初見のアクチュアリー日記

保険数理とかに関していろいろ

会計・経済・投資理論(KKT)攻略法 (一般公開用)

*この記事は2019年までのKKTを参考にしています。

「使う本の選定」

まず、KKTを受験するにあたって使用する学習書は、
公式指定教科書の財務会計講義入門経済学新・証券投資理論Ⅰ・Ⅱの4冊で十分です。
必ず最新版(特に、財務会計講義は毎年新しい版が出る)の状態にして挑みましょう。
これに加えて、この本があると、比較的経済学の理解が楽になります。
無論、他の大学4年間の経済学シリーズでも大丈夫ですが、漫画版が一番わかり易かったです。
あと、会計については簿記3級くらいの理解があるのが理想です。

定番の試験範囲
財務会計講義 → 1章~12章
入門経済学 → 1章~4章、8章~12章
新・証券投資理論Ⅰ → 1~3章、5章、7章
新・証券投資理論Ⅱ → 1~2章、4章


「どう戦略をたてて進めるべきか」

次に、KKTについて、どういう科目なのかについて分析すると、

(以下、%は点数配分における概数)

  1. 会計:
    計算20%・暗記80%、教科書メイン
    配点は25点(足きり10点)

  2. 経済:
    計算80%・暗記20%、過去問メイン
    配点は25点(足きり10点)

  3. 投資理論:
    計算75%・暗記25%、教科書・過去問バランスよく
    配点は50点(足きり20点)

  4. 合計:60点以上取ればよい(100点満点)


こんな感じの科目で問題の総数も90問近くあり、KKTの各3科目の方向性もバラバラという厄介さがあります。
では、どう攻略するのか?

自分の取った方針は「解ける問題から解いて、60点稼いでしまえ」です。
では、この方針に至った理由とどう攻略していけばよいのかをこれから記していきたいと思います。


「過去問・教科書をどれほど進めればいいか」

会計の過去問は5年、経済・投資理論は7年ほどで十分だと思います。会計にかける年数が少ないのは年々財務会計講義の改定が行われており、あまり古いと問題そのものが古い(現在の会計規則と対応していない)ことも多いからです。それ以上に、進めようとする場合は過去問と現在の教科書と突き合わせながら進める必要があります。
経済は、過去問から演習がほとんどで、自分は単語確認用に教科書を使っていました。
投資理論は、過去問・教科書ともによく使っていました。演習は教科書交えつつ、過去問を進めるといいです。教科書からは細かい暗記問題が出てくるのでちゃんと対応できるようにしておきましょう。(2019年にこの傾向の問題が増えている)

 「どんな問題から解くべきか」

以前、KKTの模範解答(2018年度)を作った時に感じたのが、
「初見のKKTを3時間(制限時間内)に全問解くことはまず不可能」ということです。
その理由としては、
・「問題量が多い」
・「計算問題にじわじわ時間を取られる」
・「難易度が異様に高い問題がちょくちょく出てくる」
などがありました。

となると、いかに問題を要領よく点を取れるかのカギの1つが時間配分ということになります。 つまり、これは解く時間のかからない問題を優先して解いていくのが重要ということを意味します。
むしろ、時間配分の観点からみても、難しい問題から解いていった場合、どんどん他の問題に割く時間が無くなっていくので、決してやってはいけないのです。
また、制限時間が3時間(180分)、問題数は90問近くあるので、一問あたりにかけられる時間は平均2分弱(1分30秒~50秒)で、これを超えるペースの時間配分は組めないということになります。

また、点数配分の面から考えると、一問あたりの配点のほとんどが1点もしくは2点ということになります。
これはつまり、「難しい問題と簡単な問題の得点差はほとんどない」ということで、難しい問題で落としても、簡単な問題をメインに60点以上解けていれば、総合点としては合格する計算になります。

特に、暗記が苦手で計算が得意な人なら計算問題を優先して解き進めてしまうこともあると思うのですが、これがKKTの落とし穴で、一般に、計算問題と暗記問題では暗記問題の方が考える時間がずっと少なくて済むため、スピード面から見ても暗記問題の攻略を優先したほうが受かる確率は高くなります。



そこで、難易度と解答時間の観点からKKTの各問をタイプ別に4つ分けてみました。

捨て問系:ただただ難しく、解けたとしても時間がかかる問題。通常は解かず、スキップ推奨

厄介系:確実に解けるが、計算などでやたら時間を取られる問題。とりあえず飛ばして後に回す

パズル系:解き方が分かるまでに時間がかかり、分かると比較的すぐ解ける問題。とりあえず後回し

安定系:時間をかけず、安定して解くことができる問題。一部の暗記系・簡単な計算問題などがある。なるたけ落とさないようにする。実は一番重要

それぞれの問題系統の対処法としては
捨て問系 → よっぽど余裕がない限りは解かない。捨てていい。適当に答えをマーキングして、問題番号に×を打っておく。

安定系 → 確実かつ安定して得点があげることができるので、見落とし・ミスがないか注意しながら、正確に解答していくこと。文章的なひっかけ問題も少なからずあるので、それについては後述する。

