はーい、年末恒例の日本会議系集会の時期がやってまいりました
日本会議の下部組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の集会ですね
今年は国民民主党の山尾志桜里さんが登壇したことで、話題沸騰のこの集会
日本会議や出席した国会議員の皆さんは、どんなことを語ったのでしょうか
日本会議の下部組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の集会ですね
今年は国民民主党の山尾志桜里さんが登壇したことで、話題沸騰のこの集会
日本会議や出席した国会議員の皆さんは、どんなことを語ったのでしょうか
はじまり 3:50~
司会として挨拶しているのは、日本青年協議会の中山直也さんです
日本青年協議会は日本会議の中核をなす、「生長の家」原理主義者の集まりですね
日本会議の名前を前面に出さなくとも、「美しい日本の憲法をつくる会」がかの団体と同一であることは、ここからもわかるわけです
※現在の「生長の家」は穏健化しており、原理主義者とでも言うべき人々は別団体等をつくってウヨ活動をしています※
毎度お馴染みの櫻井よしこさんです。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、日本会議会長の田久保忠衛さんとともに共同代表をつとめておられます
演説全体としては、国会議員としての責任(憲法改正)に取り組め、と発破をかける内容でしたね
6:20~
"安倍総理が7年9か月本当に頑張ってくださって、しかしお体を悪くして辞任されました。また必ずいつの日か、総理になって国の課題に取り組むチャンスはおありだろうと思います"
第三次安倍政権は勘弁してほしいですね。ここでこれに言及しているということは、ウヨ界隈としては、けっこう本気で狙っているんでしょうか?
櫻井よしこさんは、安倍政権下における国会の改憲勢力が2/3を越えたことに触れ、それでも改憲できなかったことに歯ぎしりしているようです
7:45~
"立憲民主党は、(改憲について)議論さえしないということでした。議論をしないでいかに民主主義が可能なのでしょうか?"
議論もへったくれもない強硬採決を繰り返し、また、憲法上ひらかなくてはいけないはずの臨時国会を拒み続けた前首相の安倍晋三さん
安倍政権の官房長官として強硬採決をサポートし、なにか疑惑があったとしても「その指摘は当たらない」と議論をシャットアウトしていた現首相の菅義偉さん
(このコロナ禍というのに、就任後の国会開催も遅すぎたし、国会の会期延長を拒んだ)
議論をしないで政権運営をしてきた彼らにこそ、この言葉はふさわしいかと思います
そもそも憲法改正など必要ないと思っている立場からすれば、「議論せよ」の対案は「議論しない」以外にあり得ないわけです
うちの父はよく「なんでパチンコに行ったらアカンのや。なんでや。理由を説明せい。せめて話し合え!」と母に絡んでいましたが、それを思い出させる論法ですね
※憲法審査会に反対する理由については、後の濵地雅一議員の演説のときに詳しく語ります※
8:25~
"国民は主権者であります。主権者であるわたしたちは、戦後70数年間、一度も憲法改正について、一度も国民投票をするチャンスを与えられませんでした。なにゆえ国会議員のみなさんがたは、国民に問う前に、まだ時期尚早であるとか、議論が熟していないであるとか、そのようなことを言う資格があるのでしょうか"
「国民投票こそ究極の民主主義」と言う人もいますが、つい先般の大阪の「大阪市廃止分割」住民投票を思い出していただきたい
巨額の税金を使い、残ったものは分断だけです。しかも、反対多数で決着となったにもかかわらず、維新はイチャモンをつけたり、大阪市廃止分割をしなくとも府が市の財源を奪えるよう制度を変更しようとしたりと、蠢動をやめようとしません
これが本当に民主主義なのでしょうか?
国民投票というものの馬鹿馬鹿しさは、はからずも改憲派の維新が証明していると僕は思っています
……さて、櫻井よしこさんの批判の刃は、なにも野党にだけ向かったわけではありません
9:19~
"自民党は、先ほど申し上げましたように、努力さえすれば、意志強固にしさえすれば、憲法改正を実現するだけの、国会における基盤を持っていたのであります。……なにゆえにそれをしなかったのか、なにゆえに国民の要望にこたえなかったのか"
安倍政権末期のころの話ですが、安倍晋三さんのウヨからの求心力が落ちているという噂がありました
たしかにウヨ系の動画をのぞいてみても、「改憲やるやる詐欺」との言葉が踊ることは、決して珍しくはありませんでした
今年は中学校教科書採択で育鵬社が大きくシェアを落としたことが話題となりましたが、それはこの「改憲やるやる詐欺」が一因だという識者もいます
(たしか「子どもと教科書ネット21」の方がそんな分析を披露されていたと思います)
櫻井よしこさんの言葉は、そうした噂を裏書きしてくれたわけです
何年も何年も何年も「改憲間近!」と言い続けたウヨの断末魔の叫びのようで、非常に気持ちの良い演説でした
ドクターヘリの第一人者である、日本医科大学の松本尚さんです。千葉北総病院副院長・救命救急センター部長なども肩書きにありますね
松本尚さんは新型コロナウイルス感染拡大以降、千葉県の災害医療コーディネーターとして活動する一方、『正論』で執筆するなどウヨウヨな地肌をあらわにしておりまして
国家基本問題研究所でも……
https://jinf.jp/news/archives/33109
そして、とうとう、日本会議の集会に登壇するまでに登り詰めて(?)しまったのですね
18:05~
"まさに今、武漢ウイルスが日本全国を覆っているような状況でございます"
はい、でました「武漢ウイルス」。ウヨのリトマス試験紙としてすっかり定着した言葉ですね
では、なぜ「武漢ウイルス」と言ってはいけないのか?
それは多くのウヨが言うように「WHOが中国に配慮した」からではありません(そもそも地名を使ってはいけないという指針は2015年からありました)
「地名を使うと差別を助長するからだ」というのも正解ではあるのですが、全てではありません
ウイルスへの対策について、誤ったイメージを拡散することにもなるからです
新型コロナウイルス騒動がはじまって以降、「道で中国語を喋っている人がいたら大回りして避ける」という行為をした方もいるかと思います
(僕の働いている職場の同僚がそれをしていて「アホか」と思ったものです)
これは【特定の人種と接触しなければ・特定の地域に行かなければ感染しない】という幻想を抱いてしまったためにおきたことです。実際はそこまでかっことした幻想から中国人を避けたわけじゃない人が多数かとは思いますが、なかには幻想に完全にとらわれた人もいたことでしょう
そして、幻想にとらわれたまま、【中国人以外から】のウイルスへの防御を甘くし、感染を広げてしまった人もいたことでしょう
だから、WHOは地名を病名と結びつけることをよしとしなかったのです。幻想をばらまくことに繋がるからです。逆に言えば、「武漢ウイルス」という名称を広めた人たちは、間接的に感染拡大を後押ししたことになります
「武漢ウイルス」という名称を広めた連中は人殺しも同然ということですね
……さて、そんな人殺し同然ワードを使う松本尚さんですが、話を聞いてみるとなかなか面白いです
彼の主張を一言でまとめると、「今のコロナ対策では【お願いベース】だからダメだ!もっと強制力がないと!!」といったところでしょうか
26:45~
"DMATの出動、病床の確保、臨時医療機関の設置に際して、多くの法的な障壁があって、即応性に大きな課題を残している"
なるほど、そのとおりかと思います。だからこそ強制力のある法律が必要だと、彼は主張しているわけですね
しかし、だからといって、
28:30~
"その法律をつくるためには、まずは憲法に緊急事態条項というものがしっかり書かれていることが大きな前提になるんだろうと"
というのは、あまりにも短絡的ですね
