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続いて登壇したのは、セキュリティ、資産管理などの企業向けソフトウェアの開発会社、エムオーテックスに勤めている小原さん。入社は、約6年前。同社では、情シススタッフの入れ替わりが激しく、常に「ひとり情シスのつらさ」と背中合わせで業務を行ってきたといいます。
情シスが抱える一般的な悩みとして、よく「社内でリスペクトされない」「緊急性の高い割り込み業務が多くなり、改善に時間が取れない」「仕事をすればするほど、やるべきことが増えてしまい、生産性を上げるインセンティブがない」といったことが挙げられます。
小原さんはこれらに加え、「新しいことができない」「情報収集の時間が取れない」「1人だと休めない」「頑張っても見てくれる人がおらず、愚痴を言う相手もいない」といった「1人情シス」ならではのツラさにもスポットを当てました。
「これまで、情シスとしていろいろ苦労してきました。だからこそ、情シスの世界をより良いものにしていきたい」という小原さんは、関西圏を中心とした情シスのコミュニティーを立ち上げたいという思いを持っているといいます。
そんな小原さんには、司会を務めたITmedia エンタープライズ編集部の池田がアドバイス。「開催頻度は最多でも月に1回程度まで。参加人数は15人前後の小規模なものをイメージ」「会費は3000円前後のところにボーダーがある。飲み会1回分くらいまでの会費が参加者の心理的なハードルを下げる」などといった、俺情の開催経験から分かったノウハウを伝えていました。
「関西圏の情シスコミュニティーが少ない」と感じている参加者が多い中、神戸でコミュニティーの立ち上げに取り組んでいるのが神戸デジタル・ラボ(KDL)の山本大作さんです。
山本さんは、Web系のインフラエンジアから情シス担当者になった経歴の持ち主で、情シスで得たノウハウを発信するブログ「KDL 情's Cafe BLOG」を執筆している他、情シスコミュニティー「情シス Cafe in Kobe」の運営も行っています。
KDLにおける情シスの業務範囲は、「企画」「システム・利用サービスの管理」「運営」「ユーザーサポート」など多岐にわたります。一方で、各案件に情シスが関わる範囲については、「技術スキルや組織横断的に、情シスがやらなければいけないことか」「会社の全体最適に寄与する案件か」といった要件に合わせて個別に判断するのだそうです。
もともと、山本さんは「Webソリューション部」でインフラの整備運用を担当する傍ら、有志による「情報システム管理委員会」に参加し、情シス業務を兼任していました。しかし、会社の事業拡大で管理対象が増加。また、仮想化環境の導入などで、「情シス」としての業務が膨れあがり、兼任が困難な状況に……。そこで、2014年に技術的負債を含む課題の解消を目指して、専任として「情シス担当」に就任し、課題の整理とメンバーコントロールを始めたという経緯があります。
「2017年ごろまでは、オンプレからクラウドへの移行や、事業にとってインパクトの大きな課題解消に注力してきました。いわば、『マイナス』だったものを『ゼロ』に近づけるための取り組みがほとんどでした」(山本さん)
会社が抱えていた大きな課題に、ある程度、解決のめどを付けた現在。山本さんは「『ゼロ』から『プラス(価値創出)』に転じるための取り組みをやっていきたい」と話します。具体的には「業務の自動化」「クラウドの徹底活用による運用の負荷軽減」「経営課題の解決や現場の業務負担をITの力でサポートする」ことなどを挙げていました。
また、より具体的なテーマとしては、「PC、スマートデバイス、ネットワークといった物理リソースのイケてる管理方法」「他部門との良好な協力体制の作り方」「クラウドの使いこなし」「セキュリティ確保の現実的なガンバリ方」「情シス担当者の未来(求められるスキルマップは何か)」といったことに取り組んでいきたいといいます。
会場からは、「それらをそのままテーマにすれば、しばらくはコミュニティーイベントの開催に困らない」といった意見も出ました。つまり、多くの情シス担当者が共通して感じている課題ともいえそうです。
今回、大阪で開催された「俺たちの情シス」読者交流会は、今後の「関西圏での情シスコミュニティー」を活性化させるための、ちょっとしたカンフル剤になったのかもしれません。今後の盛り上がりに期待しましょう!
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