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 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、入江康文・千葉県医師会長らが1日、県庁で緊急の会見を開いた。県内ではコロナ病床が一部で逼迫(ひっぱく)しつつあり、医療従事者の不足も心配されることから、「極めて危機的状況に陥りつつある」と強い危機感を示した。

 「(県の病床確保計画で最高の)フェーズ4は現実的とは見ていなかったが、近づいている。フェーズ4は医療崩壊に近い状態だ」。この日、入江会長に同席した山本修一・千葉大副学長はこう強調した。会見には猪狩英俊・千葉大病院感染制御部長も同席した。

 県新型コロナ感染症対策連絡会議のメンバー有志として初めて会見した。県民に直接、危機感を訴える必要があると感じたという。

 3人によると、県内の病床稼働率は11月に一時50%を超えたが、11月30日現在は44%。ただ、東葛北部74%、千葉市58%など、一部地域で病床の大半が埋まりつつあるという。

 県の病床確保計画は現在フェーズ3。県は「7日間平均で感染者100人を超えたらフェーズ4を考える」とする。これに対し、山本氏は「病床に空きが少なく、いつフェーズ4でもおかしくない」と説明。フェーズ4でコロナ病床を増やすと、一般病床を圧迫することになるため、診療や手術を受けられなくなる可能性もあるといい、「助かる命が助からなくなる」と危惧した。

 医療従事者の不足も懸念した。通常、一般患者7人に看護師1人が対応するが、コロナ患者は4人に看護師1人が必要という。高齢患者にはさらに人手が必要だ。高齢者施設のクラスター(感染者集団)が相次いでおり、猪狩氏は「高齢者施設のクラスターは波のように影響が伝わる。言葉はきついが、施設を破壊し、周囲の医療機関も破壊してしまう」と語った。(今泉奏)

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 千葉県内で1日、新たに74人が新型コロナウイルスに感染し、2人が死亡したことが確認された。再陽性を含む感染者は計7090人、死者は計89人となった。県などが発表した。

 死亡したのは船橋市の80代男性と、クラスター(感染者集団)が発生した千葉市特別養護老人ホーム「誉田園」に入所する70代男性。松戸市の松戸競輪場では県外在住の70~80代の男性警備員3人が感染。松戸市の60~70代の男性警備員4人の感染も判明しており、クラスターと認定された。

 柏市では、クラスターが起きた市立柏病院で入院患者ら4人の感染が判明し、感染者は計9人になった。同じくクラスターが起きた認定こども園「くるみこども園」で園児ら5人の感染を確認し、計15人となった。

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 サッカーJ2のジェフユナイテッド市原・千葉は1日、選手2人の感染を確認したと発表した。11月30日夕に選手1人が発熱し、PCR検査で陽性となった。選手とスタッフを検査したところ、別の選手1人の感染も判明した。1人は軽症、もう1人は無症状という。2日の東京ヴェルディ戦は予定通り開催される。

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