関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の耐震性を巡り、新規制基準に適合するとした、原子力規制委員会の判断が誤りだとして、福井など11府県の住民たち130人が国に対し、原発設置許可の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(森裁判長)は、4日、許可を違法として取り消しました。
規制委員会の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と判断しました。
東京電力福島第一原発事故を踏まえて策定された新規制基準下での原発設置許可を取り消す初の判断です。
大飯3、4号機は、現在、定期検査で停止していますが、安易に動かすことができなくなったわけです。
関電は、大飯3、4号機周辺の断層の長さや幅を仮定して、そこから起こり得る地震規模を算出し、基準地震動を定めた、ということです。
これに対して、近隣府県の住民などが、関電が示した地震規模は平均値でしかない。審査ガイドは「ばらつきも考慮されている必要がある」と明記していて、実際の地震はもっと高い値になることも想定される。関電の数字をそのまま受け入れた規制委員会の許可は違法だ、と主張しました。
判決は、住民たちの主張に軍配をあげ、福島事故後、規制委員会が自ら審査ガイドに「ばらつき」条項を追加した経緯からも、決められた手続きに忠実・厳格であるよう求めた、といえます。
福島第一原発事故の時、私は厚生労働副大臣をしていて、その後大臣になり、原発事故の恐ろしさと、今も続き将来にわたって心配される影響に正面から向き合う立場にいました。
事故の際には、東日本全体が、吹っ飛ぶかもしれない、とさえいわれ、そこで働く作業員の許容量をどれだけにするか、避難した人たちの健康や仕事など、放射能で汚染された食品の安全基準をどうするか等、多くの問題に直面しました。
安全神話が崩れ、これだけの地震列島に、誰がいつの間に、50基を超える原発を作ったのか、と恨めしく思いました。
政府は、相変わらずベースロード電源として原発を位置付けていますが、これだけの事故を起こしたのですから、現実的な目標として2030年代に原発ゼロに、とした当時の判断を実現してもらいたいと切に願っています。
今、地球温暖化に取り組もうとしている点は、菅政権を支持しますが、これからのエネルギー源としては、いくらクリーンといっても危険性の大きい原発に頼るのではなく、本気で再生可能エネルギーの割合を増やしてもらいたいと思います。