モモンガさんレベルアップ   作:強迫性障害

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 あ、赤評価………だと………(二度見)
 やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
 ほのぼのらいふさん、ハイノービスさん、enforcerさん、えびるさん、nonobuu@icoud.comさん、aenean48123さん、ルキアすぁんさん、路徳さん、超熱さん、てんからっとさん、あるけみさん、にんにんにんたろふさん、chikachikaさん、Kakukaku123さん、ありがとうございます!
 まさか、ここまで高評価を貰えるとは思いもよりませんでした!!
 処女作の時は赤評価を受けたのですが、すぐに評価が下がり時間が経つにつれてどんどんと下がっていったものですから、高評価が維持できていることは大変嬉しく思っております。
 これからも頑張りますので応援ようやくお願いします。
 それではどうぞ!


冒険者

 エ・ランテルのボロ宿。

 ここにアインズとナーベラルはいた。

 二人が何故ここにいるのかというと、情報取集のためだ。

 システムについて話終わった後、アルベドとデミウルゴスの提案により、護衛を増やすように懇願された。しかし、モモンガからすれば十分だったため断ったが二人は納得しなかった。

 二人の意見を聞くとシステムからモモンガを守るために護衛の強化が必要だと言う。

 今回はなんともなかったが、ずっと無事であると断言できる訳ではない。故に二人は護衛を増やすよう懇願したのだ。

 それを聞いたモモンガは最初は断ったものの、二人の圧に耐えきれず最終的には要求を飲むことになった。

 数日後、モモンガはデイリークエストを達成しながら、ペナルティーゾーンに転移する前まで使用していた〈遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)〉を使い始め、ナザリックの周辺を探索した。最初は使い方が分からず苛立っていたモモンガだが、使い方が分かると非常に便利だと感じながら操作していた。

 すると、周辺を探索していると村を見つけた。

 村を見ると特にこれといった特徴のない喉かな村であり、RPGならゲートの序盤に出てくるような普通な村だ。

 少しばかり眺めていると遠くから武装した騎士が村を襲い虐殺を始めたのだ。

 それを見ていたモモンガは不快と思うだけで、現実なら耐えきれないような光景を見てもなんとも感じなかった。アンデットになった影響なのかと考えていると、隣に待機していたセバスからどうするかを尋ねられた。それに対してモモンガがとった行動は──見捨てるであった。

 普通の人が聞けば薄情に思えるような発言だが、アンデットになった影響と助かるメリットのなさを考えてのことだ。

 それを聞き、大人しく下がったセバスを見るとモモンガは自分の大恩人──たっち・みーに見えた。

 モモンガがユグドラシルを始めた頃にはあることが流行っていた。それは「異形種狩り」だ。

 何故「異形種狩り」が流行っていたのかというと、ユグドラシルでは転職するのに条件をクリアする必要のあるクラスが存在する。特に上位クラスになれば尚更だ。その中にプレイヤーを一定数PKする必要のあるクラスが存在し、当時異形種を選んだプレイヤーは人間種プレイヤーにPKされることが多々あり、モモンガもその被害者の内の一人だった。

 ユグドラシルを始めたばかりの頃、モモンガは人間種プレイヤーに狩られかけたことがあった。無論、これが初めてではない。もう何度も嫌というほどPKされた。あまりにもPKされたため、そろそろユグドラシルをやめようと考えていたほどだ。そしてPKされる直前、一人の人物が目の前に現れた。それこそがモモンガの大恩人──たっち・みーだ。

 モモンガは何故見知らぬ自分を助けたのか聞くとたっち・みーは「困っている人がいるのなら助けるのが当たり前」と答えてくれた。

 モモンガはセバスを見てたっち・みーの言葉を思い出すと助けに行くことにした。いずれにしても、この世界の力についてはいずれ知る必要があったからだ。

 モモンガは魔法を使い騎士に襲われている少女達の元まで転移すると騎士を瞬殺した。モモンガは余りの弱さに拍子抜けしたがスキルを使い死の騎士(デス・ナイト)を作成すると村を襲っている騎士を殺すように命じた。しかし、モモンガが命令を下した瞬間、死の騎士(デス・ナイト)はモモンガを放置して勝手に動き出した。モモンガはユグドラシルとの差に驚きながらも、ペナルティークエストでも似たような動きをしていたなと今更になって気がついた。

