真人(呪術廻戦)

登録日:2019/03/24 (日) 23:24:00
更新日:2020/12/01 Tue 07:35:26
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皆言葉遊びが好きなのさ。なぜなら人間は


言い訳をしないと生きていけないからね


真人(まひと)とは「呪術廻戦」に登場するキャラクターである。



【概要】

呪い*1の最上位階級「特級呪霊」の1体。
未確認の特級呪霊達のグループのボス。
外見は継ぎ接ぎだらけの青年で身体を黒いローブで覆っている。
髪の色は薄水色で、左の瞳が黒、右の瞳が髪と同色の薄水色のオッドアイ。

自らを「人が人を憎み恐れた腹から生まれた呪い」と称しており、実態は「人が人へ向ける負の感情」から生まれた呪霊。
呪いが人間を駆逐し地球を生きる新世界創造のため、夏油と手を組み暗躍する劇中における主人公・虎杖最大最悪の宿敵。

生まれたばかりの呪い故に未熟な面はあるものの、「人が恐れ忌む「死」という鏡そのもの」と評され、そのポテンシャルを見込んで漏瑚によって特級呪霊達の頭に据えられている。


【性格】

ノリの軽い軽薄な性格。
子供っぽい無邪気な明るさを持ち、表面上は人にも優しく接するが、本性は呪いらしく冷酷非道で狡猾。
人類を露骨に見下しており、人を欺き、殺し、嘲笑うことに何の躊躇いもなければ逆に人の命を玩具程度にしか思わないなど極めて悪辣。
その代わり同族である呪いには、心から親しみを持って家族や親友の様に接する。

また典型的な愉快犯気質であり、「軸がブレようと一貫性がなかろうと偽りなく欲求の赴くままに行動することが呪いの本能」「理性を得ても『人を殺したい』という本能に逆らう理由にはならない」という思想を持っており、それ故か基本的に自由気ままに勝手に動く。
自分の娯楽と快楽のまま殺戮を繰り返すため、その行動は軽薄で飄々とした性格も相まって極めて予想し辛い。
生真面目で几帳面な気質を持つ漏瑚とは正反対な性格であり、それゆえに漏瑚と方針や意見が食い違ったり漏瑚を激怒させることもしばしば。

「殺した人間の数とかマジでどーでもいい」と語るように人間に対しては一片の情も持ち合わせていないが、花御(はなみ)が介錯されそうになった時は殺意を向けたりなど呪霊たちに対しての仲間意識は一応ある。
しかし魂そのものを知覚できる故に価値観が非常に乾いており、「人間の喜怒哀楽や感情は全て魂の代謝物にすぎず、命に価値や重みは無い」という持論も掲げている。

また未熟さ故の貪欲さから驚異的な成長スピードを持つため、放っておくだけで瞬く間に学習・成長してゆく非常に危険な存在と認識されているように知的探求心は強く、戦いの中で成長したり試行錯誤していく行為を心から楽しむ戦闘狂の顔も持つ。
一方で、事実上の不死に近い存在であるためか他人を舐めてかかる傾向が強く、戦いではどんな敵であれ基本敵を侮りがちなのが欠点。


【能力】


より洗練された殺すための形 殺すためのインスピレーションを

体現しろ!!

生得術式の性質上、その肉体は変幻自在。
そしてどれだけダメージを負い肉体を破壊されようと呪力が尽きる若しくは魂に直接干渉されない限り際限なく復元再生する事実上の不死身。
真人の「魂の形」を捉えた者以外の攻撃はどれほど強力な攻撃であってもノーダメージとなる。

基本的には改造人間や変幻自在の肉体を駆使して距離を取りながら敵を翻弄しつつ戦う極めてトリッキーな戦術を駆使。
更に大量の一般人の命を使い捨ての消耗品として使い潰していく残酷で悪趣味極まりない戦法が特徴。
また悪意に満ちた言動と嘲笑、改造人間で敵の心を揺さぶりペースを乱すことも得意。

ただし虎杖は他者(宿儺)の魂が自身の肉体に存在するため、無意識に魂の輪郭を知覚している。そのため干渉を妨げ、かつ魂を直接攻撃できるので不死性が意味を為さない。
おまけに虎杖の魂に眠る宿儺が唯我独尊の権化であるため、魂の干渉が跳ね除けられるばかりか宿儺側から逆にカウンターを受けてしまう。
よって真人にとって虎杖は攻防共に相性の悪い天敵となる。


