主にインターネット上でサービスを行う「ネット銀行」。使い勝手がよく、大手銀行に比べてATM手数料や振込手数料などがおトクな場合が多いのも特徴です。ただし、ネット銀行はサービスよって使えるATMが異なり、かかる手数料もまちまち。ネット銀行を賢く使うには、各行の特徴を知る必要があります。そこで本記事では、「 楽天銀行」「ソニー銀行」「イオン銀行」「ジャパンネット銀行」「住信SBIネット銀行」「auじぶん銀行」「新生銀行」の7つの主要ネット銀行の手数料などを比較しながら、賢く使う方法を考えます。
ネット銀行は、使えるATMや、入出金や振り込みにかかる手数料が違います。「 楽天銀行」「ソニー銀行」「イオン銀行」「ジャパンネット銀行」「住信SBIネット銀行」「auじぶん銀行」「新生銀行」の使い勝手を比較! おトクに使いこなしましょう
本記事は【基礎編】【応用編】の2本立てになります。【基礎編】では、使い勝手を左右する「ATM手数料」と「振込手数料」(ネットでの振り込み)を比較します。なお、【基礎編】では、利用条件によって「手数料無料」などの特典がある優遇制度については考慮せず、申し込み時の状態(デフォルト状態)で比較しています(たとえば、「給与振込口座として使うと手数料優遇」などの条件を除外した状態での比較です)。
ATMは、「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)の4つのコンビニATMの利用可否と手数料を掲載。また、大手金融機関として、メガバンク(「三菱UFJ銀行」、「みずほ銀行」、「三井住友銀行」)と「ゆうちょ銀行」のATMの利用可否と手数料もあわせて掲載してあります。
【応用編】は各ネット銀行をさらにおトクに使う方法がテーマです。利用状況に応じて手数料の無料回数が増えたり、普通預金の金利が上がったりする「優遇制度」や、関連するクレジットカードや証券会社とのおトクな組み合わせ方法などを紹介しています。
(本記事で掲載している手数料は2020年7月15日時点のものです。また、記事内の価格表記は原則として税込です)
▼【応用編】はこちら
クレカや証券口座の連携でお得! ネット銀行の「優遇制度」を使いこなそう
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「時間外もコンビニATM手数料が無料」など銀行から優遇を受ける諸条件とは?
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前身は2001年に開業した「イーバンク銀行」。その後、楽天が買収し2010年に「楽天銀行」となりました。2020年6月に、ネット銀行としては初めて口座開設数が900万件を突破するなど口座数を伸ばしています。
※楽天銀行公式サイトより
楽天銀行は「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMで入出金ができます。手数料は下記のとおりで、セブン銀行とイオン銀行の手数料が若干安くなっています。
【セブン銀行、イオン銀行】
預け入れ:3万円以上……無料。3万円未満……220円
引き出し:金額を問わず220円
【ローソン銀行、イーネット】
預け入れ:3万円以上……無料。3万円未満……275円
引き出し:金額を問わず275円
「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」「ゆうちょ銀行」のATMで入出金が可能。「三井住友銀行」は非対応です。手数料は、預け入れが3万円以上で無料。3万円未満で275円です。引き出しは金額を問わず275円となっています。
楽天銀行宛であれば振込手数料は無料です。他行宛の場合は下記の手数料がかかります。なお、楽天の会員情報と連携させることで、楽天スーパーポイントを振込手数料に使うこともできます。
・ゆうちょ銀行……金額にかかわらず168円
・そのほかの金融機関……3万円未満は168円、3万円以上は262円
2001年に設立。翌2002年にはネット銀行として初めて住宅ローンの取り扱いを開始。外貨預金の取り扱い数も豊富です。
※画像はソニー銀行公式サイトより
ソニー銀行は「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMで入出金ができます。各行のATMとも引き出しは月4回まで無料。5回目以降は1回110円の手数料がかかります。ATMへの預け入れは金額、回数を問わず無料です。
金融機関の中では「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「ゆうちょ銀行」のATMで入出金が可能です。手数料は上記のコンビニATMと同じで、引き出しは月4回まで無料(5回目以降は1回110円)で、預け入れは金額、回数を問わず無料です。
ソニー銀行宛であれば振込手数料は無料です。他行宛の場合は月1回まで無料で、2回目以降は220円かかります(「Sony Bank WALLET」 を持っている人は2回無料で3回目以降220円)。
