2020-11-28

あーだめだめ

ところどころ正しいのに所謂「種の保存」的な理解をしているせいで変な解釈になってる。

Re: 滅び/女王殺し

一部は正しい(「複数女王血統からなるコロニーでは女王殺しが行われないのに対し、単一女王血統のみからなるコロニーにおいては女王殺しが起こりやすい」とか)。

女王殺しはなぜ起こるか、未だすべてが明らかではないが、わかっている部分を説明しましょう。

まず学校で習った血縁選択を思い出してください。

ハチのような半倍数性の性決定様式では、(同母同父の)姉妹との血縁度は0.75で、自身の息子・娘との血縁度0.5を上回りますね?

まり自分子供を産むより自分姉妹を増やしてもらった方が進化的にお得なワケです。

ゆえに一見適応度が低そうなワーカー(働き蜂)形質も、包括適応度でみれば適応的な形質と言えるでしょう。

しかし、オス(ドローン)はちょいと違います女王とその息子の血縁度は0.5ですが、ワーカーと同母の兄弟(=女王の息子)の血縁度は0.25。

ワーカーとその息子の血縁度は0.5、ワーカーとその甥(同母同父の姉妹の息子)の血縁度は0.375で兄弟のそれを上回ります

まり、同母兄弟次世代の父とするよりも自分あるいは姉妹の息子をそうした方がお得なのですよ。

ではワーカーが自分たちの息子を次代へ送り出す障害は?――女王だ。

女王の出すフェロモンでワーカーの卵巣発達は阻害され、それを掻い潜って産卵しても女王制裁に来る(ポリシング)。

じゃあ、殺すしかないよね?

と、そういうワケで、女王殺しが起こるんですね。

え?遺伝多様性?そうそうそれもありました。

↑の話は同母同父の姉妹適用される理論。さんざん同父や同母という注釈をつけたのもそれが理由

そして異父姉妹が多い(=遺伝多様性の高い)コロニーでは話が別なのです。

そのようなコロニーでは甥の血縁度は兄弟とのそれを下回る可能性が高いので、女王殺して甥を増やすより生かして兄弟増やした方がお得になるんです。

これが遺伝多様性の低いコロニー女王殺しが起こりやす理由です。

実際のところ条件を満たしているようでも女王殺しが起こったり起こらなかったりするもんで、まだまだ未解明の部分が多いんだけど、わかってる範囲ではこんなモンでしょう。

したがって、

どうやら、単一女王のみが働き蜂を産み育てることで、遺伝子的多様性崩壊するのを恐れる傾向が、働き蜂にはあるのですね。

そんな

傾向は

ない。

徹頭徹尾利己的な遺伝子の話。多様性は結果であって目的ではないのです。

Re: 死というシステム

 スズメバチ社会昆虫なので、一度コロニー形成してしまえば基本的に大型の猛禽クマなどの肉食動物を除いて天敵が存在しなくなります。例えばオニヤンマやシオヤアブ、雀などの鳥類一時的スズメバチを打倒できるとしても、数百匹の群れを成すスズメバチに対抗できる動物はさほど多くありません。つまり、繰り返すように基本的スズメバチにとって天敵は存在しないのです。

 となれば、何故スズメバチ個体数はそれほど増加せずに、ある一定の値を保ち続けているのだろう――そういった疑問を持つ方もいるかもしれません。(以下略

「一度コロニー形成してしま」う前に死んでるんですよわんさか。

「数百匹の群れ」になる前に死んでるんですよ一匹で。

最大の難関をくぐりぬけて盤石の態勢を築いた後で「天敵は存在しない」って。その前に間引かれてるんですよ。

自分でも「きちんと巣を作ってコロニー形成できる女王複数いる女王の内の数%程度に過ぎないという説もあるくらい」と書いてるじゃないっすか。

それが答えです。

 そう、スズメバチの巣には内乱が起こります。巣の内部にいる働き蜂は、万民万民に対する闘争状態さながらに攻撃を開始します。その攻撃対象は、女王、幼虫、蛹、全てに及び、そこに見境などありません。彼女らは暴走し、一切を食い尽くし、全てを破壊していきます。新女王蜂だけが先見性を持ち、その内乱から脱出し次の巣を作るという使命を持って行動することができるのです。つまりスズメバチの巣においては、仮に気候条件が彼らの味方をしようとも、女王フェロモン効果が薄れるにつれて必ずや内乱が起こるようになっているのです。そのため、彼らは気候条件の云々によらず、必ず滅びる運命にあるということなのです。

そんな

ことは

ない。

研究によっては実験で巣から女王バチ除去することもありますけど、ワーカーが産卵するほかは変わらずあくせく働くんですよ。暴れたりもしません。

「あくせく働く」のはそもそもそれがハチ自身習性なんです。フェロモンで1から10まで操られてやってるわけじゃあありません。

女王バチだって営巣初期は自分で餌集めしてワーカー育てますからね?

