朝鮮日報

【コラム】恐怖政治と大韓民国

フランス革命が生んだ恐怖政治 革命裁判と法律による報復
革命精神を自ら踏みにじった彼ら 韓国は革命か恐怖政治か

 酸素を発見した化学者アントワーヌ・ラヴォアジエにも1794年5月8日、革命裁判所で斬首刑が宣告された。罪名は不法徴税だった。ラヴォアジエは化学者であると同時に、政府の税金を代理徴収する官吏だった。ラヴォアジエは「重要な実験が残っているから、刑執行を2週間だけ延期してほしい」と要求した。要求は却下され、ラヴォアジエは同日夕に処刑された。

 フランス革命戦争の英雄、将軍トマ・アレクサンドル・デュマは「革命に化学者は必要ない」と主張した。トマ・アレクサンドル・デュマは「モンテ・クリスト伯」を著した小説家アレクサンドル・デュマ・ペールの父親だが、黒人と白人の混血だった。革命勢力は彼を「皮膚の色に関係なく万民は平等だ」という宣伝道具に使った。そんな常識的な人物の言葉は「革命裁判所の裁判官がラヴォアジエの求めを断固拒否して処刑した」といううわさとして広まった。狂気じみた革命家たちは自由、平等、博愛という革命精神を自ら踏みにじった。

 狂気の中で行われた恐怖政治は1794年7月28日、革命指導者マクシミリアン・ロベスピエール本人が斬首されたことで終了した。処刑直前に拳銃による自殺を試みたロベスピエールは銃弾が当たった顎が筋でようやくつながっている状態で斬首された。

 革命の価値に自信がない革命家たちは革命家ではなく革命主義者だ。その胸中には多様性という価値に対する恐怖と劣等感が潜んでいる。このため、革命を口実にした権利欲を「万民が平等に幸福を享受する」というスローガンで包み込み、共同体を恐怖に追い込み、考えが異なる者たちを反革命分子と決め付け、口に猿ぐつわをはめ、手足に手錠と足かせをはめた。2020年冬、大韓民国という共和国はどの段階にあるのだろうか。革命なのか、独裁なのか、それとも恐怖政治なのか。

パク・チョンイン上級記者

■2020年世界幸福度ランキングで韓国61位に低下…最も幸せな国は?

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