シス管担当者がクラウドストレージを比較してBoxを全社導入したワケ


Boxの導入事例を検索すると表示されるのは、大手企業のケースが大半ですが、実は中小企業でも活用が進んでいます。
弊社、株式会社TooはBoxの販売代理店であると同時にユーザーでもあります。中規模の弊社がBoxの導入に至った経緯やサービス選定の比較・導入時の注意事項・管理のコツなどを紹介させていただきます。
システム管理の方や、部門でのクラウド導入を検討されている方、また働き方を変えていかなくてはいけない中で、どのようにしていこうかと検討されている方々のヒントになれば幸いです。

導入のきっかけ

弊社 は2019年で創業100年を迎えた中規模の企業です。元々は画材を中心にアナログ商材を販売していたことから、クリエイティブに携わる方々との関係が深まり、クリエイティブツールがデジタルになる初期段階からMacintoshなどの取り扱いを始めた商社です。

そんな弊社ですが、2016年まで長らくファイルサーバーを利用していました。ファイルサーバーの機材保守が切れるタイミングで、このままオンプレミスで機材を入れ替えるのが良いのか、クラウドへ移行するのが良いのかの検討を始めた矢先に、システムトラブルでサーバーが故障してしまいました。幸いバックアップサーバーのおかげでことなきを得たのですが、システム担当は大慌てでした。自身の通常業務が忙しい中で、会社の業務の根幹となるファイルサーバーの故障となると、サーバーの復旧にかかりっきりになってしまいます。また、残業問題・業務の効率化という話が出ていたタイミングでもあり、モバイルワークの促進という点からもクラウドに向けた動きが加速しました。

それまでも営業から「外出先でデータが見たい」という要望はあったのですが、ファイルサーバーでその要望に応えようとすると、ネットワークに外部との通信の穴を開ける必要があり、セキュリティ面で不安がありました。また、ファイルサーバーのままで機能を増やそうとすると、費用がどんどんかさんでしまうというジレンマも抱えていました。
データの容量も増える一方で、バックアップのことも考えるとハードウェア追加のコストだけでなく、サーバーの空き容量の確認などの保守管理といった見えないコストもかかっていました。さらに、地域の拠点のファイルサーバーは拠点ごとに管理しており、各拠点の担当者は必要に応じてOSのバージョンを上げたり、アンチウイルスのための対策をしたり…。たいていの場合はサポート業務の担当者が兼務していて、こちらも見えないコストがかかっていました。

クラウドストレージに移行することは、セキュリティ面以外にも、本社のシステム担当が一括管理できるようになり、各拠点の担当者がファイルサーバーのお守りをしなくても良くなるというメリットも感じていました。

クラウドサービスの選定

導入にあたり、システム担当が、Box・Dropbox・Google Drive・OneDriveの4サービスで比較検討を行いました。どのサービスもワールドワイドで展開しており、運用の安全性・安定性が高いことが検討対象にあがった大きな理由です。
もちろん、どのサービスもクラウドのストレージ機能や共有の機能があることから、外出先でデータが見たいという要望も叶えられ、これまではできなかった外部との大容量のデータのやり取りが可能になるという定番のサービスです。
それぞれのサービスを簡単に紹介してみます。

OneDrive

Microsoft社が提供するクラウドストレージサービスです。多くの企業がExcelやWord・PowerPointといったMicrosoft社の製品を利用されているかと思います。最近はOffice365というサブスクリプションのプランがあり、そちらを契約することでExcelやWord・PowerPointの利用が可能となり、同時にOneDrive(1TB)の利用も可能になります。

Google Drive

Googleが提供するクラウドストレージサービスです。G Suiteはビジネス用のG Mailや共有カレンダー、ビデオ会議などがパッケージとなっており、その中にストレージの機能のDriveも用意されています。G Suiteはプランによって、Driveが容量無制限で利用可能です。

Dropbox Business

全世界で5億人以上のユーザーがいる、言わずと知れたクラウドストレージサービスDrooboxのBusiness版です。Business版は管理機能やDropbox上で行われた操作のログが収集できる機能がついています。 個人利用などで使い慣れている方が多いという点も導入のメリットとなるサービスです。プランによってはストレージの容量を必要なだけ利用できるプランもあります。連携サービスが多いのも特徴の1つです。

