比那名居天子はお年頃であった。
他人の情事も気になるし、恋人だとか結婚だとかそういったことに対して酷く興味津々な年齢であった。最近鏡を使って自分の性器を見たりもする。なんだか想像しているよりもずっと気持ちが悪くて見るのを止めてしまった新しい記憶が未だに残っていたりする。
自分のだからそうかもしれないとは思いながらも、気持ち悪いのは事実なわけで。
自分だけではなく男性の性器にも興味を持ったりする。男性のおちんちんとは一体どんな形なのかとかとか、どれぐらいの大きさだったりするのかとか。自分の性器の穴がそんなに大きくなかったのだし、実際のところ大きいおちんちんといっても精々小さなきゅうりぐらいのもので、そんなに強く痛めつけるものではないんだろうなぁ、とか思っている。
世間知らずらしく物凄い安楽的思考だが、しかし本当に何も知らないのだからある意味しょうがないのだろう。
しかし最近地上に行った時にある話を耳にする。
「へぇ、天人ってのはそのぐらいの年齢まで余りエッチを経験しないのねぇ」
腹が立った。
なんだ、そんなに私は時代遅れなどではない。寧ろ天人の最先端を行ってやるぐらいのスーパー天人だ。あくまで自称だが。
正直な話時代遅れになったのではスーパー天人の名折れだ。そうなってしまわないように今からでも急いで勉強をしに行かなければならない。
かといって地上の連中に聞くのはなんだか腹立たしい。だから、ある程度自分も把握してるような、かつ地上人でない人に教えてもらわねば。
そんなわけで比那名居天子はある一人の女性を目指して飛んでいた。どこにいるのか詳しくはわからないが、大体天界の周囲を回ってるとか何とか誰かから聞いた気がする。目を凝らしながら上空からお目当ての彼女を探そうとしていると、ふと人影が目に入った。
はっとその姿に気づいた天子は、強気な笑みを浮かべると大声で叫んだ。
「おーい、衣玖ー!」
「あっ」
衣玖と呼ばれた女性が反応する。紫がかった青い髪を揺らす彼女は、どこか大人びた風貌ではあったがその顔立ちは幼い少女のように見えた。天子より身長も大きいし、十分に大人ではあるのだが。
衣玖は天子に向かって笑みを浮かべ、こちらに着地して近づいてくる天子を出迎えた。
「総領娘様、今日もお元気そうで」
「あー衣玖。挨拶は別にそんなに堅苦しくなくていいのに。って言うか総領娘って呼ぶなって前言ったじゃないのよ」
「も、申し訳ありません……天子、様」
「そうそう、それでいいの」
天子が強気にそういうと、衣玖の笑顔は一転して申し訳なさそうな表情になる。以前の天界異変の直後から天子は衣玖と少しだけだが交流を持つようになった。天子も元々寂しがり屋だがプライドが高いため、地上の少女達と話そうとしていなかったのだ。
その時に割と近くにいて、ある種では自分の味方側にいた衣玖と天子は少しずつ仲良くなっていた。互いの名前と性格をある程度把握するぐらいにまでは。
ただ、やはりその立場の違いを衣玖は認識しているのだろう。天子に対して敬語をちゃんと使うし、未だに総領娘という呼び方は直ってはいない。天子としてはそれが非常に気に食わなかった。
「……まぁいいけどさ。そんな事より今日はお願いがあってきたのよ」
「お願い、ですか? 私なんかでできることであれば何なりとお申し付けください」
「その従者みたいな態度何とかならないかな……いや、衣玖らしいって言えば衣玖らしいからいいんだけど」
はぁ、と一つ溜息をつく天子。
笑みを浮かべながら少しだけ頭を捻って疑問に思うような顔をする衣玖。その姿を視線に映すと天子は満面の笑みを浮かべて衣玖にこう申し出た。
「あのさぁ、衣玖」
「はい」
「えっちなお勉強、教えてくれない?」
「…………へっ?」
満面の笑みを少し崩し、困ったような雰囲気で聞く天子。
衣玖はと言うと、その天子の言葉を理解するのに少々時間をかけたようだ。そしてそれを数秒間経ってから理解すると――顔を真っ赤にして、俯いた。
「ああっ、あの、あああのあのあのっ、そそそ、そうりょ、じゃなかったててててんしさま!」
「何その慌てようは……そりゃ私だって、恥ずかしいけれど興味はあるもの。男の人の、その、おちんちんとかって興味が無いわけないじゃない」
「そそ、そうですよね、そりゃ、てんし様も、そうですよね」
天子がほんの少しだけ顔を赤らめて言うが、衣玖はと言うと顔が心底真っ赤に染まっていて、それを俯いてどうにか天子に見せないようにしていた。しかしそうは言ってもその口は冷静にはなれずにずっとどもりを繰り返していた。
すると天子は猫なで声を出して衣玖に向かって擦り寄る。
「ねぇん、衣玖ぅ、きっと色々な男の人とかと付き合ったりしてるんでしょぉ? 男の人について色々教えて欲しいなぁ……」
「そ、その、ですね、てんしさま」
「ね! なんでもするからぁ……衣玖さまぁ」
天子が甘えるように耳元でそう囁く。だが衣玖は一向に俯いたまま天子の顔も見ようとしない。
実はこの永江衣玖、かなり大人びた風貌をしていて肉体も非常に熟れた素晴らしい身体つきを持っていて経験豊富そうに見えるのだが、男性と付き合ったことも関係を持った事も一度もない。というか男性と話した事もないという徹底振りである。
だがこんなにも期待に満ちた目で見られて、衣玖とて放り出すわけには行かない。天子が自分を信頼しているというのが大きなプレッシャーとなって背中にのしかかる。
しかし、男性の性器、曰く、おちんちんだとか。そういうのを想像するだけで顔が真っ赤になる。
「ねぇねぇ、衣玖」
「わ、わかりました、私の話せる範囲でどうにか」
顔を真っ赤に染めながらも、しかしどうにか天子に瞳を向けた衣玖。
「まず、その、何から教えればよいです、か?」
「そうね……まず、その男の人のおちんちんなんだけど」
「お、おち、おちん、ちんです、か」
改めて自分でその言葉を放つとさらに顔が真っ赤になる衣玖。天子がふと疑問を浮かべるような表情で衣玖の顔を覗き込む。それを見ると、衣玖はどうにかして表情を引き締めようとした。
「男の、人の、あの、その、おちん、おち、おちんちんは、ですね」
「……衣玖、大丈夫? 顔真っ赤だけど」
「あの、その、えっと、えっとぉ……」
かぁぁ、と既に真っ赤であるというにに更に更にとどんどん赤くなる衣玖の表情。夕焼けの空よりも赤い衣玖の顔、瞳にはうっすらと涙すらも浮かんでいた。まるで天子が衣玖を苛めているようにも見えた。
流石に空気が読めないと巷で評判の天子もこの異変には簡単に気づく。そしていぶかしげな表情を浮かべるといくに向かって少しだけ申し訳なさそうに質問をする。
「……あ、あのさ、衣玖」
「は、はい、はい」
「実は、男の人と付き合った事無いとか、そういうのだったりする?」
「え、ええと、その…………実は」
「……先に言ってよ、もう」
「も、申し訳ありません。天子様に、頼りにされて、何もできないのは、とても申し訳なく思ってしまいまして」
衣玖の嗚咽が細切れに響く中、天子は一つ溜息をついた。
天子も例に漏れず、この衣玖が男性との経験がないとは微塵も思っていなかったからだ。自分よりも非常に発達したその肉体は、女性の視点から見ても非常に魅力的な物だ。世の男性は一瞬で虜になってしまう。そんな魅力を全身から醸し出していた。
「ふむ、予定外」
