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EOSにおけるサーバー提案で企業の課題を解決

EOSにおけるサーバー提案で企業の課題を解決

2018年06月06日更新

Chapter 2

DELL EMC, NEC

EOSに絡むサーバー提案をどのように行うべきか。ベンダー各社の製品キーワードや移行提案の肝を探る。

▶Dell EMC
 モダンデータセンターの基盤


 Windows Server 2008/R2のEOSに関連するサーバービジネスについて、デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部&プランニング シニアマネージャの渡辺浩二氏は次のように説明する。「当社のサーバービジネス全体の約20%が比較的少額案件になり、その少額案件の中で約6割〜7割にWindows Serverがアタッチしています。つまりサーバービジネス全体の12%程度において、Windows Server 2008/R2 EOSのビジネスチャンスを見込んでいます」

 EOSのビジネスチャンスをこのように想定するDell EMCのサーバーはどのような価値をエンドユーザーに提供できるのか。「デジタルトランスフォーメーションが進行する現在は、ITそのものが経営の核に位置づけられるようになってきました。そのため、企業はITシステムのモダナイゼーションに取り組んでいます。当社では、デジタルトランスフォーメーションを実現するために欠かせないデータセンターのモダン化を後押しするサーバー製品の提供で、エンドユーザーのニーズに応えています」(渡辺氏)

 Dell EMCがモダンデータセンターの要素として掲げているのが、「フラッシュ」「スケールアウト」「ソフトウェア定義(ソフトウェアデファインド)」「クラウド対応」「信頼された環境」の五つ。これらを備えたデータセンターの構築を実現するサーバーが、第14世代のDell EMC PowerEdge サーバーだという。「最新のサーバーだからこそ利用できる新しい機能や性能を生かした運用が可能です」と渡辺氏はアピールする。

左からデル 岡野家和氏、馬場健太郎氏、渡辺浩二氏、上原 宏氏

運用管理とセキュリティ

 第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーの特長は、「拡張性と性能」「自動化」「保護」である。「管理者という側面でみると、運用管理の手間をいかに省けるかが大きな課題となっています。中堅中小企業における“一人情シス”といったキーワードも認知されており、人手不足が顕著になる今後は、さらに大きな問題となるでしょう。この課題を解決できるのが、第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーなのです」(渡辺氏)

 運用管理を助ける機能としては、リモートでサーバーの管理・監視を実現するiDRAC9(Integrated Dell Remote Access Controller 9)、サーバーのNICが正しいスイッチに接続されているかをチェックできる「接続ビュー」、スマートフォンなどでシステムの状態を把握できる「Quick Sync2」、複数のサーバーやストレージ、ネットワーク機器を一元管理できる「OpenManage Essentials」などの搭載が挙げられる。

 これらは第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーのリリース時(昨年7月)からアピールされてきたが、働き方改革などでシステム管理者の負担軽減にも注目が集まっている現在は、さらに訴求力が高まっていると言えよう。障害発生時にはサポートセンターへログを自動的に配信する「デジタルサポートアシスト」も利用できる。

 企業の懸念事項であり経営課題にもなっているセキュリティについては、BIOS/ファームウェアの予期せぬ設定変更を防ぐ「Lockdownモード」、システムの起動時にPowerEdgeのBIOSイメージの信頼性を検証する「セキュアブート」機能、BIOSが破損したり暗号形式の整合性検証に失敗した場合に自動的にBIOSを初期イメージにリカバリーする「BIOSリカバリ」機能などを搭載する。また、確実にシステムとデータの消去を実行する消去機能も採用している。「レンタルサーバーとして使用する際にも安心です」(渡辺氏)

 これらの機能は第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバー全機種共通で、ローエンド製品でも全く同じ機能が利用できるのが魅力だ。

