【米大統領選2020】 バイデン氏当選確実に 激戦州で逆転

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米大統領選で7日午前(日本時間8日未明)、民主党のジョー・バイデン前副大統領が当選確実の見通しとなった。激戦州ペンシルヴェニア州での勝利が確実になったため。トランプ陣営は、負けを認めるつもりはないと反発している。

ペンシルヴェニア州に続いて西部ネヴァダ州でもバイデン氏が勝つ見通しになったため、バイデン氏が獲得する見込みの選挙人の数は米東部時間7日午後20分の時点でバイデン氏が279人になった。トランプ氏は214人。選挙人270人を獲得した候補が大統領になる。トランプ氏がペンシルヴェニア州を落とした時点で、再選は不可能となった。

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【米大統領選2020】 バイデン氏が当選確実、BBCが伝えた瞬間

ほかにも米CNNやAP通信など、複数の主要メディアが、バイデン氏の当選確実を伝えた。保守系フォックス・ニュースも日本時間8日午前1時40分ごろ、バイデン氏の当選確実を伝えた。

カマラ・ハリス上院議員は、アメリカ初の女性副大統領、そしてアメリカ初のアフリカ系でアジア系の副大統領になる。

現職大統領が再選を逃すのは、1992年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領がビル・クリントン氏に敗れて以来。

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バイデン氏は日本時間8日2時前にツイッターで、「アメリカ。この偉大な国のリーダーとして私を選んでくださって、光栄です。これからの道は厳しいものになりますが、これは約束します。私はすべてのアメリカ人の大統領になります。私に投票したかどうかを問わず。私に託してくださった信頼に応えます」と書いた。

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同様にカマラ・ハリス氏は、「この選挙はジョー・バイデンや私のことより、はるかに大きいものです。アメリカの魂と、そのために闘おうという私たちの意欲のための選挙でした。これからやるべきことはたくさんあります。さあ始めましょう」とツイートした。

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ハリス氏はさらに、バイデン氏に祝福の電話をかけている様子の動画をツイートした。「やった、やりましたよ、ジョー! あなたが次のアメリカ大統領ですよ!」と喜んでいる。

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ジル・バイデン夫人は、バイデン氏と共に「ここにはバイデン博士とバイデン大統領が住んでいます」と看板を手に(「副」の文字を手で隠している)、「この人はすべての家族のための大統領になります」と投稿した。

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バイデン氏が副大統領だった当時のバラク・オバマ前大統領も声明を発表。「次期大統領のジョー・バイデンと次期ファーストレディのジル・バイデンにおめでうと言うほど、誇らしいことはありません。そして、カマラが次期大統領に画期的な形で当選したことについて、カマラ・ハリスとダグ・エムホフにおめでとうと言うほど、誇らしいことはありません」と祝意を伝え、「経験したことのない状況での今回の選挙で、アメリカ人はかつてないほどの規模で投票した。すべての票を数えた時点で、バイデン次期大統領とハリス次期副大統領は歴史的で決定的な勝利を収めることになる」とコメントした。

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今回の選挙では、新型コロナウイルスのパンデミックや投票所での混乱への懸念などから、1億人以上が郵便などで期日前に投票した。米フロリダ大学のマイケル・マクドナルド教授(政治学)たちが運営する選挙データサイト「U.S. Election Project」の集計によると、投票率は66.9%の記録的なレベルに迫っている。

バイデン氏の得票数はすでに、バラク・オバマ氏が2008年に記録を作った得票数6940万票を上回り、過去最多の7400万票を超えている。トランプ氏のこれまでの得票数は約7000万票超とされる。全国的な得票率は日本時間8日未明現在でバイデン氏50.6%、トランプ氏47.7%という。

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バイデン氏当選確実を各社が伝えた時点で、トランプ氏はワシントン近郊のゴルフ場にいたという。

トランプ陣営は声明を発表し、「この選挙はまだまだ終わっていない」と反発。「月曜日から我々は、選挙の法律が完全に守られ、正当な勝者が確実に当選するよう、法廷で訴えを追求していく」と主張した。

トランプ氏の名前による声明は、証拠を示すことなく、バイデン陣営がどのような不正票でも集計を望んでいると主張。「バイデンは何を隠しているんだ? アメリカ国民が与えられるべき、そして民主主義が要求する正直な開票結果が得られるまで、私は休まない」と力説した。