実を言えば、「憲法改正しないと強権を発揮できない」という説はかなりの部分が嘘です。詳しくは弁護士ほり氏の「コロナウイルス危機と憲法」シリーズをお読みください
https://note.com/horishinb/n/n402f84159bf6
そもそも安倍―菅政権の新型コロナ対策は、現在の法律の範囲でできることすらやらず、また、現在の憲法の範囲でつくれる法律すらつくらなかったことから失敗しているのです
だから新型コロナウイルス拡大に絡めて憲法改正を主張することは、ピント外れもいいところなんですね
なぜ安倍―菅政権が【できることをやらない】のか――それは、奇しくも松本尚さんの主張が示しているように思えます
つまり、コロナ禍を憲法改正に利用しようという腹積もり――だから法律で有効な対策がとれることを証明するわけにはいかなかった――ということでしょう
…………それはともかくもして、松本尚さんもウヨウヨ業界に足をつっこんでしまったんなら、業界に蔓延するおかしなコロナ論をどうにかしてくださいよ。「ただの風邪」とか「中国の生物兵器」とか、ウヨウヨメディアには変な説が横行しすぎですよ
彼のことを知りたい人は、彼の本名「門脇護」で検索してください。どれだけ信用できない奴かわかるかと思います
まあ、アメリカ大統領選でトランプさんを応援するあまり「ドミニオン陰謀論」にすがりついている姿を目にして、こやつに見切りをつけたウヨさんも多かったのではないでしょうか
ドミニオンとは、アメリカ大統領選で30州以上が採用していたデジタル投票システムのこと。これが不正操作されたのでは、という陰謀論をウヨウヨさんたちは振り回しているわけですね
ドミニオン陰謀論について詳しくは↓のJBプレス記事から。ウヨウヨ御用達のJBプレスすら陰謀論とハッキリ言いきってるのウケるー♪
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62988
……ドミニオンの件はさておき、今回の講演で門田隆将さんは、主に中国驚異論を展開しています
門田隆将さんは、対中国のために、NATOのアジア版をつくろうと主張しているようです
33:44~
"アジア版NATO――私は「環太平洋インド洋条約機構」と勝手に名付けております――あっ、拍手がちょっと少ないですので"
知るか!と一蹴したくなるようなことを聞かされて拍手を強制されるとは……聴衆の方々もかわいそうですね
よーするに、中国に対抗するためには日本一国だけでは駄目なので、色々な国と協力関係をつくろうということのようです
安倍政権で失敗し、いつの間にか立ち消えとなった「中国包囲網」再び、といったところでしょうか
では、なぜ門田隆将さんはそこまで中国を悪魔視するのか
中国が権勢を伸ばしているのは、実は日本を狙ってのことだと彼は言います
36:57~
"彼ら(中国)の主目的は、私たち日本民族にあることを忘れてはなりません"
それは被害妄想なんじゃないかなぁ……
・衛藤征士郎(自民党)
・濵地雅一(公明党)
・馬場伸幸(日本維新の会)
・山尾志桜里(国民民主党)
・古屋圭司(自民党)
・新藤義孝(自民党)
・柴山昌彦(自民党)
・笠浩史(無所属)
・寺田稔(自民党)
・亀岡偉民(自民党)
・木原稔(自民党)
・高鳥修一(自民党)
・山本朋広(自民党)
・遠藤敬(日本維新の会)
・山田賢司(自民党)
・山下貴司(自民党)
・黄川田仁志(自民党)
・鬼木誠(自民党)
・小田原潔(自民党)
・細田健一(自民党)
・務台俊介(自民党)
・大岡敏孝(自民党)
・上野宏史(自民党)
・杉田水脈(自民党)
・国光文乃(自民党)
・中曽根康隆(自民党)
・井上一徳(希望の党、国民民主党サポーター)
・衛藤晟一(自民党)
・山谷えり子(自民党)
・榛葉賀津也(国民民主党)
・有村治子(自民党)
・赤池誠章(自民党)
・江島潔(自民党)
・松沢成文(日本維新の会)
・青山繁晴(自民党)
・和田政宗(自民党)
・滝波宏文(自民党)
・梅村みずほ(日本維新の会)
漢字間違いがないかどうか調べるため、ひとりひとり軽くチェックしましたが、なんつーか思想の右左以前に不祥事議員多くないっすかねぇ
特に山田賢司議員なんて……(気になる人は「山田賢司&秘書」で検索だ!)
自民党の憲法改正推進本部本部長、外交調査会長をつとめるウヨ議員さんですね
長く自民党議員をやられているだけあって不祥事も色々ある方で、もう15年ほど前の話になりますが、情報冊子の「購読料」名目で約一億四千万円を集めた迂回献金疑惑はなかなか面白いです
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2007-01-11/2007011114_01_0.html
日韓議員連盟や日韓トンネル(統一教会)に関わっていることから、ネットでウヨウヨしている連中からは評判の悪い議員さんですが、果たしてどのような演説をしたのでしょうか?
46:50~
"武力攻撃から国民を守る自衛隊について、いまだに違憲論があります"
……だから自衛隊を憲法に書き加えよ、と衛藤征士郎さんは言うのですが。しかし共産党ですら先守防衛は認めており、自衛隊を違憲とはしていません
そもそも「意見の違いがあるから憲法を変えて黙らせるんだい!」という発想は幼稚な独裁者そのもので、なんのてらいもなくこの手の論理を振り回す政治家はガチでやべえと思いますよ?
48:27~
"我が党は、自衛隊明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の四項目の(加憲する)条文イメージをすでに作成しております。もとより国民にこれを押し付ける気は毛頭なく、あくまでも憲法改正論議の活性化のための叩き台として議論の素材を提供するつもりであります"
うーん、立場的に当たり前なのかもしれませんが、安倍晋三さんが首相在任時に言っていたことと同じでおもしろくないですねー
49:33~
"憲法改正に向けた活発な議論を期待する声が過半を占めている今日、議論が煮詰まった暁には、たとえ一部に躊躇する政党があったとしても、信念をもって国民に憲法改正を提案し、その意思を問うことは、成熟した民主主義国家のありかたとして当然であります"
世論調査において「憲法改正について議論すべきか否か」を聞いた場合、たしかに是とする人が否とする人を上回ります
しかし、改憲論議を優先するかどうかを聞く世論調査では、「他の問題を優先しろ!」とういう意見が大部分を占めます
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/35651.html
↑のNHKの世論調査は新型コロナウイルス禍の最中なので、かなり補正が入っていると思ったそこのウヨさん、残念でした
↓の記事を見ればわかるとおり、この傾向は以前からのものなんですね
https://www.j-cast.com/2019/12/10374766.html?p=all
つまり"憲法改正に向けた活発な議論を期待する声が過半を占めている今日"という言葉はデマということです
……というか、安倍晋三さんが首相を辞任するときにこれが嘘だと認めているじゃないですか。"「自民党で(改憲案を)4項目に絞り込んだが、残念ながら国民、世論が十分に盛り上がらなかった」"と
https://www.sankei.com/politics/news/200828/plt2008280095-n1.html
公明党からは、安保法制の国会論議の際、辻元清美議員へのヤジが問題となった濵地雅一議員が登壇です
そもそも与党さん(+維新)が出してきた国民投票法改正案がダメダメだったことも、グダってる要因です
たしかに現行の国民投票法は様々な問題が指摘されています
・広告規制が弱い(資金力に勝る改憲派が圧倒的に有利。また、発議のタイミングは改憲側しだいであるため、広告枠をあらかじめ改憲側が押さえている可能性大)
・発議から国民投票の期間が短すぎる(議論が深まらない。改憲広告の集中爆撃)
・最低投票率が定められていない(改憲派の岩盤支持層だけで改憲が決められる可能性)