 死の騎士(デス・ナイト)が去った後、モモンガは姉妹を助けた。最初は、モモンガの外見もあってポーションを血と勘違いしてお互い庇い始めた。その光景を途中からやってきたアルベドが二人の不快っぷりに怒りを見せ遂に殺そうとしたが、モモンガが必死になって止め姉妹を助けた。

 助けた後、姉妹から魔法があることを確認したモモンガは村に向かった。姉の方からは両親を助けてほしいと懇願されたが、既に死んでいることを知っていたモモンガはぼかしながら答えた。

 その後、名前はなんというのか尋ねられたモモンガはアインズ・ウール・ゴウンと名乗った。

 新しく名を変えたのはこの名を世界に轟かせ仲間達を集めるためだ。

 騎士の始末に向かわせた死の騎士(デス・ナイト)が騎士を虐殺するとモモンガ改アインズは嫉妬マスクを被りながら助けに来たものだと伝えた。しかし、まだ信用しきれていないのか警戒心を感じたいアインズは報酬を貰いに来たことを伝えるとようやく村長と思わしき人物が現れた。

 その後、村長からこの世界についての情報を教えてもらうと、どれもユグドラシルには全く無かったものばかりだった。

 村長と会話が終わると村の復興作業が大体終わり、ナザリックに帰還しようとするとするが、村長達が何か話ているのを感じてアインズは話を聞いた。どうやら武装した集団がこの村に向かっているとのこと。アインズはまた厄介ごとかと呟きながらも手を貸すことにした。

 暫くするとやってきた集団は王国戦士長率いる部隊であることが発覚した。この部隊の隊長であるガセフ・ストロノーフは村長に隣にいる人物が何者なのかを尋ねるとアインズが前に出てこの村を救ったものだと伝えた。

 それを知ったガセフはアインズに頭を下げた。

 その後、魔法詠唱者の集団がこの村を包囲しているのことの報告を受けた。アインズは何者なのかを疑問の声を上げるとガセフはスレイン法国のものだと伝えた。ガセフはアインズに望む額を提供したり、法律を使ってアインズに戦うことを望むが結局それは叶わないことを悟ったガセフはこの村を守ることをお願いするとアインズはそれを了承した。

 そして、スレイン法国が大したことがないと知るとアインズは彼らと対峙した。すると、目の前にメッセージ画面が現れた。

 

緊急クエストが発生しました

緊急クエスト:敵を倒せ!

 

プレイヤーに敵意を持つものが現れました

全員倒し身の安全を確保して下さい

これに従わない場合死亡します

残り人数:96人

倒した人数:0人

 

 いきなり目の前の緊急クエストに驚いたアインズ。

 発生した原因は間違いなく目の前にいるスレイン法国の部隊だろう。だが、そんなことよら一番気になったのが従わない場合死亡するということだ。今回はアインズ自身も彼らを倒す前提で来たので問題ないが、もし相手の実力が分かっていない状態で緊急クエストが発生すれば、アインズからすれば溜まったものではない。

 ひとまず心を落ち着かせ目の前の戦闘に集中することにした。

 結果的にはアインズの圧勝で終わった。

 途中、敵の隊長の懐からユグドラシル産のアイテムが現れ、最高位天使を召喚すると聞いた時は全力で迎え撃つ準備をしていたものの、魔封じの水晶から現れた天使は結局最高位天使ではなく威光の力天使(ドミニオン・オーソリティ)だった。相手がドヤ顔だったこともありアインズはうっかり拍子抜けしてしまった。

 威光の力天使(ドミニオン・オーソリティ)を瞬殺したアインズは攻性防壁で情報系魔法を妨害すると敵の隊長は命乞いをしてきた。しかし、アインズからすれば彼らを逃すつもりはなく、また、緊急クエストに従わないと死亡してしまう可能性があるため魔法で尋問した後全員殺すことにした。だが、三回ほど尋問をすると皆死んでしまった。驚いたアインズだがもしかしたらこの世界特有の魔法かもしれないと考えると用済みとして全員殺した。本当は生け捕りが良かったものの、緊急クエストもあって殺すことにした。時間切れで死ぬのはアインズからしてもごめん被ることだった。

 全員殺し終わるとメッセージ画面が目の前に現れた。

 

経験値を獲得しました

アイテム:陽光聖典の死体×95を見つけました

アイテム:陽光聖典隊長の死体×1を見つけました

アイテム:データクリスタル×96を見つけました

アイテム:陽光聖典の服×96を見つけました

アイテム:名もない剣×96を見つけました

アイテム:劣化ポーション×96を見つけました

アイテム:魔封じの水晶×1を見つけました

残り人数:0人

倒した人数:96人

〔緊急クエスト〕の条件を全てクリアしました

 

報酬を確認しますか?

