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感染拡大で医療の現場は…最前線の医師に聞く[2020/12/01 23:30]

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000199990.html

新型コロナウイルス新規感染者は1日、全国で2022人確認され、亡くなった人は過去最多の41人となりました。重症者は493人と9日連続で過去最多を更新しています。重症者が増えるなかで、医療の現場はどうなっているんでしょうか。日々、最前線で治療にあたっている、国立国際医療研究センター・忽那賢志先生に話を聞きました。

(Q.重症者数の急激な増え方について、どう見ていますか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「この2週間くらいで急激なペースで増えていますし、まだピークが見えない状況です。重症者は少し遅れてピークを迎えますので、感染者が増え続けているうちは、重症者は増え続けるだろうと思っています」

(Q.冬は危険だと言われていましたが、ここまで増えると思っていましたか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「冬にかけて増えるとは思っていましたが、寒くなり切る前にここまで多くなるとは正直思っていませんでした。重症者がここまで早いペースで増えているということも、多くの医療者にとって想定外だったのではないでしょうか」

(Q.なぜここまで急激に感染拡大が進み、重症者も増えているのでしょうか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「そもそも現在の第3波は、感染者そのものの数が第1波、第2波を大きく超えています。第2波の時は当初、若者世代の感染者から広がったため、重症者が少なかったですが、段々と広い世代に感染が広がってしまって、第3波では重症化リスクの高い世代の感染者が増えているということが原因だと考えられています」

(Q.感染者・重症者が増えるなかで、医療現場はどういう状況になっていますか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「第2波の頃に比べて、全体の重症度が上がっています。同じ入院患者数でも、重症度が高くなると、それだけ医療スタッフにかかる負担が大きくなり、医療スタッフの数が足りなくなります。第1波の時は、例えば他の部署からスタッフを集めて支援を受けるということができましたが、今回は第1波の時のように、顕著にはコロナ以外の入院患者が減っていませんので、なかなか他の部署からコロナ診療のサポートに人を回せないという状況もあります。コロナ診療をしていた医療機関でも、第1波の時の経済的なダメージが非常に大きくて、病院経営を度外視してコロナに特化できなくなっている状況もあります」


新型コロナ患者を受け入れた全国約500の病院の経営に関する調査では、第1波最中の4〜6月に、8割を超える病院が赤字に陥りました。7月以降は赤字の病院の割合は減りましたが、4〜6月に受けたダメージを回復できないまま、第3波に突入しているということです。

(Q.なぜ、新型コロナ患者を受け入れると病院の経営にダメージを受けるのでしょうか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「第1波の時は、増えた新型コロナの患者の対応のために、他の医療の規模を縮小していた医療機関が多いと思います。そうすると、本来提供できていた医療が提供できなくなって、その分、収益が減るということになります。また、病院やクリニックへの受診控えも顕著でしたので、それも合わせて収益面で大きなダメージを受けた医療機関が多いということになります」


GoToトラベルをめぐり、東京都・小池知事と菅総理が1日に会談し、東京発着の旅行について、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に、17日までの利用自粛を呼び掛けることで合意しました。

(Q.合意の効果ついては、どう受け止めていますか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「東京都では、高齢者は家庭内感染や高齢者施設への持ち込みによって感染しているということが分かっています。そうした感染は、もともとは家族や若い世代から起こっているので、高齢者や基礎疾患がある人だけの行動制限をしても感染を防ぐことは難しいです。もっと広い層を対象にすべきではないかなと思います」

(Q.菅総理は臨時国会で「GoToは感染拡大の主な原因であるという証拠はない」と答弁しました。現場で治療されていて、GoToの影響を感じますか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「会食で感染している人が多いのかなと感じています。確かに『移動そのものが感染を広げる訳ではない』というのはその通りかもしれませんが、旅行によって人との接触が増えたり、会食などの感染が広がりやすい状況は生まれやすくなると思います。流行が落ち着いている時期に、感染に気を付けながら旅行しましょうというのは、経済対策として良いことだと思いますが、流行状況に合わせてメリハリをつけて行うべきだと思います」

(Q.医療崩壊起こさないために、私たちが今できることはなんですか?)
国立国際医療研究センター・忽那賢志先生:「年末年始を今よりも安心して過ごすためには、本当に今が正念場だと思います。例えば、今年は忘年会はオンラインで行うなど、感染リスクのない形で行って頂きたいと思います。医療現場も、年末年始はどうしても手薄になってしまうので、年末年始に新型コロナ患者があふれるという事態だけは避けたいところです。よく言われていることですが、屋内でのマスク着用・3密回避・手洗いなどの感染対策を今一度、徹底して頂きたいと思います」

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