・国民投票運動の禁止規定が曖昧(改憲に反対していたら、いつの間にか犯罪者に……なんてことも)
・国民投票広報協議会の問題(広報協議会構成員の比率は、国会の議席数に応じて決められる。改憲発議できる=改憲派の比率が2/3以上になる)
……主なところはこんなとこでしょうか。しかし、与党さん(+維新)の国民投票改正案がこれらの問題に触れることはありません。だから反対派は「憲法審査会に応じるな!」と野党に発破をかけているのです
つまり与党さん(+維新)が国民投票法改正案でやろうとしているのは、【腹部が大きく損傷している人を相手に、その人の腕のかすり傷を治療し「これで万全だ。Go!」と背中を押す】みたいな行為なんですね
これでは野党もおいそれと議論に乗るわけにいかないことは、明らかでしょう
これは櫻井よしこさんにも言いたいのですが……憲法論議がしたかったら、マトモな国民投票法改正案をもってこい!ということです
もっとも濵地雅一さんもバカではないので、そのあたりのこともわかってはいるようですが……
53:01~
"国民投票法の105条、テレビまたラジオに対して14日間の規制をかけていますが、この点に関してはやはり、時代の変化とともに(規制強化の)議論をするべきではないかと、公明党も考えるところであります"
わかってるんだったら、ちゃんとした国民投票法改正案を持ってきてくださいね(ニッコリ)
さて、ここまでの濵地雅一さんの話は国民投票法改正案についてでしたが、ここからは憲法の中身の話です
53:28~
"現憲法は尊重をし、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義の三原則は普遍の原理として将来も堅持すべきである"
どれも現代の国家としては当たり前の原則なので、彼の言葉は本来であれば何も言っていないに等しいのですが……
まあ、連立を組んでる自民党さんがあまりにもアレですもんねー
※あまりにもアレな自民党の例↓
……三原則を堅持すべき、というのなら自民党との連立を解消すべきでは?(名案)
53:40~
"その立場(三原則を堅持すべきという立場)の上で、憲法制定から七十年以上経過しました。社会の有り様が大きく変化をしているなかで、当時想定し得なかった課題が明確となった場合には、必要な条項を条項を加える「加憲」の立場をこれまでどおり主張をさせて頂いております"
具体的には、気候変動危機に対応するため環境権を加えよう、と公明党は主張しているそうです
環境問題を認めようとしないウヨさんも多い(例:武田邦彦)ので、まずはその会場にいる皆さんの説得からお願いしたいところですね
また、個人情報についても憲法で規定しようと濵地雅一さんは訴えます。しかしそれは「個人情報を守ろう!」という方向性ではありません
現在、世界では自分の個人情報を企業に提供し、それでお金を得ている人たちがいるそうでして、
56:09~
"データ保護の立場から国民の権利としてとらえなおすことによって、国民の皆様がしっかりと、逆に「データは自分のものだ。データをしっかり保護していこう」そういったことによって不法なデータ侵害からも守れるのではないか"
おおーっと、でました【公助→自助】の考えです。別に個人情報を個人の権利としてとらえることに異論はありませんが、だからといって公助を放棄させるわけにはいきませんね
……まあ、環境問題にしても個人情報にしても、「それって改憲いる?法律で対応できない?」という根本的な疑問ががが
その後、濵地雅一さんはコロナ禍に絡めて緊急事態条項などの話をして話を終えました
いろいろツッコミは入れましたが、論点が分かりやすく、面白い演説でした。この日のベスト弁士かと思います
日本維新の会からはこの方、馬場伸幸幹事長です
維新の古参議員の多くと同じく、元自民党の地方議員ですね。自民党議員時代には迂回献金などの不祥事を連発し、維新加入後は舌禍を起こし回っている典型的「維新議員」な方です
大阪市廃止分割に関わるデマはもちろんのこと、優生思想丸出しの発言やポビドンヨード関連のデマで世間をドン引きさせていたのが記憶に新しいですね
https://lite-ra.com/2020/08/post-5567.html
日本会議と仲の良い維新といえば、元日本教育再生機構大阪の遠藤敬さんもいますが、集会などで演説するとなると、主に馬場伸幸さんの出番です。馬場伸幸さんは日本会議国会議員懇談会の副会長なのですね
こうした日本会議との繋がりの深さからしても、日本維新の会という政党は、野党というよりかは与党の補完勢力――いわゆる【ゆ】党(【や】党と【よ】党の間)でしかないのは明らかでしょう
おそらく維新議員自身、「我々は与党だ」との意識はあるのではないでしょうか
馬場伸幸さん自身、こんな言葉で会場の笑いを誘っています
1:01:33~
"安倍政権のときには、いろんな難題をつけて、あれがある、誰がこんなことを言った、どの法案が出ているからダメだ、そういうことで散々(憲法審査会の開催に)抵抗してきた野党の皆さん――まあ、うちも野党ですけども"
これで笑いが起きるということは、会場にいる日本会議の人々にとっても、維新を野党とは見なしていないということです
上記の言葉からもわかるかと思いますが、彼の演説は基本的には野党批判に終始しています。日本維新の会とは、野党を攻撃するための政党に過ぎないわけです
世の中には自民党に代わる団体として日本維新の会を推す人が何故かいるのですが、実態はこんなものですね
そして、国民民主党からは山尾志桜里議員です
以前からちょいちょい違和感のあった方ですが、やはりというかなんというか……
この集会の前、11月28日にも"日本の統治機構の要に天皇が位置することを実感"とわけのわからないことを言っています
言うまでもなく、統治機構の要に天皇が位置するのは明治憲法のことであり、現在の日本国憲法では象徴にすぎません
ウヨウヨになるとお馬鹿な発言をしなくてはならないルールでもあるのでしょうか?
では、彼女がこの集会でどんな発言をしたのか見ていきましょう
1:08:05~
"今日は、こちらに出席している、我が党の榛葉賀津也幹事長から、(国民民主党の)憲法調査会長としてご挨拶に行くようにと、指示を受けまして、心してこちらにやって参りました"
この言葉から、彼女が一政治家ではなく、国民民主党という党の代表としてこの集会に参加したことがわかります。かつて彼女を応援していた人も、多少は救われる事実かと思います
1:08:20~
"いま国民民主党は、新憲法改正草案の叩き台を準備しておりまして(中略)、私たち国民民主党がこの叩き台を提起するその目的を2つお伝えしたいと思います"
はいはい、では聞かせて頂きましょうか
まずは1つ目
1:08:44~
"一刻もはやく、不毛な二項対立から憲法を国民に解放したい、という思いです"
(┐「ε:)ズコー
……えっ、なにそれ?
どうやら山尾志桜里さんをはじめとした国民民主党の方々は、現行憲法が対立を生むから、新憲法に移行したいと言っているようです
なんともふわっとした情緒的な理由に、(┐「ε:)ズコーとするしかありません
これは恐らく【分断】というものをメディアや政治家が乱用しすぎた弊害でしょうね
新規開店の飲食店にヤクザがミカジメ料を求めてきた――これは、お店とヤクザの間に【分断】が起こっているのでしょうか? 【分断】を解消するために、お店がミカジメ料を払わなくてはならないのでしょうか?
山尾志桜里さんや国民民主党が言っているのは、そういうことです
1:10:10~
"個人という単位は最も大切なものだと私は思っていますけれども、でもこの日本社会でその個人がバラバラに浮遊をしてしまっている。それがひとつの分断のキッカケになってしまっている。だからこそ個人の寄る辺となる地域、そして個人をしっかり包摂する国家、そういった尊厳をきちんと憲法であらわすのは大切なのではないかと、そうした議論を(国民民主党で)しています"
うわー、うわー、うわー
ウヨウヨのよく言う「行きすぎた個人主義」とどこが違うの、これ?