各地の開票所で開票作業に立ち会っている立会人や選管職員は、開票作業に広範でまとまった異例や不正は見つかっていないと繰り返している。

またトランプ氏はすべて大文字で「自分がこの選挙に大勝した!」とツイートした。

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一方で各国首脳からは次々と、バイデン氏とハリス氏に祝意が寄せられている。

ボリス・ジョンソン英首相は「合衆国大統領に当選したジョー・バイデンさんと、歴史的な偉業を達成したカマラ・ハリスさん、おめでとうございます。アメリカは私たちにとって最も重要な同盟国です。気候変動から貿易、安全保障に至るまで、両国が共有する重要課題について、緊密に連携するのを楽しみにしています」と祝意を発表した。

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これまでの流れ

3日に開票が始まった当初はトランプ氏が主要州で優勢だったものの、バイデン氏は「安心している」と発言。これを受けてトランプ氏は開票中に「自分が勝った」と宣言した。

しかし、6日には共和党地盤の南部ジョージア州と選挙人が多いペンシルヴェニア州で、バイデン氏が逆転。バイデン氏は同日夜、「この選挙戦に勝つ」と演説した。一方のトランプ氏は、選挙で不正があったと裏づけなく繰り返し主張。6日にはバイデン氏に対し、勝利宣言をしないようけん制した。

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日本時間6日午後11時前の時点で、バイデン氏がペンシルヴェニア州で5587票の差をつけてリードした。日本時間7日午後1時までには、約2万9000票の差に広がった。郵便投票や都市部の開票が進んだ結果とされる。

投票所での票より開票が後回しになっていた郵便投票の大半は、民主党支持者によるものとみられている。トランプ氏は数カ月前から自分の支持者に、郵便投票はしないよう呼びかけていた。同州選管によると、これまで集計した郵便投票の約9割はバイデン票。また、郵送された在外軍人票も、大多数がバイデン氏を支持していたという。

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バイデン氏は6日午後10時(日本時間7日正午)にデラウェア州ウィルミントンで演説。「明らかな過半数の票と国民が、我々にはついている」、「7400万票以上を獲得した。アメリカ史上、どの大統領候補が得た票より多い」とし、選挙人300人以上を勝ち取って選挙戦に勝利するだろうと述べた。ただ、決定的な勝利宣言までは踏み込まなかった。

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【米大統領選2020】 バイデン氏「この選挙に勝つ」 融和と協調訴え

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また、「皆さんの票は必ず集計される。誰がどれだけそれを止めようとしても、そのようなことにはさせない」と主張。国民に忍耐と冷静を保つよう呼びかけ、「自分に投票した人のために働くと同じくらい、自分に投票しなかった人のために働く」と約束した。

また、「私たちは対立はしているが、敵同士ではない」と国民の融和を訴えた。

一方、トランプ氏は6日夕にツイッターで、「ジョー・バイデンは大統領になるという主張を誤ってすべきではない。私も同じ主張をできる。訴訟手続きが始まったばかりだ!」と述べ、バイデン氏をけん制した。

米紙ワシントン・ポストによると、大統領警備を担当するシークレット・サービスは6日から、デラウェア州ウィルミントンにいるバイデン氏とハリス氏の警備を強化した。

一方で、バイデン氏が逆転したジョージア州(選挙人16人)のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官は6日午前、両候補の票差があまりに僅差のため、再集計を実施すると発表した。両候補の票差は日本時間8日未明、開票率99%で約4000票。

ジョージア州では東部時間6日午前4時過ぎの時点で、バイデン氏が初めてトランプ氏を917票、上回った。クレイトン郡の開票結果だった。クレイトン郡は、今年7月に80歳で亡くなった公民権運動の闘士、ジョン・ルイス下院議員(民主党)の選挙区の一部。トランプ氏は2017年1月にルイス議員を「口先だけ」と攻撃し、大勢の非難を浴びた。

日本時間8日深夜の時点で、ジョージア州の票差は約7000票差に開いている。

ジョージア州の州知事や州務長官は共和党。1992年の大統領選でビル・クリントン氏(民主党)が勝ったのを最後に、それ以降は共和党が勝ち続けてきた。

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開票中の西部アリゾナ州(選挙人11人)については複数の米メディアがすでに、バイデン氏勝利の見通しとしているが、BBCはまだ僅差のため情勢判定をしていない。日本時間8日未明現在、開票率97%で、バイデン氏が2万8000票以上リードしている。

