※誰てめぇ
※現代設定とかありがちなアレ
※本番無しの自慰のみ
「ただいま、輝夜」
「お帰りなさい、永琳…いまちょっと手が離せないの!」
帰宅したタイトスカートにスーツ姿の永琳が玄関から奥にむかって声をかけると台所の方から元気の良い少女の声が返ってきた。
ヒールを脱ぎつつ空気に混じる匂いやトントンという包丁の音から夕食の準備をしているのだろうとあたりをつける。上着をハンガーにかけ、バッグを置いて台所を覗くと、いつもの通り学校の制服の上にエプロンといった出で立ちの輝夜が台所で鼻歌を歌いながら夕食の準備をしていた。
高草荘という小さなこのアパートの一室、二人が暮らすこの部屋は彼女――八意 永琳が借りたものだ。世が世なら姫と呼ばれるほどの家系に生まれた輝夜は、本来ならこんな安アパート暮らしをする人種ではないのだが、色々な事情が重なって今、彼女たちはここで一緒に生活している。
輝夜の通う学校で保険医をしている永琳は、基本的に生徒よりも遅く帰ってくるため、夕食の準備は輝夜が担当することが多かった。お嬢様育ちである輝夜であったが、生活に必要なスキルはそれなりに身につけており、ビーカーで味噌汁を作るようなセンスの持ち主である永琳が台所に立つことは少ない。
「ごめんなさい、ちょっと遅くなってしまって」
「いいわよ、永琳。夕御飯つくってる最中だから、ちょっと待っててね?」
夕暮れの紅い光に照らされてなお艶やかな輝夜の黒髪が揺れる。
栄養状態はよかったはずなのに輝夜は同年代の少女より華奢な体格で、無邪気な性格もあいまって実際の年齢よりも幼く見えた。なのに最近は時々ドキリとするような大人の雰囲気を漂わせる事があり、子供とも大人ともいえない年頃であることを実感させられる。
(もし家の者に見つかったら私は未成年者略取誘拐罪あたりで訴えられるのかしらね)
居間に置いてある座布団を敷いてそこに座ると、輝夜の後姿を見ながら永琳はぼんやりと思考の海をたゆたう。
過去の自分との縁故や繋がりは全て切り捨て、その際に書類改竄を含めた取れるだけの手段をとったのだ。そうそう見つかる筈は無いのだが、それでも時々不安に思う。
輝夜のために行った行為に後悔は微塵も無い。だが、見つかったときに一番酷い扱いを受けるのは、輝夜なのだ。彼女を守る意思を、力を持っているのは自分だけなのだから、たとえ何が起ころうとも彼女を守らねばならない。そう輝夜だけは。
そんな取り留めの無い思考に輝夜の短い悲鳴が突然割り込んできた。
「痛っ!」
「ど、どうしたの輝夜!」
慌てて台所につながる暖簾をくぐり、輝夜のもとに駆け寄ると輝夜は涙で潤んだ目で永琳を見上げて指を口に含んだまま何事か呟いた。
「うびきっふぁっふぁ」
「……指ね、珍しいわね指切るなんて。ちょっと待ってなさい、今消毒してあげるから」
「永琳、まって!」
常備している薬箱を取りに行こうと腰を浮かしかけたところで突然に呼びかけられ振り返ると、まだ涙目のままの輝夜が口にくわえていたはずの指をこちらに突き出している。
「永琳が消毒、して」
輝夜の涙で濡れ光るその目の奥に――あの光があった。
彼女が二人きりの時、永琳に甘えるときにだけ浮かべる光。
その目で見つめられると、何故か永琳は呼吸と心拍数に異常をきたし正常な判断が出来なくなる。
それは今も、そうだった。
無言で輝夜の前に跪く。