無為転変(むいてんぺん)

真人の生得術式。
相手の魂に触れて魂の形状を操作することで対象の肉体を形状と質量を無視して思うがままに変形・改造できる。
真人の手に直接触れられなければ効果はないが、それ以外だと「自身の魂の形を知覚した上で魂を呪力で保護する」しか防御手段がなく、魂を守れなければ1級術師であろうと変形させられて死ぬ

劇中では1級クラスの術士で漸く即死を回避できる*2レベルであり、準1級クラスでは成す術も無く即死している。
基本的に変形のショックだけで即死するのだが、真人は人体実験を繰り返すことで「改造人間」を作る術を手に入れた。
そしてこの術式で改造された者は二度と元に戻らない。

自分に対して使うとノーリスクで自身の肉体を自由自在に変形させられる
このため、肉体を自由自在に変形させて刀剣やドリル、棘、鈍器などの武器に変じさせたり、身体能力の強化が可能。
改造次第では
  • スライムのように原型を留めない姿に変化
  • 体の器官を構築して精巧なダミーを生み出す
  • 足を馬のように変化させることで瞬間的な高速移動
  • 腕を翼に変えたり身体を鳥に変化させて短時間の飛行や、全身を魚に変化させ水中での高速移動の実行
などが可能と、恐ろしいほどに応用性が高く手数も桁違いに多い。
最近では成長に伴い能力も研鑽されたのか、天与呪縛と呪縛による身体的障害を取り除き肉体を全快状態にする芸当まで見せつけ、渋谷篇では
  • サイコガン宜しく腕を銃口に変形させ、改造人間のコマを弾丸に見立てて撃つ
  • 時間差で犠牲者や改造人間の肉体を自在に変形させ攻撃に転用*3
  • 改造した人間の身体を着ぐるみのように扱い、体内に潜り込むことで一般人に擬態する
  • 同位体となる分身の構築
といった技まで身に着け大幅に手数が増えている。


ただし相手の魂に干渉するためには原型の手で相手に触れる必要があり、肉体を変形させた状態では即死攻撃を発動できないのが最大の欠点。
術式発動時には一瞬だが呪力のタメが発生するため相手は術式の使用時や肉体変化を察知することができる。
そして肉体変化の際、自分の肉体を広げ過ぎると規模に比例して操作性と耐久性が低下していく。


改造人間


お… …がい

ころして

無為転変で魂を改造され怪物化・奇形化させられて操られる犠牲者の総称。或いは真人に即死させて貰えなかった人間の末路。
呪いとして扱った場合の等級は3級〜2級弱。

あくまで呪霊ではなく人間なので呪霊が見えない一般人にも知覚可能。
姿はどれも歪かつ醜悪で、1級術師ですら一眼見ただけでは呪霊と見分けが付かなかった程*4
基本短時間でショック死する為短命だが、異形化させられた状態でも僅かばかり自我が残る辺り真人の嫌らしい悪質さが垣間見える。
目安としては強引に改造して戦わせた場合、被害者は数分しか命が持たない。

上述の通り現在の人類の技術では犠牲者を元に戻す術はないことから真に救う為には犠牲者を殺すしかない。
犠牲者は脳髄を弄られている関係上ほとんど自我を失い人々に襲い掛かり、民間人程度なら食い殺すなどして容易く殺傷できる程度には身体能力が高まっているが、僅かに残った自我を使い助けや死による救いを求める傾向にある。

圧縮改造によってチェスの駒程度のサイズまで小型化・ストックして自由に持ち運べるので、体内にストックしていることが多い。
戦闘では意のままに動かせる戦闘員、奇形を利用した醜悪な武器や飛び道具、動く足場などとして運用。
「武器」や「手駒」となる人間が多くいる市街地は真人にとっては武器庫に等しい。



自閉円頓裹(じへいえんどんか)


領域展開

はい お終い

真人の「領域展開」。
風景は縦横無尽に人間の腕が伸び格子のように相手を囲む漆黒の空間。
無為転変の欠点である射程の短さを「領域展開」の術式必中化で解消できるため、展開すれば実質勝利が確定する凶悪な領域。
即ち絶対当たる即死技。
劇中ではブチキレた宿儺の術式で呆気なく粉砕されたが、これは宿儺の魂が規格外すぎるがため。
虎杖との致命的なまでの相性の悪さが此処でも発揮される結果となった。


遍殺即霊体(へんせつそくれいたい)