アリゾナ州については、米フォックス・ニュースは3日夜のうちにバイデン氏勝利の見込みと伝えた。トランプ陣営はこれに猛反発したが、BBCと提携する米CBSも同州についてバイデン氏優勢としている。

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全国の出口調査のける性別、人種、年齢、学歴ごとの支持率
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全国の出口調査のける性別、人種、年齢、学歴ごとの支持率

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ホワイトハウス内の雰囲気は

トランプ大統領は7日午前にペンシルヴェニア州フィラデルフィアの「フォーシーズンズ」で「弁護団が大きい記者会見」をするとツイート。その後に、「フォーシーズンズ・トータル・ランドスケーピングで会見する」とツイートし直した。これに対してフォーシーズンズ・ホテルは、この場所は自分たちとはまったく関係がないとツイートした。

トランプ氏の顧問弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏たちが会見した場所は結局、「フォーシーズンズ・トータル・ランドスケーピング」という名前の造園会社の駐車場だった。

トランプ氏は当初「弁護団がフォーシーズン・ホテルで記者会見」するとツイートしていた(7日、フィラデルフィア)
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トランプ氏は当初「弁護団がフォーシーズン・ホテルで記者会見」するとツイートしていた。会見は似た名前の造園会社の駐車場で行われた(7日、フィラデルフィア)

トランプ氏は同日朝、ペンシルヴェニア州での開票作業などが違法だという裏付けのない主張をツイッターで繰り返した。ツイッター社は間もなく、「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」と警告を表示した。ツイッター社は投開票に関するトランプ氏のツイートにたびたび、同様の警告を表示している。

選挙不正を主張するトランプ氏のツイートに、ツイッター社が警告文をつけている
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選挙不正を主張するトランプ氏のツイートに、ツイッター社が警告文をつけている

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ホワイトハウス関係者は6日、トランプ氏は自分の側近や支持者がもっとテレビや街なかで、自分を援護・支持していないことに怒り、落胆していると話した。

トランプ氏はホワイトハウスの中で、執務室と居住棟を行き来しながらテレビを見たり、各地の選挙事務所に電話したりしているという。

複数の側近が6日に欠勤し、ホワイトハウス内は「とてもがらんと」しており、沈痛な雰囲気だと消息筋は話した。

トランプ氏は複数の上級顧問に対し、開票結果に対する提訴を続ける意向を示しているものの、政権幹部によると今なお明確な訴訟戦略はないという。

大統領の上級顧問の1人は6日の時点のトランプ氏の様子について、「むっつり不機嫌と前向きの中間くらい」だと明らかにした。この消息筋は、2016年にはトランプ氏は自分が勝てるとまったく思っていなかったのだと付け足した。

まとまった選挙不正があったという証拠は確認されていない。トランプ陣営は自分たちの主張の裏付けを提示していない。

アメリカに選挙監視団を派遣している欧州安全保障協力機構(OSCE)民主制度・人権事務所のカティア・アンドルーシュ報道官はBBCラジオに対して、まとまった違法行為の証拠はないと話した。

トランプ氏は勝利宣言繰り返す

トランプ氏は東部時間5日午後6時半(日本時間6日午前8時半)ごろから、ホワイトハウスで記者会見を開き、「合法的な票を集計すれば、私の勝ちだ。違法の票を数えれば、向こうは選挙を盗もうとする」と述べた。

また、「この(選挙)プロセスがひどく不公正なため多くの裁判」が起きていると主張した。ただ、訴訟のほとんどはトランプ陣営が起こしている。

トランプ氏はさらに、「郵便投票が非常に一方的なのは驚きだ」と述べた。これまでのところ、郵便投票の約75%がバイデン氏への票とされている。トランプ氏はかねて、郵便投票は不正の原因になるとして、支持者には投票所での投票を呼びかけていた。

トランプ氏は、この選挙には不正があると裏づけなく繰り返した後、「我々の目標は選挙の正当性を守ることだ。重要な選挙を盗もうとする不正は許さない」と主張。「最終的には裁判官らが判断する」と、裁判で決着をつける考えを示した。

その後は記者団からの質問を受け付けず、退出した。

トランプ氏は法廷での決着になると述べた(5日夜、ホワイトハウス)
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トランプ氏は法廷での決着になると述べた(5日夜、ホワイトハウス)

