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NECがスリムサーバーにUPSを内蔵しちゃいました

NECがスリムサーバーにUPSを内蔵しちゃいました

2017年05月16日更新

UPS内蔵で設定・運用を容易に

本務に注力できる環境構築を製品で支援

UPSを内蔵したスリムサーバー「Express5800/T110i-S」をアピールする
NEC パートナーズプラットフォーム事業部 主任 濱岡真由 氏

「導入時の設定や運用管理が手軽な製品・サービスの提供で、情報システム担当者の負担を軽減して、本務に注力できる環境構築をサポートします」


NEC パートナーズプラットフォーム事業部 主任の濱岡真由氏がこう語るように、ひとり情シスや無人情シスの状況にある企業の課題を解決する製品やサービスの提供にも意欲的に取り組んでいるNECは、同社のスリムサーバーにUPSを内蔵させた画期的な製品の提供を開始した。


そもそもNECでは、企業の情報システム部門の現在の状況に対して次のような見解を持っている。「まだまだコストセンターという認識も強く、費用削減の対象となっていて担当者ひとりあたりの負担が増えています。一方で、単純な情報管理からビッグデータやIoTなどの高度な情報活用が求められるようになっていたり、多様化する脅威への対応など、期待される役割や業務範囲は確実に増えています。今までよりも限られた人員で高度な情報システムに対応していかなければならない状況にあるのです」(濱岡氏)


情報システム部門の主な業務には、IT戦略・システム企画、システム構築・運用・保守、情報資産の保護・管理、サポート・教育などがあるが、「最も注力すべきはIT戦略・システム企画です。しかし、情報システム担当者がひとりであったり、そもそも専任の情報システム担当者が不在の企業では、それ以外の作業負担が重くなってしまっていて、IT戦略やシステム企画に注力できる環境でなくなっている状況です。当社としては、注力すべき業務に集中できる環境の構築を支援する製品やサービスの提供で、情報システム部門が抱える課題を解決したいと考えています」と濱岡氏は話す。


このようなNECの意思が結実した一つの結晶が、新たに開発されたUPS内蔵スリムサーバーである。

初期設定不要の内蔵バッテリー

UPS内蔵スリムサーバーExpress5800/T110i-S。

台風や地震といった自然災害に見舞われることが多い日本では、停電や瞬電などの電源トラブルに備えてUPSの導入が望ましいが、もちろんすべての企業が手軽に導入できているわけではない。そもそもIT予算に乏しくてUPSを導入できない企業もあれば、UPSの設置・設定にかかる手間などから導入に至っていない企業もあるだろう。


「UPSは導入時に設定が必要であったり、バッテリー交換の作業負荷もかかります。UPSによる電源管理にまで手が回らないというエンドユーザーも少なくないでしょう。また、小規模な事業所の場合は、UPSを設置するスペースが確保できないケースもあるはずです。それらの課題を解決できるのが、UPSを内蔵できるスリムサーバーなのです」(濱岡氏)


4月26日に出荷が開始されたNECのUPS内蔵1Wayスリムサーバー「Express5800/T110i-S」は、新たに開発された内蔵バッテリーモジュールの利用によって、サーバーにUPS機能を内蔵できる。その特長は以下の通り。

・5年の長寿命、小型の内蔵バッテリー
サーバーに内蔵できる小型のニッケル水素電池を採用。バッテリー寿命は30度の環境で5年。

・UPS管理ソフト、設定が不要
サーバーの電源ケーブルをコンセントに差し込むだけで停電・瞬電対策が可能になる。外付け型UPSの導入時のように管理ソフトのインストールや初期設定作業が不要。

・拡張性を確保しながらコンパクトに設置できる
外付け型のUPSと比較して設置面積などが大幅に減少。机上や足下にも設置できる。UPSを内蔵可能で、2.5型HDD/SSD×4+バックアップ装置構成にも対応。オプションで防塵対策も可能。


「従来のスリムサーバーの本体サイズは変えずにバッテリーモジュールを内蔵できるようにしています。導入時の設定が不要で、サーバーの電源ケーブルをさせば充電が始まってそのまま使用できます。初期設定では停電後30秒経過しても復電してこなければ、自動でOSをシャットダウンするようになっています。シャットダウン時間などについては、サーバーの標準ツールで変更できます。状態の把握は標準ツールだけでなくLED点灯でもバッテリー寿命の確認が可能です。最初の電源管理の手段としては最もお手軽に提供できる製品でしょう」(濱岡氏)

内蔵バッテリーモジュール。長寿命、小型化を実現するニッケル水素電池が採用されている。

外付け型UPSとの売り分けのポイント

バッテリーの構成情報の確認(上)やバッテリコントローラの編集(下)が、サーバーの管理画面で行える。

同社が提供する外付け型UPS(500VA)製品と比較すると、右頁の表のような違いがある。


導入費用については、バッテリー交換を考慮に入れると、内蔵バッテリーモジュールを利用した方がトータルコストで安くなるという。
内蔵バッテリーモジュールと外付け型UPSの売り分けのポイントについて濱岡氏は、「ひとり情シスや無人情シス状態にあるエンドユーザーのように、手間をかけずにUPSを導入・メンテナンスできるようにしたい場合には内蔵バッテリーモジュールを、モニターやスイッチなどの周辺機器も含めた電源対策の実施やシャットダウン時間を長く確保したい場合には外付け型のUPSがお薦めです」と解説する。


もちろん導入前にシステムが安全にシャットダウンできるかどうかは確認すべきだ。「1Wayサーバーなので、約3分でも安全にシャットダウンできるシステム環境は多いはずです」(濱岡氏)

小規模事業所やSOHO、学校や小売店などに

スリムサーバーへのUPSの内蔵は、もともと販売パートナーなどからも要望があり、3年ほど前から開発を検討していた。試行錯誤の中、製品価格の面で同社の別売りのUPSを導入する場合よりも低価格を実現する見通しがつき、満を持しての製品提供に至った。


「内蔵バッテリーモジュールによってUPS内蔵サーバーを実現したExpress5800/T110i-Sは、“UPSの導入や管理をする余裕がない”“UPSを設置したくても設置場所がない”“UPSが必要だと分かっていても導入するきっかけがない”といったエンドユーザーに対して積極的に提案できる製品です。必ず新たなビジネスチャンスを生み出せるはずです」と濱岡氏は太鼓判を押す。


例えば、小規模事業所やSOHO、学校や小売店、製造関連のユーザーに対して、価格面、管理の手軽さ、そして省スペース性といった特長がアピールできるだろう。


「バッテリー寿命が5年なので、交換の手間も省けます。1回導入すれば手をかけずに設置しておけるのがUPSを内蔵したExpress5800/T110i-Sの魅力です」(濱岡氏)


ひとり情シスや無人情シス環境にあるような企業のUPS管理の手間を軽減できるExpress5800/T110i-Sは、サーバー製品として大きな付加価値を備えており、サーバー提案における差異化もつけやすい製品となりそうだ。

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