「も、申し訳ありません」
「いいのよ。私も無茶なお願いしちゃったみたいで悪かったわ……それにしたって、おちんちんの話ぐらいでこんなに真っ赤になるだなんて予想外だったわ」
「その、その……」
そうやって天子が話している最中もまた顔を赤らめる。本当に初心なのだろう。天子の推察では男性と手を握った事無いのだろうとも判断した。それ以上の物だとは知るよしも無いわけだが。それにしたってどうしようかと思う。男性が苦手だとするなら衣玖からこれ以上男性に関する性知識を聞けるわけも無いのだし。
「それにしてはおっぱいとか大きいわよね、衣玖。自分で揉んだとかしたの?」
「そっ、そんなことしてません!」
「ムキになって否定しなくても……まぁいいわ。衣玖、一応私に色々教えてくれるって意思はあるのよね?」
「で、できるならば。ただ、やっぱり男の人に関することはちょっと……」
「うん、だから女の人の身体に関する事で良いよ」
「……はい?」
天子はそういうや否や、おもむろにその手を衣玖の胸に伸ばした。
衣玖が一瞬びくっと身体を震わせるのを尻目に、天使の細い指の群れが統率を取ったようにして動いて、ぐにゅり、と服の上からその大きな胸を揉んでいった。
「ひゃあああああっ!?」
「わぁ……凄い、柔らかい」
「てっ、天子様!?」
服の上だと言うのにしっかりと、その弾力と張りがそれぞれの指に乗ってきた。先ほどのように叉真っ赤に顔を染める衣玖を見ると、天子の中にまた新しく変な感情が生まれる。
不思議とこの真っ赤な顔をして恥らう衣玖を見る度に、胸の奥底がざわめく。もっと彼女の困る、恥ずかしがる表情が見てみたくなった。すっと、開いた右手を衣玖の方に回した。
「天子、様っ」
「衣玖のおっぱい、凄く大きくて、柔らかくて……羨ましいな」
「やあっ、天子様、おやめくださっ……ひんっ!」
左手は衣玖の胸をがっしりと鷲掴みにして離さない。そして衣玖が暴れたりしないように、力強く右手で彼女の全身を押さえつける。左手のそれぞれの指を器用に動かして、乳房に刺激を与えていく。
胸だけでなく身長を含む身体全体が天子よりも若干大きい衣玖なのだが、天子はその僅かに小さい身体で押さえ込む。
必死に抵抗する衣玖ではあったが、心の中で天子に逆らってはいけないという想いもあるのだろう。素直に天子の優しい愛撫を受け入れる。
ぐにゅり、ぐにゅりと。服の上からでもわかりやすく、その大きな胸は餅のような弾力と柔らかさで自在に形を変えながら、細い指に蹂躙され続ける。指で押さえつける度にその場所は強くへこむが、しかしそれを放した時にその形はまるで元のように戻る。
天子はそれがなんだか面白くて、そして妬ましく感じていた。視線を、自分の胸に向けた。スカートの腰元が見えた時に、思わず胸を揉む指に力が篭っていた。
「んっ!?」
「……ホント、大きい。何で、こんなに大きいのよ」
天子は段々と腹が立ってきた。
母のように全てを包み込むかのような大きな胸は、同じ女性としては羨ましく妬ましい。ギュッと、衣玖を逃がさないように抑える右腕にも自然と力が篭っていた。それは何一つ不思議なものではない。女性としては当然の、想いがあってこそその力が放たれる。
指の力も段々と熱が篭る。ある意味では、興奮なのだろうけれどもそれは性的な興奮ではなく、熱意と嫉妬。指を綺麗に動かすことではなく、単純に手のひら全てを使っての鷲掴みの状態になっている。
その掌の中心が、得も知れず衣玖の乳房の中心に、触れた。
僅か触れただけなのに、その部位の感覚だけは刃のように研ぎ澄まされて。
「ひ、あぁんっ!!」
「っ……び、びっくりした。そんなに大声上げなくても……」
その声に我に返る天子ではあったが、その時に衣玖の表情を覗き込んだときの異変に気づく。
まるで、子供。幼い童女のような衣玖の弱々しい表情に天子は一瞬声を無くしてしまった。
いつも見ている衣玖とは、全く様子が違う。自分がいつも見ている彼女は、確かに自分の強引な行動には素直に受け入れてくれるが、それでいてちゃんと叱ってくれる珍しい人物だ。叱られる時はやはり腹立たしくはなるが、自分の事を考えて言ってくれてるものと思うと下手にそうも言えないし、感謝もしている。大人の女性、自分にとっては姉のように考えていた。
けれど今の彼女はどうだ。まさに子供だ。顔を真っ赤にさせて、目尻に涙を浮かべながらも天子のする行為に必死で耐えている。力強く身体を握り締めていた右腕は今まで気づかなかったが、その腕を少し力を緩めたときに肩が僅かに震えている事に気づいた。
艶めかしい唇が、震えながら小さく言葉を放っている事に気づいた。
ごめんなさい、ごめんなさいと。
本当に、幼い子供だ。いじめにあっている幼い少女と同じだった。
天子の胸に二つの気持ちが去来する。ドクンと、その自分が触っている物とは全く違う小さな胸。強く動いて、頭の中がかあっと熱くなる。
一つ目の気持ちは、罪悪感。本当に悪い事をしてしまったのだろうという良心が胸の中で疼いて自分自身を貶める。衣玖の目尻の涙が増えるたびに、その気持ちはどんどん強まっていった。それでも、その左手はしっかりと衣玖の胸を鷲掴みにしていて。
その胸を掴む気持ちを突き動かすのは、もう一つの感情。
それが、思わず胸の奥底に宿ってしまった興奮感だった。
彼女の泣いている顔を。涙を流す姿を、間近で見るたびに、心の中が高揚する。背筋を伝わり、頭の奥底までを一瞬で熱くさせるのだ。
「……衣玖」
「っ……は、はい……?」
「今、どんな気持ち?」
「……」
天子は、その感情を押さえつけるようにしてその言葉を衣玖に問う。
衣玖は少しだけ、本当のことを伝えるのが失礼であるかのように感じたのか少しだけ視線をそらした。そして、今にも泣き出しそうな小さな声で、告げる。
「……怖い、です」
「ッ……」
「天子様が、こうして私の胸、を揉んで、いるのが……その、とても、怖い。少しずつ力を入れてきて、ちょっとだけ痛みが走るのが、怖い、です」
ぞくり。
囁く悪魔の言葉が、一気に天子の頭をつきぬけた。
普段は自分の事を慕ってはくれるが基本的には大人の立ち振る舞いで自分より優位に立ち、結果として自分に比べて遥かに大人びた彼女が。
今、自分の右腕の中に包まれて子供のように泣きそうになっている。
圧倒的に今、自分が衣玖よりも優位に立っているという事実。衣玖が、こうして自分に対して恐怖を感じているという現実。事実として、今、圧倒的に天子が衣玖を蹂躙できるという状態が、天子の心の中に悪魔を呼んだ。
柔らかな、性的欲求を齎させる大きな胸を手の中に収めているのもその興奮に拍車をかけて。
もっと、もっと見てみたいと。この、衣玖が泣く顔が。衣玖が怖がる姿が。
「天子、様……?」
怯える彼女。
すっと、逃がさないようにと回していた右腕。その先の、掌をゆっくりとしたに下げていく。背骨のでっぱりをそっとなでるようにして。その掌は腰を通り抜けて、二つの大きな出っ張りへと辿り着いた。自分が特別なところを触られていることに、その時衣玖も気づく。胸だけでなく、その尻のところまでも触られて、うっすらと気持ち悪い感触が脳に伝わっていった。
眉をしかめ、天子に視線を向けた。しかし、天子はその指の動きをやめようとしない。ピアノを弾くように、全ての指が揃う事無くも規則正しい動き。ふっくらと膨れ上がった柔らかな尻の弾力をそれぞれの指が確実に味わっていた。
