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白点病~発症させない無投薬飼育

白点病~治療不要、発症させない無投薬飼育

海水魚の飼育において、魚の病気については切っても切り離すことのできない、アクアリストの大きな悩みの種であることは誰もがご経験されていると思いますが、白点病を初めとする発症との関係は飼育方法によって大きく異なっています。
一般的な白点病に対する考え方は、「白点病は必ず発症してしまうものなので、発症した時に適切な治療をもって完治させる。」といった認識を数多くの方がもっていると思います。
これについては発症した場合の一時的な処置という観点でいえば正しい考え方なのですが、この「治療」という行為は、「長期に亘る健全な飼育の継続」という長いスパンで考えた場合、本当に正しい対処方法なのでしょうか?
私も飼育を始めた頃は白点病を繰り返し、治療を試みたものの多くの魚達の命を絶たせてしまった時期がありました。白点病の原因となる寄生白点虫は、根絶できるという考えを基に幾度かのリセットを試みましたが、数か月の経過後再発してしまう状況の繰り返しでした。
その後においては「発症したら治療で対処」するのではなく、「発症させない為には、どのような飼育をおこなうのが良いのか」という観点を変えた発想に切り替えていきました。
その当時、飼育専門誌や個人サイトにおいて白点病についての記述を数多く見掛けることがありましたが、それぞれ発症のメカニズムや発症後の治療方法を述べているものの、その多くが何処かで知り得た机上での知識を習っているだけにすぎず、その一部には白点病に対する認識が不充分で誤った見解が錯綜しているように感じました。
また、改善行為については治療の一時的な対処方法の紹介が殆どであり、根本から発症させないようにする飼育方法についての記述は残念ながら見たことがありませんでした。
当方では、上記の観点を変えた飼育に切り替え試行錯誤を繰り返した結果、白点病が発症し易いと云われるチョウチョウウオ系であっても、この数年間は白点病を始め、発症することのない未発症・無投薬飼育を継続できる現在の飼育スタイルを確立することができました。
この未発症・無投薬飼育については当方のみならず、当方へ飼育の相談に来られた方々もこの飼育理論に基づき、現実として当方と同様に未発症・無投薬飼育を継続されています。
こちらでは、その具体的な飼育方法を記しますので、皆さんの飼育に多少成りともご参考になれば幸いです。


1.白点病発症の原因

先ず始めに白点病の発症原因について整理しましょう。一般的に白点病は他の魚から病気が移ったという認識をお持ちの方が多いかと思いますが、白点病はそもそも伝染する病気ではなく、体調を崩した魚に白点虫が寄生するものと言われています。
また、白点病の原因となって寄生する白点虫は、突如として白点(虫)病が水槽内に混入した為に発症したワケではなく、実際には全ての水槽に常時潜伏しているものなのです。その為、飼育環境下において不備が生じていると、その影響を受けて体調を崩した個体は発症してしまうということを充分に理解しなければなりません。
水槽内での飼育は自然界とは異なり、限られたスペースで出来る限り自然界の環境に近づけなければならず、その一つが水質の維持であり濾過槽の構築になります。
上記で「白点虫は全ての水槽に潜伏している。」と記しましたが、発症は水質の悪化や同居魚からの威圧によるストレスを受けることによって、体調を崩した魚に対し白点虫が寄生するものであり、水質が確保された水槽では良好な健康状態を維持できる為、たとえ白点虫が数多く潜伏していたとしても間違った飼育をおこなわなければ、そう簡単には発症する病気ではないのです。
では何故、「頻繁に発症が起こる水槽とそうでない水槽があるのか?」と思ったことはないでしょうか?
飼育者はそれぞれ独自の飼育理論を持ち、様々な設備を保有して飼育をおこなっていますが、その個人毎に飼育技術の水準も異なる為、適した飼育になっていない場合はその結果として発症という形となって現れてしまいます。
そのように一定の期間内で発症が現れてしまう場合は、下記に挙げるいずれかの項目が原因に該当しています。

①水換え前後における著しい水温変化
②水換えや濾過槽掃除において、不純物(デトリタス)が舞い上がった後の空回し不足による
  水質悪化。
③日常のメンテナンスが不充分による水質悪化
④生体数に対する生物濾過の容量不足や物理濾過の設置方法が不適切による水質悪化。
⑤魚同士のイジメ及び、新参者が先住者を警戒することによっての体力低下。