そうしないと長身の永琳と輝夜では高さが合わないからだが、永琳は何故かそれは二人の関係を象徴しているように思えた。
そして、目の前に突き出された輝夜の指。
輝夜の唾液と血で彩られた白魚のように繊細ですらっとした綺麗な指。傷口には紅が小さく玉を作っている。
その指を、輝夜の一部を口に含むというだけで身体が興奮に震えてしまう。
「ん……」
口を開き、その指をぱくりと咥える。その瞬間、輝夜がぴくんと震え小さくうめき声をあげた。
夕暮れに染まる台所にちゅ、ちゅ、と小さく指を吸う音が響く。
輝夜の指。輝夜の唾液。輝夜の血。それを味わう興奮で鼻息が荒くなり、そのことに対する羞恥でさらに興奮してしまう。
年端も行かない少女の指を吸いたて、興奮する。まるで自分が犯罪者になったみたいで、この後は自己嫌悪で暗澹たる気持ちになるのだろうな、と永琳は思う。
それでも永琳は輝夜の指を吸いたてるのをやめない。やめられない。
舌でその形を確かめ、硬い爪に守られた指先を柔らかく包み込む。鼻を鳴らしながら傷口をやさしく擦り、血と僅かな唾液を舌の上に乗せて味わいながら飲み下す。消毒するという目的にはまったく不必要な行為。
そもそも指を含み唾液で傷口を濡らすなど消毒という意味では逆効果なのは最初からわかっていたのだ。何を今更、とも思う。
それでも求められてしまえば。
それが誰の願望かもわからなくなりつつも、永琳は夢中で輝夜の指をしゃぶる。
そして指をしゃぶりつくし、血も出なくなったころ。
輝夜は指を永琳の口からゆっくりと引き抜いた。
「んぅ…」
最後まで未練を残すように指に絡みついた舌と指とが唾液のアーチで結ばれ、名残惜しげにぷちんと切れた。
それを契機に自分の中に生まれたもっとしゃぶりたい、という気持ちを押しつぶして永琳はなんとか普段の自分を取り戻そうとする。
「ありがとう、永琳。バンドエイド、取ってくるわね?」
「え、ええ……」
そういって、輝夜は先ほどまで永琳がしゃぶっていた指をなんの気なしに自分の唇へ運ぶと。
「あ…かぐ…や…」
「ふぁあに?」
自分がつい先ほどまでしゃぶっていた指をぱくりと咥えた輝夜に思わず、名を呼んでしまう。
可愛らしい唇に咥えられた指。先ほどまで自分がしゃぶり、愛でていた指が輝夜の口に。
永琳の揺れる視線が輝夜と合い、瞬間真っ赤になった永琳は視線をそらしてしまう。
「へんふぁ、ふぇいりん」
いつもと変わらない様子で唇に指を咥えたまま、輝夜はバンドエイドを取りに行った。
グラグラと煮えるように沸き立つ心と、身体。
いつの頃からか生まれた輝夜への想い、それをまたも思い知らされてしまう。
今までなんとか間違いを起こさずにきたものの、流石に今日は自信がない。
今夜は布団を離して寝よう。輝夜の後姿を見て溜息をつきつつ、永琳は心に誓った。
***
「あの……輝夜?」
「なぁに?永琳」
布団にもぐりこんで来た輝夜のはにかむような笑顔に永琳は何もかもがどうでもよくなってしまいそうになってしまった。わずかに差し込む白々とした月明かりに照らされて仄かに浮かび上がる輝夜の顔。嬉しそうな表情を浮かべるその顔に蕩かされそうになりながら、永琳は先ほどの決意が無に帰したこの状況を心の中で呪う。
食事のあと学校で起きた他愛の無い話を聞きながら一緒にTVを見て、順番に風呂に入って就寝するいつもの生活。