スカートの上からであるというのに、なんと言う卑猥な感触なのだろう。左手で胸の愛撫を続けるのも相まって、段々と興奮の感情が強まっていく。
天子がわずか視線を上げると、自分の事を本当に恐れるような瞳で見つめる衣玖の姿が映った。また、先程と同じような、背筋に伝わる圧倒的な興奮感。
「んっ、ふぅっ……」
天子に対する恐れを堪えるような荒い息遣いが、更に天子の心の中の興奮の芽を育て、ぐんぐんと成長させていく。衣玖が抗えど、従えど、それは自然と募っていく。
服の上からでもはっきりとわかる、その感触と弾力と大きさ。女性として酷く魅力的な肉体は、もはや嫉妬心を吹き飛ばしていた。
ただ今思うのは、彼女を貪り食いたいというただ一つの感情が天子の心の奥底から這い上がってきているという事。心臓に届き、ドクンと鼓動が鳴る度に、血液に乗ってその感情が全身を駆け巡っていく。興奮は心に留まらず、体を熱くさせる。
それが全身を巡り巡って行くに連れ、更に強く求めるのだ。
「衣玖……」
「は、はいっ……」
「ごめんね、もう私、我慢できそうに無い」
「えっ……ひやぁっ!?」
徐に、天子は胸を揉んでいた左手の動きを止めた。
一瞬だけ、安堵の表情を浮かべた衣玖。けれどもそれは、本当に一瞬。
獲物を見つけた蛇が如く、勢いよくそれは目標に向かっていった。上着の裾の中から、一気に左手を突き入れる。そのまま、左手は獲物に確実にかぶりついた。
永江衣玖の、何も纏わぬ素の状態の乳房に、届いた。
「ひっ……いやっ……!」
衣玖の心が、恐怖で凍りつく。服の上からで、直接揉まれる姿が見えないとはいえその恐怖は直に、伝わっていた。服の下に潜り込んだ天子の左手は、がっしりと衣玖の乳房をつかむ。
衣玖の心とはまるで対照的に、熱く、火照るのは天子の想い。衣玖の乳房の持つ熱が、よりそれを高めさせた。
服の上からとは、全く違う。感触こそ似ているものかと思っていた。しかし、それすらもやはり違うのだ。ほのかな暖かさ、触れる弾力と感触は直に触れるからこそ味わえるもの。掌に感じるそれは、より自分の心の中の劣情を燃やす。ぐにゅりと、力をこめた瞬間にそれはより大きく、先程まであった欲望の種火は炎へと燃え上がっていく。
「てんし、さまっ……やめて……もう」
「……やだ」
その、懇願に。天子はにべも無くそう答えた。
顔を真っ赤にして、本当に嫌がる衣玖の姿を見て、それで尚止めるということを考えようとしない。
それほどまでに、今こうして衣玖の胸を蹂躙する事に興奮している。
左手の指を、動かす。ただ柔らかな胸を揉むだけでは、飽いてきた。天子自身も、衣玖の胸を触っているのは感触だけで、それを服の中に包み隠され目で確認することはできない。探るように、その服の中の、未知の空間を探索するかのように。
動かした人差し指が。意図したわけでもなく、乳房の突起に触れた。その瞬間、衣玖の表情が怯えから驚愕へと、一転する。
「っ、ふぁっん!!」
「……ここ、弱いんだ」
「やだ、やだ、やだぁっ」
幼い子供のような、否定の声が衣玖の口から漏れる。普段の衣玖からこんな姿がただの一度でも想像出来ただろうか。
出来ない。出来ないからこそ、この姿に天子は誰よりも興奮する。
まだ涙をこらえるのが、なんだか愛おしくなって。
人差し指と中指で、乳房の突起を軽くつまむ。衣玖の瞳が潤み、涙がこぼれそうなのがはっきりと目に見える。それでも堪えようとするのが、なんとも衣玖らしいとは思う。
だから、泣かせてやろうとすら思った。泣いてほしいとも思った。
「ねぇ、衣玖」
「っ……な、なん、で、す」
「この、今私が指で挟んでるもの、何かしら?」
「ひんっ……!」
天子は、その突起を二つの指で挟みこみ、軽く指をゆすった。
一つ、一つ軽く指同士をこするように動かすたびに、衣玖の肩がびくり、と震える。触れるたびに電撃を感じたかのような、痺れにも近い震え。
僅かに下から衣玖の瞳を覗き込むように見て、指の動きを止める。
「ねぇ、答えて?」
「は、挟んで、るもの……」
「答えられるでしょ? 衣玖、頭いいもの」
優しく、しかし今の衣玖にとってはそれはどれほどまでに拷問か。
ただ単純に恥ずかしいだけではあるが、しかしそれを強制されるということ。そしてそれが、自分よりも立場が上の者からに強要されてる故に、否定の言葉が出せない現実。
だが、答える事は己の羞恥心を圧倒的に曝け出す事になる。それが、例え自分にとっては従う立場のものであっても、自分自身を捨てきってまで答えられるほど強い精神は持っていない。
沈黙。衣玖は、そうするしか出来なかった。
「ねぇ、衣玖ったら」
「……やめ、て」
「……ふぅん、答えないつもりなんだ」
強く、指で突起を挟んだ。
びくりと、衣玖に強い電撃が走る。今までに感じたものを遥かに凌駕する、痛みを超えた感情。
心の奥底は恐怖で埋め尽くされているのに、底から湧き上がるまた特殊な感覚が衣玖に襲い掛かる。それが何であるか理解はできていても認めたくはなかった。
また一回、強い刺激が突起から全身に触れわたった。恐怖を乗り越えるほどの新たな感覚が生まれそうになってくる。
「衣玖? そんなに答えたくないの?」
「っ、そのっ……」
「わかった、わからないのね。しょうがないわよね、見えないんだもの」
「……え?」
ぐっと。天子は衣玖の身体を押さえつけていた右腕を、衣玖の上着の裾にかけた。そこに、思い切り力をこめて、引っ張る。
柔らかな布が、あまりにも脆く一瞬で、裂かれた。一瞬なにが起こったのかは、衣玖には全くわからなかった。ただ、押さえつけていた右腕が一瞬離れた事で、衣玖と天子はバランスを崩した。衣玖はそのまま後ろに、倒れる。天子もまた、押し倒すような形で衣玖の上に倒れた。
衣玖の上着は、完全に引き裂かれ。二つの大きな乳房が、天子の前にと姿を現していた。
衣玖はその身を駆ける空気の感覚と、その僅かに自分の顔からも見える二つの山を見て自分の原状に気づき、我に返る。
「い、いやぁっ!!」
「へぇー……やっぱ直接見ると大きいわね、ふふっ」
「やだっ、やだぁ、やだ、やだ、やだ、やだっ……!」
顔を、林檎のように赤く。
瞳からはとうとう涙が零れ落ちた。幼い少女のように嗚咽を流しながら、天子の下でただ泣きじゃくる。う、と流石に唸る天子。高ぶっていた興奮も勿論無いわけではないが、今になってそれを超える罪悪感が心の奥底に溢れ出て来た。
かといってこの状態から彼女を起こそうとも思えない。このまま喰えるなら喰いたいと思うぐらいなのだから。
天子は、ふぅと一息付く。そして左手を胸から離した。未だ泣きじゃくる、彼女。
両手を、頬に重ねた。泣きじゃくった彼女は、その時だけ天子に視線を向けて。
天子は優しく、永江衣玖の唇に自分の唇を重ねた。
「――!?」
何度目になるかわからない驚愕。衣玖は天子の下で暴れようとするが、しかし天子が上に乗っかっていて思うように動くことは出来ない。天子は優しく、しかし深く舌を突き入れるようにして口付けを続ける。
口の中で、天子はゆっくりと舌を動かしていく。舌を舌で、ゆっくりと味わうように。口の中の熱がしっかりと伝わってきた。ざらっとした舌の味は天子にとって若干苦く感じたが、味わっていくたびに衣玖の唾液が入ってくる感覚。天子にとってはオアシスの水のようにも感じた。
