名古屋のコロナ病床逼迫、実質満床に 医師ら足りず

新型コロナウイルスの感染が拡大し、名古屋市内の医療提供体制が逼迫してきた。市内で稼働するコロナ患者向け病床のうち、既に9割超が実質的に埋まった。愛知県と市は医療機関に病床を増やすよう働きかけているが、医師や看護師らが不足し、病床が空いていても受け入れができないケースが生じている。

愛知県の新型コロナ感染者は27日に1日当たり最多の234人を確認した(名古屋市内の医療機関)

名古屋市によると、26日時点で市内の各病院が確保した病床は297床あるが、受け入れに必要な医療従事者が確保できておらず、すぐ使えるのは「150床ほど」(担当者)。既に147床が埋まり、実質的にほぼ満床となっている。一般病床の診療に当たっている医療従事者をコロナ向けに配置するには、組織内の人繰りの調整などが必要になるためだ。

「11月に入って入院患者は再び増え始めており、退院者が出てもすぐ埋まる状況だ」。市内の病院関係者は危機感を募らせる。同病院には27日時点で十数人が入院中。空き病床はあるが、「マンパワーの問題があり、すぐに受け入れることはできない」と打ち明ける。

県によると、県全体では900床を確保し、26日時点で376人が入院している。全体では余裕があり、大村秀章知事は「感染者は医療機関に粛々と受け入れてもらっている。入れていないことはない」との認識だ。

ただ名古屋市内は感染者が突出して多く、患者もできるだけ自宅から近い病院への入院を希望するため、空きが少ないという事情がある。愛知県では27日、1日当たり過去最多となる234人の感染を確認し、名古屋市が117人を占めた。

市内の病院で受け入れが難しい場合、県が仲介して市外の病院を手配する。関係者によると、肺炎などの症状があり緊急性の高い患者は陽性判明後すぐに入院できるが、緊急性が低いと判断されると1日ほどかかるケースもあるという。

県全体では重症者数が26日時点で22人と1カ月前から倍増し、過去最多だった8月の26人に迫っている。名古屋市は27日、市立東部医療センターで旧病棟の一部を活用し、コロナ病床を約20床追加整備する方針を明らかにした。医療従事者と病床の確保は急務だ。

県は29日から名古屋市繁華街の錦・栄地区の一部で、酒類を提供する飲食店に営業時間の短縮を要請し、感染拡大に歯止めをかける考えだ。

ただ、感染は「家庭や職場、学校など様々な場所で広がっている」(同市幹部)。一部の繁華街を対象とした時短要請の効果は未知数だ。大村知事は27日の会見で「この状況が続けば、(県独自の)緊急事態宣言も想定せざるを得ない厳しい状況」との認識を示した。

県は同日、豊川市の豊川グランドホテルを12月4日から軽症者向けの宿泊療養施設として利用するとも発表。58室を備え、東三河地域では初の軽症者向け施設となる。

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