国の持続化給付金を巡る詐欺事件で県内2例目の逮捕者が出た。会社役員の男は今年9月に県警の家宅捜索を受けた税理士事務所で給付手続きを手掛けていた。11月13日に逮捕された沖縄タイムス社元社員の給付申請代行にもかかわった人物。逮捕前の本紙取材に本人が語ったところによれば、関与した申請代行は約700件。1人当たり15万円を徴収したと言い、その額は1億円超に上る。県警は組織的犯行の解明を急ぐ。
「俺はどうせ逮捕される」
10月下旬、男は親しい知人らに諦めたように漏らしていたという。周辺によると、許された時間で家族との思い出をつくろうと最近まで県外旅行へ出かけていた。「県内で持続化給付金の事件が表沙汰になってから彼の食欲は低下し、憔悴(しょうすい)していた」(周辺関係者)。
複数の関係者によると、関西出身の男は3年ほど前から、9月に警察の家宅捜索を受けた税理士事務所で「コンサル業」と称し契約料をもらって仕事をするようになったという。
持続化給付金の受け付けが5月にスタートすると、次々と税理士事務所を訪れる人々の職業などを聞き取りした上で、申請に必要な確定申告書の書き方、所得明細の作成を指南していたという。関係者は「彼は受付係で、ある程度整った書類を税理士事務所関係者に流していた」と証言した。
男は10月初旬、本紙取材に対し、申請代行業で税務署に確定申告書約1500件を提出したが「不備が指摘され、実際に給付申請できたのは700件ぐらいだと思う。中には不正もあるかもしれないがほんの一部」と語った。
また受給資格の無い飲食店や風俗店従業員に広く給付申請を呼び掛けたことを認めた上で、彼らは正当な給付対象だと主張。「経産省にも電話で確認した。微妙なグレーゾーンは調べないとできない」などと述べていた。
県警はほかに共謀関係にあったとみられる人物や、徴収した金の流れなど調べる方針。