『はい』『いいえ』

クエスト報酬

報酬を選んで下さい

次の中から選べます

 

報酬1.経験値獲得

 

すべて受け取りますか?

『はい』『いいえ』

 

  緊急クエストが終わりを告げると経験値獲得にデータクリスタル、ドロップアイテム、クエスト報酬が表示された。

 クエスト報酬以外は前回と同じくだったが、クエスト報酬は複数受け取れるようだ。今回は報酬は一つしかなかったが、今後同じようなことが訪れるだろう。そんなことを考えながらアインズは経験値獲得のボタンを押した。

 

報酬を受け取りました

陽光聖典の死体

 

種類:消費アイテム

 

 精鋭部隊である陽光聖典の死体。最大40レベルのアンデットを作成可能。ただし、入手してから72時間が経つと消滅する。アイテムボックスに入れても同様。

陽光聖典隊長の死体

 

種類:消費アイテム

 

 精鋭部隊である陽光聖典隊長の死体。最大50レベルのアンデットを作成可能。ただし、入手してから72時間が経つと消滅する。アイテムボックスに入れて同様。

陽光聖典の服

 

入手難易度:最下級

種類:装備品

 

 陽光聖典が身につけている服。

 

効果:なし

名もない剣

 

入手難易度:最下級

種類:装備品

 

 陽光聖典が身につけている剣。

 

効果:なし

劣化ポーション

 

入手難易度:最下級

種類:消費アイテム

 

傷を癒すアイテム。ただし、そこまで効果は高くない。

 

効果:HP微量回復

魔封じの水晶

 

種類:聖遺級

種類:消費アイテム

 

 魔法を封じ込めるアイテム。位階魔法ならなんでも封じ込めることが出来ます。

 

効果:位階魔法封印

 

 

 取得した戦利品の確認と報酬を受け取ったアインズはその後、カルネ村に戻ると陽光聖典を逃してしまったことを伝え、アルベドと共にナザリックに帰還した。

 ナザリックに帰還したアインズは自分の名を変えたことを伝えるとアインズ・ウール・ゴウンの名を不変の伝説にするように命じた。

 そしてアインズの指示の元、守護者達は動き出した。

 シャルティアは武技を使える者の確保、コキュートスはナザリックの警備、アウラはドブの大森林の調査、デミウルゴスはスクロールの確保、セバスは王都で情報収集、そしてアインズはエ・ランテルで冒険者として活動することにした。だが、これに猛反対したのがアルベドとデミウルゴスだ。しかし、アインズとしてもこれは譲れない。シモベ達に四六時中囲まれてばかりで気分転換をしたかったアインズは必死に説得した。結局共を一人つけることを条件に外出の許可を手に入れた。

 外出の許可を手に入れたアインズは準備をしているとあることを思い出した。

 そう、召喚した死の騎士(デス・ナイト)だ。

 ユグドラシルでは召喚したモンスターは100分経つと消える仕組みになっていたが、100過ぎた今でも消えることはない。そこでアインズは実験を行った。すると、死体を使ったアンデットは時間が来ても消滅しないことが判明した。

 それを知ったアインズはドロップアイテムである死体を取り出し次々とアンデットを召喚した。そして、アンデット召喚をしている内にあることに気付いた。

 召喚を維持出来るアンデットは死体によって異なるという点だ。

 「陽光聖典の死体」では40までのアンデットの召喚の維持は出来たものの、それ以上のアンデット召喚では時間内に消えてしまった。代わりに「陽光聖典隊長の死体」を使うと50レベルのアンデットの召喚に成功した。

 それが分かると次は「竜の皇帝(ドラゴン・エンペラー)の死骸」を使った。「竜の皇帝(ドラゴン・エンペラー)の死骸」には暗黒儀式習熟を使用し、90レベル近いアンデットを召喚した。

 骸の真竜(ネクロ・トゥルードラゴン)

 89レベルと非常に高いレベルのアンデットでアンデットとしての能力は勿論のこと、生前の特性も引き継いでいる。また、高位の死霊系魔法や多彩なスキルを持ち、カンストプレイヤーからも嫌われているほど強力なモンスターだ。ドラゴンを媒体としたアンデットの中では最高峰のアンデットと言っていい。