上記の5項目は、私が感じてきた原因要素を挙げてみました。
皆さんは該当する項目がありましたか?また、発症の原因は他の要素と思っていませんでしたか?
発症については、飼育している魚の種類によっても症状の度合が異なります。クマノミ・スズメダイやヤッコ系は、水質の悪化に強い魚種なので、一寸位いい加減な飼育をしていても、頻繁には発症しないものです。
但し、チョウチョウウオの仲間は水質に敏感な種類が多いので、「発症しないから健全な水槽だ」と思っている水槽であっても、その水槽にチョウチョウウオを同居させるとたちまち発症してしまう事が多いのは、濾過機能が不充分である証なのです。


2.白点病に関する色々な見解

白点病については、Web上などでも多くの記述を見掛けますが、「これは表面的な部分での判断だな~」とか、「これは一寸違うんじゃないの?」と思った内容を私なりにコメントします。

治療編
①治療後において白点病の発症が認められなければ、白点虫の全てが死滅し、白点病は再発しない。
 ⇒ 「完治=白点虫死滅」は、余りにも強引な結論付けでしょう。いかなる対策を講じても、水槽内に潜伏する白点虫の全てを根絶することは不可能であると考えています。

②換水は白点虫を減らす行為であり、有効な手法ではない。
 ⇒ 白点病治療で用いられる「換水」の目的とは、「白点虫の抑制や減退」ではなく、悪化した飼育水の濃度を一時的に緩和させるものであり、「適度な換水」は治療の基本行為です。

③GFGによる薬浴では白点虫は死滅せず、治療の効果は認められない。
 ⇒ 死滅しない点では同意ですが、GFGは飼育水の殺菌作用によって悪化した水質を一時的に改善させます。これによって、発症した魚は体力を回復し白点虫が離脱していくものです。

予防編
①寄生する魚がいなければ白点虫は死滅するので、水槽内の生態を除去し一定期間空回しする。
 ⇒ 学術上に於いては正論と言われていますが、実際には上記での白点虫の死滅は考え難く、これで死滅したと判断した内容には、別の改善理由があり現実的には次の内容が適切と考えた方が適切ではないでしょうか。
白点病はその水槽の濾過機能が弱い状態である為に発症し、生体を除去することによって一時的に水質が改善された。その後、水槽に戻された生体は、そもそも一時的に改善された水質で短期間のみ良好な状態を保たせる事ができただけと思われます。
また、例え水槽をリセットしたとしても、濾過機能・飼育方法の見直しがなされていない水槽では、その後においての再発は避けられないでしょう。

②白点病治療後の1ヶ月間は、新しい魚の導入は控える。
 ⇒ 根拠不明。コメントのしようがありません。

③白点病が発症しやすいチョウチョウウオの飼育では、投薬治療に弊害となるライブロックの投入は避ける。
 ⇒ 発症後の投薬治療を前提としているもので、一般的には間違った考えではありません。
但し、こちらでは確実な飼育環境の構築が前提にあり、未発症飼育の継続化によって投薬治療は不要ですので、ライブロックの設置をお勧めしています。

原因編
①新参者の発症は、従前から水槽内に生存していた白点虫が原因。若しくは、新参者の発症は、新参者が白点虫を持ち込んだ。
または、白点病を水槽に持ち込まない為に、トリートメントは重要である。
 ⇒ 白点虫はいかなる対策を取っても常時潜伏しているものであり、新参者の発症は先住者を警戒して自ら体調を崩したことによって発症するものです。
※この内容については、次項にて実体験を例に解説します。

②季節変りによる急激な水温変化
 ⇒ 次項にて検証結果を踏まえ、詳細に私的見解を記します。

ざっとですが、思いついた事例を挙げてみました。
上記の内容は一般的に白点病の対策や治療などに扱われている方法ですが、もう一歩踏み込んで原因を考えてみると別の原因要素が挙がってきます。
他種魚と比較し特にチョウチョウウオの飼育は水質に敏感な種類が多く、飼育環境面において誤魔化しが通用しないので、チョウチョウウオの飼育を長年おこなっていると今まで色々と定説の様に言われてきたものが、「実は違うじゃん!」という多くもの発見に繋がっていると感じています。
特に白点病は原因観点を根柢の部分に置くことが大切で、この部分の理解ができれば発症というものは、自然に抑えることができると思います。


3.気温と発症の関係

一年を通じ、春と秋の時期における発症の原因を「季節の変り目による水温変化」という話を耳にすることが良くありますが、本当に影響のあることなのでしょうか?
こちらでは、異なった観点から白点病発症の起因に触れてみます。