女王フェロモンだってそんなに万能じゃないです。種にもよりますけど生殖能力制限女王のお世話(グルーミングとか給餌とか)の誘発、労働の促進(ミツバチ)くらいです。

なくなっても暴れませんし、むしろ怠惰になるかも。

それに「内乱」じたい必要ないんですよ。普通に飢えて凍えて老い死ぬんですから

(余ったワーカー候補の幼虫をモグモグしたり先述した女王殺しをやったりはしますけど。)



Re: まとめ

 スズメバチ基本的世界最強のハチであり、さしたる天敵さえも持っていません。それにも関わらず彼らがその個体数を爆発的に増加させないのには、そのような理由があったのです。言わば、彼らの生命サイクルには、内乱と死が含まれているのです。その死が彼らのシステムに含まれていることによって、その個体数は増加せずに済んでいると言えるかもしれません。

さっきも言ったけどスズメバチが爆発的に増えないのは元増田も言っているように「きちんと巣を作ってコロニー形成できる女王複数いる女王の内の数%程度に過ぎない」から

それにワーカーは次代を(オス以外)残せないのだから、こいつらが仮に生き延びても「爆発的に増え」たりしないんですね。


 以下の文章私見となるのですが、あるいはこれは自然生態系というシステム破綻を来さないために設けた、一つの安全装置のような気がします。ある種の強大過ぎる種類が個体数を増やしすぎないという、生態系必要機能のコア部分が、スズメバチの生態というシステムには凝縮されているように思えるのです。

そんな

もの

ない

ガイア理論とかナイーブな群淘汰論とか種の保存とか、その手の話にかぶれてるのでしょうか。

生態系意思はなく、自然安全装置はありません。生物利己的な遺伝子の命ずるまま生み育て地に満ちるのです。できる範囲で。

付録スズメバチライフサイクル

  1. 春:冬眠から目覚めた新女王バチが行動を開始。営巣。女王が二番目に死にやすシーズン単独行動中に喰われたり。
  2. 夏:巣が拡大。ワーカーも大量。この時期の女王はそうそう死なない。
  3. 秋①:次代への備え。ワーカーの生産停止。新女王とオスの生育。たまにワーカーの反逆。
  4. 秋②:新女王とオスが巣立ち。外部で交尾してオス(と運悪く交尾できなかった新女王候補)は死ぬ。巣に残ったハチは寒さか飢えか寿命死ぬコロニーの終わり。
  5. 冬:無事交尾できた新女王冬眠する。女王が最も死にやすシーズン。寝てる間に捕食されたり暖冬で早起きして飢え死に。
  6. 春:最初に戻る。

anond:20201128014600

記事への反応 -
  •  スズメバチは一年間のサイクルを繰り返す。つまり、女王が生まれ、女王が巣を作り、滅びる。これを繰り返すのである。  いやしかし滅びるってなんなんすかという話であって、勿...

    • ところどころ正しいのに所謂「種の保存」的な理解をしているせいで変な解釈になってる。 Re: 滅び/女王殺し 一部は正しい(「複数の女王の血統からなるコロニーでは女王殺しが行わ...

      • うわっ、君気持ち悪いなぁ〜

      • ハチも大変だなあ 質問:ドア開けてると必ず小型のハチが偵察に入って来て反対の窓から出て行くんだけどこれは何ですか?

      • 指摘する人ってなんでこうやって相手を馬鹿にして見下して指摘してしまうんだろう 普段の生活でもこんな風にやらかしてんのかな

      • 元増田もこっちも正しいかどうか分かんないや なのに分かったようなブコメ書いてる人って知識すごいなあ

      • 二人とも間違ってるね。 全ては自然淘汰という繰り返されてきたループの中における生存バイアスでしかない。 長い長いライフゲームの中でたまたま人類が見つけた周期的な点滅パター...

        • 遺伝子は意思を持たず、進化の方向性すら持たず、生き残りやすい奴が偶然生き残り、 利己的遺伝子は (人間からすると)利己的(に見える)遺伝子 であってまさにそれなんだが

          • 本気でそう思ってるなら現国の教科書を読み直したほうがいいな。 小1のからだぞ

            • 言葉の意味の問題じゃなくて、本のタイトルの付け方の問題!

    • まあでも無敵のシステム作ったら餌の枯渇やらハチクマの大量繁殖やら起きそうだし、何らかの調整弁なんだろうな

    • 昔実家にできたスズメバチの巣は最終的に幼虫や成虫の変死体を撒き散らす地獄絵図と化していたけど、こういう舞台裏があったんだな…

    • https://ja.wikipedia.org/wiki/ネジレバネ コガタスズメバチの働き蜂に寄生し、寄生された宿主はネジレバネにコントロールされ、複数個体に寄生された場合を除きほとんどの場合は衰弱せず働...

    • 事実上生殖能力を制限されてるKKOは働き蜂なんだなぁ。 人間も真社会性を持ちつつある。

      • (家事をしない)家事手伝いのKKO(キモくて子どもも産めないオバサン)は働きアリでさえないね

    • 新女王がフェロモンで旧女王の働きバチを洗脳すればいいのに

    • 少しは何かを知っているのかも知れないが、総合すれば戯言のレベルだろう。

    • https://www.kagaku-kentei.jp/news_detail/data/202 信頼性は知らんが増田以外で類似した内容を書いてる記事

    • これ普通にWikipedia、ナショジオあたりを検索すれば載ってるやつなんだが

    • どうやら、単一の女王のみが働き蜂を産み育てることで、遺伝子的多様性が崩壊するのを恐れる傾向が、働き蜂にはあるのですね ねーよ

    • これ

    • スズメバチってクッソ危険だし絶滅させちゃだめ?

    • これフロム・ソフトウェアのダークソウルシリーズやんね

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