数十秒ほど、舌で衣玖の口の中の隅々を舐めとるようにキスをした。ようやく唇を離すと、していなかった呼吸をすべてその一息に、大きく深呼吸をする。
衣玖の呆然とした顔を、天子は優しくなでた。
「天子、さま、何を」
「へへ、ごめんね、衣玖。ちょっとだけ悪乗りしちゃったみたい……」
「……」
衣玖の瞳が、いつもの幼い様相の天子の姿を捉える。
それはいつも見ている、永江衣玖の知る比那名居天子の姿。幼く、生意気で、素直になれなくて。それでも自分に対して優しい天子の姿。
「衣玖が、可愛かった」
「なっ」
「普段さ、あんな衣玖見ないから。ちょっと、可愛くなっちゃって」
「……全く、もう」
「あはは、やだだって。衣玖があんな事言うのはじめてみた」
「……ホントに、恥ずかしかったんですよ?」
涙目のまま、衣玖は天子を睨み付けた。今更睨み付けたところで、先程の弱さが打ち消せるわけではない。むしろ負け惜しみに近い形で、精神的に自分が圧倒的に負けてるのははっきりと衣玖にもわかる。本当に天子に頭が上がらない状態だ。
ふふっ、と天子が微笑む。
「服もこんなにしちゃったしね」
「あ……」
破れちぎられた服。
そこから覗く、というよりもはっきりと見える二つの双球。胸にそのまま小粒のメロンを二つくっつけたかのように大きなそれは、ゼリーのように揺れて天子の視線を釘付けにする。衣玖はそれを思い出すと、両腕で胸を隠そうとする。少しだけ冷めた顔は、再び紅く染まる。
「もう……」
「……ねぇ、衣玖」
「な、なんです」
ニヤついた天子の笑み。しかし衣玖には悪魔の笑みにしか見えなかった。二重の意味で。
天子は衣玖の、胸を隠す両腕に、その手を重ねた。
「今度は……無理矢理じゃなくて。衣玖にちゃんと許可を得てから」
「……ど、どういうことです」
「こういうことっ」
そっと、天子は顔を衣玖の顔へ近づける。
衣玖はまた、先ほどのディープキスの事を思い出したのか、思わず目を瞑ってしまう。多少の恐怖感が残っていたのだろう。
しかし、いくら待っても、あの不思議な感覚は襲ってこない。ふと瞳を開けると、それと同時に耳元に僅か、語りかけるような柔らかな言葉と小さな風が吹き抜けていった気がした。
「えっち、しよ」
「へ」
「衣玖とえっちなこと、したい」
多少弱々しくも、ちゃんとその言葉を告げる。天子は、その顔を衣玖の顔の横にもっていき、口元を衣玖の耳の傍につけてその言葉を言った。
思わず衣玖の思考は若干の停止を迫られる羽目になった。その言葉を、どう取ればいいのか。考えれば考えるほど、衣玖の心の中の恥じらいは強まり、天子に見えない中でその顔はどんどん熱く紅くなっていく。
「ああああ、あの、あの、あの」
「ううん、いいの。衣玖がしたくないなら、それでも」
「天子、様」
ぎゅっと、ちょっとだけ力無く、天子は衣玖の体を包み込むように抱きしめた。先ほどまでの悪魔のような顔はどこへやら。今はただ、普段の天子がそこにいた。
衣玖はそっと手を胸からどかし、天子を抱きしめ返した。
「一つ、お聞かせ頂いてもよろしいでしょうか」
「……なに?」
「どうして、私なんでしょうか」
「どうして、って」
「天子様であればいくらでも、下の者などがおりましょう。その中でも、どうして私なんかに、その、えっちな事を聞いたりしたのか」
言いながら自分が真っ赤になってては世話無いな、と衣玖は心の中でつぶやいた。
天子は少し黙っていたが、顔を上げると衣玖の目の前にその顔を近づけた。どくん、と大きな胸の中の心臓が、その胸に負けないぐらいに跳ねた。
「好きだから」
「へっ?」
天子の告げた、告白。
それに対して喉の奥から出てきた声は、衣玖自身とんでもなくわかるぐらいに呆けた情けない声。頭の中がぐるぐると渦巻き始める。
「衣玖の事が、大好きだから」
「あ、ああ、あの、あの、あのあ、あのあの」
「あ、ごめんね。いきなり言われても困っちゃうよね」
天子が、えへへと笑う。年相応の彼女の笑み。
しかし、衣玖の戸惑いもある意味では当然ではあった。天子は天人と言うある意味ではもっとも高尚な立場で、衣玖は単なる龍宮の使いという種族の一介の妖怪に過ぎない。妖怪の中ではある意味で特別な種族ではあるが、天人にその域が辿り着くわけも無く。結局のところ、釣り合う訳も無い関係だ。
今目の前でただ笑う彼女が、そんな特別な存在だとは到底思えないけれども。しかし事実。
「でも、やっぱり、衣玖であってほしかった」
「その、天子様」
「我侭だとは思う。ま、私だからしょうがない、なんて言い訳でしかないかな」
天子は、衣玖に馬乗りになったままでそう喋る。
我侭な彼女。衣玖もその我侭さはよく知っている。けれども最近は、少なくとも自分の前では素直だった。
手のかかる娘。妹のようで。血の繋がりなどちっとも無いのに、そんな感覚を衣玖は感じていた。
「衣玖がいやなら、それでいいよ。所詮は、私の我侭だから。付き合わせちゃ、悪いし」
「……」
「うん、ごめんね、我侭、で」
天子は、申し訳無さそうに笑う。
自分にとってもお遊び感覚だったのかもしれないと思い出す。結局は我侭で衣玖の事を怖がらせてしまって。普段からそんな自分。
悪いことをして、怒られない子供がどこにいるだろう。嫌われてしまったのかもしれないという不安も胸いっぱいに広がって。
天子は、馬乗りになっている自分の体勢を思い出し、衣玖にこれ以上迷惑がかからないように立ち上がろうとした。
そっと。
衣玖から伸びた手が、天子の背中にまわって行って。背中をぎゅっと、強く締め付けられるように衣玖は力をこめて。
力なく立ち上がろうとした身体は、勢いよく衣玖に吸い寄せられる。
得も知れず、衣玖が天子を胸で抱きかかえるような体勢になる。今度戸惑うのは、天子。柔らかな胸の中に包み込まれるような形になった。
「えっと」
「天子様」
「は、はい」
思わず敬語を使ってしまう天子。衣玖の心臓の鼓動音が、大きな胸を通して聞こえてくる。その大きさに天子が驚いていた。口調はこんなにも冷静に戻って、いつも通りの衣玖なのにも拘らず、その鼓動音はどくんどくんと、その顔が胸にくっついていなくても聞こえるほどなのではないかと錯覚させる。
「私は、天子様とは釣り合わない単なる一介の妖怪でございます。それでも、貴方様に対する感情を告げさせていただくならば」
「……」
「私も貴方様の事が好きです」
言葉が、少しだけ震えていた。それがなにを意味するか天子にはわからないけれども。
少しだけ上げた顔の先では、衣玖がいつものように柔らかな笑みを浮かべて自分を見つめてくれていた。
「……ただ、やっぱり考えてしまうんです。自分と貴方様の違いを」
「……」
「自分は所詮は妖怪風情。天人との違いは明らかであるのに、それでいても互いが互いを好きだなんて――」
天子は、少しだけ力を入れてその抱きしめられた身体を前に進む。衣玖が少し驚くような姿を見せるが、気にせず天子は突き進み。
そのまま、軽く唇と唇を合わせる程度のキスをした。
「っ!?」
「二度目なのに、そんなに驚くことは無いでしょ。さっきに比べたら優しくしたのに」
「と、突然されたら誰だって」
「衣玖」