輝夜が独り立ちする「いつか」が来ればなくなってしまう時間。そんな日常は、布団を敷いて――もちろんいつもよりちょっと離れた位置に、だ――電気を消して暫くたってから一緒に寝ましょ?と布団にもぐりこんできた輝夜自身によって破られた。
ぴったりと寄り添うようにくっついた輝夜から香る爽やかな柑橘系の匂いが永琳の鼻をくすぐり、薄いパジャマの生地越しに暖かい体温が伝わってくる。
わざと、なのだろうか。
天然な気もするし、わざとのような気もする。
わざとだとしたらどこまでわかってやっているのだろうか。
自分が火薬庫で火遊びをしているような、危険な行為をしているとわかっているのだろうか。
ひょっとして……誘ってるのだろうか。
(そんなわけ、無いわよね)
ともすれば危険な方向に行きそうな思考を振り払う。まさか保護者代わりの同性の大人が、自分に性的な関心を持つと思うはずが無い。輝夜はいつものように無邪気に甘えているだけなのだろう。それがどれほど相手の心をかき乱すかを知らずに。
だから、永琳って柔らかくてあったかい、などと言いつつ身体をぴったりとくっつけるのは止して欲しい。
「……自分の布団で寝なさい」
「だって今日は寒いんだもの。永琳であったかくなりたいわ」
搾り出すような拒絶の言葉は甘えるような囁きに粉砕された。こんな声を出されたら何もいえなくなってしまう。
仕方ないわねなどと口の中でもごもごと返事をすると、恥ずかしそうに永琳大好き、と囁かれた。
永琳は耳が火照るのを感じながら明かりがなくてよかったと心の底から思う。
押し付けられた輝夜の身体の柔らかさを意識すまいと気を逸らすために天井の木目でも数えていると、隣でもぞり、と身体を動かす気配。
気になって顔を向けた目の前に、かすかな月明かりに照らされた輝夜の瞳が煌く。
「ねぇ、永琳」
まただ。また、あの光。最近頻繁に見ているような気がする。
このアパートで暮らし始めの頃は滅多に見なかった輝夜の瞳に宿るあの光。一日に二回もこんな風に甘えられることなど、なかったというのに。
どう返事をしたものだろうか。どうしたらいいのだろうか。
「お願いがあるんだけど、駄目?」
「な、何かしら?」
沈黙をものともせずに放たれた言葉は、珍しく迂遠な表現。それがますます永琳に嫌な予感を抱かせる。
「胸、触っていい?」
「だ、駄目っ!」
いつもより高い声で、それこそ小娘のような拒絶の言葉が思わず出てしまい、そのことにわけもなく赤面してしまう。
よりにもよって一緒の布団にいるときに、胸を触られるなんて――。
標準より大きめな胸を守るように腕でガードすると輝夜がどうして、と不満そうにつぶやいた。
「だって永琳だけ、ずるい」
「ず、ずるいって何よ……」
「私はこんなに小さいのに永琳はそんなに大きいんだもの。ずっといいなって思ってたのよ?ね、私のも触らせてあげるから。お願い」
好きで大きいわけじゃないし、肩が凝るとか、夏は大変だったりとかいいことなんてないのに。
それでも輝夜の提示する交換条件に一瞬心惹かれた自分が嫌になる。
「私じゃ、駄目?」
輝夜の瞳にじっと見つめられ、永琳の心が震える。
懇願するような、寂しそうな声。
「お願い、永琳」
「す、少しだけなら……」
僅かに目を逸らして呟いた永琳の返事に月明かりに照らされた輝夜の顔がぱぁ、と明るくなった。
よほど胸に触りたかったのか、とても嬉しそうなその様子に永琳はうっかり微笑み返しそうになってしまう。
その無邪気な喜びようになんとなくほっとして、永琳は小さく苦笑した。
