世界で賞賛される「韓国」コロナ対策の凄み 行動制限を課すことなく増加曲線を抑制 (下) | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」のランダム日誌
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元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」のランダム日誌

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自主隔離命令を受けた人はもう1つアプリをダウンロードしなければならない。患者が隔離から抜け出した場合、当局に連絡が行くというアプリだ。違反した場合の罰金は最大2500ドルにもなる。

感染を早期に特定し治療すること、また軽度の症例は特別センターに分離することで、韓国は病院が最重症患者を受け入れられる状態を確保してきた。同国の症例死亡率は1%をわずかに超える程度で、世界でも最も低い国の1つである。

アウトブレイク抑圧には国民の協力が必要

教訓4:公衆の助けを募る

医療従事者の数も足りず、全員を追跡できるだけの体温スキャナーもないため、市井の人々が協力しなくてはならない。

首脳陣の結論は、アウトブレイクの制圧には国民に対し完全な情報共有を続けること、そして国民の協力をお願いすることが必要ということだった、と保健福祉部次官のキム氏は話す。

テレビ放送、地下鉄の駅の告知、スマートフォンのアラートが、マスク着用の促進や社会的距離戦略、その日の感染データについて無限に注意喚起をしてくる。こうしたメッセージはまるで戦時中のような共通目的の感覚を植え付ける。

世論調査では大多数が政府の取り組みに賛同を示しており、人々は自信があり、パニックは少なく、買いだめもほとんど起こっていない。

「この公衆の信頼により非常に高い市民意識と自主的な協力姿勢が生まれ、私たちの集団的努力をさらに強いものにしている」と、外務省次官のイ・テホは今月初旬に記者団に語った。

当局はまた、同国の健康保険システムの功績を指摘する。ほとんどの治療を保証し、コロナウイルス関連のコストをカバーする特別なルールがあるため、無症状の人も検査を受ける意欲が高められる。

注目される韓国の成功について、その方法と封じ込めのためのツールは桁外れに複雑でも高価でもない。

同国が用いた技術のいくつかは、専用ゴム手袋や綿棒のようなシンプルなものだ。韓国よりもひどいアウトブレイクを経験している7カ国のうち、5カ国は韓国より豊かな国だ。

韓国モデル応用の3つのハードル

専門家たちは韓国モデルを応用するうえでの3つのハードルを指摘する。いずれもコストや技術とは関係ない。

1つは政治的意志だ。危機的水準のアウトブレイクなくして、厄介な対策を講じることをためらった政府は多い。

もう1つは公衆の意志である。韓国では多くのほかの国に比べて社会的信頼が高い。とくに分極化とポピュリズムによるしっぺ返しに悩まされる西洋民主主義国に比べれば。

しかし、最大の課題となるのは時間だ。すでにエピデミックが進行した国が韓国と同じように早くまたは効率的にアウトブレイクを制御するにはもう「遅すぎる」かもしれない、とキ氏は言う。

中国は、ほとんどのヨーロッパの国よりも大きい湖北省における初の破壊的なアウトブレイクを駆逐した。ただし、その経済を閉鎖するというコストが伴った。

ゴットリーブ元FDA長官はツイッターで「われわれは韓国のような結果が得られるチャンスはおそらく逃してしまっている」と書いたが、韓国の手法はアメリカでも役立つかもしれない。「イタリアで生じているような悲劇的な苦しみを回避するためのことはすべてやらなければならない」。

 

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