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返信先: さん
先ず投資銀行が公募増資を引き受ける場合、つねに2種類の「お客様」のことを心配しなければいけません。①発行体、②投資家。
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企業に訪問し、「株、出しませんか?」と勧誘するコーリングオフィサー(=投資銀行本部所属です)にとってお客さんは発行体。
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一方、生保、信託、ヘッジファンドなど投資家に接しているセールスマン(=株式部所属です)にとってお客さんは投資家。
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いま発行体は「なるべく高い値段で株を売りたい」と願います。一方投資家は「なるべく安い値段で株を買いたい」と願います。 つまり双方の利害は真っ向から対立しているということ。
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売出のプロセスとは、このように真っ向から対立する利害を調整し、「ちょうどいい落としどころ」を模索することに他なりません。
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ところが……そういう「双方を立てる」のではなく、片方、つまり発行体の側だけにおもねる売り出し方というのがあります。それが「At the market offering」です。 「At the market offering」はチンケな発行体がクソな証券会社を起用して行うダメな手法です。
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「At the market offering」では、まず株価を発行体が有利な値段で売り出せる水準まで煽ります。そして高値で何も知らない投資家が先を争うように買い注文入れて来たのに対し売りをぶつけるような売り方です。特徴としては①そのときの値段(at the market)で売るので、売り値は高いほうがいい
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②いつまでに売る?という期限を切らない…つまり三々五々売り物が出てくる、③誰に買ってもらう?ということを決めず、バイヤーが現れたら、それに対して売り浴びせする、です。
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つまり「At the market offering」は売り手、すなわち発行体の利害を最大化する手法に他ならないということです。それはとりもなおさず、買い手の立場は全く顧みられていないということを意味します。 「At the market offering」がクソな理由は、そのため。
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これと対照的にfully underwritten dealでは①ちゃんと値決め価格が決められます、②値決めされれば、あとからどんどん新株の売りが出ることはありません。③ちゃんと長期保有してくれる投資家を選んで株を渡します(=ブックビルディング)
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だから公募のアナウンスメントで一時的に株価が下押しても、その後の動きとしてはfully underwritten dealsの方がはるかにいい。
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対照的に「At the market offering」は零細証券が情弱個人投資家を食い物にし、泡沫な発行体のために荒稼ぎする「ウルフ・オブ・ウォールストリート」的なディールです。
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