# 陰謀論 # 政治学 # ネット右翼

「右でも左でもない普通の日本人」を自認する人ほど、陰謀論を信じやすかった…!

研究が示す驚きの事実
秦 正樹 プロフィール

本調査では、自分をどれくらい「普通」と認識しているかという「普通の日本人意識」を探るために、「政治に関することについて、私は他の多くの日本人と同じような意見を持っていると思うか」という質問を設けた。

この質問への回答は「そう思う(3.23%)」「ややそう思う(49.74%)」「あまりそうは思わない(32.01%)」「そうは思わない(15.02%)」であった。「そう思う」+「ややそう思う」は全体の53%、「あまりそうは思わない」+「そうは思わない」は47%近くと大きく二分される結果となった。

そこで以下では、前者を「普通自認層」、後者を「非普通自認層」に大きく二つの層にわけた上で、ネトウヨ的言説に関する6つの質問への賛成度を2つの層ごとに示した(図1)*2。(ここでは数値が大きいほど賛成度が高い。また各質問のカッコ中の「M」は全体の平均値、「SD」は標準偏差を示す)

• 日本の左派系団体の多くは、韓国に操られている(M=2.21、SD=1.59)
• 左派政党の議員は、韓国のために政治をしているのではないかと感じる(M=2.32、SD=1.62)
• マスコミはどこも韓国寄りなので信用できない(M=2.3、SD=1.47)
• 在日朝鮮人は、平等の名の下に過剰な要求をしている(M=3.11、SD=1.65)
• あらゆる政策について、日本国民の利益が最優先されるべきだ(M=3.44、SD=1.35)
• どのような政治的決定であっても、外国人の意見を取り入れる必要はない(M=2.35、SD=1.3)

図1 普通意識ごとの「ネトウヨ的言説」賛同度の違い

図1より、全体的に、普通自認層ほど「日本の政治的・社会的機関の中枢は韓国(人)に支配されている」と考える傾向が強いことがわかる。また、新しいレイシズムやゼノフォビア(外国人への排外主義)意識に関しても、自身を「普通」と自認する層の方が非普通自認層よりも高い

 

さらに、図1の赤線で示した全体の平均値と比べると、非普通自認層より普通自認層のほうが平均値よりもやや高い傾向にある。「普通」を「平均的なこと」と捉えるならば、「私の政治的意見は普通だ」と思う人の方が、逆説的に、「平均的な日本人の意見」から外れがちなのである。