天子は、衣玖の手をとった。そして、それを自分の胸においた。衣玖に比べて酷く小さく、胸と呼ぶには余りにも平らなその場所。それでも女性の大事なところであるのに代わりは無い。その秘部を触らせているのは、やはり恥ずかしい。天子も自分の顔が少しだけ熱くなるのがわかる。衣玖はどれほど恥ずかしいのだろうかと、少し考える。
「私は、衣玖が誰だからとか、そんなの関係ない。そんなこと考えることも無いぐらいに好きだから」
「……その」
「衣玖が私のことを好きなら、それでいいの。恥ずかしいんだからね、こんな事言うの」
天子も、わかっている。自分の心臓がとんでもなく強く動いていること。胸を触れさせているのもあいまって、恥ずかしさはより強くなっていく。
衣玖の顔も真っ赤なのが、天子にはよくわかる。互いに恥ずかしいのだというのが。
「だから、その」
「……そう、ですね」
衣玖の口が開かれる。そして、その両手を広げて。
完全に胸を、天子に対して曝け出す体勢。ぷるんと揺れる二つの胸が、天子の目にしっかりと入り視線を一気に釘付けにする。嫉妬と羨望よりも先立つのは劣情。例え女性であろうとも、それを見せられて興奮しないわけは無い。
「私も、そんな天子様になら、なにをされても……怖くないです」
「……ほんと?」
「ほ、ほんとです」
「声、震えてるわよ」
すっと、天子は空いた手を衣玖の胸の上に置いた。衣玖の身体が一瞬びくりと揺れる。天子はその姿を見て、小さくため息をついた。
「ほら」
「……す、すいません」
「いいの。じっくり慣れていきましょ」
ぐにゅり、と胸を揉み始める。一回揉むたびに、衣玖の顔がかぁっと熱くなる。両手に、それぞれの丸い玉を握らせ、直接揉んでいく。心臓までに遠く乗ったその二つの果実は、弄る方も弄られる方も、全身が熱く燃え上がる劣情に苛まされる。
「んっ……ふぁ」
「衣玖、色っぽい」
「そ、その、恥ずかしいです」
「もっと恥ずかしくさせてあげるから、大丈夫」
天子は、そういうと右の乳房の突起に、人差し指を触れさせた。今までに無い、大きな震えが衣玖に襲い掛かる。びくりと、天子の下で衣玖の身体が震えた。ニヤついた楽しげな笑みを天子は浮かべて、衣玖に問う。
「さて、先ほど出来なかった質問を今しましょう」
「は、はい?」
「これは、なんて言うのかな?」
先程と同じように。体勢こそ違うものの、問うもの、問い方は変わらない。
人差し指と中指。今度ははっきりと見える体勢。衣玖にもはっきりと見えるようにそれを器用に指でつまみながら、衣玖に向けて天子は少しだけいやらしい笑みを浮かべた。
衣玖は、再び言葉に詰まる。先程に比べ恐怖感が無くなったにしても、恥じらいまでが掻き消えたわけではない。その言葉を告げようとして、唇が反逆をする。
「え、えっと、その」
「今度は、ちゃんと言ってもらいたいなぁ……」
「っ、えっと……ち……ち……」
「何かしら? 聞こえないわよ?」
ふふ、と不適に笑いながら天子が衣玖を攻める。その口調は、どことなく粘っこく、しかし慣れていない雰囲気がはっきりと滲み出ているようでもあった。
衣玖も恥ずかしがりながらも、それに答えようとして。ちゃんとした受け攻めのようで、そうでもない。
衣玖は恥じらいを堪えて、その言葉を口から放つ。
「ちく……ちくび、です」
「よく言えました」
優しく、衣玖の乳首を人差し指で押さえつけた。ビリッと、普段は自分が放つ電撃が、そのまま帰ってきたかのような感覚。
それを快感とはわからないが、気づいてる感覚の一つとしては、それが気持ちが良い物だという事。衣玖の心にのしかかる、優しくも自分自身を震わせる感覚。
「衣玖は頭がいいから、わかって当然だとは思ってたけどね」
「そ、そんな、こと」
「それじゃ、ご褒美を上げる」
そう言うと、天子はその胸に顔を埋めるかのように近づけた。
大きく膨らんだ胸の丸み。先の乳首へと、口元を寄せていく。衣玖には何をするのか、わからなかった。
軽く小さな舌を伸ばして。突起を、優しく舐めた。
「っ!?」
唐突な行為。今までにない感覚が、乳首から背筋に渡り脳に伝わっていく。口に出すまでもなくわかる、快楽。驚きは特別な悦びへと繋がって行く。
指で触られる時とは圧倒的に違う、ざらりと、ぬるりとした感触が衣玖の乳首に触れて、今までを強く越える快楽が襲い掛かっていった。
天子もまた、不思議な感覚だった。今まで、食べるべきものしか口にしなかった天子にとって、人肌を舌で舐めるなんてことは初めてだった。初めて舌で触れた衣玖の乳首の感覚、乳房の柔らかさに相反してがっつりと硬くなっている。緊張や興奮が乳首に現れると言う話はよく聞いてはいたが、ここまではっきりと硬くなる物だとは思っていなかった。
もう一度、舐める。衣玖の体が揺れると同時に、先程よりも更に硬くなっているのに気づいた。舐めるごとに、そこがどんどんと、興奮によって形作られているのがわかる。
「てっ、てんし、さま」
「んっ、ぴちゅ……ん……」
乳首を舐める度に、唾液が滴って乳房まで唾液が垂れていく。きらりと光る唾液が、天子にとって自分の物ながら衣玖の身体を流れているというそれだけで美しく見えた。
だんだんと、ただ舐めるだけでは飽き足らなくなってきたのだろう。呆けたような、もはやただ貪り食うしか天子の頭の中には意思がなくなってくる。
思い切り、突起を中心としたところに、優しく齧り付いた。
「んっ!!」
衣玖の喘ぎ声が大きくなる。
むしゃぶりついた突起の先を、強く天子は吸った。幼子が乳を求めるとのと同じように。ちゅう、ちゅうと音を立てて一回一回、吸い込むたびに、衣玖が身体全体を捩じらせて動く。
「んっ、ふぅっ、んぅっ!」
「んちゅっ……ぷはぁっ。衣玖、そんなに動いたら、もっと感じちゃうよ……?」
「そ、そのっ……」
衣玖が何かを答えようとする前に、再び天子は乳首にむしゃぶりついた。何度も何度も、乳の奥底から母乳を引きずり出すかのように、力強く何度も吸い、しゃぶる。ただただ、永江衣玖を食べたいと思う心がここまで天子を突き動かす。
乳首から、衣玖の熱が天子に伝わって。同じように衣玖も、天子の熱を強く味わっていた。吸われる度に、襲い掛かるのは空の向こうに飛び立つ感覚。頭の中がぼうっと、燃え上がるように。灰になって頭の中が真っ白に消えてしまいそうに燃える。快感は、言葉で告げるには無粋なほどに燃え上がり、身体の秘部に快楽が集い、全身が熱くなる。
「っ、はぁっ、ん、はぁっんっ、ふぁっんっ!!」
むちゅう、ちゅうと、その大きな胸を萎ませるのではないかと言うほどに天子は吸った。衣玖の快楽は強く、果てしなく昇っていく。
興奮と快感が、自分が認識できる領域を、超えた。
全身が自分の物ではなくなる特別な感覚。興奮と快感は全てを圧倒的に越え、衣玖の心を吹き飛ばすに十分な快楽。全てを貫いて、一気にそれは衣玖から全てを解き放つかのよう。
衣玖の快感は、その限界をついに突破して。
「ん、ふぁっ、ふぁぁっ!!?」
絶頂へと、達する。
声を荒げた衣玖の動きが止まった事に気づいて、天子は乳首を吸うのをやめる。天子は笑いながら、達した衣玖がそのまま空を仰いだように倒れ伏す姿を見つめる。今までに見れなかった彼女の絶頂に達した姿は、何とも言えないぐらいに妖艶であった。
