ブラジル地方選、大統領支援の候補が相次ぎ落選

リオ市長選の投票を終えメディアの取材に応じるブラジルのボルソナロ大統領(29日、リオデジャネイロ)=ロイター

【サンパウロ=外山尚之】ブラジルで29日、市長を選ぶ統一地方選の決選投票が行われた。ボルソナロ大統領が支持する候補が軒並み苦戦する一方、近年選挙で苦戦していた伝統的な中道系の政党の候補者が躍進した。2022年の大統領選に向け、ボルソナロ政権にとって課題が残る結果となった。

ボルソナロ氏の地盤であるリオ市では同氏が支持するクリベラ市長の落選が決まった。現職のコバス市長が再選を確実にした最大都市サンパウロ市では、15日の第1回投票の時点でボルソナロ氏の支援する候補は落選していた。統一地方選では全国各地で一斉に市長や市議会議員を選ぶ仕組みで、現地メディアのグロボ(電子版)は29日夜、「ボルソナロ氏が支援した13人の市長候補者のうち、当選したのは2人だけだ」と報じた。

統一地方選は国政とは直接的な関係はないものの、大統領選や国会議員選と交互に4年ごとに実施されるため、大統領や政党の政策を評価する中間選挙として機能している。ボルソナロ氏は22年の大統領選に向け弾みをつける狙いだったが、逆風に直面していることが明らかになった形だ。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ボルソナロ氏は経済活動の再開を主張し、低所得者や失業者に向けては現金給付を実施。一連の政策が支持されて8月には支持率が37%と就任以来最高を記録したが、財政難を受けて9月から給付額を半額に抑えたことで、低所得者の支持が離れつつある。7~9月期の失業率が14.6%と上昇が止まらない中、安定感を求める市民が実績のある中道系の候補者を選ぶ傾向が強まっている。

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