- 砂糖小さじ3分の1
- オイスターソース小さじ1
- こしょう少々
作り方
- 油揚げ、キャベツをみじん切りにする。
- みじん切りにした油揚げにAを入れてスプーンで混ぜる。
- そこに豚ひき肉と、みじん切りにしたキャベツを入れて、手で練るようにして混ぜる。
- そこにつなぎで、かたくり粉を加え、よく混ぜる。
- ギョーザの皮にあんを包む。
- フライパンに包んだギョーザを並べる。
- 火をつけたら、沸騰したお湯を、ギョーザがつかるくらいまで入れる。
- ふたをして、蒸し焼きにする。
- 水分がなくなってきたら、ギョーザの外側に油を回し入れる。
- 焼き目がついたら完成。
油揚げペペロンチーノ
材料・1人分
- 油揚げ(みじん切り)2分の1枚
- スパゲッティ80グラム
- キャベツ30グラム
- ベーコン25グラム
- パセリひとつまみ
- たかのつめ1本
- にんにく(みじん切り)小さじ1
- オリーブ油大さじ2
作り方
- 油揚げをみじん切りにする。
- キャベツ、ベーコン、パセリも切っておく。
- フライパンににんにく、たかのつめ、オリーブ油を入れて、弱火でゆっくり炒める。
- 色が少しついてきたら、ベーコンを入れる。
- ベーコンの香りが出てきたら、みじん切りにした油揚げ、キャベツ、パセリを入れ、炒める。
- ゆで上がったスパゲッティをソースが入った鍋の中に入れてよく混ぜたら完成。
和風クルトン
材料・1人分
- 油揚げ(みじん切り)2分の1枚
作り方
- みじん切りにした油揚げをフライパンで、中火で炒める。
- 焼き目がついたら完成。
油揚げチャーハン
材料・2人分
- 油揚げ(みじん切り)2枚
- ごはん(温かいもの)400グラム
- かにかまぼこ4本
- 長ねぎ4分の1本
- グリンピース40グラム(さやから出して)
- 顆粒(かりゅう)チキンスープのもと小さじ2
- しょうゆ適量
- 卵2コ
作り方
- 油揚げをフライパンで、中火で炒める。
- 焼き目がついたら、長ねぎ、かにかまぼこを入れ炒める。
- といた卵を入れたあとにごはんを入れて、強火で炒める。
- 顆粒(かりゅう)チキンスープのもとを入れ、しょうゆを回し入れる。
- 最後にグリンピースを入れてサッと炒めて完成。
油揚げのカナッペ
材料・1人分
- 油揚げ1枚
- 具材(1)サーモンとクリームチーズ
- スモークサーモン(大)1枚
- クリームチーズ適量
- イタリアンパセリ適量
- 具材(2)トマト&バジル
- ミニトマト(4分の1に切る)3コ
- バジル適量
- オリーブ油適量
- にんにく(すりおろす)適量
- 具材(3)生ハム&アボカド
- アボカド4分の1コ
- 生ハム1枚
- 黒こしょう(粗びき)少々
作り方
- 油揚げを3等分に切り、アルミ箔(はく)にのせてオーブントースターで焼く。両面に焼き色がついたら取り出す。
- それぞれの具材を混ぜ合わせ、(1)に載せたら完成。
ハンバーグ&とんかつ 定番料理をヘルシーに!
