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ニュータニックスはソフトウェアベンダーに、レノボはハードウェアの信頼性をアピール

ニュータニックスはソフトウェアベンダーに、レノボはハードウェアの信頼性をアピール

2019年10月07日更新

DXの起点に
Nutanix Enterprise Cloud OS

ソフトウェアベンダーへ転換

 HCIの先駆者として市場をリードしてきたニュータニックスは、従来までHCI基盤ソフトウェアを組み込んだアプライアンス型の「Nutanix NXシリーズ」の販売や、Dell EMC XCシリーズ、Lenovo ThinkAgile HXシリーズ向けのOEMライセンスの提供を行ってきた。現在はそうしたアプライアンスベンダーとしての戦略から大きく舵を切り、HCI基盤ソフトウェアを含む多彩なソフトウェア群である「Nutanix Enterprise Cloud OS」のライセンス販売を行うソフトウェアベンダーへの転換を果たした。

 これを受けて、Dell PowerEdgeサーバー、富士通PRIMERGYサーバー、HPE ProLiantサーバーなどを対象にNutanix Enterprise Cloud OSの動作の保証と保守サービスの提供が開始されている。従来よりも幅広いハードウェアプラットフォーム上でニュータニックスが提供するソフトウェアが使用できるようになったのだ。直近では、今年の8月から富士通が、Nutanix Enterprise Cloud OSを搭載したHCI「Nutanix Enterprise Cloud on PRIMERGY」の提供を開始している。9月からは「HPE ProLiant DXシリーズ」向けにも、Nutanix Enterprise Cloud OSの提供を始めた。

 ニュータニックス・ジャパン パートナービジネス事業本部 事業本部長の小島由理夫氏は、「ソフトウェアベンダーへの転換は、企業としての価値をより高めていくための選択です。現在、販売パートナーの皆さまには、各ハードウェアとニュータニックスのソフトを組み合わせてエンドユーザーに提供するような形態へと急速にシフトしていただいています」と説明する。

 こうした戦略を推進するため、ニュータニックスはDISとディストリビューター契約を今年の4月に締結している。DISはNutanix Partner Networkへの参加を果たした。こうしたDISとの提携や国産ベンダーも含めたNutanix Enterprise Cloud OS搭載ソリューションの提供開始によって、「首都圏だけでなく地域のお客さまにもニュータニックスのソリューションを使っていただけるようにしていきたい」と小島氏は強く期待する。

ニュータニックス・ジャパン 小島由理夫氏

運用性や耐障害性で高い評価

ニュータニックスが提供するNutanix Enterprise Cloud OSは、「Nutanix Core」「Nutanix Essentials」「Nutanix Enterprise」の3階層になっている。

 Nutanix Coreには、HCIの基盤ソフトウェアとなる「Acropolis(AOS)」、ハイパーバイザー「AHV」、インフラ管理ツール「Prism」が含まれる。「AOSやPrismで実現するHCIは、ワンクリックでシステム全体をアップデートできる運用性や耐障害性などによって非常に高い評価を得ています。実際、Net Promoter Scoreという第3者機関の顧客満足度調査で5年連続で高い数値(-100~100の間で90以上)を獲得しています」(小島氏)

 多彩なハードウェアベンダー製品で稼働するだけでなく、ハイパーバイザーにはAHVに加えて、VMware ESXi、マイクロソフトのHyper-V、Citrix Hypervisorが利用できる点も魅力だ。「ニュータニックスは選択の自由を提供し、ベンダーロックインから解放します」と小島氏。同社のハイパーバイザーであるAHVはライセンスフリーのため、コスト面からAHVが選択されるケースも多い。

 AOSやAHV、Prismで構成されるNutanix Coreで実現するHCIは、運用性や耐障害性などに高い性能を発揮するため、ひとり情シスなど運用管理者が少ない企業にも最適だという。実際、中小規模の企業だけでなく、地方自治体のシステム基盤としての採用も進んでいる。「CPUのコア数やストレージの容量などに応じたキャパシティベースのライセンスが利用できるので、小さな構成であればその分コストが抑えられます。中小規模のお客さまにとっても、小さく始めていただきやすいのです」(小島氏)

 Nutanix Enterprise Cloud OSのNutanix Essentialsには、プライベートクラウドの構築を実現する機能やサービスが用意されている。例えばマイクロセグメンテーションを実現する「Flow」や、ハイブリッドクラウド環境でのアプリケーションのデプロイを容易にする「Calm」、ファイルストレージ「Files」などだ。そして、Nutanix Enterpriseには、マルチクラウド環境における運用とサービスの管理に関連した機能やサービスがある。Kubernetesの運用を簡易化する「Karbon」、AI、機械学習のプラットフォーム「Xi IoT」、DaaS(Desktop as a Service)の「Xi Frame」、ディザスタリカバリーサービス「Xi Leap」などだ。

 Core、Essentials、Enterpriseで構成されるNutanix Enterprise Cloud OSの提供によって、ニュータニックスは企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートしていくという。

