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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた県対策本部会議(本部長・黒岩祐治知事)が27日に県庁で開かれた。感染状況が「ステージ3(感染急増)」に近づいたとして「警戒宣言」を出したが、ステージ3への引き上げ自体は見送った。一方、「Go To イベント」の新規販売を一時停止する方針などが決まった。

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 「病床の逼迫(ひっぱく)が急激だ。もうステージ3を宣言していいのではないか。これが現場の声だ。悲鳴に近い思いだ」。27日の会議で、県内の病床利用率が「ステージ3」に移行する基準値を超えていることなどを説明した阿南英明・県医療危機対策統括官藤沢市民病院副院長)は、そう訴えた。

 足元では1日の新規感染者が200人を超える状況が続く。県は14日に「医療アラート」を出し、患者をすぐに受け入れられる病床を650床程度から1100床程度に2週間以内に増やすと決めたが、27日現在で763床にとどまる。

 増加する感染者に、逼迫(ひっぱく)する病床。会議の数日前には県幹部が取材に「もう(ステージ3に)上げる」と引き上げに動いていることを明らかにしていた。会議では阿南氏も踏み込んだ対策をとるためにステージ3への移行を求めたが、「(移行が)社会経済活動の抑制(につながる)という側面も踏まえて検討すべきだ」(武井政二副知事)など慎重な声があがった。

 背景には、「ステージ3相当」になれば「Go To」事業の見直しや飲食店への時短営業要請が必要だとする政府分科会の提言がある。ステージは知事が総合的に判断することになっているが、「Go To トラベル」など国の事業の見直しにも絡むことになり、県だけの判断で移行するのは難しいのが実情だ。「国の対応など、斟酌(しんしゃく)すべきことが新たに加わってきた」と県幹部は明かす。

 会議で黒岩知事は、27日午前に西村康稔経済再生相に会った際、ステージ3への移行を求める声が上がっていると持ちかけたところ、感染者が急増しながらステージ3を宣言していない地域もある中で「神奈川が他を抜いて宣言するのは容認し難い」と言われたと説明した。

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 27日の会議では、コンサートなどのチケット販売代金の一部を割り引く国の需要喚起策「Go To イベント」をめぐり、県内での対象チケットの新規販売を一時停止するよう、国側に求める方針も決まった。

 期間は12月2日から当面の間。県によると、県内ではコンサートや演劇、試合観戦など99のイベントが「Go To イベント」の対象として登録されている。購入・予約済みのチケットは、そのまま使える。

 県民を対象に県内旅行の代金を割り引く県の事業「地元かながわ再発見(かながわ県民割)」についても今月30日から当面の間、新規販売を一時停止することを決定。県内では、すでに国の飲食店支援策「Go To イート」の食事券の新規発行も一時停止している。(末崎毅、岩本修弥、茂木克信)

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