その姿を見ると、また興奮を隠し切れない。荒く息をつく二人。片方の目は生き生きと、まだ食い足りないと言わんばかりのギラギラした瞳を見せ付けるのに対し、もう一人は半分完全に力尽きて倒れてしまった状態。
「衣玖ぅ、まだまだ。こんな簡単に、終わったりなんてしないからね」
「んっ……はぁっ……天子さ、ま。もう少し、ゆっくり……」
「だーめ。もっと、今度は別の形で衣玖を沢山味わうの」
そっと、天子はスカートの上に手を這わせた。
その瞬間、衣玖の顔がはっとなる。抵抗しようと起き上がろうとするが、その身体が天子に抑え付けられている形になっていて、動くことがままならない。
「て、天子さまっ、そっちは……」
「こっちも、ゆっくり食べたいわ」
「だ、駄目っ、そこまではっ……んっ……!」
反論は、三度目のキスで防がれた。再び、舌を絡める濃厚な口付け。天子はその舌に、先程の乳房の余韻を感じながら衣玖の舌を舐め回す。歯の裏までしっかりと舐めとり、衣玖が何も考えられなくなるぐらいに熱くなるまで、しっかりと全体を舐めて、吸う。
衣玖持つ全ての液体を、自分の中に入れてしまうように、びちょり、びちょりと口の中で液体同士が混ざり合う、不快感と幸福感を同時に齎す音。
そのキスの間に、天子の左手がスカートの中を弄り始める。
「……ッ!!」
衣玖が、異物の侵入に対して抗うが、その抵抗の力も全て唇から吸い取られているような感覚。天子の舌が衣玖の舌と絡む度に、衣玖からどんどん全身の力が抜けていく。
天子は、スカートの中に手を入れて、すぐにわかる感触。すべすべのお腹を越えた先の、柔らかな下着の感触。それが、まるで水をぶちまけられたように濡れている。天子は今までしっかりと押さえ込むように吸い込んでいた衣玖の唇から自分の唇を離して、少し息を吸い込んだ。
衣玖もようやく話されて、その濡れた唇でどうにか呼吸をする。抵抗しようにも、身体が動かない状態。
「ねぇ、衣玖」
「は……は、はい」
「凄いね、スカートの中……こんなにぐちょぐちょになっちゃって。本当に衣玖はえっちなんだから」
「はず、はずかしい、です……」
「うん……そう、だよね」
天子は、微笑みながら衣玖の言葉に答えた。真っ赤な顔をした衣玖を見て、心は酷く熱くなる。
それと同時に――一つ、今までの単なる劣情とは別の感情が、起き始める。
「だから、衣玖」
「は、はい?」
自分の服のボタンを、開いた右手で解き始める。一つ一つ丁寧に、ゆっくりと。
上着のボタンが全部解き放たれて、天子の純白の下着が衣玖の前に姿を見せる。衣玖は、さっきまでとは別の意味で驚きを隠せず、赤面する。
「てて、天子様」
「下着も、脱ぎたいけど……どうしようかしら、衣玖のぱんつの中に手を入れてるからこのままだと脱げないのよね」
「そ、その、手を、抜けば、よろしいのでは」
「やーだ」
「ひうんっ!?」
下着の中を、指で弄られて衣玖は喘ぎ声を放つ。ただ触れられているくすぐったさではあるが、濡れたその部位に強く指が乗るだけで、興奮が抑えられないぐらいに漏れ出す。
「あはっ、衣玖可愛い」
「そ、その」
「……じゃあ、こうすれば対等よね」
そう言うと、天子は自分の下着を力強く握り締めた。純白のシャツは、胸だけではなく腹部全体まで隠している。幼い天子の胸はわざわざ胸当てで隠すほどのものでもないのだろう。
すると、天子は勢いよく自分の右腕を何も無い空間に向けて、力を込める。
「っ――!?」
引き裂く。下着を、力強く。
左肩と一部しか隠さなくなってしまい、意味をなさなくなった下着。全く大きくない、無いといっても過言ではないほどのその胸。しかし、その胸には衣玖と同じように、小さな突起がくっついていて確かにそれが胸であることをはっきりとわからせる。
衣玖は、まさに陸上の魚のように口をぱくぱくと開きながら、その姿を呆然と見る。白い素肌に、ぷっくりと浮かぶ二つの赤い突起。コントラストが、その小さな胸の存在を引き立てる。
「ね、これで……お互い、一緒だよね」
「て、て、ててて、天子、さま」
自分の小さな胸を曝け出して、衣玖に見せ付けるように身体を近づける。互いの胸同士を、擦り合わせて。衣玖だけでなく、その小さな胸の突起から、天子にくすぐったさを催す快楽が優しく襲い掛かる。
「衣玖だけっ……気持ちよくなって、恥ずかしく感じて……そんな一方的なのは、ずるいわよね」
「……天子、さま」
「さっき私がした分、好きなだけ衣玖も……して、いいよ」
天子は、わざとらしくも美しく、微笑んだ。愛らしさ以上の色っぽさを醸し出す。
言いながら、天子はゆっくりと衣玖の下着の中へと入れた左手の指を動かす。下着の中の世界を、自分の視線の中にないその場所を、探っていくように。
指が一回動き、割れ目を沿うようになぞる。
「やんっ、ふぅっ……!」
「んっ……はぁっ、うんッ……」
衣玖が喘ぎ、その快感に身を委ねるように身体を捩る。その姿を見ているだけで、天子の指先も熱を持ち、息が思わず荒くなってしまう。
小さな胸を、大きな胸にこすりつける。互いに小と大が合わさり、その擦り合わせる中で二人の突起が肌に触れあい、衣玖には別の快感が。天子にはただ一つの興奮が流れ出す。
「衣玖ぅッ……おっぱい、すっごい柔らかい……」
「その、口に出して、言うのはっ……ふぁっ」
衣玖が何かを言おうとすると天子は左手を器用に動かしてそれを喘ぎ声へと変える。突起の擦り合いと割れ目の愛撫の両方が衣玖の身体を強く、熱く燃え滾らせていく。全身に沸き起こる快感は、衣玖にとって今まで感じることが出来なかった、感じられなかったもの。身体に溜めることの出来ない快感が喘ぎと、熱となって体の外に溢れ出る。
天子は、その割れ目への愛撫をより強いものへとしていく。そっと、何度も何度も割れ目に沿うように撫でた時、一つの小さな膨らみに遭遇した。
たった一瞬、指が小さく触れただけであるのに。衣玖の目は大きく見開かれ、大きく体が震えて。
「ふぁぁぁんっっ!!??」
今まで以上に強く、天子の下で跳ねた。
じゅくじゅくと、天子はその溢れ出る愛液に気づく。熱い体液が天子の指をすり抜けて、衣玖の下着とスカートをぐしょぐしょに染めていく。その指に感じる熱さが、天子の興奮をより強めて。
「ねぇ、衣玖……衣玖、気持ちいい?」
「っ、ふぁっ、その、そのっ……」
「恥ずかしがり屋なんだからね……いいわ、一緒に恥ずかしくなりましょ」
そう言いながら、足を衣玖のスカートに絡める。少しだけ衣玖に空間が開くように天子は腰を浮かせて、スカートを強く地面に足で抑え付けた。
「こんなのも、邪魔、よね」
「え……え……?」
地面とスカートがしっかりと擦り合わさるように力強く抑え付けた。そして、そのまま衣玖とは反対の方向に、足をずらすように動かす。天子の左手が作り出した、スカートと腹部の隙間が出来たおかげでスカートは思った以上にするりと綺麗に脱げた。衣玖が感じる下腹部付近の風が、異様なぐらいに恥ずかしく感じる。涼しげな空気が流れ込んでいるというのに、身体の火照りが止む事は無い。先程から衣玖の心の羞恥が止む事は無く、寧ろそれを天子は更に加速させていく。
出来上がったのは、上半身の服を引き裂かれて下半身は下着一枚、それも完全に濡れきって、今すぐに脱げても可笑しくない姿。
「その、そのっ……やっぱり、恥ずかしい……」
「大丈夫……私も、同じになるから」