①春から初夏において : 「気温の上昇」 ⇒ 「不純物の腐敗が進行」 ⇒ 「水質悪化」
                 ⇒ 「発症誘引」

②夏から秋季において : 「水質悪化は継続」 ⇒ 「気温の低下」 ⇒ 「発症の適合水温」
                 ⇒ 「発症誘引」

上記①の時期については気温の上昇と共に水温も上昇し、濾過槽に堆積した不純物や、ウールマットに付着した糞や食べ残しなどの腐敗しやすくなります。そして腐敗が進むと徐々に水質が悪化し発症の起こり易い飼育環境になっていきます。
その後、夏季に入り水温は28℃以上まで上昇(クーラーの設置がない場合)していきますが、この時期の水温は白点虫が寄生され難い温度まで上昇する為に、白点病の発症は起こり難くなるものの、腐敗は進行を続けているので水質は更に悪化し、白点病以外の感染症などの病気が発症しやすくなります。
そして②で示すように秋季の到来によって水温が低下し、白点虫が寄生し易い26℃を下回る水温になった頃になると白点病は再発しやすくなるものと考えています。
また、気温の変化に伴い、水槽用クーラーによって水温維持を図っていても、ウールマットに付着した不純物は空気に触れている為、気温の上昇とともに腐敗が進行し、水質悪化による発症が懸念されます。
上記①②の時期に白点病が頻繁に発症している水槽では、発症の原因は「季節の変り目による急激な水温変化」ではなく、上記内容が直接の原因になっている場合が多いのではないかと思います。
これについては、「季節の変り目」と言っても徐々に推移する寒暖の変化程度では、魚の体調に影響を与える程の急激な水温変化に直結するものではなく、発症原因を「季節の変り目による水温変化」と考えていた方は、他の要素が起因していると考えた方が適切ではないでしょうか。
なぜならば、同じ気候の条件下で飼育していても、季節変りの時期のみならず、年間を通じ発症と無縁な飼育をしている方が現実として存在していることから、実際の発症原因については、「季節の変り目による水温変化」ではなく、上記1-③と④の「濾過容量とメンテナンス不足による水質悪化」が直結しているものであり、飼育設備の内容や飼育方法の違いが大きく影響しているようです。
「生体数に対し、濾過容量が少ない」及び「物理濾過の機能が不充分」といったシステム上の不備が生じていると、水質は悪化しやすくなる為、この対策方法として一時的な治療のみならず、濾過システムの改良をおこなうなどの適切な処置が必要となります。

これに付随する調査結果は、濾過形状と発症の因果関係によるアンケート調査に記載していますのでご参考にしていただきたいと思います。

3-2.水温低下と発症との関係

以下の文書は、平成20年2月29日付け「海の広場」にて記載した事項を記します。

先日クーラーの誤作動が生じ、通常25℃設定にしている水温が19℃まで低下してしまいました。
当方ではリビングに水槽を設置していますが、室内を常時暖房及び、マグネットポンプからの発熱によって水温の維持が図れているため、冬場であってもヒーターは設置せずに飼育しています。
先日、クーラーが作動していたので、「水温上昇には早いような気がするけど、晩冬季早々に水温が上がってきたのかな?」と、思っていました。
その数日後、苔を除去する為に水槽内に手を突っ込んだところ、異常に水温が低いことに気が付きました。
クーラーの温度は26℃を表示していましたがクーラーは作動し、水槽内の水温計はキスゴムの劣化によって水槽に固定されず水表面を浮遊したままになっていた為、常時確認できていなかったですが、その水温計を確認すると19℃を示していました。
どうもクーラーの誤作動によって冷却を続けていたようです。その後クーラーの電源を一度落とし、再作動させたらヒーター機能が通常に戻り、翌日には25℃まで上昇していました。
但し、通常の設定温度から急激に-6℃以上も低下したことによって固体の体力低下による白点病の発症を懸念していましたが、4日経過した後においても白点病の発症は見受けられなかったのでホッとしました。
今回のクーラー誤作動による水温低下の状況を纏めると下記の通りです。

①24時間程度で-6℃の低下、いわば飼育環境下においては急激な水温変化が発生した状況であった。
②急激に水温が低下したものの、一気に低下したわけでなくクーラーの冷却動作によって除々に水温が低下した。
③上記の状況があったにも拘わらず、生体には悪影響を及ぼすことはなかった。

今回はクーラーの誤作動によって生じた水温低下ではありましたが、偶然に得ることができたデーターとして急激な水温変化によって生体へのストレスは多少あったものと思われるものの、濾過機能が充分満たされている飼育環境下では、例え急激な水温変化が生じても白点病発症に繋がる体力低下には直結しないということが確認できました。
よって、一般的に白点病の発症原因と言われている「季節変わりによる急激な水温変化」というものは水温変化に一切起因せず、この時期発生する白点病の発症原因については、他の要因によるものという事が別の観点からも立証できたと思います。


4.トリートメント(検疫)の重要性?