トランプ氏に次ぐ共和党実力者のミッチ・マコネル上院院内総務は6日朝になって、声明を発表。「我々の偉大な国では、これはこういう仕組みでなくてはならない。合法の票はすべて数えるべきだ。違法に提出された票は一切数えてはならない。すべての側に、手続きを見守る機会が与えられなくてはならない。そして、法を適用し紛争を解消するために裁判所がある」と表明した。

トランプ氏の発言については、複数の共和党関係者が批判している。ペンシルヴェニア州選出のパット・トゥーミー上院議員(共和党)は米NBCに対して、トランプ氏の演説は「見ているのがとてもつらかった」として、「大規模な詐欺や選挙を盗まれるなどという大統領の主張は、まったく裏付けがない。大がかりな不正があったなどととは認識していない」と述べた。

2012年大統領選の共和党候補でトランプ氏をしばしば批判してきたミット・ロムニー上院議員(ユタ州)は、バイデン氏がペンシルヴェニア州で逆転した後、「大統領は再集計を要求したり、証拠がある場合は不正投票の疑いについて調査を求めたり、あらゆる法的措置を使い尽くしたりする権利がある。これはこの国の選挙プロセスの一環だ。一方で、選挙は仕組まれていた、腐敗していて、盗まれたなどと言うのは間違っている。そのような発言は、この国と世界中の自由の目標を傷つけ、共和政の基礎をなす制度を弱体化させ、破壊的で危険な情熱を無軌道にあおるものだ」とコメントを発表した。

ジョージ・W・ブッシュ政権スタッフだったロン・クリスティー氏はBBCに対して、どの票が合法か違法か決めるのは大統領ではないと述べ、「この大接戦の選挙の中でまたしても、大統領は大統領らしく振る舞う機会を逸した」と批判した。2000年大統領選のフロリダ再集計問題の当時ブッシュ陣営にいたクリスティー氏は、当時のブッシュ氏とアル・ゴア氏は支持者の緊張関係悪化を防ぐため、発言を控えていたものだと話した。

メリーランド州のラリー・ホーガン知事(共和党)は、「この国の民主的手続きを損なう、大統領の今夜の発言は、擁護しようがない。アメリカは票を数えている。これまでと同じように結果を尊重しなくてはならない。この国の民主主義以上に大事な選挙や人はいない」とツイートした。

「すべての票を」とバイデン氏

一方、バイデン氏は同日午後に演説し、「すべての票を数えなくてはならない」と強調。開票が続く間は「冷静でいる」よう、国民に訴えた。

開票継続と冷静を呼びかけたバイデン氏。左は副大統領候補のハリス氏(5日、デラウェア州ウィルミントン)
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開票継続と冷静を呼びかけたバイデン氏。左は副大統領候補のハリス氏(5日、デラウェア州ウィルミントン)

バイデン氏は、「民主主義は時に厄介だ」としたが、「このプロセスは機能している」と述べた。また、「アメリカでは投票は神聖だ」とし、全ての票を集計するよう強調。「この国の人々が意思を表明する方法だ」と主張した。

さらに、同氏とカマラ・ハリス副大統領候補は、集計が終わった時には「勝者として宣言される」ことを「確信している」とした。

「開票を止めろ」とトランプ氏

トランプ氏は5日午前、ツイッターで「集計を止めろ」などとツイートした。続けて「投票日後に到着した票は一切数えない!」と実態と異なるツイートをすると、ツイッター社は「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」と警告を表示した。ツイッター社は投開票に関するトランプ氏のツイートにたびたび、同様の警告を表示している。

トランプ氏はさらに「バイデンが(勝利を)主張した全ての州」について不正があったと提訴すると書いた。

トランプ氏の長男、フレッド・ジュニア氏は同日午後、「アメリカの将来にとって最善なのは」トランプ氏がこの選挙について「全面戦争」に打って出ることだとツイートした。これについてもツイッター社は警告を表示した。

バイデン陣営の法務担当、ボブ・バウアー弁護士は同日、トランプ陣営が展開している訴訟作戦は「大きい偽情報作戦の一部」だとして、選挙制度の信頼性を破壊しようとしていると批判した。

「ラストベルト」に「青い壁」復活か

どちらの候補が勝つのかについては、開票に時間がかかっているアリゾナ州(選挙人11人)、ペンシルヴェニア州(同20人)、ジョージア州(同16人)などの結果を待つ展開となっている。

