3月21日の厚労省の公表値を用いて,罹患率=発症患者/PCR検査数と定義すると,罹患率は,約5%になります.しかし,PCR検査の,感度と特異性(酒井健司,朝日デジタル)の情報を入れてベイズ推定した罹患率は5.9%になります.この推定値の増加は,主としてPCR検査感度に原因があり,実際の罹患者を取りこぼすためです.(注)この数値は,PCR検査を受けた限定されたグループをサンプルとしているために,一般の集団に対しては少し割り引いた数値になるでしょう.
■今日,PCR検査数も増加しているので4月23日のデータを用いて,再計算をしてみました.
ただし,PCR検査数が増加したといっても,そして,多少はPCR検査を受ける条件が緩和されたかもしれませんが,現在でも,陽性の確率が高いサンプル集団について検査が行われているのは同じです.
(今回の結論)ーーー
4月23日の厚労省の公表値を用いて,罹患率=発症患者/PCR検査数と定義すると,罹患率は,約5.4%(前回5.0%)になります.しかし,PCR検査の,感度と特異性(酒井健司,朝日デジタル)の情報を入れてベイズ推定した罹患率は8.6%(前回5.9%)になります.この推定値の増加は,主としてPCR検査感度に原因があり,実際の罹患者を取りこぼすためです.
(注)ここで推定した数値は,PCR検査を受けた限定されたグループをサンプル集合としているために,一般の集団に対しては少し割り引いた数値になるでしょう.下図を見てください.
記号の意味は例えば以下の様です.
p(X) Xが起こる確率
p(Y|X) Xが起こった後でYが起こる確率
p(X∩Y) XかつYが起こる確率
ベイズの定理は,X(原因)が起きた後でY(結果)が起きる確率p(Y|X)と,XとYを入れ替えた確率p(X|Y)を結び付ける定理です.
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■新型コロナウイルスに対するPCR検査数は,厚生労働省の発表で,日本でも4月23日現在,135,983人になりました.
【1.PCR検査陽性者数】 【2. PCR検査陽性時の有症状・無症状の別】
PCR検査による感染者数は11,919人,発症患者(=罹患者と定義)はそのうちの7,315人です.
発症患者/PCR検査数=罹患率 と仮の罹患率を定義すると,罹患率は約5.4%です.
陽性率=感染者数/PCR検査数=0.056 ,陰性率=0.944 も定義します.
■新型コロナ検査、どれくらい正確? 感度と特異度の意味査(酒井健司,朝日デジタル)をもとにして,次のように仮定します.PCR検査の感度というのは,罹患者がPCR検査で+になる確率のことで,あまり大きくなく0.7, 罹患者でもPCR検査が-となる場合(偽陰性)の確率は0.3程度だそうです.
検査の特異性により,非罹患者が+(疑陽性)と判定される確率は0.01だそうです.
■これらの仮定の下で,以下の2つを推定しましょう.ただし,ベイズの定理を使います.
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