これは八紘一宇まであと一歩ですね。国民民主党ってここまで怖い政党だったんですね……
では、国民民主党が新憲法の叩き台をつくる2つ目の理由を見ていきましょう
1:10:37~
"もうひとつは、やはり過去から受け継いだ基本原理ですね。人権尊重、国民主権、そして平和主義、これをキチッと継承するために、いま、憲法の規範力をきちんと強化して、そして未来にそれを繋いでいく、そんな役割を果たすべきだと思っています"
で、"憲法の規範力をきちんと強化"するためには、公明党・濵地雅一さんも訴えていたように、時代に合わせた憲法にしていかなくてはならないと、そう主張しているわけですね
濵地雅一さんの話を聞いたときと同じく、「立法で対応できない?」という疑問ががが……
それでもまあ、平和主義について語っているところは一理ていどはあると思います
1:11:55~
"そして平和主義。戦後本来なら、憲法改正で対応すべき事柄を私たち真摯に私たち取り扱わず、一般国民にも国際社会にも、理解しがたい政府解釈とその変更の繰り返しで、現状を追認してきた。そうせざるをえなかった。その結果、結局憲法九条が、現実を規律し、統制する力を今失っているのではないか"
これは、ここだけ取り出せばごもっともだと僕も思います
しかし、山尾志桜里さんはここから「自衛隊明記」に論を進めるのですから、話は変わってきます
1:12:37~
"戦力と交戦権との関係を整理し、自衛権の発動要件を国民的議論にふし、現在の国際情勢に合う形で九条の規範力を回復する、そんな本格的な改正を検討すべきではないか"
さて、僕は先ほど【ここだけ取り出せばごもっとも】と言いました。それは「解釈改憲はダメ」という一点においてです
しかし山尾志桜里さんの論法は、本来、改憲派への批判の刃だったはずの「解釈改憲はダメ」を、逆に改憲への原動力に使おうとしています。ようは詭弁ですね
ここで考えていただきたいのは、大阪市廃止分割の住民投票が否決された大阪市の現状です。先にも述べたように、維新は住民投票の否決後も蠢動を止めていません
そして改憲派の方々は、仮に国民投票が否決されたとしても、維新と同じように蠢動を続けるでしょう。改憲運動を継続させ、必要とあらば解釈改憲を試し続けるでしょう
「解釈改憲はダメだから改憲しましょうねー」という名目で改憲運動をするならば、否決されれば解釈改憲をしないという確約と信頼がなければ、あまりに卑怯な理屈ですね
古屋圭司議員は日本会議国会議員懇談会会長です。他にも「日本の前途と歴史教育を考える議員の会(教科書議連)」や「明治の日を実現するための議員連盟」など、うちのブログではお馴染みなウヨウヨ議連の会長をつとめられています
彼は演説で、まずは山尾志桜里さんについて触れます
1:16:45~
"いま山尾志桜里さんのね、挨拶聞いててね、皆さんもびっくりしたと思うんですけど……ニュー山尾志桜里だよ! やっぱり立場がかわるとこれだけね、変えられるのかなって"
これは国民民主党、及び彼女の本格的な改憲派加入がいかに大きいものだったのかを物語っているかと思います
……あとは古屋圭司さんの話に聞くべきところはあまりないですかね
要約すると「改憲運動を頑張ろう!」としか言ってないですし
まあ、あえて言うなら、
1:24:22~
"次回は立憲民主党の代表も是非ここに足を運んでもらえるように、皆さん是非働きかけをしてください"
と言っているのが多少気になるところですか。立憲民主党には、そんな働きかけは是非とも無視してほしいものです
司会:中山直也
"なお、古屋先生からもございましたが、立憲民主党にもぜひご挨拶をお願いしましたけれども、残念ながらご欠席になりましたこと報告させて頂きます"
偉いぞ、立憲民主党!
鈴木宗男(日本維新の会)
岡田広(自民党)
長尾敬(自民党)
高木啓(自民党)
会場発表によると、集会に出席した国会議員は、代理も含め73名とのことです
国会議員の紹介1,2で名前を呼ばれていない人が代理ということでしょうね、たぶん
集会の結語として、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表であり、日本会議会長でもある田久保忠衛さんの登場です
以前に比べるとだいぶヨボヨボになってきていて、少し心配になってしまいますね
1:28:04~
"私が(「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の)共同代表を承りましたのは、いま6年目だそうでございます。思い出しますけれども、安倍政権ができて、衆参両院どうも2/3が大丈夫だと、うまくいくと、半年あるいは一年で、憲法改正のメドがつくと。てっきりそうだと思ったんですよ。ところがどうですか、2年たっても3年たっても、6年たっちゃった"
櫻井よしこさんの時にも指摘しましたが、改憲派の苛立ちが感じられますね
1:28:44~
"こんな国会と付き合ってると、私の寿命が尽きちゃうんじゃないかと思います"
左側の人間は、戦争の悲惨さを知る世代が亡くなっていくことを憂慮していますが、時間の経過を惜しむのはウヨウヨにとっても同じ事なのでしょう
田久保忠衛さんがヨボヨボになってきているように、ウヨじいちゃんやウヨばあちゃんには、残された時間が少ないわけです
思えば2020年も、加戸守行さんや塚本三郎さんなどの有名ウヨが鬼籍に入りました
ウヨウヨさんたちには、きっちり自分の間違いを認めてもらい、後悔と反省の日々を送ってもらいたいので、僕としてはできるだけ長生きしてもらいたいのですが
さて、己の寿命を意識しだした田久保忠衛さんですが、今日の集会で「たいへん勇気づけられた」と言います
1:28:57~
"勇気づけられたというのは、いろいろあるんですが、ひとつは自民党と公明党が骨を折っておられるな、というのがよーくわかりました。それからもうひとつ、野党でありながら、日本維新の会、一貫して日本国憲法改正を主張しておられる"
1:29:29~
"そして国民民主党が参加された。かつての健全野党だった民社党を彷彿とさせるような――ご議論の内容には、私必ずしも賛成しませんけれども――参加するところに大いに意義がある"
やはり国民民主党の参加は、改憲運動をしている人たちにとって大いに意味のあったことのようです
国民民主党さんまじギルティ
ここで田久保忠衛さんが民社党について触れているのも、なかなか興味深いですね
民社党は、かつて存在した【ゆ党】です。【よ党】と【や党】の中間の【ゆ党】ですね。現在では、反共のためにCIAがつくった政党であることが明らかとなっています
http://web.archive.org/web/20151015035853/http://www.47news.jp:80/CN/200607/CN2006071901000837.html
民社党の支持母体は反共系の労働組合「全日本労働総同盟」でした
(ときどき労働組合=共産主義と思ってるネトウヨさんがいますが、もっと勉強してください)
全日本労働総同盟といえば、後の「日本労働組合総連合会(連合)」を形作る一部となった団体です。そして、連合は民主党系の支持母体ですね
旧民主党系の人々の少なくない数が、妙にウヨっぽかったり、共産党との共闘を拒んだりするのは、民社党の系譜だからなのですね
実は、田久保忠衛さんはもともとが民社系の人です。「民主社会主義研究会議」でウヨとしての頭角をあらわした人ですので
(ナチスの正式名称に「社会主義」が入っているからナチスは左翼……なーんて言うウヨさんがいますが、それがいかにアホを晒しているのか、ここからもわかりますね。田久保忠衛さんは左翼ですか?)
当ブログで民社系の話題が出るたびに張り付けてるURLがありますので、このての話題に興味がある人は↓をどうぞ
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019042700002.html
では、引き続いて田久保忠衛さんの改憲論を聞いていきましょう
1:30:15~
"第一に、当面の問題はコロナ、そしていつ襲ってくるかもわからない自然災害でございますね"
はい、まあなんとなくわかっていたことですが、現在の日本会議のイチオシ改憲は「緊急事態条項」のようです
続けて田久保忠衛さんは中国驚異論をぶちあげ、
1:31:46~
"こういう国がすぐそばにいて、緊張が毎日高まってるんですよ。これで私がなにが言いたいかというと、コロナとは別に、自衛隊、これは今じゃ遅すぎるくらいと思うんですけども、ただ存在を明記するだけでも、これは「日本人はなにかやろうとしているな」抑止力の点で問題なく、強い抑止力になってくると思います"
意外や意外、もっと過激なことを要求してくるかと思いましたが、日本会議2番目の要求は、自衛隊明記でした
実質なにも変わらないのに「日本人はなにかやろうとしているな」と思わせるのは、東アジアの緊張を高め、周辺国の戦力増強を促すだけかと思いますけど
ブラフで賭け金を吊り上げても、相手に乗っかってこられたら目も当てられないわけですもんね
……と、この2点で日本会議の改憲要求は終了ですね
最後に「美しい日本の憲法をつくる国民の会」=日本会議の声明文が読み上げられます
読み上げるのは、神社本庁職員宿舎不正転売疑惑に端を発する労働裁判がいよいよ大詰めを迎えた打田文博神道政治連盟会長です
(判決は2021年3月18日です)
声明文の内容は、だいたい以下のとおり
・新型コロナウイルス禍に絡めて憲法に「緊急事態条項」の創設
・中国の驚異に自衛隊が対抗するための改憲
・憲法審査会による国民投票法改正案の早期成立
・改憲派の提言をもとに改憲原案を作成すること
この声明文は、自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党に手交されました
やはり今回の集会の白眉は国民民主党の参戦でしょうか
古屋圭司さんが「ニュー山尾志桜里だよ!」と絶賛し、田久保忠衛さんが「民社党を彷彿とさせる」としたことからもわかるように、【ゆ党】がまたひとつ増えたわけです
民社党の流れをくむ連中のおかしな動きには、本当にイライラさせられたので、だいぶわかりやすくなった点は良かったですが……
残った本物の野党の皆さんには、是非とも頑張ってほしいですね。特に立憲民主党には、民社党の残り香のする人々がいるので、ちゃんと踏みとどまってくれることを期待します。もし来年の集会に立憲民主党が出てきたら、僕、本気だ怒りますからね!