後は、厄介系・パズル系の対処法になる訳ですが、安定系を優先して解いていけば必ずこの2つに行き当たります。 では、どちらから解いていくのかというかは自由なのですが、個人的にはパズル系に出くわした時は一回は挑んでみて、時間がかかるようであれば(時間は30秒~1分が目途)、別の問題に進んで後で解くようにしてみます。運が良ければ早く済むし、後ででも勝負がかけられるので、とりあえずそのように進めてみてもいいと思います。
ただ、この2つのパターンは大問の一問目に設定されることがあります。また、その問題が解けないとそれ以降の問題が解けない場合、大問1つ丸々取れないことになり、この設問を避けて通ることができません。時間配分が破綻しない程度に必ず一回は挑んでください。
また、このような通せんぼ問題(大問の通せんぼしてるタイプの問題)のほとんどは今まで出題された問題の応用になってます。

ちなみに、解いていく上で、問題がどの系統に属しているのかは過去問をこなしていけばある程度ピンとくるようになるはずです。

「会計攻略」

会計は、いやKKTは、財務会計講義の突破が一番カギを握ってると言っても過言ではありません。
ただ、中身はというと、暗記のオンパレードなので、どのように暗記していくかについて記述するつもりですが、先ほどにも述べた通り、会計の暗記系のほとんどは安定系に属するので、 財務会計講義に書いてあることをほぼ丸暗記してしまえば、20点前後を手堅くとれる可能性が高いことを理解しておいてください。

また、前提として簿記3級ぐらいの知識があると理解が比較的楽に進めることができます。
簿記を勉強し始めるのも一つの手だとは思いますし、資格として取得しても損はないと思いますが、 それ以外の暗記で進められる部分は多く、KKTの会計に簿記3級の知識がフル動員されるかというと違うので、 簿記の資格にこだわるのでなければ、とりあえずはKKTの理解補助にとどめていた方がいいです。
あと、後半の計算問題は後回しにしてもいいかと思います。

財務会計講義について

・過去問から出題されてる範囲を推察し、どの章のどの節から出てるかを把握しておく。
・全体的に章と節の内容を大まかに把握しておく。
・(どうしてもわからないところは飛ばしつつ、)一番最初から丹念に読み進めていく。

どう読みこなしていくか

・単語の定義を把握し、その単語の意味特徴を憶えておく(特に、青い単語は全て)。
で示されているところは図ごと暗記する。(計算表などは不要)
設問は問題内容と図と解き方を丸暗記する。

たとえば、「真実性の原則」を例にとると、
定義としては「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供しなければならない、とする原則」とあると思いますが、

意味:「企業会計で嘘つかない
特徴:「相対的な真実性、最高規範
というようにまとめればいいと思います。(マーキング引くのと同じ感覚)
そして、意味・特徴から逆に定義を肉付けするように覚えていくと楽になります。
結構特徴から単語を推測しなければならない問題も多いので、こうするとわかり易くなっているはずです。
(「重要性の原則」の場合は「一般原則に含まれてないこと」も特徴の1つ)
定義の位置は「とはをいう。」という文章があった場合、が単語で、が定義になっていることがほとんどです。

また、単語がずらっと並んだものを憶えていかないといけない場合はどうするかというと、
例えば「産業財産権」の場合、
特許権実用新案権意匠権・商標権の4つありますが、
頭文字だけ4文字とって新しい単語のように「特実意商(とくじついしょう)」と、とりあえず頭に入れてください。
そこから、1文字ずつ肉付けしていきましょう。
特→特許権
実→実用新案権
意→意匠権
商→商標権
これで覚えやすくなっていると思います。
また逆に、まとめて図にして覚える方法もあります。「繰延資産」を例にとると、この画像のように図に書いてみてもいいでしょう。(参照元のサイト

また、図を憶える場合、
まずはどういうをしているのかということと特徴のあるものから暗記すること
これは形そのものが特徴になっているパターンも考慮しています。
監査役会設置会社・指名委員会設置会社・監査等委員会設置会社の制度の違いを表した図は形の特徴が顕著ですし、形から中身を憶えておくこともできるからです。
特徴を探すときは、多くの同じものの中から違うものを見つける方が進めやすいと思います。
「例:研究開発費ではない費用処理→バグ取り(ソフトウェア制作費の会計処理の一部)」
方法はともかく、自分の覚えやすいようにやるのが一番いいと思います。
図から学べることも多いので、しっかり見逃さないようにしましょう。

設問はとにかく、問題の形はそのままで、数値だけが変わっているパターンがほとんどです。 つまり、各設問において解き方・図の見方などを徹底して覚えていくことになります。 どう解いていくかについては、先ほど述べたような単語・図を覚えるよりもマシだと思うので、割愛します。

