日夜、孤軍奮闘するひとり情シスを応援するメディアとして開設した「ひとり情シスチャンネル」。本連載はその特集の一つとして「ひとり情シスTips」と題し、全4回に渡ってWindows Server 2008移行についてのコラムをお届けします。
第2回の今回は、なにから手を付ければいいかわからない、という状態のひとり情シスがまずやるべきことについて解説します。
Microsoft Azureへの移行で3年間の猶予をつくる
マイクロソフトはWindows Server 2008/2008 R2およびSQL Server 2008/2008 R2に対して、10年以上(最小5年のメインストリーム+最小5年の延長)の製品サポートを提供してきました。その延長サポートの終了(End of Support:EOS)まで残りわずか。本来、メインストリームサポートの終了までに計画的に移行を開始するべきであり、これからEOS対応を開始するのでは遅すぎます。
しかし、マイクロソフトは今回のEOSに合わせて、以前のバージョンでは提供されなかった「拡張セキュリティ更新プログラム(Extendes Security Updates:ESU)」を新たに用意しました。
ESUを利用することでEOS後の最大3年間、引き続きセキュリティ更新プログラムの提供を受けることができます。ESUを利用するにはサーバーをMicrosoft Azure(以下Azure)に移行して実行する必要があります。
現在、Windows Server 2008/2008 R2やSQL Server 2008/2008 R2を運用しているサーバーを、AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)であるAzure仮想マシンに移行する場合、最大3年間のESUが無料提供されます。
これらのバージョンのOSやSQL Serverは、Azure仮想マシンでサポートされるソフトウェアの対象です。ESUを利用するために、特別な要件はありません。ただし、既に所有するWindows Serverのサーバーライセンスがソフトウェアアシュアランス(SA)付きのボリュームライセンスである場合、Azureにライセンスを移動して、通常のWindows仮想マシンよりも低いコンピューティング料金で利用できる「Azureハイブリッド特典」を利用できるという利点があります。
Windows Server 2008/2008 R2の問題はピンチではありますが、見方を変えればクラウド移行しやすいチャンスでもあります。オンプレミスと違って無料でサポートを受けることもできますので、まずはAzureへの移行を考えてみてはいかがでしょうか。
オンプレミスの場合はESUを購入するコストがかかる
もちろん、社内的な事情などで、オンプレミス(他社クラウドやホスティングを含む)でなければならないこともあるでしょう。オンプレミスの運用中のサーバーについては、マイクロソフト、またはマイクロソフトのライセンスパートナーからサーバーごと、年ごとにESUを購入することができます。ESUを購入するコストが毎年掛かりますが、移行を進めることでESUが必要なサーバー数が減るので、購入コストを毎年削減できます。
ESUは2019年3月1日から購入可能であり、EOSの直後からESUの更新プログラムの配信が始まります。ただし、ESUを購入するためには、SA付きのボリュームライセンスを所有している必要があります。対象のライセンスを所有していない場合は、対象のライセンスを新たに購入した上で、ESUを購入することができます。
ESUは、ボリュームライセンスのWindows 7 ProfessionalおよびEnterpriseエディションに対しても提供されます。今後、Azureでサービスを開始する予定のWindows Virtual DesktopサービスではWindows 7のデスクトップ展開がサポートされ、無料のESUの対象になる予定です。オンプレミス向けには、対象ライセンスのデバイスごと、年ごとにESUを購入することができます(SAは必須ではありませんが、ESUのディスカウント対象になります)。
3年間の猶予期間で、課題解決に取り組む
Azureのクラウド環境(ESUは無料)またはオンプレミス(ESUは有料)でESUを利用することにより、EOS後もあと3年、セキュリティを維持できる猶予期間が得られるわけです。
ただ、これを単なる延命措置と考えては何の課題解決にもなりません。最大3年の猶予期間の間に、積みあがっている課題に根本から取り組むのです。ではどのようなことに取り組めばいいか。次回以降で解説します。
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