香港の威嚇射撃調査へ 屋台取り締まり衝突で
香港の繁華街で無許可営業の屋台を保健当局が取り締まろうとしたのを機に、市民との衝突が発生した際、警官が威嚇射撃を2回行った問題で、警察当局は10日、事実関係を調査する方針を示した。繁華街・旺角(モンコック)では春節(旧正月)のために、屋台が立ち並んでいた。
香港政府は、威嚇射撃の経緯について調べるほか、保健当局や警察との衝突が事前に計画されたものかどうかも調べると方針を示した。
旺角地区では9日未明から朝にかけて、無許可営業屋台の取り締まりに抗議する市民が警察にレンガなどを投げつけ、警察は警棒や催涙スプレーで鎮圧。警告のための威嚇射撃も2回行った。
少なくとも23人が逮捕され、警官や記者など少なくとも44人が負傷した。
香港の梁振英行政長官は9日、騒乱を非難し、「このようなことは決して容認できない。暴動を起こす者の逮捕に警察は全力を尽くす」と述べた。
2014年に香港中心部の道路を占拠した民主化運動以来、最大規模の騒乱となった。
旺角地区には屋台が年中あるが、特に春節の時期には正月の伝統的なお菓子を売る屋台が地元の人たちに人気だ。
BBCのジュリアナ・リュウ記者によると、当局は通常、許可なし屋台を見て見ぬふりをするが、今年は取り締まりに着手した。
保健局が無許可営業を理由に屋台を撤去させようとすると、集まった数百人がこれに抗議した。警察は、屋台店主や活動家たちは退去警告を無視したと説明している。
衝突は未明から夜明け過ぎまで続いたが、9日朝には鎮静化していた。
警察に抗議する中には、香港の自主独立を目指す「本土派」の活動グループもいたという情報もある。
「本土派」の若者が集まった民主政党「青年新政」のリーダー、梁頌恒氏はBBCに対し、自分のほかに党員10人が地元文化を守るため抗議に参加し、1人が逮捕されたと話した。
地元紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、警察幹部は警官が警告のため2回発砲したことを認めた。同僚を守るためだったと説明した上で、警官を含めて44人が騒ぎを起こした「過激分子」のせいで負傷したと批判している。
ソーシャルメディアは今回の騒乱を、屋台で売られる魚蛋(つみれ)にちなんで「#fishballrevolution(魚蛋革命)」と呼んだ。