結局、自分が意識しすぎなのだろう、と思う。輝夜の言動を深読みして振り回される自分が馬鹿らしくなってくる。
ちょっと触らせてあげて輝夜の幼い好奇心を満たしてそれでお仕舞い。
明日も早いんだし、さっさと寝てしまえば。
「じゃあ、先に触っていいわ」
不意打ちのように放たれた輝夜の言葉にぎくり、と永琳の身体が震えた。
布団の中を輝夜の手がもそもそと移動し、胸の前で交差したままの永琳の手を自分の胸に導こうとぎゅっと握る。
小さな輝夜の手、その指に貼られたバンドエイドの感触で夕食前の出来事が否応なしに想起させられ、羞恥と欲情が再び舞い戻ってくる。
――こんな状態で、輝夜の身体に触るなんて出来るわけが、無い。
地獄、だった。
***
「……ふぅ」
狭いながらもシャワーつきの風呂場でシャワーから勢いよく出るお湯を身体に当てながら永琳は小さく溜息をついた。
あの後、先に胸を触れという提案を固辞すると何故か突然不機嫌になった輝夜に胸を揉みしだかれ、顔を埋めて抱きしめられ、少しだけという言葉を無視され散々乳肉をもてあそばれたのだ。揉み疲れた輝夜が寝息を立てるのを見計らい、抜け出た永琳の目的は火照った身体を冷ますための入浴。
深夜の浴室にシャワーの水音が木霊し、肉感的な身体の曲線を水が舐めていく。
「んっ」
そして豊かな胸を打つ水の感触で想起するのは今だ身体に残る輝夜の愛撫。
ぎこちない手つきでのそれは、輝夜にとっては単に触っているだけかもしれなかったが、永琳にとっては確かに愛撫だった。
不審がられるのが嫌で声を必死に抑えていたためかまだ身体にもやもやとした何かが重く澱んでいる。
「輝夜」
火照った肌に丁寧にシャワーを当てながら小さく呟く。
こんな、年端も行かない少女相手に自分がこんなことになるとは思っていなかった。
この状況になったことだって、自分なりの倫理観からの行為だったはずだ。
事実、こんなに感情をかき乱されるようになったのは二人きりで暮らすようになってから。
だが万が一にも一線を越えてしまったら。
それを、甘美な堕落の誘惑を考えるだけで、心が震えてしまう。
守るという誓いを忘れてしまいそうになるほどに。
だが輝夜は「違う」のだ。そんな事をしてしまえば、大切な宝玉に傷がつき何もかもが失われてしまう。
全幅の信頼や友愛の情は感じている。もともとの立場の関係で多少ゆがんではいるものの甘えられたり、我侭を言われるだけの親しさだってある。しかしその対象がこんな欲望を抱えているのを知ったら。輝夜はそのときどんな顔をするだろうか。どんな顔で一緒に暮らしていけばいいのだろうか。
「……馬鹿ね、どうせいつかは消えて無くなってしまうものだというのに」
この先も輝夜と生活を共にすることを前提とした思考に気づいて自嘲気味に呟く。この生活も輝夜がひとり立ちできるようになるまで。それ以上のものでは無いのだ。いつか彼女も結婚して家庭をもって、自分のことなど遠い記憶の中で思い出すだけになるだろう。そしてそうなれば彼女の中で自分が何らかの役割を果たすことは、無い。たとえ、彼女のために何をしていようともそれを表に出しては、いけない。
彼女のためになんでもしてやろうと、何もかもを捨てて守ろうと誓った身だ。
それくらいは問題にすらならない。そう、ならないはずだった。
だが。
「かぐ……や……」
今の生活をまるで新婚生活のようだ、と考えては悦びに震える自分がいる。