ハンバーグにとんかつ。おいしいけれど、カロリーが気になる・・・。そんな悩みを油揚げを使って解決する方法を、管理栄養士の岸村康代さんにうかがいました。ハンバーグは、油揚げをみじん切りにして“つなぎ”として使用。そのため、本来つなぎに使用するパン粉や牛乳が必要なくなります。さらに、かさ増しにもなるのでお肉の量も減らせます。結果、糖質が40%、カロリーも13%減らすことができます。とんかつも、油揚げを衣の代わりにすることで、パン粉、小麦粉、卵が不要になり、糖質は70%、カロリーは14%オフになります。そのほかにも、油揚げを使った「ピザ」や「ラザニア」のヘルシーレシピを紹介しました。
油揚げハンバーグ
材料・2人分
- 油揚げ(みじん切り)2枚
- 合いびき肉140グラム
- たまねぎ(みじん切り)2分の1コ
- 卵1コ
- 塩少々
- こしょう少々
作り方
- 油揚げを沸騰したお湯で約3分ほどゆでて油抜きをしたあと、紙タオルなどで軽く水分をふき取る。
- 油揚げをみじん切りにして、油抜きのときに吸った水分をしぼる。
- といた卵の中に、みじん切りにした油揚げを入れて、混ぜ合わせる。
- みじん切りにしたたまねぎを、電子レンジ(600ワット)に1分30秒かける。
- 油揚げと卵の入ったボウルに合いびき肉、塩、こしょう、粗熱のとれたたまねぎを入れてよく混ぜ合わせる。
- 俵形に肉ダネを整えていく。
- 油をひいたフライパンに、肉ダネをのせる。
- 中火でふたをして、2分間加熱する。
- 2分たったら弱火にして、ひっくり返してふたをしたら5分間加熱する。
- 火を止めて、約1分間余熱で火を通したら完成。
油揚げとんかつ
材料・2人分
- 油揚げ2枚
- 豚ロース肉(とんかつ用)2枚
- 塩少々
- こしょう少々
作り方
- 油揚げを沸騰したお湯で約3分ほどゆでて油抜きをしたあと、紙タオルなどで軽く水分をふき取る。
- 豚ロース肉の筋を切り、両面を塩こしょうで味つけをする。
- 油揚げの端に包丁で切れ目を入れ、袋状にする。
- 油揚げを裏返しにする。
※油揚げの上で箸をコロコロと転がすと、裏返しやすくなる。 - 裏返した油揚げの中に豚ロース肉を入れる。
- 深めのフライパンに油を2~3センチ入れたら、(5)を投入する。
- 低温から揚げていき、パチパチと音がしてきたら中火にする。
- 4分たったら、ひっくり返して、さらに弱めの中火で4分揚げる。
油揚げピザ
材料・1人分
- 油揚げ1枚
- トマトケチャップ小さじ2
- 溶けるチーズ20グラム
- ハム2分の1~4分の1枚
- たまねぎ10グラム
- ピーマン6分の1コ
- 具材ツナ、しらすなど、お好みでOK
作り方
- しっかり油抜きした油揚げをトースターで1~2分焼く。
- 焼いた油揚げにトマトケチャップを塗る。
-
具材を順番にのせていく。
1.たまねぎ(1センチ幅に薄切り)
2.溶けるチーズ(半量)
3.ハム(1センチ角、または1センチ幅の短冊切り)
4.輪切りにしたピーマン
5.溶けるチーズ(半量)
※チーズを2回に分けてのせると、味わいがピザに近づきます。 - チーズが溶けるまで3~4分焼けば完成。
なすとミートソースの油揚げラザニア
材料・2人分
- 油揚げ1枚
- なす小1本
- オリーブ油小さじ1
- トマトケチャップ大さじ1
- 水大さじ2
- ホワイトソース100グラム
- 牛乳30ミリリットル
- ミートソース缶80グラム
- 溶けるチーズ30グラム
- パセリ適量
- 粉チーズ適量
作り方
- 油揚げを沸騰したお湯で約3分ほどゆでて油抜きをしたあと、紙タオルなどでしっかり水分をふき取る。
- フライパンにオリーブ油を入れ、4~5ミリの斜め薄切りにしたなすの両面を焼く。
- 油揚げの3つの端に切り込みを入れ、袋を完全に開いた状態にして4等分にする。
- トマトケチャップと水を混ぜ合わせ、そこに油揚げを浸す。
- ホワイトソースに牛乳を加え、よく混ぜる。
-
耐熱容器に、次の順で具材などをのせていく。