日本青年協議会は日本会議の中核をなす、「生長の家」原理主義者の集まりですね
日本会議の名前を前面に出さなくとも、「美しい日本の憲法をつくる会」がかの団体と同一であることは、ここからもわかるわけです
※現在の「生長の家」は穏健化しており、原理主義者とでも言うべき人々は別団体等をつくってウヨ活動をしています※
櫻井よしこ 5:35~
毎度お馴染みの櫻井よしこさんです。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、日本会議会長の田久保忠衛さんとともに共同代表をつとめておられます
演説全体としては、国会議員としての責任(憲法改正)に取り組め、と発破をかける内容でしたね
6:20~
"安倍総理が7年9か月本当に頑張ってくださって、しかしお体を悪くして辞任されました。また必ずいつの日か、総理になって国の課題に取り組むチャンスはおありだろうと思います"
第三次安倍政権は勘弁してほしいですね。ここでこれに言及しているということは、ウヨ界隈としては、けっこう本気で狙っているんでしょうか?
櫻井よしこさんは、安倍政権下における国会の改憲勢力が2/3を越えたことに触れ、それでも改憲できなかったことに歯ぎしりしているようです
7:45~
"立憲民主党は、(改憲について)議論さえしないということでした。議論をしないでいかに民主主義が可能なのでしょうか?"
議論もへったくれもない強硬採決を繰り返し、また、憲法上ひらかなくてはいけないはずの臨時国会を拒み続けた前首相の安倍晋三さん
安倍政権の官房長官として強硬採決をサポートし、なにか疑惑があったとしても「その指摘は当たらない」と議論をシャットアウトしていた現首相の菅義偉さん
(このコロナ禍というのに、就任後の国会開催も遅すぎたし、国会の会期延長を拒んだ)
議論をしないで政権運営をしてきた彼らにこそ、この言葉はふさわしいかと思います
そもそも憲法改正など必要ないと思っている立場からすれば、「議論せよ」の対案は「議論しない」以外にあり得ないわけです
うちの父はよく「なんでパチンコに行ったらアカンのや。なんでや。理由を説明せい。せめて話し合え!」と母に絡んでいましたが、それを思い出させる論法ですね
※憲法審査会に反対する理由については、後の濵地雅一議員の演説のときに詳しく語ります※
8:25~
"国民は主権者であります。主権者であるわたしたちは、戦後70数年間、一度も憲法改正について、一度も国民投票をするチャンスを与えられませんでした。なにゆえ国会議員のみなさんがたは、国民に問う前に、まだ時期尚早であるとか、議論が熟していないであるとか、そのようなことを言う資格があるのでしょうか"
「国民投票こそ究極の民主主義」と言う人もいますが、つい先般の大阪の「大阪市廃止分割」住民投票を思い出していただきたい
巨額の税金を使い、残ったものは分断だけです。しかも、反対多数で決着となったにもかかわらず、維新はイチャモンをつけたり、大阪市廃止分割をしなくとも府が市の財源を奪えるよう制度を変更しようとしたりと、蠢動をやめようとしません
これが本当に民主主義なのでしょうか?
国民投票というものの馬鹿馬鹿しさは、はからずも改憲派の維新が証明していると僕は思っています
……さて、櫻井よしこさんの批判の刃は、なにも野党にだけ向かったわけではありません
9:19~
"自民党は、先ほど申し上げましたように、努力さえすれば、意志強固にしさえすれば、憲法改正を実現するだけの、国会における基盤を持っていたのであります。……なにゆえにそれをしなかったのか、なにゆえに国民の要望にこたえなかったのか"
安倍政権末期のころの話ですが、安倍晋三さんのウヨからの求心力が落ちているという噂がありました
たしかにウヨ系の動画をのぞいてみても、「改憲やるやる詐欺」との言葉が踊ることは、決して珍しくはありませんでした
今年は中学校教科書採択で育鵬社が大きくシェアを落としたことが話題となりましたが、それはこの「改憲やるやる詐欺」が一因だという識者もいます
(たしか「子どもと教科書ネット21」の方がそんな分析を披露されていたと思います)
櫻井よしこさんの言葉は、そうした噂を裏書きしてくれたわけです
何年も何年も何年も「改憲間近!」と言い続けたウヨの断末魔の叫びのようで、非常に気持ちの良い演説でした
松本尚 17:36~
ドクターヘリの第一人者である、日本医科大学の松本尚さんです。千葉北総病院副院長・救命救急センター部長なども肩書きにありますね
松本尚さんは新型コロナウイルス感染拡大以降、千葉県の災害医療コーディネーターとして活動する一方、『正論』で執筆するなどウヨウヨな地肌をあらわにしておりまして
国家基本問題研究所でも……
https://jinf.jp/news/archives/33109
そして、とうとう、日本会議の集会に登壇するまでに登り詰めて(?)しまったのですね
18:05~
"まさに今、武漢ウイルスが日本全国を覆っているような状況でございます"
はい、でました「武漢ウイルス」。ウヨのリトマス試験紙としてすっかり定着した言葉ですね
では、なぜ「武漢ウイルス」と言ってはいけないのか?
それは多くのウヨが言うように「WHOが中国に配慮した」からではありません(そもそも地名を使ってはいけないという指針は2015年からありました)
「地名を使うと差別を助長するからだ」というのも正解ではあるのですが、全てではありません
ウイルスへの対策について、誤ったイメージを拡散することにもなるからです
新型コロナウイルス騒動がはじまって以降、「道で中国語を喋っている人がいたら大回りして避ける」という行為をした方もいるかと思います
(僕の働いている職場の同僚がそれをしていて「アホか」と思ったものです)
これは【特定の人種と接触しなければ・特定の地域に行かなければ感染しない】という幻想を抱いてしまったためにおきたことです。実際はそこまでかっことした幻想から中国人を避けたわけじゃない人が多数かとは思いますが、なかには幻想に完全にとらわれた人もいたことでしょう
そして、幻想にとらわれたまま、【中国人以外から】のウイルスへの防御を甘くし、感染を広げてしまった人もいたことでしょう
だから、WHOは地名を病名と結びつけることをよしとしなかったのです。幻想をばらまくことに繋がるからです。逆に言えば、「武漢ウイルス」という名称を広めた人たちは、間接的に感染拡大を後押ししたことになります
「武漢ウイルス」という名称を広めた連中は人殺しも同然ということですね
……さて、そんな人殺し同然ワードを使う松本尚さんですが、話を聞いてみるとなかなか面白いです
彼の主張を一言でまとめると、「今のコロナ対策では【お願いベース】だからダメだ!もっと強制力がないと!!」といったところでしょうか
26:45~
"DMATの出動、病床の確保、臨時医療機関の設置に際して、多くの法的な障壁があって、即応性に大きな課題を残している"
なるほど、そのとおりかと思います。だからこそ強制力のある法律が必要だと、彼は主張しているわけですね
しかし、だからといって、
28:30~
"その法律をつくるためには、まずは憲法に緊急事態条項というものがしっかり書かれていることが大きな前提になるんだろうと"
というのは、あまりにも短絡的ですね
実を言えば、「憲法改正しないと強権を発揮できない」という説はかなりの部分が嘘です。詳しくは弁護士ほり氏の「コロナウイルス危機と憲法」シリーズをお読みください
https://note.com/horishinb/n/n402f84159bf6
そもそも安倍―菅政権の新型コロナ対策は、現在の法律の範囲でできることすらやらず、また、現在の憲法の範囲でつくれる法律すらつくらなかったことから失敗しているのです
だから新型コロナウイルス拡大に絡めて憲法改正を主張することは、ピント外れもいいところなんですね
なぜ安倍―菅政権が【できることをやらない】のか――それは、奇しくも松本尚さんの主張が示しているように思えます
つまり、コロナ禍を憲法改正に利用しようという腹積もり――だから法律で有効な対策がとれることを証明するわけにはいかなかった――ということでしょう
…………それはともかくもして、松本尚さんもウヨウヨ業界に足をつっこんでしまったんなら、業界に蔓延するおかしなコロナ論をどうにかしてくださいよ。「ただの風邪」とか「中国の生物兵器」とか、ウヨウヨメディアには変な説が横行しすぎですよ
門田隆将 29:55~
彼のことを知りたい人は、彼の本名「門脇護」で検索してください。どれだけ信用できない奴かわかるかと思います
まあ、アメリカ大統領選でトランプさんを応援するあまり「ドミニオン陰謀論」にすがりついている姿を目にして、こやつに見切りをつけたウヨさんも多かったのではないでしょうか
ドミニオンとは、アメリカ大統領選で30州以上が採用していたデジタル投票システムのこと。これが不正操作されたのでは、という陰謀論をウヨウヨさんたちは振り回しているわけですね
ドミニオン陰謀論について詳しくは↓のJBプレス記事から。ウヨウヨ御用達のJBプレスすら陰謀論とハッキリ言いきってるのウケるー♪
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62988