彼女の嬉しそうな笑顔を見て、他愛の無いスキンシップに幸せを感じてしまう自分がいる。
輝夜の少女らしい、美しい肢体にもやもやとしたものを抱いてしまう自分が、いる。
「んっ……」
何度か男と付き合った事はあったが、こんな気持ちになったことはなかった。
それなりに好意を持っている相手だったはずの、もう顔も思い出せない彼らにはまったく感じなかったこの感覚。
生涯で初めて感じる燃えるような、想い。
こんなにも激しい想いはいつか燃え尽きて冷めてしまうのが普通なのだろう。
けれども、『これ』はいつまでも燃え続けるのだろうという、燃え続けてしまうのだろうという奇妙な確信があった。
輝夜を思い浮かべるたびに感じる、奇妙な確信が。
「んっ……ふぅん……」
熱い吐息と共に手に持ったシャワーが自然と輝夜の触った後をなぞるように乳房を嬲る。
あの白魚のような指が柔らかい肉を揉みしだき、小さな手のひらでゆるく圧迫しながら撫で回したように。
強弱をつけながら指で硬くなった乳首を転がすと、じわりと快感が身体に蓄積していった。
マットの上に腰を下ろしひやりと冷たいタイルに背を預けると、胸をもみしだきながらシャワーをゆっくりと下腹部に移動させていく。
輝夜の指が、自分の肌を滑っていく様を想像しながら乳首を擦りあげるとそれだけで堪らなくなってしまう。
「ん、好きよ……好きなの……」
胸を弄る左腕に圧迫されて豊かな乳が押しつぶされ柔らかく変形する。その感触に先ほど輝夜に顔を埋められたときの興奮が身体によみがえってかぁっと全身が燃え上がった。
この胸も、尻も、唇も、そして既に水以外の液体で濡れそぼっているそこも。全てが輝夜の所有物として弄り回される妄想で駄目になってしまうほど発情してしまう。
既に収まりがつかなくなってしまった身体を指と、シャワーと、そして自分の言葉で追い詰めていく。
「ひっ……あ、んっ……かぐや、かぐやっ!」
勢いの強いシャワーが銀色の茂みを通過しすっかり開花してしまったそこを打つ。
勃起したクリトリスが皮ごしに水流に打たれ、強すぎる刺激にひくひくと震える。
輝夜を求めてぱっくりといやらしく開いたそこを勢いのある水流が叩き快感と分泌物を生み出す。
興奮でひくひくと収縮してする自分の穴を意識して、そんな自分自身にさらに興奮してしまう。
(ね、先生は私にして欲しいの?それとも私にしたいの?)
家庭教師時代と学校にいるときの共通の呼び名で微笑みながら語りかけてくるのは全裸の輝夜。
目に焼きついた美しい裸身が閉じた目蓋の裏に白々と浮かび上がる。
検診で何度も見ている少女らしい緩やかな起伏の身体。つつましい双丘の上に鎮座する朱鷺色の突起。
優美な腰のラインは自分とは比べ物にならないほど儚く、最高級の陶磁のような危うさと美しさを孕んでいる。
そして、無毛かと見まごうばかりの薄い茂みに守られた、ぴったりと閉じた秘密の部分。
そこから薄い肉付きの太ももからふくらはぎ、くるぶしまでのすらりとした足までのライン。
全てがありありと、目に浮かんでしまう。
輝夜を妄想しながら乳首を弄る指のタッチを徐々に強くし、クライマックスに向けて強弱をつけるようにシャワーを動かす。
「んっ……りょうほう」
(ふふ、両方なんて先生は欲張りね)
「だって、だってかぐやのぜんぶが、欲しい……からっ……」
(でもちゃんと答えられたしご褒美をあげるわ。生徒が先生にご褒美とかおかしいかしら?)