ハッピーバースデイって奴さ 虎杖

複数回の黒閃発動を経て掴んだ「自身の本当の魂の本質」を具現化するべく、無為転変で自身を改造したことで変貌した真人の真の姿。
これまでの姿を脱ぎ捨てc魂の羽化を果たした姿とも言える新たな形態。

剥き出しの筋繊維の人体に筋肉を模した甲殻を縫い付け鎧のように纏った怪人のような風体であり、尻からは長い尾が、肘からは黒く長い棘が生え首からはマフラーのように黒い触手が伸びている。
顔自体も目鼻の代わりに皮膚のような仮面を縫い付けられており、口以外の顔のパーツがない不気味な風貌と化した。


  • (とばり)
特定範囲内を覆うことで呪いの存在や呪術師の戦いを一般人の目から隠蔽したり、一般人が戦いの場に入らないようにするために用いる結界術。
夏油からの指南により会得。

  • 多重魂(たじゅうこん)
2人以上の改造人間の魂を、改造人間の肉体ごと無理矢理融合させる技。
改造人間を用いた大技を発動するには必須の手段。

  • 撥体(ばったい)
「多重魂」により生じた魂の拒絶反応を利用して魂の質量を爆発的に増大させ、攻撃として利用する技。
消費する改造人間の数に比例して攻撃範囲と攻撃力が増していき、通常の改造人間を消費した攻撃よりも更に広範囲を攻撃できる。

  • 自切(じせつ)切合(きりあわせ)
「無為転変」による応用技の一種。
変形させている肉体部位をトカゲの尻尾切りの要領で自切し、敵の攻撃・拘束を回避する技。
切り離された部位は遠隔操作で形を変えて動かすことができ、真人本体と触れることで切り合わせが行われ、本体と融合し呪力も還元される。
自切後の呪力配分によっては分身の戦闘力を大きく強化できる。

  • 分身
「無為転変」による自切の応用で肉体(魂)を分裂させた自身の分身体。
外見、性格、思考回路も全て本体の真人と全く同一であり、阿吽の呼吸で互いに意思疎通を計りながら独立して活動が可能。
ただし能力は本体と比較して劣化しており、呪力にムラがあるだけでなく他者の魂の改造は不可能。本体のように改造人間を駆使した戦術は使えない。
それでも自身の肉体の変形や不死性は本体と同レベルなため、下手な呪霊よりは遥かに驚異。肉体を細かく小さな分身に分裂させるといった使い方もできるが、核となる本体の防御力も分裂後のサイズに比例して低下するデメリットはある。

  • 黒閃(こくせん)
打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生まれる空間の歪みにより、打撃の威力を2.5乗に跳ね上げる現象であり技術。
黒閃は人類だけに与えられる特権ではない。



【作中での活躍】

初登場は16話。
両面宿儺復活のため夏油と共に行動を開始する中で吉野順平と出会った真人は、彼を両面宿儺復活のための駒とすべく交流を深め、呪力の指南をしながら言葉巧みに吉野を唆し悪の道に追い込んで行く。

その一方で自身の能力を測るために実験を繰り返しては夥しい死者を出す。力試しのために呪術師を誘い出し1級術師七海と遭遇、決着は付かなかったが、戦闘の経験によって自身の能力の理解を深め更なる成長を遂げる。
そして夏油と共謀して宿儺の指を吉野の母親の前にセットすることで死に至らしめ、精神の均衡が崩壊した吉野を欺き学校内で呪霊を用いての虐殺行為を引き起こさせた。
吉野の凶行は虎杖の必死の説得により鎮圧されたが、和解ムードに向かわんとしていた2人の前に突如出現。


順平はさ、まぁ頭いいんだろうね
でも熟慮は時に短慮以上の愚行を招くものさ。君ってその典型!!

順平って君が馬鹿にしている人間の その次位には馬鹿だから

だから 死ぬんだよ

グニィ


突如乱入してきた真人を必死に説得しようとする順平の思いも虚しく、これまでの親しい交流を一笑に付すかのごとく順平を無為転変の餌食にして異形化。虎杖を追い詰めるための布石として利用した挙句、無理な改造が祟って順平はあっけなく死亡した。


ブッ殺してやる

祓うの間違いだろ。呪術師


新たな親友を無残に殺害され、挙句その死を小馬鹿にされたことで激昂し本気の殺意を剥き出しにした虎杖と戦闘を開始すると、自身の術式との相性の悪さを変幻自在の肉体を利用しフォロー。
変幻自在の肉体により虎杖を苦戦させて追い込んでいくが、参戦した七海と虎杖のタッグの前に追い込まれてゆく。
しかし追い詰められていく最中、