ミシガン州(選挙人16人)は4日午後4時半過ぎに、バイデン氏が勝つ見通しとなった。2016年の前回大統領選でトランプ氏がわずか1万704票差という当時の選挙で一番の僅差で勝った州を、民主党として奪還した。

ウィスコンシン州(同10人)については、一部の米メディアは4日午後にバイデン氏勝利と判定したが、僅差が続いたため、BBCは開票がほぼ終わった5日午後に判断した。

ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルヴェニア州は「ラストベルト(さび地帯)」と呼ばれる地帯を形成しているが、バイデン氏がこの3州すべてで勝てば、勝利に必要な選挙人を獲得する。

バイデン氏がミシガンとウィスコンシンの両州を押さえた見通しについて、BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、バイデン氏が中西部の五大湖周辺にいわゆる民主党の「青い壁」を再建しつつあると指摘する。前回大統領選ではヒラリー・クリントン氏がこの諸州を落としたことが、敗北の大きな要因だったとされている。

激戦州ペンシルヴェニアでは、州法の決まりで期日前票の開票作業を3日朝まで開始できなかったこともあり、選管は郵便投票の開票作業は6日まで続く可能性を示している。また、軍人や在外有権者の票は投票日の7日後まで受け付けて開票を続ける予定。同州のトム・ウォルフ州知事(民主党)は4日朝に記者会見し、「この国の理想、私たちの民主主義が試されている」として、大量の郵便投票を正確かつ公平に集計すると強調。いかなる妨害も認めないと述べた。

ミシガン州とウィスコンシン州でも、投票日直前まで期日前票の開票作業に着手できなかったため、開票に時間がかかった。ミシガン州のジョスリン・ベンソン州務長官(民主党)は4日午前、期日前票の集計を早く開始できるよう州法の改正を州議会に求め続けたが、(共和党多数の)州議会が認めなかったのだと述べた。

法廷闘争と抗議デモ

トランプ陣営は、ウィスコンシン、ジョージア、ペンシルヴェニア、ミシガンなど各州で、開票について裁判で争っている。ミシガン州では、開票作業の打ち切りを求めて提訴。開票作業を見届ける「意味あるアクセス」が認められなかったためだと主張した。

同州デトロイトの開票所では、開票作業の立会いを求める人たちが建物の外に集まったため、4日午後に警察が警備に当たった。

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【米大統領選2020】 ミシガン州の開票所に市民押しかけ 中に入れろと窓たたき

トランプ陣営はさらにペンシルヴェニア州で、「意味のある透明性が確保されるまで」全ての開票作業を停止するよう求める裁判を2件起こした。

トランプ陣営はウィスコンシン州についても、「いくつかの郡で不規則な行為」があったと主張し、票の再集計を正式に求める考えを明らかにした。

このほかジョージア州でも、開票作業の停止を求めて複数の提訴を進めている。トランプ陣営は、同州チャタム郡での開票作業で、不在者投票53票が不法に票の山に加えられたのを、同党の開票立会人1人が見たと主張している。

一方で、トランプ氏が「開票を止めろ」と呼びかけているのに対して、ペンシルヴェニア州フィラデルフィアやミシガン州デトロイト、首都ワシントン、ニューヨークなど各地では、参加者が「すべて票を数えろ」などと訴える抗議デモが相次いでいる

開票所に入ろうとして外に出され、「開票をやめろ!」と繰り返す人たち(4日、ミシガン州デトロイト)
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開票所に入ろうとして過密を理由に外に出され、「開票をやめろ!」と繰り返す人たち(4日、ミシガン州デトロイト)

開票所に入ろうとして過密を理由に外に出された人たち(4日、デトロイト)
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開票所に入ろうとして過密を理由に外に出された人たち(4日、デトロイト)

「沈黙させられない」とプラカードを掲げる女性(4日、ワシントン)
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「沈黙させられない」とプラカードを掲げる女性(4日、ワシントン)

「すべての票を数えろ」と訴える人たち(4日、デトロイト)
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「すべての票を数えろ」と訴える人たち(4日、デトロイト)

「票を数えるのは『選挙を盗む』のと違う それこそまさに選挙だ」というプラカード
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「票を数えるのは『選挙を盗む』のと違う それこそまさに選挙だ」というプラカード

