米ファウチ博士、感謝祭後に感染は「急増に次ぐ急増」と警告
アメリカの新型コロナウイルス対策に大きくかかわってきた米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は29日、こんご数週間で新規感染が「急増に次ぐ急増」となると警告した。
アメリカでは26日のサンクスギビング(感謝祭、祝日)に伴い、数百万人が帰省などで移動した。
29日の記者会見でファウチ博士は、これから移動しなければならない人々も、マスクを着けたり距離を取る施策を守ったりして感染拡大を抑えられるとし、「まだ遅すぎることはない」と呼びかけた。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに1330万件以上の感染が報告され、26万6000人超が亡くなっている。
11月1~29日までの感染報告は400万件を超え、10月全体の2倍に拡大している。
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サンクスギビングは通常、アメリカの旅行業界にとって最も忙しい時期となる。昨年は、サンクスギビング前後の週に2600万人がアメリカ全土の空港を利用した。
今年は保健専門家らが、サンクスギビングを自宅で過ごすよう呼びかけていたものの、アメリカの空港の利用者数は3月中旬以降で最高を記録した。
運輸保安庁によると、過去1週間は毎日、80万~100万人が国内の空港を利用していた。
ファウチ博士はCNNの番組で、「旅行に伴って起きたことによって、これから確実に感染は増えるだろう」と語った。
また別の番組では、サンクスギビングで旅行した人に対し、「可能ならば」一定期間、自主隔離を行うよう求めた。
ホワイトハウスの新型ウイルス対応コーディネーターを務めるデボラ・バークス医師もこれに賛同している。CBSニュースでバークス氏は、休暇中に旅行した人は今後、65歳以上の高齢者に会うのを避けるべきだと指摘。
「我々は今、サンクスギビング後の感染拡大期に入っており、(感染件数が)全国で3倍、4倍、あるいは10倍になるだろう」、「非常に心配している」と話した。
アメリカでは現在、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型ウイルスワクチンが緊急使用の認可申請を行っている。疾病対策センター(CDC)は今週にも、予防接種諮問委員会(ACIP)とワクチンプログラムについて協議する方針だ。
ファウチ博士は先に、ワクチンは「トンネルの向こうの光になる」と話していた。