快感の波にあわせてふうっ、ふうっ、と呼気が乱れる。
硬く尖った乳首を強く弄るたびに胸から鋭い快感が生まれ、シャワーの強い水流が欲望の華を強く打つたびに腰が蕩けて力が抜ける。
快楽を求めるように自然と開いた足の間に咲くいやらしい肉の華。そこから生まれる快感が心を突き崩し、こね回しドロドロにしてしまう。
手を激しく動かしながら輝夜の唇が欲しくて、堪らなくて、自分の唇をねぶるように舐めた。
(ほら、えーりんのここ、こんなになってる)
いつの間にか横になったのか、身体の側面にひやりとしたタイルの感触。
自分の指とシャワーで刺激をしながら輝夜の指の感触を思い描く。
女の中心で硬く盛り上がったそこを皮の上から強くこね回し、シャワーを近づけて水流の強い刺激を堪能する。
そのたびに肉付きの良い腰が跳ね、尻から腿にかけての筋肉がきゅうきゅうと反応した。
「あっ、あっ、かぐや、かぐやっ、あああっ!」
いつもの自分からは考えられないような媚びた、甘い声。そんな声で輝夜を求めながら身体をくねらせ、蕩け切った穴につぷりと指を進入させる。
待ちかねたように女肉が歓迎するように指に絡みつき、締め付ける。歓喜に震える肉を押しのけていちばん気持ちのいいスポットをぐりぐりと刺激すると、貪るように腰が動き、鼻にかかった声が漏れてしまう。
ただの自慰行為とは比べ物にならない快感。輝夜の指と想うだけで、簡単に身体が、心が快楽に屈する。
愛しい教え子を妄想の中で汚してしまう事に微かな後ろめたさを感じながらも、もう止まることは出来なかった。
「ひぃ、ん……かぐやのゆび、いいのっ。私の中、あっ、ああっ、もうだめ、気持ちよくてだめになるっ、んっ、ひんっ」
(私の指で駄目になって。そして私もえーりんで駄目にして。二人でいけない子になろう、ね?)
「なり……たい、かぐや、かぐやとならっ、わたし、わたしっ……ああっ、いくっ、あああ!」
妄想の中の輝夜に、淫靡な表情でやさしく微笑まれる。それだけで歓喜にうねる肉を指でかきわけ、擦り、強い水流を興奮で硬くなったクリトリスに押し当てる。
輝夜にたっぷりと可愛がってもらったあとに、輝夜の未成熟な身体を隅々まで味わい奉仕する自分を妄想し、下半身を夢中で弄る。
ぎゅうと狭められた両腕の間に搾り出された乳肉が気持ちよさに身体をゆするたびにたぷたぷと揺れ、乳首が滑り止めで荒い感触のマットに擦れてそこからも快楽のさざなみを生み出す。
くちゅくちゅと激しい音と甘い喘ぎ声が風呂場に反響し、はしたなく投げ出された足が快楽にくねり、終わりに向けて疾走していく。
そこに。
「永琳?どこ?」
「ひっ……!!」
小さく響く眠そうな輝夜の声に妄想の輝夜が掻き消えた。いきなり耳に飛び込んできたそれに、びくん、と心臓が飛び跳ね小さく悲鳴をあげてしまう。
深く眠ってるように見えたのに、起きてきてしまったのだろうか。もしこんな所を見られてしまったら。艶っぽい声で輝夜の名前を呼ぶ様を聞かれてしまっていたら。
僅かに残った理性は即刻この行為を止めて、何事もなかったように返事をすべきだと結論付ける。
なのにシャワーを操る手と激しい刺激を送り込んでくる指は動きを止めようとしない。止めることができない。
それどころかシャワーのヘッドを興奮に濡れそぼる股に強く押し付けてしまう。
その激しい快楽に永琳は胎児のように身体を丸めて声を出すまい、と唇を噛んだ。
「お風呂かしら……ねえ、永琳、どうしたの?」
「ひっ!……あっ!……」
本物の、輝夜の声。綺麗な鈴を鳴らすような、声。
その声を聞きながら指で媚肉のざらざらとした部分を激しくこすり、半ば剥かれた皮とクリトリスの間を水流が激しく洗浄する様を感じてあっという間に快楽の果てに駆け上がっていく。
止めないと。止められない。
気持ちを知られてしまう。でも知って欲しい。
嫌われてしまう。いっそ嫌われてしまえば。
守らなければいけないはずなのに、彼女の身も心も奪ってしまいたい。
相反する感情がせめぎあい、肉の快楽がそれをかき混ぜる。
「……永琳?」
思考をぐちゃぐちゃにかき混ぜられた状態で擦りガラスの向こうに霞む輝夜の姿を認めた瞬間。