……ドミニオンの件はさておき、今回の講演で門田隆将さんは、主に中国驚異論を展開しています
門田隆将さんは、対中国のために、NATOのアジア版をつくろうと主張しているようです
33:44~
"アジア版NATO――私は「環太平洋インド洋条約機構」と勝手に名付けております――あっ、拍手がちょっと少ないですので"
知るか!と一蹴したくなるようなことを聞かされて拍手を強制されるとは……聴衆の方々もかわいそうですね
よーするに、中国に対抗するためには日本一国だけでは駄目なので、色々な国と協力関係をつくろうということのようです
安倍政権で失敗し、いつの間にか立ち消えとなった「中国包囲網」再び、といったところでしょうか
では、なぜ門田隆将さんはそこまで中国を悪魔視するのか
中国が権勢を伸ばしているのは、実は日本を狙ってのことだと彼は言います
36:57~
"彼ら(中国)の主目的は、私たち日本民族にあることを忘れてはなりません"
それは被害妄想なんじゃないかなぁ……
出席国会議員の紹介1 40:47~
・衛藤征士郎(自民党)
・濵地雅一(公明党)
・馬場伸幸(日本維新の会)
・山尾志桜里(国民民主党)
・古屋圭司(自民党)
・新藤義孝(自民党)
・柴山昌彦(自民党)
・笠浩史(無所属)
・寺田稔(自民党)
・亀岡偉民(自民党)
・木原稔(自民党)
・高鳥修一(自民党)
・山本朋広(自民党)
・遠藤敬(日本維新の会)
・山田賢司(自民党)
・山下貴司(自民党)
・黄川田仁志(自民党)
・鬼木誠(自民党)
・小田原潔(自民党)
・細田健一(自民党)
・務台俊介(自民党)
・大岡敏孝(自民党)
・上野宏史(自民党)
・杉田水脈(自民党)
・国光文乃(自民党)
・中曽根康隆(自民党)
・井上一徳(希望の党、国民民主党サポーター)
・衛藤晟一(自民党)
・山谷えり子(自民党)
・榛葉賀津也(国民民主党)
・有村治子(自民党)
・赤池誠章(自民党)
・江島潔(自民党)
・松沢成文(日本維新の会)
・青山繁晴(自民党)
・和田政宗(自民党)
・滝波宏文(自民党)
・梅村みずほ(日本維新の会)
漢字間違いがないかどうか調べるため、ひとりひとり軽くチェックしましたが、なんつーか思想の右左以前に不祥事議員多くないっすかねぇ
特に山田賢司議員なんて……(気になる人は「山田賢司&秘書」で検索だ!)
衛藤征士郎(自民党) 45:12~
自民党の憲法改正推進本部本部長、外交調査会長をつとめるウヨ議員さんですね
長く自民党議員をやられているだけあって不祥事も色々ある方で、もう15年ほど前の話になりますが、情報冊子の「購読料」名目で約一億四千万円を集めた迂回献金疑惑はなかなか面白いです
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2007-01-11/2007011114_01_0.html
日韓議員連盟や日韓トンネル(統一教会)に関わっていることから、ネットでウヨウヨしている連中からは評判の悪い議員さんですが、果たしてどのような演説をしたのでしょうか?
46:50~
"武力攻撃から国民を守る自衛隊について、いまだに違憲論があります"
……だから自衛隊を憲法に書き加えよ、と衛藤征士郎さんは言うのですが。しかし共産党ですら先守防衛は認めており、自衛隊を違憲とはしていません
そもそも「意見の違いがあるから憲法を変えて黙らせるんだい!」という発想は幼稚な独裁者そのもので、なんのてらいもなくこの手の論理を振り回す政治家はガチでやべえと思いますよ?
48:27~
"我が党は、自衛隊明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の四項目の(加憲する)条文イメージをすでに作成しております。もとより国民にこれを押し付ける気は毛頭なく、あくまでも憲法改正論議の活性化のための叩き台として議論の素材を提供するつもりであります"
うーん、立場的に当たり前なのかもしれませんが、安倍晋三さんが首相在任時に言っていたことと同じでおもしろくないですねー
49:33~
"憲法改正に向けた活発な議論を期待する声が過半を占めている今日、議論が煮詰まった暁には、たとえ一部に躊躇する政党があったとしても、信念をもって国民に憲法改正を提案し、その意思を問うことは、成熟した民主主義国家のありかたとして当然であります"
世論調査において「憲法改正について議論すべきか否か」を聞いた場合、たしかに是とする人が否とする人を上回ります
しかし、改憲論議を優先するかどうかを聞く世論調査では、「他の問題を優先しろ!」とういう意見が大部分を占めます
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/35651.html
↑のNHKの世論調査は新型コロナウイルス禍の最中なので、かなり補正が入っていると思ったそこのウヨさん、残念でした
↓の記事を見ればわかるとおり、この傾向は以前からのものなんですね
https://www.j-cast.com/2019/12/10374766.html?p=all
つまり"憲法改正に向けた活発な議論を期待する声が過半を占めている今日"という言葉はデマということです
……というか、安倍晋三さんが首相を辞任するときにこれが嘘だと認めているじゃないですか。"「自民党で(改憲案を)4項目に絞り込んだが、残念ながら国民、世論が十分に盛り上がらなかった」"と
https://www.sankei.com/politics/news/200828/plt2008280095-n1.html
濵地雅一 51:40~
公明党からは、安保法制の国会論議の際、辻元清美議員へのヤジが問題となった濵地雅一議員が登壇です
52:08~
"憲法改正は国民の憲法制定権力、これの発露でございまして、その手続きを定める国民投票法を整備しないことは、憲法改正賛成・反対を問わず国会議員の怠慢であると、そのように私も痛感するところであります"そもそも与党さん(+維新)が出してきた国民投票法改正案がダメダメだったことも、グダってる要因です
たしかに現行の国民投票法は様々な問題が指摘されています
・広告規制が弱い(資金力に勝る改憲派が圧倒的に有利。また、発議のタイミングは改憲側しだいであるため、広告枠をあらかじめ改憲側が押さえている可能性大)
・発議から国民投票の期間が短すぎる(議論が深まらない。改憲広告の集中爆撃)
・最低投票率が定められていない(改憲派の岩盤支持層だけで改憲が決められる可能性)
・国民投票運動の禁止規定が曖昧(改憲に反対していたら、いつの間にか犯罪者に……なんてことも)
・国民投票広報協議会の問題(広報協議会構成員の比率は、国会の議席数に応じて決められる。改憲発議できる=改憲派の比率が2/3以上になる)
……主なところはこんなとこでしょうか。しかし、与党さん(+維新)の国民投票改正案がこれらの問題に触れることはありません。だから反対派は「憲法審査会に応じるな!」と野党に発破をかけているのです
つまり与党さん(+維新)が国民投票法改正案でやろうとしているのは、【腹部が大きく損傷している人を相手に、その人の腕のかすり傷を治療し「これで万全だ。Go!」と背中を押す】みたいな行為なんですね
これでは野党もおいそれと議論に乗るわけにいかないことは、明らかでしょう
これは櫻井よしこさんにも言いたいのですが……憲法論議がしたかったら、マトモな国民投票法改正案をもってこい!ということです
もっとも濵地雅一さんもバカではないので、そのあたりのこともわかってはいるようですが……
53:01~
"国民投票法の105条、テレビまたラジオに対して14日間の規制をかけていますが、この点に関してはやはり、時代の変化とともに(規制強化の)議論をするべきではないかと、公明党も考えるところであります"
わかってるんだったら、ちゃんとした国民投票法改正案を持ってきてくださいね(ニッコリ)
さて、ここまでの濵地雅一さんの話は国民投票法改正案についてでしたが、ここからは憲法の中身の話です
53:28~
"現憲法は尊重をし、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義の三原則は普遍の原理として将来も堅持すべきである"
どれも現代の国家としては当たり前の原則なので、彼の言葉は本来であれば何も言っていないに等しいのですが……
まあ、連立を組んでる自民党さんがあまりにもアレですもんねー
※あまりにもアレな自民党の例↓
……三原則を堅持すべき、というのなら自民党との連立を解消すべきでは?(名案)
53:40~
"その立場(三原則を堅持すべきという立場)の上で、憲法制定から七十年以上経過しました。社会の有り様が大きく変化をしているなかで、当時想定し得なかった課題が明確となった場合には、必要な条項を条項を加える「加憲」の立場をこれまでどおり主張をさせて頂いております"
具体的には、気候変動危機に対応するため環境権を加えよう、と公明党は主張しているそうです
環境問題を認めようとしないウヨさんも多い(例:武田邦彦)ので、まずはその会場にいる皆さんの説得からお願いしたいところですね
