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 7月から9月にかけての新型コロナウイルス感染症の「第2波」は、3月以降に欧州などから流入した後、緊急事態宣言を経ても感染が断ち切れなかった2系統のウイルスから再拡大したものだと考えられることが、国立感染症研究所感染研)の分析で分かった。厚生労働省新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織に11日、報告した。

 11月までに感染者の検体から得られたウイルスのゲノム(全遺伝情報)を分析した。それによると、欧州などから流入したウイルスは一時、全国へ広がったが、保健所による疫学調査などさまざまな対策で、新規感染者が少なくなった6月ごろまでに、ほとんどの感染の連鎖は絶たれた。しかし2系統のウイルスは封じ込められず、その後の感染の再拡大が起きたと推測されるという。

 黒田誠・感染研病原体ゲノム解析研究センター長によると、3月以降の感染拡大では、100以上の系統数に広がったとみられるという。この2系統は、検査などが難しい集団で感染が続いていたとみられ、「再拡大の芽を摘むために、各自治体で対策を考える必要がある」と話した。

 空港検疫で得られた約130例のウイルスのゲノムの分析結果も報告。現状では、新たに海外から流入するウイルスは国内の感染拡大の主流にはなっていないという。ただ検疫では、ウイルス量が少ない無症状の感染者らは検査をすり抜ける可能性はあり、黒田さんは「入国許可は、相手国の感染状況などを見た上で慎重な判断が求められる」と指摘した。(野口憲太)

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