2007年10月に開業。イオンモールやダイエー、ミニストップなどでおなじみのイオングループのネット銀行です。ネット銀行ながらイオンモール内などにリアル店舗があり、店頭ではネット上と同様に、預金や住宅ローン、投資信託、外貨預金、iDeCoなど幅広い商品を取り扱っています。
※画像はイオン銀行公式サイトより
イオン銀行は、「イオン銀行」(ミニストップ)、「ローソン銀行」、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMが使えます。イオン銀行のATMでの入出金は24時間365日、何回でも手数料無料です。ローソン銀行、イーネットのATMでの入出金には、平日8時45分~18時は110円、それ以外は220円の手数料がかかります。
提携している「みずほ銀行」、「三菱UFJ銀行」、「ゆうちょ銀行」のATMも、入出金にかかる手数料は「時間内無料」です(平日8時45分~18時まで。ゆうちょ銀行のみ土曜9時~14時も該当。これ以外の時間帯には銀行ごとに異なる手数料がかかかります)。「三井住友銀行」のATMは引き出しのみ対応しており、平日8時45分~18時までは110円、それ以外の時間帯は220円の手数料で使えます。
なお本記事では比較対象としていませんが、メガバンクやゆうちょ銀行以外の地銀などを含めると、「時間内入出金無料」で使えるATMは全国約5万5,000台にのぼります。
イオン銀行宛であれば手数料無料です。他行宛は金額にかかわらず220円の手数料がかかります。
2000年9月、さくら銀行(現三井住友銀行)を筆頭に、富士通、日本生命、NTTドコモなどの大手企業が出資し、日本初のインターネット専業銀行として設立されました。同年10月に開業。その後、資本業務提携を結んだ三井住友銀行とヤフー(現Zホールディングス)が筆頭株主となり、2018年2月にヤフーの連結子会社化されています。
※画像はジャパンネット銀行公式サイトより
「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMで入出金が可能。入出金のいずれも3万円以上なら24時間365日、何回でも手数料無料。1回3万円未満の場合は月1回まで手数料無料で、2回目以降は時間帯に関係なく165円かかります。
提携金融機関の「三井住友銀行」、「ゆうちょ銀行」のATMでも入出金が可能です。コンビニATMと同様、入出金のいずれも3万円以上なら24時間365日、何回でも手数料無料。1回3万円未満の場合は月1回まで手数料無料になる点も同じです。2回目以降は時間帯に関係なく、三井住友銀行は165円、ゆうちょ銀行は330円かかります。
ジャパンネット銀行宛であれば振込金額にかかわらず手数料無料。他行宛は振込金額1回3万円未満は176円、3万円以上は275円かかります。なお、ジャパネット銀行、三井住友銀行のいずれも本人名義の口座を持っている場合は、「ジャパンネット銀行→三井住友銀行」間の振り込みが無料で行えます。
※ジャパンネット銀行、三井住友銀行の双方とも本人名義で、ジャパンネット銀行→三井住友銀行宛の振り込みの場合、手数料無料
三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資で設立したネット専業銀行。2007年9月に営業開始。SBIグループのネット証券「SBI証券」と連動させることで、普通預金の金利が上がります。2020年5月に預金口座数が400万口座を突破。
※画像は住信SBIネット銀行公式サイトより
「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMが利用可能です。預け入れは無料で、引き出しは月2回まで無料。3回目以降は1回110円かかります。
「ゆうちょ銀行」のATMも利用可能で、ルールはコンビニATMと同じです。預け入れは無料で、引き出しは月2回まで無料。3回目以降は1回110円かかります。
住信SBIネット銀行宛であれば振込手数料は無料です(本記事の比較対象ではありませんが「三井住友信託銀行」宛も振込手数料は無料)。他行宛は月1回まで手数料無料で、2回目以降は1回157円です。
2006年5月、KDDIと三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)が共同出資して設立したネット専業銀行。同年6月に営業開始。創業時は「じぶん銀行」という名称でしたが、2020年2月に「auじぶん銀行」に変更されました。三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券「auカブコム証券」との連動や、auユーザー(auスマホ、携帯など)向けの特典があります。
※画像はauじぶん銀行公式サイトより
コンビニATMは「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イーネット」(ファミリーマートなど)が利用できます。手数料は、入出金とも1回110円です。利用状況に応じて変わる優遇制度「じぶんプラス」(ステージ1~5。申し込み時はステージ1)の、ステージ2以上にならないと必ず手数料がかかる仕組みです。