また、個人情報についても憲法で規定しようと濵地雅一さんは訴えます。しかしそれは「個人情報を守ろう!」という方向性ではありません
現在、世界では自分の個人情報を企業に提供し、それでお金を得ている人たちがいるそうでして、
56:09~
"データ保護の立場から国民の権利としてとらえなおすことによって、国民の皆様がしっかりと、逆に「データは自分のものだ。データをしっかり保護していこう」そういったことによって不法なデータ侵害からも守れるのではないか"
おおーっと、でました【公助→自助】の考えです。別に個人情報を個人の権利としてとらえることに異論はありませんが、だからといって公助を放棄させるわけにはいきませんね
……まあ、環境問題にしても個人情報にしても、「それって改憲いる?法律で対応できない?」という根本的な疑問ががが
その後、濵地雅一さんはコロナ禍に絡めて緊急事態条項などの話をして話を終えました
いろいろツッコミは入れましたが、論点が分かりやすく、面白い演説でした。この日のベスト弁士かと思います
馬場伸幸 59:20
日本維新の会からはこの方、馬場伸幸幹事長です
維新の古参議員の多くと同じく、元自民党の地方議員ですね。自民党議員時代には迂回献金などの不祥事を連発し、維新加入後は舌禍を起こし回っている典型的「維新議員」な方です
大阪市廃止分割に関わるデマはもちろんのこと、優生思想丸出しの発言やポビドンヨード関連のデマで世間をドン引きさせていたのが記憶に新しいですね
https://lite-ra.com/2020/08/post-5567.html
日本会議と仲の良い維新といえば、元日本教育再生機構大阪の遠藤敬さんもいますが、集会などで演説するとなると、主に馬場伸幸さんの出番です。馬場伸幸さんは日本会議国会議員懇談会の副会長なのですね
こうした日本会議との繋がりの深さからしても、日本維新の会という政党は、野党というよりかは与党の補完勢力――いわゆる【ゆ】党(【や】党と【よ】党の間)でしかないのは明らかでしょう
おそらく維新議員自身、「我々は与党だ」との意識はあるのではないでしょうか
馬場伸幸さん自身、こんな言葉で会場の笑いを誘っています
1:01:33~
"安倍政権のときには、いろんな難題をつけて、あれがある、誰がこんなことを言った、どの法案が出ているからダメだ、そういうことで散々(憲法審査会の開催に)抵抗してきた野党の皆さん――まあ、うちも野党ですけども"
これで笑いが起きるということは、会場にいる日本会議の人々にとっても、維新を野党とは見なしていないということです
上記の言葉からもわかるかと思いますが、彼の演説は基本的には野党批判に終始しています。日本維新の会とは、野党を攻撃するための政党に過ぎないわけです
世の中には自民党に代わる団体として日本維新の会を推す人が何故かいるのですが、実態はこんなものですね
山尾志桜里 1:07:55~
そして、国民民主党からは山尾志桜里議員です
以前からちょいちょい違和感のあった方ですが、やはりというかなんというか……
この集会の前、11月28日にも"日本の統治機構の要に天皇が位置することを実感"とわけのわからないことを言っています
言うまでもなく、統治機構の要に天皇が位置するのは明治憲法のことであり、現在の日本国憲法では象徴にすぎません
ウヨウヨになるとお馬鹿な発言をしなくてはならないルールでもあるのでしょうか?
では、彼女がこの集会でどんな発言をしたのか見ていきましょう
1:08:05~
"今日は、こちらに出席している、我が党の榛葉賀津也幹事長から、(国民民主党の)憲法調査会長としてご挨拶に行くようにと、指示を受けまして、心してこちらにやって参りました"
この言葉から、彼女が一政治家ではなく、国民民主党という党の代表としてこの集会に参加したことがわかります。かつて彼女を応援していた人も、多少は救われる事実かと思います
1:08:20~
"いま国民民主党は、新憲法改正草案の叩き台を準備しておりまして(中略)、私たち国民民主党がこの叩き台を提起するその目的を2つお伝えしたいと思います"
はいはい、では聞かせて頂きましょうか
まずは1つ目
1:08:44~
"一刻もはやく、不毛な二項対立から憲法を国民に解放したい、という思いです"
(┐「ε:)ズコー
……えっ、なにそれ?
どうやら山尾志桜里さんをはじめとした国民民主党の方々は、現行憲法が対立を生むから、新憲法に移行したいと言っているようです
なんともふわっとした情緒的な理由に、(┐「ε:)ズコーとするしかありません
これは恐らく【分断】というものをメディアや政治家が乱用しすぎた弊害でしょうね
新規開店の飲食店にヤクザがミカジメ料を求めてきた――これは、お店とヤクザの間に【分断】が起こっているのでしょうか? 【分断】を解消するために、お店がミカジメ料を払わなくてはならないのでしょうか?
山尾志桜里さんや国民民主党が言っているのは、そういうことです
1:10:10~
"個人という単位は最も大切なものだと私は思っていますけれども、でもこの日本社会でその個人がバラバラに浮遊をしてしまっている。それがひとつの分断のキッカケになってしまっている。だからこそ個人の寄る辺となる地域、そして個人をしっかり包摂する国家、そういった尊厳をきちんと憲法であらわすのは大切なのではないかと、そうした議論を(国民民主党で)しています"
うわー、うわー、うわー
ウヨウヨのよく言う「行きすぎた個人主義」とどこが違うの、これ?
これは八紘一宇まであと一歩ですね。国民民主党ってここまで怖い政党だったんですね……
では、国民民主党が新憲法の叩き台をつくる2つ目の理由を見ていきましょう
1:10:37~
"もうひとつは、やはり過去から受け継いだ基本原理ですね。人権尊重、国民主権、そして平和主義、これをキチッと継承するために、いま、憲法の規範力をきちんと強化して、そして未来にそれを繋いでいく、そんな役割を果たすべきだと思っています"
で、"憲法の規範力をきちんと強化"するためには、公明党・濵地雅一さんも訴えていたように、時代に合わせた憲法にしていかなくてはならないと、そう主張しているわけですね
濵地雅一さんの話を聞いたときと同じく、「立法で対応できない?」という疑問ががが……
それでもまあ、平和主義について語っているところは一理ていどはあると思います
1:11:55~
"そして平和主義。戦後本来なら、憲法改正で対応すべき事柄を私たち真摯に私たち取り扱わず、一般国民にも国際社会にも、理解しがたい政府解釈とその変更の繰り返しで、現状を追認してきた。そうせざるをえなかった。その結果、結局憲法九条が、現実を規律し、統制する力を今失っているのではないか"
これは、ここだけ取り出せばごもっともだと僕も思います
しかし、山尾志桜里さんはここから「自衛隊明記」に論を進めるのですから、話は変わってきます
1:12:37~
"戦力と交戦権との関係を整理し、自衛権の発動要件を国民的議論にふし、現在の国際情勢に合う形で九条の規範力を回復する、そんな本格的な改正を検討すべきではないか"
さて、僕は先ほど【ここだけ取り出せばごもっとも】と言いました。それは「解釈改憲はダメ」という一点においてです
しかし山尾志桜里さんの論法は、本来、改憲派への批判の刃だったはずの「解釈改憲はダメ」を、逆に改憲への原動力に使おうとしています。ようは詭弁ですね
ここで考えていただきたいのは、大阪市廃止分割の住民投票が否決された大阪市の現状です。先にも述べたように、維新は住民投票の否決後も蠢動を止めていません
そして改憲派の方々は、仮に国民投票が否決されたとしても、維新と同じように蠢動を続けるでしょう。改憲運動を継続させ、必要とあらば解釈改憲を試し続けるでしょう
「解釈改憲はダメだから改憲しましょうねー」という名目で改憲運動をするならば、否決されれば解釈改憲をしないという確約と信頼がなければ、あまりに卑怯な理屈ですね
古屋圭司 1:16:38~
古屋圭司議員は日本会議国会議員懇談会会長です。他にも「日本の前途と歴史教育を考える議員の会(教科書議連)」や「明治の日を実現するための議員連盟」など、うちのブログではお馴染みなウヨウヨ議連の会長をつとめられています
彼は演説で、まずは山尾志桜里さんについて触れます
1:16:45~
"いま山尾志桜里さんのね、挨拶聞いててね、皆さんもびっくりしたと思うんですけど……ニュー山尾志桜里だよ! やっぱり立場がかわるとこれだけね、変えられるのかなって"
これは国民民主党、及び彼女の本格的な改憲派加入がいかに大きいものだったのかを物語っているかと思います
……あとは古屋圭司さんの話に聞くべきところはあまりないですかね
要約すると「改憲運動を頑張ろう!」としか言ってないですし
まあ、あえて言うなら、
1:24:22~
"次回は立憲民主党の代表も是非ここに足を運んでもらえるように、皆さん是非働きかけをしてください"
と言っているのが多少気になるところですか。立憲民主党には、そんな働きかけは是非とも無視してほしいものです
幕間 1:24:48~
司会:中山直也
"なお、古屋先生からもございましたが、立憲民主党にもぜひご挨拶をお願いしましたけれども、残念ながらご欠席になりましたこと報告させて頂きます"
偉いぞ、立憲民主党!