そう言うと、天子は左手を衣玖の下着から引き抜いた。それを衣玖に少しだけ見せると、衣玖は赤面したまま視線をそらした。衣玖の愛液がついたての中で、人差し指を軽く舐めとる。満足げに微笑むと、その手をべちゃりと、衣玖の胸にくっつけた。
「ひゃんっ……」
「これ、衣玖のおまたから出てきた奴なんだよ……?」
「やだ、そんなこと、言っちゃ、駄目、です……」
衣玖が顔を真っ赤にして、天子から視線をそらす。天子はその衣玖の顔を見ると少し嬉しそうに笑顔を見せた。この可愛い衣玖を、もっと辱めて、気持ちよくさせたい。自分の前でもっと気持ちよくなる姿が見たい。
天子は、自分のスカートに手をかける。腰元を広げておもむろに、衣玖の前で下着と一緒にスカートを脱ぐ。
「……ね、衣玖。こっち、見て」
「な、なん、ですっ……!?」
衣玖が、天子に視線を戻したとき。
そこにはまた、衣玖と同じように。上着のボタンを外され、胸を覆う下着はびりびりに引き裂かれて。そして何よりも、下半身が完全に曝け出された天子の姿。幼い肢体は、通常感じる興奮とはまた違う、特殊な感情を抱かせる。
毛の生えていない割れ目は、見た目だけですべすべしているような感覚があり、衣玖も思わずそれに触れたくなってしまいたくなる。まるで、そこには神秘が隠されているよう。
「やだっ、衣玖ったらじっと見つめて……えっち」
「いやっ、あの、その」
「ふふ……いいよ。触る?」
口元に指を重ね、衣玖を誘惑する。
衣玖とて、その綺麗な肢体に魅せられないほどではない。その身体に触れたいと。それは今の興奮から来る一瞬の気の迷いなのかもしれない。しかしそうであったとしても衣玖が今、天子の身体を求めているのは事実なのだろう。
手を伸ばす。天子のその、幼い肉体の股にある小さな割れ目に向けて。
指先が一つ、自分に馬乗りになった天子の割れ目に届く。天子が、快感の表情を隠しもせずに、小さく震えた。
「んっ……ふぅっ」
指で触れられた快感を素直に受け入れる天子。喘ぐ声が、衣玖を強く欲情させた。
天子もまた、衣玖の指が触れてくれた事を素直に悦んだ。快楽の意味でも、互いがちゃんと意識してちゃんと行為に及んだという意味でも。
指で、何回も衣玖は天子の小さな割れ目を撫でた。触るたびに、天子の背中を走り抜ける高速の電撃。その快楽を受け入れる天子は、衣玖よりも自分の快楽に圧倒的に素直で。
天子は、触られるという快楽をその身に感じながら、衣玖に視線を向ける。
「衣玖ぅっ、気持ちいい、よっ……もっと、もっとぉっ」
「んっ……天子、さまの、ここ……綺麗」
「えへへ、やっぱり、自分が言われると、恥ずかしい、な……ふぁんっ」
衣玖の絹のような指が、天子の股の割れ目に触れるたびに天子は甘い声を一つ出す。
衣玖にも少しだけわかってきた。この、相手の快楽に落ちる姿を見る興奮。天子が快楽に浸るたびに漏れ出す喘ぎ声は、正しく天使の福音でもあり悪魔の誘惑。その言葉に誘われて、思わず何度でもその場所に触れたくなってしまう。
触れられる天子もまた、その特別な快感をその身にしっかりとつけていた。自分が好きな女性に、その秘部を見られる羞恥が。愛する女性にその部位を触られる快感が。全てが快楽という言葉となって昇華される。
快楽は興奮と変わり、二人の肉体を熱く染め上げる。全身はまるで炎のように熱く、劣情の中で激しく燃え上がる心。
「んっ、ふぅっ、ふぁうっ、あぅっ……」
「天子、さまっ、ふぅっ、ふぅっ……」
「衣玖の、指使いって、丁寧で……んっ、すっごい、優しくて、気持ちいいよっ……んあっ、ふぅあっ、ぁんぅっ」
衣玖の指使いに、その快楽を隠すような姿を全く見せない。ただ撫でられているだけであるというのに、ぴくりとその膣を守る肉壁が動いていって、自分自身が興奮しているのだろうということを明らかにわからせる。侵入者を阻害するように、しかし快楽は全て受け入れる。
衣玖の割れ目を何度も何度も撫でる指。
その指が、割れ目の中に一つある、小さな豆に僅かに触れた。
びくん、と大きく。天子の体が仰け反った。
「っ!! ひゃぁんっ!」
「っ、て、天子様!?」
今までは貪り食える程度の快楽。それが、唐突に群れで襲い掛かってきた時の対処の方法を知らない。自分の許容を遥かに超えたほどの快感が一度に襲い掛かって、それを喰う術を少なくとも天子は知らない。その時、人は快楽という魔物に喰われる。
まず意識を。自分の頭の中にある考えや言葉、全てを一度に食い荒らされ。次に、身体の中にあるあらゆる感覚を真っ白になるまで奪い去る。全て、快楽という化け物に全身を食われ、全身が真っ白へと消えていく感覚。
絶頂への体験。あろうことか、天子にとっては初めての体験。達したことすらも初めての彼女にとっては、それが過ぎ去った後に僅か恐怖にも近い感情が訪れる。何も無い、虚無感とあらゆる物をなくす忘却感とともに。
「んっ……ふぅ、あぅっ……」
「天子、さま?」
「……衣玖ぅ」
ばさり、と。
衣玖に全身を委ねるように、天子は衣玖に向かって倒れた。幼い子供のように衣玖の胸に向かって倒れてきた天子を、衣玖は優しく抱きとめる。
「どう、なされました」
「……怖いね」
「えっ?」
「その、えっと、初めて、だったから」
天子が言葉を紡ぐと、衣玖は母のようにその身体を抱きしめる。
初めて達したときの虚無感は、誰しもに身体を支えてもらえない恐怖感。曰く孤独感にある。普段からその不良天人というレッテルで孤独を生きてきた天子にとっては、殆ど味わいたくない感覚の一つだった。
絶頂に達してしまったとき、天子が感じたその孤独感が恐怖へと変わる。誰かに傍にいてほしいという感情が、素直に表現として滲み出た。まだ僅かに残る、衣玖の僅かな上着をぎゅっと握り締め、天子は涙を隠すかのようにして衣玖の胸に顔を埋めた。
衣玖はその孤独を分かち合うかのようにして、優しく天子の身体を包み込む。
「衣玖ぅッ……」
「大丈夫です、天子様。ここにいますよ」
「放しちゃ駄目だよ……」
「はいはい」
子をあやす親のように。衣玖は強く天子を抱きしめて、その寂しさを受け入れる。
気が強く振舞ってはいるが、まだまだ手のかかる子供のような存在。年齢もそれなりに大人ではあるが、殆ど友と呼べる存在もいなかった彼女にとって、支えとなるのは両親ぐらい。その両親も、天人となってからはただ甘やかされただけでこうしてしっかりと愛されたことは無かったと聞く。
なれば、今天子の支えと、甘えとなれるのは自分だけだという意思が衣玖の心を埋める。天子を優しく抱きとめ、甘えられる分はしっかり甘えさせてやろうと思った。
「衣玖ぅ……」
「はい、衣玖はここにいますよ」
「一緒に気持ちよくなろ?」
「はい?」
すっと、天子は衣玖に視線を向けた。右手は、衣玖の身体を逃がさないように背中に。左手は、がっしりと衣玖の豊満な乳房を掴む。
衣玖が何をしているのかわからない、といった表情で戸惑っているうちに天子は着々とその身体の動きを進めていく。何より重要な、自分と相手の股間を擦り合わせるような形に置く事。
「あ、あの?」
「二人なら、怖くないから」
「そ、そうですか」
ちょっとこれは普通にいい話で締めるべきじゃないかと思っていただけに衣玖に焦りの表情が覗く。揉まれる胸の感覚からまた、強い快感が襲い掛かる。
「なんだかなぁ……」