一般的に新しい魚を水槽に投入する際は、外部から病気を持ち込まない為にトリートメント(検疫)の行為は飼育の基本であり、常識といわれています。
このトリートメントについては、当サイト「海水魚飼育方法」にも記していますが、この作業は感染症については有効であるものの、白点病については余り効果が期待できる作業ではないと判断しています。
そもそも白点虫は水槽立上げ時において一切存在しないことは言うまでもありませんが、幾ら慎重にトリートメントをおこなっても、目認不可能な白点虫が魚の体表面に付着し、水槽内に混入してしまうものと判断した方が現実的であり、これについては、白点病の発症原因を根底から把握している方であれば、当然のことと認識されているものと思います。
ここで一寸乱暴な例えを記しますと、「白点病を持ち込まない為にもトリートメントは最重要」と唱え、このトリートメント作業によって「飼育上、長期に亘って白点病は発症していない」や「水槽リセット後、白点虫は根絶させたので白点虫の存在は一切無し」と宣言している水槽があったとします。 もしこの見解が正解であるならば、その後の飼育において敢えて白点病が発症しやすい状況(水換えを一切おこなわなず、物理濾過の汚れを長期に亘り放置した状況において、底砂を攪拌すると同時に急激な水温変化を与えるなど)を重ね続けたとしても、一切白点病の発症が認められないということになります。
この状況においても白点病が発症しないと判断するにはなかなか理解しがたいものです。
従いまして白点病(虫)は、外部から持ち込まない様にするのではなく、幾らトリートメントを施しても、水槽内は常時白点虫が潜伏してしまう前提で飼育のあり方を考え、発症させない環境作りが必要なのです。
また、「白点病治療を繰り返した魚は免疫力ができる為、白点病に掛かり辛い。」ということを良く耳にしますが、私は適当な考えとは思っていません。
その免疫力ができると判断した内容としては、「発症と治療を経験した固体は発症せず、後から投入した固体だけが発症する。」といったことが、その理由とされているようですが、これについては、ただ単に前者は先住者であって後者は新参者であるだけにすぎず、新参者の発症は慣れない環境且つ、先住者を警戒して自ら体調を崩し発症してしまうものと考えた方が適切であると思います。
なぜならば、当方では採取魚を餌付けした後、約半年間は「餌付け水槽+一時飼育槽内」である程度成長(この間は未発症の状態を維持)を待ってからメイン水槽に移行させていますが、新参者の一部はイジメ行為を受けていないものの、先住者を警戒し自ら体調を崩して発症してしまうケースが偶に生じます。
また逆にメイン水槽の環境に馴染んでいない新参者は発症せず、先住者の一部個体だけが発症することも稀に生じますが、この際は全て物理濾過(ウールマット)のメンテナンスを怠った時だけであって、その後にウールマットをメンテナンスするだけで投薬治療なしに自然と完治してしまいます。
このことからも、新参者の白点病発症はトリートメントの有無に関与せず、先住者を警戒しての発症及び、先住者は免疫力が在る無しに関係なく物理濾過の汚れによる水質悪化によって発症するということがご理解いただけることと思います。


5.白点病治療について

白点病の一般的な対処方法は「早期治療」と言われていますが、白点病は発症したからと言って、早急に死に至るものではありません。
反って、治療で手を掛けすぎたことによるストレスによって更に体力が低下し、症状が悪化してしまうことが多いものです。

●投薬治療 ⇒ 一時的に白点虫は離れるが一定期間後においての再寄生は避けられず、
  再発を繰り返してしまう。

●全換水 ⇒ 一時的には改善されるが、必ず短時間で再発する。水質が極端に変わる
  為、固体へのリスクを伴う。

●淡水浴 ⇒ 一時的に白点虫は離れるが固体へ多大なリスクを与え、更に体調を崩す大
  きな要因。基が正されていない水槽に魚を戻しても再発症は避けられない。

上記は白点病が発症した時におこなわれる一般的な治療方法です。但し、上記項目の共通点としては、発症事後の一時的な処置であるにすぎず、白点病の発症原因を改善するものではありません。
そもそも、白点病は発症に直結する原因箇所を根本から改善しない限り、一定期間内で必ず再発するものである為、幾ら治療行為を重ね一時的に完治したとしても、そのままの状態を放置していれば一定期間内で発症と治療行為を繰り返し、体力が維持できない個体は死に至ってしまいます。
その為、度々白点病の発症がみられる水槽では、治療行為ではなく早急に原因と思われる箇所を是正しなければなりません。
但し、是正するといってもシステムそのものを見直さなければ根本的な改善にならない場合が多いので、改良に着手するまでの間は、止むを得ず一時的な行為であっても病気の進行を防ぐ為に、投薬治療や適度な水換え作業によって悪化した水質の緩和を図り、発症の進行を遅らせるようにする必要があります。