肉の欲望に身を震わせ、愛しい教え子、守るべき大切な宝玉を想い永琳は絶頂に達した。
「―――ッ!―――ッ!!」
あまりの快楽に頭が真っ白になって何も考えられない。
ひくりひくりと身体が震え、膣孔が収縮するたびに白く濁った愛液を吐き出す。
鼻にかかった声で切なく喘ぎながら近くに立つ輝夜の存在を、声を貪ってしまう。
風呂の擦りガラスを隔てただけの、でも決して届かない距離。
――最後にぶるり、と身体を震わせ、長い溜息をついて余韻を味わった。
(ああ……返事、しないと輝夜が心配しちゃう)
遠いところで輝夜が呼んでいるのを気だるい意識で聞きながら、獣のように乱れた呼気を徐々に落ち着かせる。
とにかく、身体を起こして輝夜に返事をしなければ。強烈な快楽で混乱した心はまるで他人事のようにこの状況を捉えていて、機敏に動くことができない。
快楽で弛緩した重い身体をのろのろと動かし、身体を起こしてマットに座ったまま乱れた髪の毛を整えようとしたとき。
「ごめんなさい、開けるわね」
ガラリと風呂の扉が開いた。
***
真っ暗闇の中、刺す様な痛みが脳髄の奥深くで好き勝手に暴れている。ガンガンという音が聞こえそうなほどの痛みで涙が出そうになるが、頭に冷たい布が当てられ少し痛みが和らいだ。
そして躊躇う様な気配がした後に頬に触れるさらりとした絹糸の感触と柑橘系の匂い。心地よいその感触に重い瞼をゆっくりとあけた瞬間、急に空気が乱れて何かが自分から離れていく。
目の裏がごろごろするのに耐え、視線を向けると枕元に座った輝夜が顔を赤くして何かを気にするように口元に手を当てていた。
「ご、ごめんなさい、起こしちゃった」
「……いいのよ、それより風邪がうつるといけないから。顔赤いけれども大丈夫?」
珍しく慌てたような口ぶりに違和感を覚えつつ、輝夜の身を気遣う。徐々に記憶がはっきりとしてきて、自分が風邪を引いていたことを思い出した。
結局、看病するといって聞かない輝夜ともども学校を休み、今まで寝ていたのだ。輝夜が変えていてくれたのだろう額の濡れタオルがひやりとして気持ちがいい。
「だっ大丈夫!何でもないから!それより永琳こそ……湯当りで風邪なんて医者の不養生もいいところだわ」
自信の体調への懸念を強く否定したあと、輝夜は手元の風邪薬の箱に視線を落としてそんな事をつぶやく。
その言葉で昨夜の記憶がよみがえり、羞恥で体温が一気に上昇した。
昨晩、風呂の扉を開けられて全裸でへたり込んだままの姿とだらしない顔を輝夜に見られてしまったのだ。行為の現場を見られたわけでもなく、それを思わせるような姿勢ではなかったものの、見られたのはみっともなく発情した顔と、盛った身体。
それも当の本人に対する、それ。
何か感じるものがあったのか視線をあわせた瞬間、輝夜はごめんなさい!と叫ぶと扉を閉めてしまった。その後、言い訳のように何でもない旨を伝え、入れ替わるように輝夜の布団に倒れてすぐに記憶が途切れて。朝、起きたときは既に風邪を引いていた。
自分はいったい何をしてたのだろうか。何をしてしまったのだろうか。
あまりの羞恥に風邪で言う事を聞かない身体を強引に傾けて輝夜に背を向けると、ずるり、と頭の濡れタオルが枕に落ちた。
「ごめんなさい、怒った?」
「別に怒ってないわ。それよりもうちょっと眠らせて」
「……うん」
濡れタオルの位置を直しつつ火照って赤くなった頬と耳を見て何か言われるのじゃないかと不安になる。そんな不安をよそに輝夜が部屋から出てガラス戸がしめる音が聞こえて、ようやくほっと一息ついた。
まあ――死ぬほど恥ずかしいとはいえ、あれで何か問題が起きるという事はないだろう。輝夜が何を感じたにせよ、いずれ日常に埋没して記憶から薄れていってしまうはずだ。
……でなければ、どうやってこの先、生活していったらいいのか想像もつかないし、考えたくもない。しかしまあ――自慰行為がばれてしまっていたとしても対象が誰か、がわからなければそれでいい。
嫌悪されているようでもないし、すくなくともそこは大丈夫。彼女の考えがそこに及ぶこともないだろう。人間は自分の思考の範囲を超えることは出来ないのだから。
Status Quo.
