日光市は27日までに、ソフトバンクグループの「新型コロナウイルス検査センター」の検査施設(千葉県市川市)で実施しているPCR検査を利用する方針を決めた。感染者が発生した市内の事業所や学校・保育、高齢者施設などの従業員や入所者らのうち、PCRの行政検査の対象とならなかった人で感染への不安を抱く人の検査を市がまとめて依頼する。栃木県内の自治体の利用は初めてという。

 検査は1回2千円(税別、配送費など除く)で、費用は自己負担となる。感染者が出た事業所や施設で働いていたり利用していたりしても、症状がない人や濃厚接触者などに該当せず行政検査の対象者とならなかった人が、PCR検査を受けやすくなるようにする。市民や観光客に安全安心を提供し、感染拡大防止につなげる狙い。

 市は12月定例市議会に提出する本年度一般会計補正予算案に、新型コロナウイルス感染防止対策事業費として252万9千円を盛り込む。利用開始は議決後を予定するが、市総合政策課は「議決前に感染者が出た場合は、臨機応変に対応していきたい」とする。

 同社の「東京PCR検査センター」は唾液を使ったPCR専用施設で、企業や自治体などの無症状・無自覚者を対象に検査する。全国約1300の企業や自治体が利用しているという。

 市によると、初回利用時は申し込みから採取キットの受け取り、検体採取、返送、検査、結果通知までに最短15日を要する。市は既に登録手続きなどを終えているため、市に検査を申し込めば最短9日で検査結果が分かるという。

 検査結果は市を通じて個別に伝えられる。陽性の疑いを示す結果が出た場合、市は行政検査へ取り次ぐ考えで、同課は「できるだけ早く不安を解消できるように取り組む」としている。