PowerEdge T440 とPowerEdge R740xd

移行を機に新しい使い方を

 第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーの特長である拡張性と性能の面では、NVMeの搭載可能数の向上、NVDIMMやGPU/FPGAのサポートなどによってソフトウェアデファインドのシステムを最適化していくとする。デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 パートナー営業本部 本部長の馬場健太郎氏は、「最新サーバーの最新性能を最大限に活用した新しい使い方をしていただきたいですね」と期待を語る。

 例えば、Windows Server 2016は、サーバーに搭載されているNVDIMMをストレージとして認識できる機能が搭載されている。「この機能を第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーで活用することで、データベースのオンライントランザクション処理やバッチ処理を劇的に向上させられるのです。例えば、IoTによって収集できるビッグデータのリアルタイム分析など、新しい洞察を新しいハードウェアで得られるようになります。当社では、Microsoft SQL Serverを用いて約40%高速化できたベンチマーク結果をホワイトペーパーで提供しています。このようにWindows Server 2016と第14世代 Dell EMC PowerEdge サーバーによって、単なるリプレースではない新しい成果を生み出せるのです」(馬場氏)

 サーバーの新しい使い方としてDell EMCは、Windows Server 2016でHCIを構成できる「Storage Spaces Direct(S2D)」の活用も提案する。「当社はS2Dに完全に最適化したHCI『Dell EMC Microsoft S2D Ready Nodes』を用意していますが、バージョン2.1にアップグレードして使い勝手をさらに高めています。専用ベゼルや専用BIOS、専用TAG番号による適切なテクニカルサポートが受けられるなど、運用面も向上しました。HCIライセンスはWindows Server 2016に含まれていて、サーバー2台から構成できるなど、コスト面でもメリットがあります。構成ガイドや導入ガイドも公開しているので、安心して提案していただけます」(デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 プロダクトマネージャ 岡野家和氏)

 Windows Server 2008/R2のEOSが迫る中、サーバービジネスにおける販売パートナーへの期待については、デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部長の上原 宏氏は次のように話す。「新たな潮流やテクノロジーが次々と登場し、それらがいつ爆発するか分からないような状況において、販売パートナーの皆さまの役割がますます重要になっています。Windows Server 2008/R2のEOSでも、エンドユーザーのニーズを察知しやすい立場にある販売パートナーの皆さまの力を貸していただきながら、エンドユーザーニーズに応える製品を提供していきたいですね」

▶NEC
 Express5800シリーズの強さ


「Windows Server 2008/R2の移行先にオンプレミスのサーバーを選定する場合は、2017年も含めてPCサーバーの国内出荷台数で22年連続シェア1位※を獲得しているExpress5800シリーズがお薦めです」(NEC クラウドプラットフォーム事業部 第二ソリューション基盤統括部 主任 島田寛史氏)

 Windows Server 2008/R2 サーバーの移行先としては、オンプレミス(物理環境、仮想化環境)とクラウドが存在するが、それぞれのメリットを踏まえた上で、適材適所で双方を利用するハイブリッドクラウドシステムの構築をNECは推奨している。そのオンプレミスへの移行において、国内シェアで長く1位を獲得してきたExpress5800シリーズは、エンドユーザーにとって導入しやすく販売パートナーにとっては売りやすい製品であるとNECはアピールするのだ。

「特に1Wayのスリムサーバーは、日本の設置環境にこだわり抜いて開発されています。サーバーの置き場所がない、高温多湿で故障しやすいといったお客さま環境の課題を解決するサーバーなのです」(NEC プラットフォームソリューション推進本部 徳成桃子氏)

 Express5800の1Wayスリムサーバーの主な特長は「省スペース」「静音技術の搭載」「耐環境機能の実装」「高速起動技術の実装」である。「スリムな筐体にモジュール化された水冷式冷却システムを採用できたり、防塵フィルターによって内部への埃や塵の吸い込みを抑制できたりします。オフィスから工場までさまざまな設置場所に適する性能を備えているのです」(徳成氏)

 実際にこれらの特長が支持されて、中小企業などのオフィスに加えて、学校のPC教室用サーバーや工場の生産装置制御用サーバー、薬局や小売店舗設置用サーバーとして導入が進んでいる。