ホワイトソース→なす→ミートソース→油揚げ→溶けるチーズ(10グラム)→ホワイトソース→なす→ミートソース→油揚げ→溶けるチーズ(20グラム) - トースターで5分ほど、チーズが溶けて軽く焦げ目がつくまで焼く。
- 焼けたらお好みでパセリと粉チーズをかければ完成。
※油揚げを水でといたケチャップに浸すことで味がなじみます。
料理にあわせた「油抜き」の方法
料理研究家・山口はるのさんに、料理にあわせた油揚げの「油抜き」の方法を教わりました。山口さんによると、焼いてそのまま食べたり、あえ物にしたりするときは、油揚げのコクを生かすために、あえて油抜きはしなくてよいそう。一方、いなりずしなど、味をしみこませたいときには、しっかり油抜きをする必要があります。油揚げを半分に切り、沸騰させたお湯で3分ほどゆでます。お湯が白っぽくなったら油が抜けたサインです。また、煮物などで油揚げのコクを生かしつつ、味もしみこませたいときは、油揚げの両面に沸騰したお湯をかける、軽い油抜きをするとよいそうです。
もう迷わない!油揚げの「選び方」
スーパーに並ぶさまざまなパッケージの油揚げ・・・。その選び方を料理研究家・山口はるのさんにうかがいました。油揚げは大きく分けると、「手揚げ風」と「ふわふわタイプ」の2種類があるとのこと。「手上げ風」は、中に生地が詰まっていて食べ応えがあるため、そのまま焼いたり、あえ物にして食べるのがおすすめ。「ふわふわタイプ」は、柔らかい食感で中に空洞があるため、中に具材を入れて巾着にしたり、煮物に使うとよいそうです。
ちなみに、この「ふわふわタイプ」は、製造工程で、油揚げに針を刺して空気を注入し、中を空洞にしていました。使うとき、より開きやすくするための工夫です。
あなたにもできます! 「絶品いなりずし」の作り方
インターネットなどで評判になっている、いなりずし専門店。18年前から一人でいなりずしを作っているという店主の川崎和美さんに、家庭でも作れる「いなりずし」のレシピを教えていただきました。川崎さんのいなりずしの魅力は、お揚げのジューシーさと、さっぱりした甘み。特別なことをするわけではなく、ちょっとしたことに気を配るだけで、とってもおいしいいなりずしを作れると言います。
いなりずし
材料・4人分
- 油揚げ10枚
- 水1.5リットル
- 顆粒(かりゅう)だしのもと大さじ2
- 三温糖300グラム
- 日本酒カップ1
- しょうゆカップ1
- すし飯
- 白米カップ3
- 米酢300ミリリットル
- 三温糖150グラム
作り方
油揚げの味つけ
- 油揚げを半分に切る。
- 切った油揚げを15分間、沸騰したお湯でゆでて、しっかり油抜きをする。
- 油揚げをザルにあげて軽く水洗いをしたら、手で軽く水分をしぼる。
- 煮汁の作り方は、沸騰したお湯に顆粒(かりゅう)だしのもとを入れ、よく混ぜる。
- 顆粒だしのもとが溶けたら、三温糖を入れる。
- 三温糖が溶けたら、(2)の油抜きした油揚げを鍋に入れる。
- 沸騰させたら、日本酒を入れて、さらに5分ほど煮る。
- しょうゆで味を整えた後。中火で1分煮たら火を止めて、ふたをせずに15分おく。
(すぐに食べない時は、味を少し濃いめに作るのがおすすめ) - 15分たったらザルにあげて粗熱をとる。
(しぼらずに煮汁がしたたり落ちるくらいがちょうどよい味つけになる) - 手に持てるほどの熱さになったら完成。
すし飯
- 鍋に米酢、三温糖を入れ、酸味がなくなるまで煮詰めればすし酢の完成。
- すし酢が冷めたらごはんと混ぜ合わせてすし飯を作る。
仕上げ
- 油揚げにすし飯を詰める。(すし飯は揚げの3分の1くらいの量)
- すし飯を詰め込みすぎず、ふわっとさせる。
- 口の部分を折りたたんで、とじたら完成。
開封したら食べきるのが◎ でももし余ったら…
油揚げメーカーによると、油揚げは空気に触れると油の酸化が進んでしまうため、基本的には開封したら食べきるのがよいそうです。もし、余ってしまったときは、買ってきた袋のままなるべく空気に触れないようにして、冷蔵庫で保存するのがおすすめだそうです。