ハードウェアの強みをアピール
Lenovo ThinkAgile HXシリーズ

SMBモデルを用意

 レノボ・ジャパンが提供するHCI製品の中で、ニュータニックスのHCI基盤ソフトウェアを採用しているのが「Lenovo ThinkAgile HXシリーズ」だ。アプライアンスモデルと認定ノードという二つの形態を用意している。

 アプライアンスモデルは、ハードウェアもニュータニックスのHCI基盤ソフトウェアもレノボ・ジャパンが一体化させたような形態で提供される。一方の認定ノードは、HCI基盤ソフトウェアはプリロードされているが、ライセンスはニュータニックスから購入する必要がある。

「販売パートナーによる一括した導入サービスの提供が可能な認定ノードは、販売パートナーの皆さまのSIに適した形態になります」とレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューション・アライアンス本部 本部長の早川哲郎氏は解説する。いずれの場合もハードウェアとソフトウェアのサポートは、レノボ・ジャパンから一元的に受けられる。「当社製品ならば、サポート窓口の一本化が可能です」(早川氏)

 アプライアンスモデルと認定ノードの二つの形態をもつLenovo ThinkAgile HXシリーズには、以下のようなラインアップがそろっている。

「HX1000シリーズ」小規模モデル:支店向け、レプリケーションターゲット
「HX2000シリーズ」SMBモデル:ビジネスアプリ、小規模VDI
「HX3000シリーズ」基本モデル:ビジネスアプリ、VDI
「HX5000シリーズ」ストレージ大容量モデル:ファイルサーバー、大容量仮想化サーバー、ビッグデータ
「HX7000シリーズ」高パフォーマンスモデル:大規模データベース、ブロックチェーン、リアルタイム解析

「Lenovo ThinkAgile HXシリーズを最初に導入されたのが中小規模のお客さまでした」と振り返る早川氏は、「HX1000シリーズは支店向けの小規模モデルで、1プロセッサー(3ノード、3CPU)からスタートできます。HX2000シリーズは中小企業向けのモデルです。基本モデルとなるHX3000シリーズは、将来性も考慮されて売れています」と説明を続ける。

 ニュータニックスのHCI基盤ソフトウェアについては、「リソースの異なる複数のモデルを一つのクラスターに混在させやすいのが魅力です。例えば、CPUの世代が異なるノードも組み合わせやすいので、長期的に安心して利用できるのです」と評価する。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 早川哲郎氏

ハードウェアの信頼性を第一に

 Lenovo ThinkAgile HXシリーズで最も重点を置いているのは信頼性だという。中小企業ユーザーなどはひとり情シス体制の場合も多く、障害が発生してしまうと多大な負荷がかかる。都市圏以外の地域の企業の場合、ベンダーの技術員がすぐに駆け付けられないかもしれない。「当然のことですが、ハードウェアはなるべく壊れないほうがいいです。そのため、当社ではハードウェアの信頼性を第一に開発を継続しています」と早川氏は話す。

 Lenovo ThinkAgile HXシリーズで利用される筐体は、IBMのSystem x 時代から培われてきた信頼性に裏打ちされており、多くの機能が備わっている。例えば、「プロアクティブ・プラットフォーム・アラート」は、CPUやHDD/SSD、ファン、メモリー、電源ユニットなどの障害を可能な範囲で事前に検出して通知する機能だ。同社が提供する管理ツール「XClarity Integrator」と連携させると、システムを停止させることなく仮想OSを安全に退避させられる。メモリーやファンなどの障害部位をLEDの点灯で知らせる「Light Path 診断テクノロジー」は、ダウンタイムの最小化や保守の効率化を実現する。

 セキュリティについても、ファームウェア開発時の安全性の確保、署名されたファームウェアだけを適用する仕組みなどによって、高いレベルを維持している。「IBM時代から変わらない品質やセキュリティ体制でハードウェア自体の信頼性を確保しています。ITICによるサーバーの信頼性調査において、当社は4年連続で1位を獲得しているのです」(早川氏)

 Lenovo ThinkAgile HXシリーズでは、米沢ファクトリー・インテグレーションサービスも提供している。これは、米沢工場で検品からLenovo ThinkAgile HXシリーズの初期セットアップ、最新の安定版へのファームウェア更新、ハイパーバイザーの入れ替えなどを行うサービスだ。「米沢工場で実施している日本品質のサービスです。初期不良の発生を防ぐ取り組みでもあります」(早川氏)

 ハードウェアの信頼性に加えて、運用管理やネットワークの自動化、サポート体制など七つの特長がユーザーからの支持につながっていると早川氏はアピールする。「ThinkAgile HXシリーズはすでに国内で100社以上、500ノード以上の販売実績があります。長期にわたる使用、さまざまな用途に利用できるフレキシビリティなどが好評です。データベースからファイルサーバー用途まで幅広い仮想化基盤のリプレースニーズに応えるでしょう」

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