「どうしたの、衣玖?」
「あ、いえ、その……ふぁっ」
「衣玖は鳴き声が可愛いから、好き。鳴き声以外も全部可愛いけどね」
そう言うと、天子は太股をゆっくりと衣玖の顔の方に滑らせるように動かした。
二人の股の割れ目同士が擦れ合い、二人を柔らかな電流のような快感が流れる。そして互いの身体、その割れ目のみならず、互いの腹、胸ともに勢いよく擦れ合う。
互いの秘部が擦れ合い、そのたびに二人に走る、強烈ではないにしろ柔らかく、そして互いの身体が重なっていることによる暖かな快感。天子が衣玖の全身を貪り食い、衣玖はその食事を全身で受け入れる、喰われることによる快感。
「んっ、ふぅっ、衣玖ぅっ。衣玖っ、衣玖ぅっ!」
「天子っ、さまぁっ、大丈夫っ、ですよっ」
天子の全てを受け入れるように、強く、より強く衣玖はその小さな身体を抱く。
抱かれる天子は、その身体全てを使って衣玖の身体を悦ばせるようにその足を、腕を、小さな胸を動かして全身を衣玖にこすり付けた。
互いの唇を合わせる。四度目のキス、今度は衣玖も素直に侵入を許した。いや、寧ろ衣玖からもしっかりと舌を絡めて行った。先程に比べて、互いに酷く熱くなった、ざらざらした質感が絡み合う。股間や乳首を擦り合わせるものとは別の、不思議な感情が心の奥底から湧き上がって強く強く互いが愛し合う。舌を合わせているだけで、こんなにも愛情が伝わるものかと。天子は積極的に舌を捻じ曲げて、衣玖の舌に絡め合わせていった。その間も、身体の密着は当然続く。
乳首同士、割れ目同士が擦り合わさる。それだけで二人の間に強い快感が襲い掛かり、二人がともに重なっているという現実が寄りその劣情を強めていく。互いに愛し合っている想いが身体と重なり、二つの想いが一つに、二つの身体が一つになるように。
ぷはぁと、天子は唇を離した。衣玖の浮かべる優しい微笑を見て、天子も興奮と悦びに満ちた瞳と笑顔を衣玖に返した。
天子は衣玖への想いをすべてぶつけるように、小さな股の割れ目を強く衣玖の股間に押し付けた。二人の割れ目の先に飛び出る小さな豆が、互いの柔らかな肌の上に強く抑え付けられて。今までに無い快楽が二人に襲い掛かる。
「んっ、ふぅっ、ふぅあ、ふあっ、あぅっ!?」
「ふっ、天子、さまっ」
「いく、いくぅッ、いく、いっちゃうよ、衣玖ぅっ!」
「だいっ、じょうぶっ、ですよっ、天子さまっ」
「衣玖ぅ、衣玖ぅッ!!」
いつしか胸を揉んでいた天子の左手は、寂しさを紛らわし孤独から抜け出すように衣玖にしがみついていて。衣玖は天子のその寂しさを全て受け止めるように、天子を放さないように力強く抱きしめる。天子の腰は激しく動き、衣玖に強く全てを打ち付ける。
何度も何度も腰を打ちつけ、興奮は快楽へ。劣情は悦びへ。その全ては愛情へと昇華された。
二人の意識はまるで同調するように、同時に頭の奥底が白く染まっていく。今まで以上の強い電流が二人の背中を走り抜けて、全身に何もない虚無が襲い掛かる。
しかし、その虚無は二人には通用しなかった。重なり合う身体は、互いの愛情を持ってその孤独を打ち消す。傍に、寄り添うところに愛し合う少女の姿がある。それだけで、二人はその恐怖をものともしないほどに。
「んっ、んぁっ、ふぁぁっ!!!」
「くっ、んぅっくぅっ!?」
快楽の頂点へ。
二人が達したその先には何もなかったけれども。
確かに二人の温もりだけがそこにあって。襲い来る虚無に打ち勝ったかのように。
力が完全に抜け切ったかのように、だらんと衣玖の身体を絨毯にして倒れ伏す天子。衣玖は、その弱々しい天子の身体を優しく抱いた。子供のように幼い笑顔で、天子は笑みを浮かべる。
「えへへ……衣玖とエッチしちゃった……」
「……余りそう言う事は言わないでください、恥ずかしいんですから」
衣玖はぎゅっと、胸に天子の顔を埋めるようにして天子を抱きしめた。自分の赤面した顔を見てもらいたくないという気持ちもあった。それ以上に、愛おしい彼女を放したくないという気持ちもまた沸いて出てきて。
「これで、恋人同士?」
「余り表立つと、また他の方々に色々言われますよ?」
「いいの。衣玖がいるんだもん」
「……ああもう」
衣玖の顔は一瞬で真っ赤に染まった。恥ずかしい事を言う事に関して本当に天子は凄いな、と思いながら。
衣玖と天子が、互いに殆ど裸のまま抱き合う。
全身を外部に晒して普通なら少し涼しいぐらいのはずなのに、全身から汗が吹き出るほどに身体は熱く、その火照りが冷める様子は一向に見れない。互いが抱き合うたびに、その熱は更に強まっていて自分たちが裸であることなど完全に忘れていそうなぐらいだ。
「衣玖」
「なんです?」
すっと、呼びかけに反応して衣玖はその抱きしめる力を緩めた。
天子は衣玖の目の前に顔を見せる。幼い天子の顔だが、今は愛する一人の女性として、見るだけで衣玖の心ががくんと揺れそうなほど綺麗であった。
そのまま天子は衣玖の柔らかな唇に向けて、優しく小さなキスをした。
「んっ……」
「……大好き」
二人は優しいキスをして抱き合って、そのまま天子は力尽きるように小さな寝息を立て始めた。
衣玖は、それを母のような瞳で見守りながら抱きとめると、しっかりと服を着せて抱きかかえ、天界へと戻るのだった。
後日
「衣玖って何で男の人とかと付き合ってなかったの?」
「え、えっと、だって恥ずかしいじゃないですか」
「ふーん。これから下界に降りてちょっと男の人の免疫つけてこようよ」
「いいいいやいやいや、その、そんなの、別にする必要がないって言うか、その、えっと」
「浮気しても私は許すよ?」
「そういう問題ではなくてですねっ……ええと、その……」
結局恋人同士になったからといって何か特別変わったことは殆ど無く。いつも通りの光景がそこに広がるのだった。
「私もまぁ、一回は男の人とエッチしてみたいかなぁ。一回だけでいいけど」
「だだだ、駄目です、そんなはしたない!」
「じゃあ衣玖が代わりになってくれる?」
「え、えと、えと、えと……は、はい」
「それじゃ、今日も……ね」
衣玖さん可愛いよ衣玖さんww
本当に光速ですねwww
俺もてんいく大好きです。ごちそうさまでした。
初心な衣玖さん最高だな!!
初々しいのは最高に萌える
ごっそさんです
天子のちょっと乱暴な感じに怯えたり体の中の感覚に一々驚いてしまう衣玖さんが良かった。
なのに、めちゃくちゃ興奮した訳ですよ。
初心な衣玖さんが凄く可愛い。小悪魔的な天子も滅茶苦茶可愛い。
そして何より、おっぱい攻めがエロかったです。溢れんばかりのおっぱいへの愛が伝わってきました。
久々に、純粋で綺麗な百合で興奮しました。御馳走様です。
これからも期待してます
天子はいままでMだと思っていた私ですが、これを読んでSもいいかなぁと思っている私ガイル。
私もこれくらいの物が書けたら…。
これからも頑張ってください。本当にごちそうさまでした。
Sな天子、いいよね!
初心な衣玖さん、素晴らしいよね!!
…つまり何が言いたいかと申しますと、ごちそうさまでした
な、何を言ってるかわからねーと思うが(ry
どっちも可愛いわー
いくさんが可愛かったです!
同士よ!てんいくの良さが分かるお方がいらっしゃったとは!
初心の天子と衣久かわいいよ。初心の天子と衣久かわいいよ。大事なことなので2度いいました