 これにはアインズも大喜びした。高レベルのモンスターを従えることは出来るものの、そういうモンスターは大抵傭兵NPCに限られる。だが雇おうとすれば多額の金貨を消費してしまいうため、実質タダで手に入るアンデットについて貧乏性が強いアインズからすればこれは嬉しい誤算だった。

 外に出かけるついでに死体を集めることを頭に入れながらお供であるナーベラルと共にエ・ランテルに到着し、冒険者組合に紹介された宿やに泊まり現在に至る。

 

「さて………仕事を探しに行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿屋から出たアインズとナーベラルは冒険者組合に戻ってきた。

 そして二人して依頼を探そうとするが、ここに来て問題が生じた。

 そう、その問題とは文字が読めないのだ。

 この世界の言葉が違うことはアインズはカルネ村で既に知っていた。会話は通じたものの、会話と口調が明らかに異なっていた。しかし、会話自体には問題がなかったのでそのことをすっかり忘れていたのだ。あくまで会話が成立するだけで文字が読める訳ではないのだから。

 お供のナーベラルも翻訳出来るスキルを持ってはいないためどうするか悩んだ末、アインズは少々強引な方法を取った。結果的にはうまくいき仕事が貰えると内心浮かれかっていると隣から声をかけられた。

 場所は変わりここは組合の二階の部屋。どうやらここは冒険者同士の打ち合わせ場所として利用されているのだろう。

 アインズは声をかけてきた冒険者と一緒に椅子に腰をかけ、向かい側に座ると彼らから自己紹介を始めてきた。

 

「では改めてまして。『漆黒の剣』のリーダー、ペテル・モークです。それであちらがチームの目であり耳であるレンジャーのルクルット・ボルブ」

 

 始めに自己紹介をしたのは金髪碧目の青年だ。特にこれといった特徴はないものの、顔立ちは整っている。その見た目から好青年の雰囲気が溢れている。

 次に紹介された人物はこちらも金髪で茶色の瞳の青年だ。全体的に痩せており、先程自己紹介した青年と違ってチャラそうな雰囲気を放っており、現にナーベラルの方に笑顔で手を振っている。それに対してナーベラルは見向きもしていない。

 

「そしてドルイドのダイン・ウッドワンダー」

「よろしくお願いする」

 

 次に自己紹介された人物は口の周りにボサボサとした髭を囃しており、がっしりとした体格を持っている。しかし、その見た目とは裏腹に優しい雰囲気を放っている。そして、わずかに薬草の匂いがする。

 

「そして最後に魔法詠唱者でありチームの頭脳、ニニャ。『術師(スペルキャスター)』」

「よろしく。しかし、ペテル。その恥ずかしい二つ名やめません?」

「え?いいじゃないですか」

 

 最後に紹介された人物は濃い茶色の髪と青い瞳を持つ少年だ。肌は白く、顔立ちも中性的でチームの中では一番最年少なのだろう。三人とは違いローブと杖を持っていることから魔法詠唱者だと分かる。

 彼は挨拶するとペテルに二つ名を止めるように不満をぶつけるが、ペテルは気にした様子がなく恥ずかしがっているのか分からないようだ。

 

「こいつ生まれながらの異能(タレント)持ちかつ覚醒者なんだ」

「ほぅ?生まれながらの異能(タレント)に覚醒者ですか………」

 

 ルクルットがそれを伝えるとアインズは頭の中で陽光聖典から尋問した情報を思い出す。

 生まれながらの異能(タレント)とはこの世界特有の能力で生まれた時からある能力であり、選択したり、変えたりすることが出来ないらしい。そのため噛み合わないことが多いとのこと。例えば、パン屋が生まれながらの異能(タレント)として「信仰系の魔法を強化する」を持っていても意味がない。他にも魔法詠唱者が「剣の才能が人よりも三倍早い」という生まれながらの異能(タレント)を持っていても宝の持ち腐れになるため、自分の特性と噛み合うのは奇跡とのこと。

 また生まれながらの異能(タレント)は200人に1人と言われており、日常生活に便利な生まれながらの異能(タレント)もあれば、反対に戦闘に特化した魔法も存在する。

 覚醒者についても同様この世界の特有のもので、力がないものが突如強くなる現象とのこと。その発生原因などは分かっておらず、若いうちから目覚めるものもいれば反対に歳をとってから目覚めるものもおり、共通点が見つからない。

