3万円台のクラブ・ラ・メールで知る、深くて広い時計“海”
腕時計の世界は奥が深い。計器としての信頼性やモノとしての価値を大切にしながら、ブランドの歴史と背景が複雑に絡み合って1本の時計として表現される。特にクラシカルな機械式時計は利便性でクオーツ式に遅れをとる一方、特有の高級感を放つのが魅力だ。確かに機械式時計は、一度止まってしまうと動力源となるゼンマイを巻き上げるという作業が必要になるし、2日や3日も放っておけばまた止まってしまう。しかし、そんな手間のかかる相棒機を持つことが、”いい大人の条件”と考える向きも多い。
「BJ7-077-30」「BJ7-077-32」各30,000円(税抜)
今回紹介するのは、「手の届く機械式時計」をモットーとする『クラブ・ラ・メール』の新作。ブランド誕生35周年を祝うトラディショナルな記念モデルとして、各モデル500本限定でリリースされた。デザインモチーフとなったのは、大航海時代のマリンクロノメーター。アンティーク感に満ちたいぶし風仕上げのSSケースが、古きよき趣を体現する。シックなローマンインデックスを配したアイボリーのダイヤルは、光の反射が美しいサンレイパターンを採用。38mm径の落ち着きに満ちた表情は、オン・オフ問わずスタイルに品格を添えてくれそうだ。
さらに注目したいのが、機械式ならではのムーブメントの動きを楽しむことができること。7時位置に開けられた小窓からは腕時計の心臓部たるテンプが覗き、時を刻む”鼓動”を感じ取れる。また、シースルーバックの背面からはテンプを保持するブリッジと呼ばれるパーツを拝めるが、ここに波上のコート・ド・ジュネーブ装飾を施すという手の凝りようだ。
ディテールまで抜かりなく、3気圧防水&40時間パワーリザーブで実用性も担保。そのうえでリーズナブルな価格帯を実現している。フランス語で「海」を意味する「ラ・メール」を冠したブランドの自信作は、深遠で広大な時計界ならぬ、時計”海”に乗り出すための1本として最適ではないだろうか。
Text_Naoki Masuyama

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