どう暗記するか

これについては、暗記法と絡めて後日別記事で詳細を記したいと思います。

正誤問題攻略

会計の正誤問題は「どれが合っているだろう」と探すのでなく、「どこが間違っているだろう」と間違い探しをする感覚で探していくこと。
誤文1つと正文3つの構成の場合、
選択肢4つで合っている文章3つなので、明らかに間違っている文章があればそれが答えです。全体的に通し読みしつつ、違和感のある箇所に線を引いたのち精査するとよいでしょう。
過去問からの一部をグーグルスプレッドにまとめておいたので、よかったらご覧になってください。→KKT会計・正答文集

ひっかけ問題攻略

問題文の中に解答とはほとんど関係のない文章を入れて、誤答を誘発するような問題が大問1の小問に設定されることがある。おそらく瞬殺されないための設定されていると思われる。時間には気を配ること
解答に不要な文章を外しつつ、考えたほうが良い。解答と接点のある特徴が文中に書かれているはずなので見逃さないようにする。
飛ばしてもいいし、後で再考するのも一つの手。
仮に落としたとしても、1問1点なので気にしないこと!

「経済攻略」

過去問からの攻略が一番。ある程度慣れたら教科書の目次の部分をコピーして試験範囲内の単語をマーキングして覚えておく。その上で、全体的に問題を解くペースに気を付けておくこと。2019年には、「需要曲線と供給曲線」の問題の一問目がパズル系通せんぼ問題になっており、こういった問題に挑むのは合格のために不可避であることも一つ考慮に入れておきたい。
「正誤問題」、「単語当て」、「囚人のジレンマ」、「需要曲線と供給曲線」などがある。その中でもとりわけ嵌り易い「正誤問題」と「囚人のジレンマの問題」について解説する。

正誤問題攻略

この冒頭の正誤問題は暗記ものではあるものの、経済の中で最難関であり、実はパズル系に属する。全小問中2問取れれば御の字。
勉強する際は過去問の正誤問題をそのまま解いてはいけない。なぜかというと、経済の正誤問題は非常にややこしい問題が多く、正誤が入れ乱れた状態で解くと、誤った情報を憶えてしまうことがあるからです。 よって、覚える際は正しい情報に置き換えて、正誤問題にあたらなければなりません。
先ほどと同様に、過去問から引用して正しい文章にして集めたものをグーグルスプレッドにまとめておいたので、参考にしてください。 →KKT経済・正答文集

囚人のジレンマ

これもパズル系の問題。時間を食わせるのが目的で置かれてることが多いので、解くのに時間がかかりすぎるようであれば無視してもよいでしょう(2問・各1点くらいしかない)。ただし、解法はきっちり把握しておくこと。

「投資理論攻略」

期待効用、ポートフォリオ、CAPM、リスクニュートラル・プライシング、利回り、デリバティブ評価などの定番問題は解き方をきっちりマスターしておくこと。新傾向の問題は解けなくとも必ずマーキングしておくこと。近年、完答タイプの暗記問題が出る傾向があるので要注意。

教科書をどう暗記していくか

新・証券投資理論Ⅰは内容も平易で読みやすく、暗記もしやすいので、ここでの説明は割愛する。
新・証券投資理論Ⅱは説明が難しいのだが、目立つ単語や方程式を中心に暗記していって、覚えなくてもいいところを外して進めていく必要もある。(例えば、実在する会社の古いデータが載っているところなどが出題できるわけがない)
暗記する方法はいうと、やはり、単語ごとに意味特徴を探る。(太文字で書かれているところは全て)
例えば、単語の穴埋めの場合は必ずある単語の特徴が書かれており、その単語を推測するというパターンが定番であり、やはり紐づけて覚える必要がある。
(一例として、問題文「~不連続なオプション」→答え「バイナリーオプション」)
また、スポット・レート、プットコールパリティブラック・ショールズ方程式など様々な式が出てくるが、この式の意味がはっきりしてる場合はその意味も抑えておきたい

選択肢完答問題

問題文も間違っている箇所もはっきりしていたり、教科書からそのまま文章が抜き出しで出てくることが多く、実はあまり難しい問題が少ない。慎重に選択肢ごとに見極めればよい。仮に1問落としたとしても1点くらいしかないので、気にしないこと。

地雷問題

問題を解いていくと、局所的に地雷が埋められているかのように捨て問が配置されていることに気づくことだろうと思う。無論これは余裕のある時以外、手を付けないほうが良い。寧ろ、その次の問題と関連がない場合、飛ばす方がメリットは多い
特に、気を付けなければいけないのが「接点ポートフォリオで具体的に数値を求める問題」である。この問題は定番でありながら高確率で時間を取られる厄介系 or 捨て問系であり、飛ばして構わない。(この大問が出てくる冒頭の簡単な問題などは解いてOK)この問題が以降の問題を通せんぼしていることもあるが、他の問題から進めたほうが無難だろう。

ブログ参考元


じゅんぽさんのブログ
【アクチュアリー試験対策・私が行ったこと⑤ <一次試験・会計・経済・投資理論> 】 - じゅんぽっぽ☆
みなとらさんのブログ
アクチュアリー「会計・経済・投資理論」:特徴と勉強方針 | みなとらブログ

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記事作り直しました。(2020/5/7)
一旦、校了。(2020/6/11)
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