バイデン氏は勝利に自信

一般的に期日前投票や都市部の票は民主党有利とされることもあり、バイデン陣営は4日朝、「私たちに有利な結論へ向かっている」とコメントした。

さらにバイデン氏は同日午後4時すぎ、地元デラウェア州ウィルミントンで演説し、このまま開票が進めば自分たちが勝てると確信していると述べた。

バイデン氏はハリス氏と共に登壇し、開票状況に自信を抱いていると述べた(4日、デラウェア州ウィルミントン)
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バイデン氏はハリス氏と共に登壇し、開票状況に自信を抱いていると述べた(4日、デラウェア州ウィルミントン)

「自分たちが勝ったと宣言しに来たわけではない」と、バイデン氏はトランプ氏が早い段階ですでに勝利宣言したのと対比させた上で、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルヴェニアなどの各州で集計が終われば「自分たちが勝者になると信じていると報告しに来た」と述べた。

副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員と共に登壇したバイデン氏は、「すべての票を数えなくてはならない」、「誰がアメリカ大統領になるのか決めるのは国民の意思だけだ」、「私たち国民の声を封じることはできない」などと述べた上で、自分たちが当選した後は、「すべてのアメリカ人の大統領になる」と約束。「自分たちが勝ったときには、赤い州(共和党支持)も青い州(民主党支持)もなくなる。ひとつのアメリカ合衆国だけだ」と強調した。

バイデン氏と副大統領候補のカマラ・ハリス氏は同日、政権移行用のウエブサイトを立ち上げた。「バイデン=ハリス政権が初日から職務に全力投球できるよう、準備を全速力で続ける」としている。

トランプ氏は開票中に勝利宣言

まだ何百万票もの開票が残る状況で、トランプ氏は4日午前2時半ごろからホワイトハウスで支援者らを前に演説。「率直に言って、この選挙に勝利した」と、一方的に勝利を宣言した。

トランプ氏は、「大祝賀会を準備していた」、「完勝に向かっていた」と勝ち誇った様子で説明。フロリダ州での「勝利」について、「我々は勝ったのではない。大勝したのだ」と述べた。

また、根拠を示すことなく、「アメリカ国民に対する詐欺」があったと主張。「この国の恥だ」として、「午前4時になって票を発見するなんてことにならないよう」に、「すべての投票をやめさせる」よう連邦最高裁で争う考えを示した。最高裁は現在、保守派判事6人、リベラル判事3人の構成になっている。

しかし、各州は郵便で期日後に到着した票の有効性も認めており、投票日以降にも開票作業が続くのは通常の手続き。

トランプ氏の演説には、与党・共和党の関係者からも批判の声が出ている。

トランプ氏は演説の前にはツイッターで、「大勝利」を手にすると自信を見せていた。また、「我々は大差をつけているが、向こうは大統領選を盗もうとしている」ともツイート。これに対してはツイッター社が、「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」と警告文をつけた。

4日朝にも、「たくさんの重要州で、そのほとんどは民主党が抑えている州で、自分がしっかり勝っていたのに」「いきなり票が大量に見つかって魔法のように自分のリードがひとつひとつ消えてしまった。とても奇妙だ」などと書いている。ツイッター社はこのツイートにも「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」と警告を表示している。

一方、バイデン氏もトランプに先立ち、支援者らに向けて演説をし、勝利への「軌道に乗っている」とアピール。「熱心な開票作業が終わるまで辛抱しなくてはならない。全ての票が集計されるまで終わらない」と述べた。

また、トランプ氏の演説を受けてバイデン陣営は「とんでもない、前例もない、そして不正確だ」と反発し、「アメリカ市民の民主的な権利を、あからさまに奪い去ろうとしている」と批判した。

中西部などで大接戦

両候補の戦いぶりを州別にみると、バイデン氏はヴァーモント、デラウェア、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、コネチカット、コロラド、ニューメキシコ、ニューハンプシャー、イリノイ、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ヴァージニア、ロードアイランド、ミネソタ、ハワイ、ミシガン、ウィスコンシンの20州と、首都ワシントンで勝つ見通し。