(ああなんて、なんて斬新なインスピレーション。これが)

(「死」か)

(今なら出来るよね)

領域展開

今はただ。君に感謝を


自身の「死」を文字通り知覚したことがきっかけで、自分が主人公と言わんばかりの覚醒で領域展開を習得。
そのまま最大の脅威と認識した七海を確実に仕留めるべく領域に引きずりこむが、虎杖が強引に力技で領域の結界を破り領域に入ってしまったことが致命傷となる。
最初の戦いで「一緒に虎杖馬鹿にして笑ったから一度目は許してやるけど二度と俺の魂に触れてくんなよ。次やったら殺すぞテメー(意訳)」と言われたばかりにも関わらず、
領域に入り込まれたことで否が応にも宿儺の魂に触れてしまったことで完全にキレた宿儺に問答無用で領域を粉砕された挙句致命傷を負わせられ敗北。
最後の呪力を絞り出して逃亡すると、満身創痍ながらも両面宿儺さえ復活すれば呪いの時代が来ると確信。
虎杖への強烈な殺意を滲ませながら以後療養に努めることになる。


肉体と違って、魂は何度でも殺せる

(次はどう殺してやろうかな)


交流会~宵祭り編

虎杖との戦いの後は基本は裏方に徹して暗躍。
交流会の際は花御が暴れる隙に高専に侵入し、職員数名を殺害しながら高専が保管していた、宿儺の指6本特級呪物「呪胎九相図」の1番~3番の奪取に成功しまんまと逃げおおせた。
起首雷同編では、受肉した壊相と血塗に「お使い」として、八十八橋の宿儺の指を回収する様に言い渡すといった行為をしていたが、

宵祭り編では自分達を裏切った内通者・メカ丸こと与幸吉と対峙。
幸吉の切り札「究極メカ丸 絶対形態」を相手にしても変幻自在の肉体を駆使して翻弄し優勢を保っていたが、
三輪霞の技を参考にして習得した「簡易領域」という第二の奥の手を受け想定外の大ダメージを受ける羽目になってしまう。
それでもなお特級という格の差を幸吉が詰めることは叶わず、最終的に、死んだふりで作った隙を突いて装甲傀儡の操縦席を破壊し侵入。
悍ましすぎる満面の笑みを浮かべながら、素手の「無為転変」によってそのまま即死させた。


渋谷事変

最終目的であった渋谷事変でも暴虐は相変わらず。
明治神宮駅で大量の一般人を改造人間化して列車に乗せて渋谷駅に突入させる形で五条悟vs花御+漏瑚+脹相との戦いに乱入。
更に渋谷全域にも膨大な数の改造人間を生み出し氾濫させる大惨事を齎した。
なお乱入の際には、渋谷に渦巻く阿鼻叫喚の人間の恐怖の感情を気に入ったためか、
「週末になったら人間を野に放って人間狩りをして楽しみたい」という理由から人間をある程度残したいという心境を語った。

夏油の働きもあり五条悟の封印に成功すると、そのまま「虎杖悠仁を殺したい」という己の欲望に忠実になり、
漏瑚の制止を振り切って虎杖悠仁抹殺の為動き出す。
そうして陀艮、漏瑚の攻撃から満身創痍で生き延びた七海建人を強襲。
更に直後に宿儺に肉体の主導権を奪われた結果大量の人間を意図せず惨殺してしまい精神的に追い詰められていた虎杖の眼前で七海を無惨に殺害。
虎杖の逆鱗を逆撫でして再び虎杖との戦いの引き金を引いた。

虎杖君 後は頼みます

………オマエは


なんなんだ!!真人!!


デケェ声出さなくても聞こえてるよ!!虎杖悠仁!!





【余談】

真人とは老荘思想や道教において、「人間の理想像」「完全な道徳を身につけた人」とされる概念。こちらの真人とは対局に位置する言葉と言えよう。ただしこの場合は「しんじん」と読む。
また仙人の別称として用いられることもある。


登場初期に読んでいた本は作者芥見が中学生時代に厨二病に毒された際に書いていた本。
番外編のメタ空間で明かされた際は作者に「馬鹿みたいだった」と小馬鹿にされた。



追記修正よろしくお願いします。

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最終更新:2020年12月01日 07:35