※1996〜2017暦年国内x86サーバー(出荷台数)出典:IDC Japan,Japan Quarterly Server Tracker CY17Q4,(share by Company) IDCではベンダー出荷実績の差が1%未満の場合、タイ(同位)として扱う

左からNEC 徳成桃子氏、島田寛史氏

UPS機能の内蔵とHCI

 Express5800の1Wayスリムサーバーは、バッテリーモジュールによってUPS機能を内蔵する構成も可能になっている。「サーバー自体はコンパクトだが、外付けのUPSが場所をとってしまう」「予算不足で瞬電・停電対策が行えていない」「外付けUPSを利用しているが保守がバラバラで運用管理に手間がかかる」といった悩みを持つユーザーに訴求力が高い。

「5年の長寿命小型内蔵バッテリーを搭載していて、外付けのUPSを利用するよりも設置スペースを大幅に削減できます。小規模な事務所やSOHOのお客さまへの販売が好調です」と徳成氏は手応えを話す。バッテリーモジュールを内蔵した構成では、サーバーの電源ケーブルをコンセントに差し込むだけで瞬電・停電対策が完了する。外付け型のUPSと異なり、管理ソフトのインストールや初期設定が不要な点も大きなメリットだ。

 Windows Server 2008/R2の移行においてHCIの導入が検討されるケースも増えてくることが予想される。そうしたニーズに対してNECでは、「NEC Hyper Converged System(HCS)」を提案していくという。「HCSは検討から導入後の保守まで、安心のサービスをセットにしたHCIアプライアンスです。検討、構築、運用、保守にかかる負担を軽減できるため、HCIの導入の敷居を下げられるのです」(島田氏)

 NECのHCIは、vSANサーバー2台(+監視ホスト1台)のスモールスタートが可能だが、さらにアピールしたいのは、「Express5800シリーズがベースになっていることです」と島田氏は力を込める。

企業の課題を解決するチャンス

 これらのサーバー製品を揃えるNECは、Windows Server 2008/R2のEOSについて、「単なるプラットフォームの移行ではなく、企業が抱える課題を解決するITインフラ構築のチャンス」だと捉えている。例えばファイルサーバーの無法状態が課題となっている企業は少なくないだろう。そこでEOSのタイミングで、ファイルサーバーの統合管理を実現するソフト「NIAS」も合わせて提案し、企業の課題解決に貢献しようとNECは考えている。

「データ容量の肥大化やフォルダーへの不適切なアクセス権の設定、個人情報の不適切な管理によるセキュリティリスクといった従来のファイルサーバー運用時の課題を解決できるのがNIASです。不要なファイルの見える化、アクセス権の見える化、個人情報を含むファイルの見える化の実現で、適切なファイルサーバーの運用が可能になるのです」(島田氏)

 業務の効率化による働き方改革という視点でNECが提案を推奨するのはRPA(Robotic Process Automation)ソリューション「NEC Software Robot Solution」だ。サーバーやPC上でキーボードやマウスを使って行っていた作業を自動化できるソリューションだ。

「データ入力などをソフトウェアロボットに代行させられるソリューションです。プログラミングの知識がなくても自動化できるのが特長です。業務の効率化や品質の向上、収益性の最大化といったメリットとともに、単純作業をロボットに任せることで、人をコア業務に集中させられるようにもなります。働き方改革にもつなげられるソリューションなのです」(島田氏)

 NEC Software Robot Solutionは、仮想化したサーバー環境でも利用できるため、24時間365日稼働させられる。NECグループでも活用しており、特定業務の作業を年間約73%も削減でき、人為的なミスや作業漏れなどがなくなったという。

 Express5800シリーズと、NIASやNEC Software Robot Solutionの組み合わせ提案で、「エンドユーザーの課題解決を実現するITインフラ構築に取り組んでいきます」と島田氏と徳成氏は意気込む。

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