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(栗子)火事や!
(テルヲ)この あほんだら!(千代)何やね。
お前 お父ちゃんがおらん間に栗ちゃんに水かけたそやないけ。
おい!自分の胸に手当てて聞いてみい。
あん?
おい なんぞ言うたけ?さあ 分かれぃんなあ。 そね言うてるわ。
うちらを奉公に出す話や。
はあ? おまん 立ち聞きしたんけ?
タチ悪いのう お前! 立ち聞きだけに。あっ ちゃうか。 ハハハ。
久々やし あるもんで作ったさけお口に合うか分かれぃんけど。
(ヨシヲ)頂きます。どうぞ。おう。
おいしい。(テルヲ)せやろ。
あんた… うちのために一人で山に?
栗子お母ちゃんはな小料理屋で働いてたこともあるさけな。
(テルヲ)どれどれ。
♪~
唄?
(辰夫)栗子さんに 唄を聴かしてもらお思て。
やあ 皆さん うれしいわ。
いつでも来てええ 言うとったさけな。ほんまに ええんけ?
ほな 一人1銭な。
何や 銭取んのかいな。かなわんなあ。
フフフ どうぞ。
(笑い声)
何やねん どいつもこいつも栗子栗子て。
♪「オレンジのクレヨンで描いた太陽だけじゃ」
♪「まだ何か足りない気がした」
♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪「転んでも ただでは起きない」
♪「そう 強くなれる」
♪「かさぶたが消えたなら」
♪「聞いてくれるといいな」
♪「泣き笑いのエピソードを」
♪~
(きみ)あっ 千代ちゃん。あっ おばちゃん。
(きみ)その後 どないや。新しいお母ちゃんと仲直りしたんけ?
おばちゃんまで…あねなん お母ちゃんとちゃう。
仲ようしやんとややこにも ようないど。
えっ? ややこ?
やあ 知らんかったんけ?栗子さん おなかに赤ちゃんおんねんど。
嘘やない。
おまんの弟か妹か どっちかやな。
そらそやわな。
ほやさけな栗ちゃん追い出すわけにはいけぃんのや。
分かったれや 千代。
それに 子供育てるには 銭がいる。
ほれやったら口減らしは うち一人でええやん。
何で ヨシヲまで。
そら… そら お前姉弟は一緒におった方がええ言うてお前 栗ちゃん 気ぃ遣てくれてやな。優しなあ。
嘘や。 ほんまは うちらのこと追い出したいだけや!
何を言うてんねん。 そねなこと…。そのとおりや。
うちは テルヲさんと この子と家族3人で暮らしたいねん。
そらそやろ。
何で血ぃもつながってやぃん子の面倒見なあかんねんな。あんたら 目障りなんや。
もうええ。 よう分かった!
こねな家 こっちから出ていったるわ!(テルヲ)千代…。
こねなやつのことお母ちゃんて呼ぶくらいやったら死んだ方がマシや!
その ぶっさいくな顔見んで済むのやったら喜んで出ていくわ!
だいだいだいだい大っ嫌いや!
しゃあのに 何でか…ヨシヲは あんたのことが大好きやねん。
ほんまに大好きやねん。
お母ちゃんができた言うてほんまに喜んでんねん。
せやさけ 頼みます。
ヨシヲは ここに置いといたって。お願いや。
ヨシヲにだけはええお母ちゃんでいてやって。
ほしたら うちは…うちは もう すぐにでも出ていくさけ。
お願いやさけ!
まあ… 別に構やぃんけど。
おおけに。
♪~
それからは あっという間に話は進み千代ちゃんは 大阪・道頓堀の芝居茶屋に奉公することが決まりました。
どや! 俺の娘やど!
へえ~ お母ちゃん似やねんな。
(テルヲ)あほ! こめかみとか見てみ。俺に そっくりやないけ。
こめかみて…。
あほて 誰にぬかしとんねん。 黙ってえ!
ほんまに可愛らしなあ 千代ちゃん。
(玉井)これを先生に?
この前 来てくれたお礼とお詫びや。
(玉井)そんな気にせんかてええのに。
それにしてもすっかり見違えましたね。
竹井さん この前 言うてましたよね。
自分は普通の子みたいにはなられへんて。
はい。
それでええと思いますよ。
むしろ 普通の子なんていません。
いろんな子がいてみんな それぞれ頑張ってるんです。
強いて言えば それが普通です。
そやから 学校に行くことができなくても竹井さんは 普通ですよ。
おおけに 先生。
さいなら。
はい さようなら。
(ドアの開閉音)
(勝次)何やねん その格好。
それ うっとこの卵やど。この前 おはぎ貰たし迷子になった時捜してくれたやろ。
そのお礼や。 おおけに。
(勝次)お前 死ぬんけ?
何でやねん。
もうやめとけ。似合わんこと言うてたら 舌かむど。
さいなら。おう。
またな。
♪~
♪~
道頓堀て どねなとこ?
ものすご賑じゃかで 楽しいとこらしいで。
ええやろ。
戻ったで~! ヘヘヘ~!
くっさ! 何や 酒飲んできたんけ。
今日は一緒に寝たるわ。
嫌や。ええ?この酒臭い人…。
ええやんけ。 親の言うこと聞け。栗子と寝とけ。
♪~
お母ちゃん…。
明日も きっと 晴れやな。
♪~
ほな 行こか。(ヨシヲ)姉やん。 はよ戻うてきてや。
気ぃ付けてな。
さいなら。
姉やん! 姉やん! 姉やん!姉やん! 姉やん!
そないに せいたら 駅まで もたへんど。姉やん! 姉やん! 姉やん!
姉やん! 姉やん! 姉やん!
♪~(三味線)
(弦が切れる音)あっ!
・(テルヲ)千代~!
千代~!
これ 持ってけ。
こねなもんあったら栗ちゃん 嫌やろしな。
お母ちゃん お前が持ってた方が喜ぶ。
ほれ。
ほな 達者でな。
♪~
お父ちゃん!
♪~
一つだけ言うといたる。何や 名残惜しいんけ。
うちは 捨てられたんやない。もちろんや。 お父ちゃんが そねなこと…。
うちが あんたらを捨てたんや。
さいなら。
月に帰った かぐや姫はもう二度と戻ってきませんでした。