 また、強さにも差があるらしく、特別強い者もいれば逆に一般人より多少強い程度の人物もいるらしい。

 強さは冒険者のプレートと同じく8段階に分けられており、下から順に(カッパー)(アイアン)(シルバー)(ゴールド)白金(プラチナ)、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトである。しかし、冒険者と同じく分けられているだけでその実力はかなりの差がある。例えば、(カッパー)ぐらいの覚醒者だとその実力は冒険者で言えば、多少差はあれど(ゴールド)並の力を持っている。(アイアン)ならばミスリルほどで、(シルバー)ならばオリハルコン、(ゴールド)ならギリアダマンタイトクラス。白金(プラチナ)なら英雄級で、オリハルコンやアダマンタイトになると国家を滅ぼせるほどの力を有するようになる。

 

「『魔法適正』とかいう生まれながらの異能(タレント)で、確か習熟に8年かかる魔法が4年で済むんだっけ?覚醒者としてのランクは(アイアン)ほどです」

「それは凄い」

 

 これ以上成長しないアインズからすればあまり大したものではないが、この世界強さからすれば凄いのだろう。王国最強のガゼフ・ストロノーフが冒険者の強さで言えばアダマンタイトクラスなら、ミスリルほどの実力しかないが冒険者としてやっていくなら十分な実力にアインズは褒めた。

 

「この能力を持って生まれたことは幸運でした。夢を叶える第一歩が踏み出せたのですから」

 

 何か深い事情があるのだろう。暗い顔をしながら呟くと一瞬重い雰囲気が訪れ、部屋全体に静寂が広がる。

 

「なにはともあれ、この都市では有名な生まれながらの異能(タレント)だと言うことです」

「まぁ、私よりもっと有名な人がいますけどね」

「バレアレ氏であるな」

 

 静かになった空気を切り出したのはリーダーのペテルだ。

 ペテルがニニャの生まれながらの異能(タレント)について褒めるとニニャはもっと凄い人物がいると言う。「ほぉ?」と小さく呟いたアインズはハッと我に帰り、今度は自分達の自己紹介をした。

 

「あ、こちらがナーベ。そして私がモモンです。よろしくお願いします。それで、そのバレアレというの方はどんな生まれながらの異能(タレント)をお持ちなのですか?」

 

 自己紹介をして頭を下げるアインズ。名前に関しては勿論偽名だ。

 自己紹介を終わらせると早速アインズ──モモンはバレアレという人物がどんな生まれながらの異能(タレント)を持っているのかと尋ねた。

 

「なるほど。彼のことを知らないということはこの辺りの人ではなのですね」

「えぇ、昨日ついたばかりなんですよ」

 

 ペテルはモモンの発言に納得し、モモンも適当に相槌を打つ。

 

「ンフィーレア・バレアレといって、名の知れた薬師の孫にあたる人物なのですが、彼の生まれながらの異能(タレント)は『あらゆるマジックアイテムを使用可能』というものでして」

「ほぉ?」

 

 バレアレと呼ばれる人物の生まれながらの異能(タレント)を知ったモモンは一気に警戒心を上げる。

 ありとあらゆるマジックアイテムを使用できるということは、当然ギルメンでしか使えないギルド武器ですら使用出来るのだ。警戒出来ない訳がない。

 

「その男、危険かと」

「分かっている」

 

 隣に座っているナーベラル──ナーベが小声で危険を伝えるとモモンも返事をする。

 

「それで今回の仕事の話なのですが、このエ・ランテル周辺の村──カルネ村に出没したゲートを攻略することが目的です」

「ゲート攻略ですか?(え、カルネ村?)」

 

 モモンはカルネ村を聞くと内心驚きながら、またも尋問して手に入れた情報を思い出す。

 ゲート。

 それはこの世界特有のダンジョンに繋がる門でユグドラシルにはないものだ。

 ゲートの発生時期や場所は常に不明でどこに出現するか分からない。また、ゲート内にいるモンスターの強さも各ゲートに異なり、一般兵士でも攻略出来るゲートもあれば逆に高ランクの覚醒者でなければ攻略出来ないぐらいのゲートも存在するとのこと。

