あらゆる業務を支えるはずのシステム部門の担当者が、ごく少数にまかされている。「ひとり情シス」は近年の大きな問題です。わからないことがあっても、気軽に相談できる人は周りにいません。
そこで今回、「ひとり情シスチャンネル」を開設することにしました。日夜、孤軍奮闘するひとり情シスを応援するメディアとして、その体験談や、ちょっとしたコラムなど、さまざまな角度からひとり情シスを応援するコンテンツを配信していきます。
本連載はひとり情シスTipsとして、全4回に渡ってWindows Server 2008移行についてのコラムをお届けします。Windows Server 2008の移行問題は、緊急性が高いにも関わらず、なにから手を付ければいいかわからない、というひとり情シスの方もいるでしょう。日々の業務のヒントにしていただければ幸いです。
Windows Server 2008/2008 R2のEOS、2020年1月はもう目前
2020年1月14日に、Windows Server 2008およびWindows Server 2008 R2の製品サポートが終了します。製品サポートが終了(End of Support:EOS)すると、Windowsに重大な脆弱性が発見されたとしても、セキュリティ更新プログラムが提供されることはなくなります。また、それ以外の有償/無償の公式サポートも原則として受けられなくなります。
Windows Server 2008/2008 R2で業務アプリケーションが動いているという場合、データベースとしてSQL Server 2008やSQL Server 2008 R2を利用している場合があるでしょう。同時に大量導入したWindows 7クライアントが残っているところもあるでしょう。Windows 7のEOSはWindows Server 2008/2008 R2と同じ日に、SQL Server 2008/2008 R2のEOSについてはさらに半年早い2019年7月9日に迎えます。
企業や組織においてこれらの製品を現在も利用していて、まだ何もアクションを開始していないとしたら、いますぐ始める必要があります。セキュリティ更新プログラムが提供されなくなると、未対策の脆弱性が蓄積され、セキュリティ侵害のリスクが高まります。もしそれが原因で情報漏えいなど起こしてしまうと、企業価値が下がるばかりか、多大な賠償責任を負うことになるかもしれません。
クラウド移行を含めて検討したいが、レガシー環境の移行は課題だらけ
ひとり情シスが担当するIT環境は、人的リソースも足りなければ、費用を捻出することも難しいでしょう。それは経営側に納得してもらう以外にありません。仮に人や費用の問題がなくても、レガシーな環境を最新環境に移行するとなると、次のように、さまざまな課題が立ちはだかります。
- 最新OSにするために複数回のアップグレードを行う必要がある
- 業務に使用している市販アプリケーションが最新OSに対応していない
- 業務アプリケーションを改修する手段がない(開発担当の退社、ベンダーの撤退、ソースコード消失など)
- 業務/市販アプリケーションの縛りでWindows 7クライアントや古いバージョンのMicrosoft Officeの環境を捨てられない
- 既存のハードウェアや周辺機器が最新OSに対応していない
- 現在のIDおよびアクセス制御環境(Active Directoryなど)を維持したい
- 移行のために運用環境を長期間停止することができない
- クラウド移行も視野に入れたいが、クラウドの知識と経験に乏しい
例えば、Windows Server 2008/2008 R2を最新のWindows Server 2019に直接アップグレードすることはできません。Windows Server 2012、Windows Server 2016、Windows Server 2019の順番に実施することでインプレースアップグレードすることは可能です。しかし残された時間を考えれば、別の手段を検討するべきでしょう。また、Windows Server 2008は32ビット版が提供された最後のWindows Serverであり、そもそも後継バージョンへのインプレースアップグレードに対応していません。
そもそも時間がないひとり情シス。だからと言って、Windows Server 2008/2008 R2のEOS問題は待ってはくれません。いまから取り組みはじめたとしても、間に合うかどうか。
では、どうすればいいか。次回以降で解説していきます。
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