出席国会議員の紹介2 1:25:00~
鈴木宗男(日本維新の会)
岡田広(自民党)
長尾敬(自民党)
高木啓(自民党)
会場発表によると、集会に出席した国会議員は、代理も含め73名とのことです
国会議員の紹介1,2で名前を呼ばれていない人が代理ということでしょうね、たぶん
田久保忠衛 1:27:14~
集会の結語として、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表であり、日本会議会長でもある田久保忠衛さんの登場です
以前に比べるとだいぶヨボヨボになってきていて、少し心配になってしまいますね
1:28:04~
"私が(「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の)共同代表を承りましたのは、いま6年目だそうでございます。思い出しますけれども、安倍政権ができて、衆参両院どうも2/3が大丈夫だと、うまくいくと、半年あるいは一年で、憲法改正のメドがつくと。てっきりそうだと思ったんですよ。ところがどうですか、2年たっても3年たっても、6年たっちゃった"
櫻井よしこさんの時にも指摘しましたが、改憲派の苛立ちが感じられますね
1:28:44~
"こんな国会と付き合ってると、私の寿命が尽きちゃうんじゃないかと思います"
左側の人間は、戦争の悲惨さを知る世代が亡くなっていくことを憂慮していますが、時間の経過を惜しむのはウヨウヨにとっても同じ事なのでしょう
田久保忠衛さんがヨボヨボになってきているように、ウヨじいちゃんやウヨばあちゃんには、残された時間が少ないわけです
思えば2020年も、加戸守行さんや塚本三郎さんなどの有名ウヨが鬼籍に入りました
ウヨウヨさんたちには、きっちり自分の間違いを認めてもらい、後悔と反省の日々を送ってもらいたいので、僕としてはできるだけ長生きしてもらいたいのですが
さて、己の寿命を意識しだした田久保忠衛さんですが、今日の集会で「たいへん勇気づけられた」と言います
1:28:57~
"勇気づけられたというのは、いろいろあるんですが、ひとつは自民党と公明党が骨を折っておられるな、というのがよーくわかりました。それからもうひとつ、野党でありながら、日本維新の会、一貫して日本国憲法改正を主張しておられる"
1:29:29~
"そして国民民主党が参加された。かつての健全野党だった民社党を彷彿とさせるような――ご議論の内容には、私必ずしも賛成しませんけれども――参加するところに大いに意義がある"
やはり国民民主党の参加は、改憲運動をしている人たちにとって大いに意味のあったことのようです
国民民主党さんまじギルティ
ここで田久保忠衛さんが民社党について触れているのも、なかなか興味深いですね
民社党は、かつて存在した【ゆ党】です。【よ党】と【や党】の中間の【ゆ党】ですね。現在では、反共のためにCIAがつくった政党であることが明らかとなっています
http://web.archive.org/web/20151015035853/http://www.47news.jp:80/CN/200607/CN2006071901000837.html
民社党の支持母体は反共系の労働組合「全日本労働総同盟」でした
(ときどき労働組合=共産主義と思ってるネトウヨさんがいますが、もっと勉強してください)
全日本労働総同盟といえば、後の「日本労働組合総連合会(連合)」を形作る一部となった団体です。そして、連合は民主党系の支持母体ですね
旧民主党系の人々の少なくない数が、妙にウヨっぽかったり、共産党との共闘を拒んだりするのは、民社党の系譜だからなのですね
実は、田久保忠衛さんはもともとが民社系の人です。「民主社会主義研究会議」でウヨとしての頭角をあらわした人ですので
(ナチスの正式名称に「社会主義」が入っているからナチスは左翼……なーんて言うウヨさんがいますが、それがいかにアホを晒しているのか、ここからもわかりますね。田久保忠衛さんは左翼ですか?)
当ブログで民社系の話題が出るたびに張り付けてるURLがありますので、このての話題に興味がある人は↓をどうぞ
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019042700002.html
では、引き続いて田久保忠衛さんの改憲論を聞いていきましょう
1:30:15~
"第一に、当面の問題はコロナ、そしていつ襲ってくるかもわからない自然災害でございますね"
はい、まあなんとなくわかっていたことですが、現在の日本会議のイチオシ改憲は「緊急事態条項」のようです
続けて田久保忠衛さんは中国驚異論をぶちあげ、
1:31:46~
"こういう国がすぐそばにいて、緊張が毎日高まってるんですよ。これで私がなにが言いたいかというと、コロナとは別に、自衛隊、これは今じゃ遅すぎるくらいと思うんですけども、ただ存在を明記するだけでも、これは「日本人はなにかやろうとしているな」抑止力の点で問題なく、強い抑止力になってくると思います"
意外や意外、もっと過激なことを要求してくるかと思いましたが、日本会議2番目の要求は、自衛隊明記でした
実質なにも変わらないのに「日本人はなにかやろうとしているな」と思わせるのは、東アジアの緊張を高め、周辺国の戦力増強を促すだけかと思いますけど
ブラフで賭け金を吊り上げても、相手に乗っかってこられたら目も当てられないわけですもんね
……と、この2点で日本会議の改憲要求は終了ですね
打田文博による声明文 1:33:23~
最後に「美しい日本の憲法をつくる国民の会」=日本会議の声明文が読み上げられます
読み上げるのは、神社本庁職員宿舎不正転売疑惑に端を発する労働裁判がいよいよ大詰めを迎えた打田文博神道政治連盟会長です
(判決は2021年3月18日です)
声明文の内容は、だいたい以下のとおり
・新型コロナウイルス禍に絡めて憲法に「緊急事態条項」の創設
・中国の驚異に自衛隊が対抗するための改憲
・憲法審査会による国民投票法改正案の早期成立
・改憲派の提言をもとに改憲原案を作成すること
この声明文は、自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党に手交されました
おわりに
やはり今回の集会の白眉は国民民主党の参戦でしょうか
古屋圭司さんが「ニュー山尾志桜里だよ!」と絶賛し、田久保忠衛さんが「民社党を彷彿とさせる」としたことからもわかるように、【ゆ党】がまたひとつ増えたわけです
民社党の流れをくむ連中のおかしな動きには、本当にイライラさせられたので、だいぶわかりやすくなった点は良かったですが……
残った本物の野党の皆さんには、是非とも頑張ってほしいですね。特に立憲民主党には、民社党の残り香のする人々がいるので、ちゃんと踏みとどまってくれることを期待します。もし来年の集会に立憲民主党が出てきたら、僕、本気だ怒りますからね!