観光施設運営のファーム(愛媛県西条市)は28日、塩尻市北小野で経営する「信州塩尻農業公園チロルの森」を11月29日に閉園すると発表した。1999年に開園し、家族連れなどでにぎわったが、レジャーの多様化などで来園者は減少。同社は施設の後利用について「全くの白紙」とし、自社での再活用も含めて市などと協議するとしている。
チロルの森は、市が白紙になったリゾート構想に代わり、全国でレジャー施設の建設地を探していたファームを誘致。広さ約27ヘクタールで、動物と触れ合う広場や遊具などが並ぶ。初年度は約37万人が来場したが、昨年度は6万6千人にまで減少。施設建設などの負債が経営を圧迫し、同社は2016年に民事再生法の適用を東京地裁に申請、人材サービスのワールドホールディングス(福岡市)の傘下に入った。
園内のレストランや乳製品加工施設など計4施設は市が建設し、塩尻市やファームでつくる第三セクター「信州ファーム」(社長・米窪健一朗副市長)が経営する。4施設も運営を停止する予定。
チロルの森の安川正雄・副支配人は取材に「入園者の減少に加え、新型コロナウイルスの拡大に伴う外出自粛が追い打ちとなった」と説明。園内では三セクを含め約30人が勤務しており、今後の雇用について「県外にある関連の観光施設などへの再就職を勧める」とした。
小口利幸市長は「閉園はファームの考えなので、残念だが致し方ない」とコメントした。市観光協会の小嶋正則事務局長は「来園者を呼ぶためさまざまな取り組みをしていたのに残念」と話した。