6.具体的な改善方法

①適切なシステムへの改良
発症を繰り返してしまう水槽では原因の筆頭として生体数と濾過容量とのバランスが不均衡及び、物理濾過形状が不充分である場合が多いので、下記に挙げるシステムの改良が求められます。

a.濾過容量の確保
生物濾過に設置する濾材量は水量に対し、最低20%を確保できる濾過槽とする。(「海水魚飼育方法>3.水槽を立ち上げる>(1)濾材を設置」に詳細を記載)
また、濾過槽の構造は単槽式ではなく複槽式とし、濾過槽内に強い水流を与え不純物の堆積を軽減させるようにします。この複槽式にすることによって水流が濾材に触れる表体面積も増えるので効率の良い理想的な濾過槽となります。

b.物理濾過槽形状の見直し
物理濾過の形状については、機能性を充分に理解できていない方が多く、安易な形状での設置が多く見受けられます。
物理濾過の機能とは、飼育スペース内から生じた糞や食べ残し等の不純物が濾過槽内への流入を防ぐ為に、確実に濾し取ることを目的としています。
従いまして、ウールボックスはドライ形状を維持し、ウールマットは二重三重に隙間無く敷き込むようにしなければなりません。
ウールマットは不純物が付着してくると浸透性が悪くなり、目詰まりを起こしやすくなるので浸透性の維持を図る為にもスノコの設置は絶対条件となります。排水が浸透しきれずにウールマットの表面から流れ出ている状況は避けなければなりません。(排水が目詰まりによりウールマットを避け、不純物が濾過槽内に直接流れ込んでしまっています。)
また、スノコの浸透穴径は出来るだけ大きい径(5ミリ未満は目詰まりを起し易い)にすることによって、目詰まりが起こり難い構造となります。

c.濾過容量に見合った生体数の遵守
上記に基づいて濾過槽を改良しても、飼育する生体数が多すぎて濾過容量とのバランスが超過してしまうようではいけません。
飼育する魚のボリュームは、水量に対して余裕をもった生体数とすることが大切です。
(「海水魚飼育方法>5.飼育その他>(1)飼育可能な数」に記載)

②日常的なメンテナンス
濾過槽の構築と同様に重要であるのが、日常的なメンテナンスを欠かさない事です。白点病の発症には、飼育上の不備である前記1-③が直接の原因になっている場合が多いので、下記に挙げる箇所を定期的にメンテナンスする必要があります。
物理濾過や生物濾過槽はメンテナンスを放置すると、上記「3.気温と発症の関係」で記したように、不純物の腐敗が進むことによって水質が悪化し、発症の起こり易い環境になってしまいます。

●物理濾過:ウールマットの交換または水洗い(水道水による殺菌消毒)⇒2週間毎
●換水は月に一回必ず実施。水換え量は小型水槽で1/3、大型水槽で1/5
●生物濾過槽:濾材に付着した不純物の除去⇒1年毎(オーバーフロー形状以外はメンテ
  ナンス間隔が縮まります。)

当方では、発症原因の殆どは「濾過容量とメンテナンス不足」によるものと考察しています。
上記に挙げた項目を重点的に遵守した飼育をおこなっている実際の飼育者の声を「成功したアクアリストたち」でご紹介していますので、ご参照願います。


7.欠落点を認識・正当な飼育の実行

「発症は飼育方法改善の注意信号である。」これは、私が飼育をおこなう上での自論ではありますが、私はこの言葉を肝に銘じ、発症した時毎に飼育の改善を図っていきました。
本章のタイトル「白点病~発症させない無投薬飼育」は、非常に難しそうな飼育のイメージがありそうですが、上記内容を遵守するだけで白点病のみならず、他の病気の発症も無縁なものになっていきます。
この内容で飼育していれば、たとえ白点病が発症してしまっても、原因は5-②で挙げた日常のメンテナンスを怠った時(特にウールマット交換及び洗浄)にだけ稀に発症するので、その際は通常のメンテナンスをおこなうだけで投薬することなく自然に完治してしまいます。
健全に未発症・無投薬飼育飼育をおこなう為には、上記で挙げた「適切なシステム」を確立した上で「適切なメンテナンス」が不可欠です。


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