柳沼広幸
全国的な知名度を誇る温泉地が揺れている。群馬県草津町で16日に告示される住民投票は、12人の町議会で唯一の女性、新井祥子氏(51)=無所属=に対する解職請求(リコール)への賛否を問うものだ。新井氏が「町長から性被害に遭った」と告発したことから始まり、騒動は異例の経過をたどった。何が問題だったのか、当事者たちに「言い分」を聞いた。
県の北西部で長野県と接する草津町は、人口約6200人の小さな町だが、日本を代表する草津温泉があり、昨年度は宿泊客と日帰り客約327万人が訪れた。強酸性で高温の温泉は皮膚病などに効果があるとされ、古くから湯治で栄えてきた。
今回の住民投票は、新井氏の告発が発端となった。
新井氏は昨年、「2015年1月に町長室で黒岩信忠町長から性被害に遭った」と告白し、19年11月に電子書籍に掲載された。黒岩町長(73)は事実無根だと否定し、新井氏らを名誉毀損(きそん)の疑いで告訴。民事でも訴え、双方で争っている。
新井氏の告発は、町議会で取り上げられた。昨年12月、新井氏に対して「言論の品位に欠ける」と新井氏を除く11議員のうち10議員の賛成で除名処分にした。
新井氏は即座に処分の取り消しを求めて県に審決を申請。県は自治紛争処理委員の審理を踏まえて今年8月、町議会の処分を取り消した。審決書では「議員の議場外の行為で、懲罰の事由にならない」などと町議会の処分理由を認めず、「違法として取り消しを免れない」とした。
騒動は、県の判断が出ても落着しなかった。
県の審決に不満を持った町議ら…
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