何も変わらない。何も変えてはいけない。この生活が終わる、その日まで。
輝夜への想いに焼かれて苦むのも自分に与えられた罰なのだろう。
そんな事を想いながら、銀髪の薬師は安らぎの闇にゆっくりと落ちていった。
夕暮れ時の高草荘の階段下。
夕日に照らされて伸びた二つの影は整った顔立ちの美少女と黒い癖っ毛の幼い少女のもの。
癖っ毛の少女は学校帰りらしく制服に身を包み、一見小学生にも見えるその可愛らしい顔に悪戯っ気のある笑みを浮かべていた。
「で、結局どうだったのよ?」
癖っ毛の少女が美しい黒髪の、日本人形のように整った顔立ちの少女に聞く。
「怒られちゃったわ。私にあまり触りたく無いみたい」
姫様と呼ばれた少女は、拗ねたように口を尖らせる。
あんたに触りたくないとはご冗談を、と思いつつも癖っ毛の少女はそれをおくびにもださずに別の部分に反応しておく。
「へえ、師匠が姫様に怒るなんて珍しい」
「……怒るっていうより、構わないでって雰囲気だったけど」
その様子にクスクスと笑った癖っ毛の少女は、まるで廷臣のように芝居がかった言葉を重ねる。
「姫様、わたくしめに良い案が」
「なに?」
「風邪引いてるんでしょ、師匠。ここは献身的に看病してあげるってのは」
「もうやってるわ。大事な人だもの、看病するなんて当然の事よ」
「ほうほう、身体を拭いてあげたり、着替えさせてあげたり、暖めたビールを飲ませてあげたりしたと」
「……してないけど」
「だめねぇ」
「だって、私が身体に触ろうとすると嫌がるんだもの。自分で着替えるとか言って」
不満そうな口ぶり。いつものお姫様らしくないな、と癖っ毛の少女は感じる。
強い拒絶にでもあったのだろうか。それとも何か起きたのか。
「照れてるだけでしょ。病人なんだからそこは、ねえ」
「そうかしら」
「そうだって」
「うぅん……」
思案してる風だが傍から見てもどうしたいかは明白だ。あと一押しがあれば落ちるだろう。
――これは暫く娯楽には困らないな。
最後の一押しをする言葉を捜しながら、癖っ毛の少女は心の中で楽しげに笑った。
ゆっくり続きを書いていってね!
誤字
屈っする
ぐちゃぐちゃんひかき混ぜられた
輝夜相手にはマゾ臭いえーりん可愛い。
これは次回で一線を越えるってことでいいんですよね?全裸で待つことにします。
脱字(?)報告です。
>輝夜バンドエイドを取りに行った
続きが欲しい!今すぐにでも!
いいな、えーりんのことをおもって色々する輝夜に萌えた…
最高でしたw
是非続きを!!
あれ?これ続くんですよね?
すごい気になるんですがががが。