<新型コロナ>都のコロナ病院オープンいつに? 2カ月遅れ病床数、医療スタッフも調整中

2020年11月25日 06時00分

東京都が新型コロナ専用病院として改修工事を進める都立府中療育センターの旧施設=東京都府中市武蔵台で

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、東京都が府中市内に整備中の新型コロナ専用病院の開設が遅れている。10月開設予定だったが、工事に時間がかかったため12月にずれ込み、当面運用できる病床数や医師ら医療スタッフの配置も固まっていない。スタッフは各地の都立病院から集める予定だが、どこも人手不足が指摘され、開設に向けて苦しいやりくりを強いられている。(小倉貞俊)

◆10月オープン予定が12月に

 都が運営する初のコロナ専用病院の設置は、小池百合子知事が8月7日の記者会見で発表した。6月まで使われていた都立府中療育センターの旧施設を改修し、最大で100床の病床を整備する計画。中等症以下の感染者が対象で、治療の効率化や入院調整の迅速化、医療機関の負担軽減などを目指す。隣接している都立多摩総合医療センターの一部に位置付けるという。
 都は当初、「10月中に改修工事をし、完了後速やかに運営を始める」と説明。7億円をかけ、ウイルスが外に漏れないよう気圧を下げた「陰圧室」、病棟内を区画分けする隔壁の設置などの整備を開始。ただ交換が必要な空調設備や配管などが予想以上に多く、工事が終わらなかった。小池知事は今月19日の会見で「月内に工事を完了し、来月には開設の予定」と新たな見通しを述べた。
 都の担当者は「コロナ以外の患者も入院している通常の病院と違い、コロナ対応に特化した医療が提供できる。さらなる感染者増に備え、十分な体制整備を急ぎたい」と語るが、都内各地の都立病院から確保する医療スタッフの人員は調整中で、開業時の病床数は確定していない。「100床規模のコロナ病院であれば、交代要員も含めて医師10人弱、看護師100人程度が必要」といい、「十分な体制」にはいかにスタッフを集められるかが課題。30床程度にとどまる可能性もある。

◆コロナ増員なしで苦しい人繰り

 各都立病院が人員を派遣した分の補充は年度内にはないため、各現場にしわ寄せが出る懸念がある。都職員労組病院支部の大利だいり英昭書記長は「これまでも都立病院のコロナ対策は増員がないまま行われてきた」と指摘。「現場はただでさえ人手不足。都民に安定した医療を提供するためにも、余裕ある人員配置などを検討してほしい」と話す。
 現在、都内の医療機関が確保するコロナ病床は2640床で、24日時点の入院患者数は1583人。専用病院はほかに、民間運営の形で、東海大医学部付属東京病院(渋谷区)が9月から60床で稼働している。

関連キーワード

PR情報