英、新型コロナワクチンの接種スタート 米欧で初
(更新)
【ロンドン=佐竹実】英国で8日、新型コロナウイルスのワクチンの大規模な接種が始まった。複数の英メディアが報じた。米ファイザーなどが開発したワクチンで、欧米では初の接種となる。高齢者などリスクの高い人が免疫を付けることで、感染や重症化を予防する。世界の死者のほとんどは高齢者で、ワクチンの効果が確認されればパンデミック(世界的感染拡大)が収束に向かうとの期待がある。
ジョンソン英首相は8日、ワクチン接種が始まったのを受けて、ツイッター上で「一緒にやっつけよう」と投稿し、国民に新型コロナ克服に向けて接種への協力を呼びかけた。
米国でもファイザーのワクチンについて近く当局が承認し、接種が始まる見通しだ。英国は新型コロナの感染による累計死者数が6万人超と欧州最多で、同ワクチン接種に向けて承認を急いだ。英国の承認が早かったことについて米国や欧州連合(EU)から批判も出たが、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は「安全を最優先しており、(承認に向けた)全ての手続きを終えている」と主張した。
今回接種が始まったのはファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンで、臨床試験(治験)段階で95%の予防効果を確認した。英政府は4千万回分(約2千万人分)を確保している。ファイザーのベルギー工場で生産しており、年内に数百万回分が到着する見通しだ。
ファイザーのワクチンは輸送時にセ氏マイナス70度前後の超低温に保ち、解凍後は5日以内に接種する必要がある。英国では各地の病院や新設するワクチン接種センターなどに集約され、介護施設に入居する高齢者や医療関係者などに優先的に接種する。