一方、トランプ氏はインディアナ、オクラホマ、ケンタッキー、テネシー、ウエストヴァージニア、アーカンソー、サウスダコタ、ノースダコタ、アラバマ、サウスカロライナ、ユタ、ルイジアナ、ミズーリ、カンザス、ミシシッピ、ワイオミング、オハイオ、アイダホ、フロリダ、アイオワ、モンタナ、テキサスの22州で勝つ見通し。

州を選挙区に分けて比例配分するメイン州とネブラスカ州では、両氏が選挙人を分け合った。

ペンシルヴェニア、ノースカロライナ、アリゾナ、ジョージア、ネヴァダ、アラスカの各州ではまだ勝敗の見通しがついていない。

バイデン氏が中西部の「青い壁」を奪還したほか、アリゾナ州やジョージア州といった共和党地盤で支持を伸ばしたのに対し、トランプ氏は各地で世論調査の事前予想を大きく上回る得票を重ね、激戦州フロリダ州で勝つ見込みとなった。出口調査によると、フロリダ州やテキサス州ではバイデン氏が白人有権者の民主党支持を伸ばしたのに対し、トランプ氏が2016年に比べて中南米をルーツとするラティーノ市民の支持を大幅に拡大したのが、今回の結果につながったとみられる。

大統領選の結果の確定には数日、場合によっては数週間かかる。そのため米メディアは、各州の勝者を独自に予測。選挙の専門家らが出口調査や開票速報を分析している。特定の政党の候補が毎回勝利している州では、投票終了の直後に「当選確実」を発表することもある。一方、接戦の場合は、開票が進むのを待つ。

BBCは今回の大統領選で、調査会社エジソン・リサーチから出口調査のデータを得ている。また、米メディアのABC、CBS、CNN、NBCと協力して取材している。期日前投票の記録的な多さにより開票作業は複雑になっており、「当確」打ちの早さは競っていない。勝者を判断するのに十分なデータがそろっていないと考える場合は、たとえ他メディアが「当確」を出しても、BBCや協力メディアは同調しない。

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【米大統領選2020】 波乱万丈の選挙戦もついに終わり 3年間を3分で振り返る

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激戦州と選挙人

激戦州とは、どちらの候補が勝ってもおかしくないとされる州を意味する。アメリカでは多くの州は、共和党支持か民主党支持かがおおむね固定している。それだけに、どちらに転ぶか分からない州、その中でも選挙人が多い州が、勝敗を大きく左右する。

米大統領選の勝敗は、全国的な得票の総数ではなく、州ごとに割り当てられた選挙人をどれだけ獲得するかで決まる。

各州の人口などによって割り振られている選挙人は計538人で、勝利には過半数の270人以上が必要となる。

各州の選挙人は、その州でより多くの票を得た候補者が全て獲得するのが一般的(メイン州とネブラスカ州は変則的な比例配分)。

この仕組みが原因で、全国的な得票数で上回った候補が敗れることが起こり得る。2016年の前回大統領選で、ヒラリー・クリントン氏がトランプ氏に負けたのはその一例。

Security fencing has been put up in front of the White House in Washington DC. Photo: 2 November 2020
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ホワイトハウス前には警備強化のためフェンスが設置された(2日)

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投票日前から法廷闘争

トランプ陣営や共和党は、今回の大統領選を決定するとも言われているペンシルヴェニア州やノースカロライナ州について、3日以降に郵便で届く票の集計を阻止しようと提訴していたが、連邦最高裁は10月末にこれを却下した。

軍関係者の在外投票など投開票日の後に届く票などを数え続けるのは、アメリカの選挙で普通のことだが、トランプ氏はこれが不当だと繰り返している。

トランプ氏は2日、この最高裁判断は「市内の暴力につながる」、「野放図な不正を許し、この国の法制度そのものを損なう」と根拠なくツイートしたり、ペンシルヴェニア州での支持者集会で「危険な判断だ。具体的に危険だ」と強調した。ツイッター社はこのツイートについてただちに、「選挙やその他の公民プロセスについて誤解につながりかねない」内容だと警告を表示した。

大票田テキサス州では、共和党がヒューストンのドライブスルー投票所で期日前に投じられた12万7000票を無効にするよう、提訴していた。州法は屋根のない移動式投票所を認めていない、ドライブスルー投票は不正につながるというのが根拠だった。

これに対して連邦地裁は、期日前のドライブスルー投票所は州法でも合法だと判断。「指示通りに期日前に投票した12万人以上の有権者の票を無効にすることは、公共の利益にそぐわない」と述べた。