Dropboxについて詳しく

Box

Boxはサービス自体が法人向けに設計されています。どのプランでも容量無制限で利用できるという特徴があります。管理機能が非常に充実している点も企業に選ばれている点です。また、共有の際に権限が細かく設定でき、安全な運用を設定することが可能です。Dropbox同様、連携サービスも多くあります。

Boxについて詳しく

上記4サービスで比較検討した結果、OneDrive・Google Driveは選定から漏れました。保存されたデータが個人の容量となってしまい、管理がしづらいということが主な理由です。特に退職者が出た際にはデータの付け替えが煩雑となってしまい苦労しそうという見通しもありました。
残るはDropbox BusinessとBoxに絞られましたが、最終的にはBoxを導入しました。 その大きなポイントは、権限の設定をはじめとした管理面での設定が細かくできるという点です。他のサービスは外部と共有をしようとすると、編集・閲覧の2段階からしか選べないのに対して、Boxは7段階から選ぶことができます。



また、フォルダの全体像が管理者から見えることも選定の理由です。Dropboxはユーザーに管理権限を渡す方式なのに対して、Boxは全体が管理者の保有データという設計思想も気に入りました。フォルダをユーザーに好き勝手に作らせないような設定ができる点は管理面でのメリットとなり、決定の後押しとなりました。例えば、誰かが辞めたときにデータを捨ててしまうようなリスクが減ります。人材の流出は防げないので、データが消えることがない、という安心感を評価しました。

運用編

導入後にどのように運用しているかということもご紹介します。上記のように弊社でBoxを導入した理由は管理面での機能が優れているからです。

ネットワーク環境について

クラウドサービスは、ネットワーク環境さえあればどこからでもアクセスできるということが大きなメリットです。その反面、管理面で気を使われる方も多いでしょう。弊社では、以前からVPN環境を構築していたこともあり、社内ネットワークを介してのみBoxに接続できるようにしています。
VPNにアクセスできる端末を制御していることで、端末制限 + IPアドレス制限という2段階のセキュリティを整えています。

フォルダ設定について

Boxはフォルダをユーザーに好き勝手に作らせないように設定ができます。ユーザーに自由にフォルダを作成できる権限を渡してしまうことで、Box上のフォルダ管理が煩雑になってしまったり、データ漏洩などのリスクが増大する懸念がありました。その為、管理者が設定を行う際にのみ使用する管理者アカウントを1つ作成し、そのアカウントのみ第一階層でフォルダを作成可能な設定にすることで、管理できるクラウドストレージという環境を実現しています。ユーザーはアクセス権限で与えられたフォルダの中でのみ自由にフォルダの作成やデータの保管ができます。

外部との共有について

Boxは外部のコラボレーターを招待して、自社のBox内のフォルダにアクセスしてもらうことが可能です。弊社の運用では、社内でアカウントを付与されたメンバーのみが見ることができる「社外共有NGのフォルダ」、「外部のコラボレーターとも共有できるフォルダ」をシステム管理者が設定しています。
システム管理者がBoxの設定でコントロールすることでヒューマンエラーを防ぐことができるので、情報漏洩のリスク対策となります。

データ消失について

データの消失に関しては、ファイルサーバーの頃からユーザーのミスで削除してしまった、間違って移動させてしまって行方不明になったということがありました。Boxにすることで、削除してしまったら「復元」、ファイルが見つからなければ「検索」、さらに誤って上書きしてしまった場合には「履歴から復元」することもユーザーができるようになりました。

容量について

ファイルサーバーで運用していた頃は、システム管理担当者が容量の確認を行わなくてはいけませんでした。容量が増えてくると、データの整理をユーザー側で対応しなくてはいけませんでした。Boxは容量無制限なので、見えない管理コストの削減にもつながりました。過去のデータとはいえ、削除できないものも多くあり、データは増え続ける一方です。現在弊社のBoxの総容量は34TB!ファイルサーバーで運用していたと考えるとゾッとする容量に膨らんでいます。

最後に、ちょっとしたTIPSをご紹介

Boxのアカウントをユーザーに配布する前に、管理面の環境をしっかり整えておくということが非常に重要です。後から設定を変更すると、設定変更以降はその設定が反映されますが、変更以前に存在していたフォルダなどは新しい設定の影響を受けません。Boxは管理者メニューで細かい設定をすることができる反面、システムの仕組みを深く理解するのはなかなか骨が折れます。

ユーザーでもある弊社は、ユーザーでもある弊社は、そのノウハウを活かした運用面・管理面での支援のご相談もお受けしております。ぜひご連絡ください。


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