「三菱UFJ銀行」および「ゆうちょ銀行」のATMが利用できます。三菱UFJ銀行ATMのルールは上記のコンビニATMと同じです。ゆうちょ銀行ATMの手数料は若干高くなっており1回220円です。金融機関ATMも「じぶんプラス」のステージ2以上にならないと手数料がかかります。
auじぶん銀行宛および三菱UFJ銀行宛であれば振込手数料は無料です。他行宛は、3万円未満の振り込みは1回178円、3万円以上の振り込みは283円かかります。
1998年に経営破綻した日本長期信用銀行が前身。国有化を経て2000年に新生銀行に改称されました。ほかの銀行に先駆けてインターネットバンキングに本格参入し、その後も、今では一般的なATMの24時間365日稼働などのサービスを、先陣を切って導入してきたネット銀行です。
※画像は新生銀行の公式サイトより
「セブン銀行」、「ローソン銀行」、「イオン銀行」(ミニストップ)、「イーネット」(ファミリーマートなど)のATMで入出金ができます。引き出しは1回110円の手数料がかかります。預け入れは無料です。
「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」「三井住友銀行」「ゆうちょ銀行」のATMが利用できます。コンビニATMと同じく、引き出しには1回110円の手数料がかかり、預け入れは無料です。また、「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」「三井住友銀行」は引き出しのみ1回110円で利用できます。
※初出時、新生銀行の「新生銀行で使える大手金融機関ATM」の内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします(2020年7月20日)。
新生銀行宛であれば振込手数料は無料です。他行宛は月1回無料で、2回目以降は314円かかります。
まとめとして、「ATM手数料」と「振込手数料」の項目ごとに、各ネット銀行を比較します。
ATMの手数料に関しては「ソニー銀行」のおトクさが目を引きます。コンビニと大手金融期間を合わせて7行のATMに対応。預け入れが無料で、引き出しでの無料回数も月4回と他行と比べて多く設定されています。非常に使い勝手のいいネット銀行と言えそうです。
それに次ぐ存在なのが、預け入れが無料で、引き出しでの無料回数が月2回の「住信SBI銀行」でしょう。ただし、メガバンク3行のATMには対応していないので注意が必要です。
手数料のおトクさという点で言うと「イオン銀行」も見逃せません。自行のATMが無料で使えるのに加え、複数のコンビニATMや金融機関のATMで、対象時間内であれば手数料無料で何度でも使えます。ただし、「セブン銀行」のATMに対応していない点は注意が必要です。
そのほかの4行に関しては、「3万円以上」の利用が条件だったり、手数料が必ずかかる仕組みだったりします。【応用編】で扱う「優遇制度」などの活用を視野に入れながら利用されるといいでしょう。
7つのネット銀行のコンビニATMの対応状況と手数料
7つのネット銀行の大手金融機関(メガバンク+ゆうちょ銀行)ATMの対応状況と手数料
振込手数料は、同行宛は各ネット銀行とも無料です。他行宛の場合は「ソニー銀行」、「住信SBI銀行」、「新生銀行」が月1回無料となっています。2回目以降の手数料で比較すると、住信SBI銀行がもっともおトクと言えます。
「auじぶん銀行」は「三菱UFJ銀行」宛が無料なのでうまく活用したいところ。いっぽうで、そのほかの金融機関宛の振込手数料は他行よりも若干高めの設定なのでご注意ください。
7つのネット銀行のコンビニATMの対応状況と手数料 ※ジャパンネット銀行、三井住友銀行の双方とも本人名義で、ジャパンネット銀行→三井住友銀行宛の振り込みの場合、手数料無料
【基礎編】では、あくまでも各ネット銀行を申込時の状態で使った際の手数料を比較しました。実際は、「給与振り込み口座として使う」や「月末時点の預金額」などで特典が付くケースがあり、それによって「手数料無料」の回数が変わります。また、使い方によって普通預金の金利が優遇されたり、各行が属するグループの共通ポイントが貯まったりするメリットもあります(楽天銀行の「楽天スーパーポイント」など)。【応用編】では、各ネット銀行をさらにおトクにする使い方について解説しています。
▼【応用編】はこちら
クレカや証券口座の連携でお得! ネット銀行の「優遇制度」を使いこなそう
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「時間外もコンビニATM手数料が無料」など銀行から優遇を受ける諸条件とは?
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※本記事は、執筆者個⼈または執筆者が所属する団体などの⾒解です。
フリーランスライター。副業をはじめ、投資、貯蓄、節約などマネー企画全般を取材。ビジネスや働くママのジャンルでも取材経験豊富。雑誌、Web、夕刊紙、書籍などで執筆。「真に価値ある情報提供」を使命とする。