 このゲートを放置するしていると、ダンジョンブレイクというものが発生し、ダンジョン内にいたモンスターがこちら側の世界に流れでるらしい。そのため、ゲートは見つかり次第速やかに攻略するとのことだ。

 頭の中で整理しモモンは尋ねた。

 

「えっと………実のところ依頼された仕事という訳ではないんです」

「というと?」

「実はこころから先にある村にゲートが発生したらしくて、それで今組合を通して冒険者の収集しているそうなんです。報酬についてですが、ダンジョン内にいるモンスターの強さに応じて報奨金が出されます。それが今回の報酬になります」

 

 モモンは内心ドロップアイテムを手に入れるようなものかと納得する。

 

「被害を防ぐのに必要な仕事である」

「だけど俺たちの飯のタネにはなる。周囲の人間は安心する。損する人間は誰もいないっていう戦法さ」

「まぁ、そういう訳でして。ここから先にある村まで向かい、そこでゲートに突入することになります。どうでしょう?私達に協力してもらえてますか?」

「えぇ、こちらこそよろしく」

 

 モモンは漆黒の剣の誘いになることにした。

 その後、準備もお互い出来ていたのですぐに出発する予定だったが、二階から降りる途中にモモンに指名の依頼が入った。指名依頼を出した人物は先程まで話題に上がっていたンフィーレア・バレアレだ。

 依頼主であるンフィーレアはモモンに仕事を話そうとするが、モモンは既に受けている仕事を理由に断った。

 確かに指名依頼とはいえ先に受けた仕事を優先するのは当然のことだ。途中で放棄するなど人としてあまりこのましくないからだ。

 しかし、それには漆黒の剣のリーダーであるペテルが申し訳なさそうな顔をする。それに対してモモンはもう一度二階に戻り、バレアレを含めて話合うことにした。

 そして場所は戻り二階の部屋。

 今度はバレアレが新たに加わり、会話を始めた。

 ンフィーレアの話を聞くと数日前に助けた村──カルネ村近くまで薬草採取に行くために護衛を依頼したいとのこと。それを聞いたモモンは少しばかり眉を潜める。

 モモンとナーベは第三者を守る手段を持っていない。それもそうだろう。モモンとナーベは本来後衛職である魔法詠唱者。第三者を守る手段を持っているのは大抵タンクで魔法詠唱者である二人が持っている筈がなかった。そこでモモンは漆黒の剣を雇うことを提案してきた。レンジャーであるルクルットやドルイドであるダインがいれば今回の仕事の効率が遥かに良くなるからだ。それにゲートが発生した場所も同じだ。この仕事を両方受ければカルネ村まで向かうための護衛任務とゲートの攻略、両方こなせるからだ。

 モモンの提案に漆黒の剣は了承した。彼らからするとお溢れもついでにもらえるようなものだからだ。ンフィーレアの方も問題ないと答えてくれた。

 全員から了承をもらったモモンは最後にンフィーレアに気になっていたことを発言した。

 そう、モモンが気になっていたこと。

 

 それは何故自分達に依頼したのか──というものだ。

 

 モモンは昨日この街にやって来て親しい友人や誰もモモンのことは知らない。なのに何故依頼したのか。それを聞き数秒ほど経つとンフィーレアは答えた。

 宿屋の一件を聞いたことを伝えた。

 モモンは宿屋に来ると荒くれ者に絡まれた。テンプレな展開と思いながらぶっ飛ばしたのだ。その時に見ていたものが店にきたとのこと。それと今まで頼んでいた人が違う街にいってしまったこと、(カッパー)なら安く雇えると考えたからと話した。

 一応筋は通っているのでモモンは納得することにした。

 すると──

 

『漆黒の剣』と薬師が同行を希望しています。

 

同行者は移動魔法陣を使用することができ、貢献度に合わせて経験値を分配することが可能です。

 

「………ん?」

 

 疑問に感じていると目の前にいきなりウインドウが表示される。

 よく見るとそこにはパーティを組んだことが記載されてあった。

 モモンは「こんなシステムもあるのか………」と思いながら経験値が欲しいモモンからすれば全部一人でやろうかなとふと頭に過ぎったが、それだと逆に相手に失礼になると考え結局諦めることにした──




 三話目如何だったでしょうか?
 いやー、このルートには色々と考えさせられました。

①原作ルート

その言葉通り原作と全く同じ。一番楽なルートだが面白みに欠けるので却下。

②カルネ村の途中にゲートが開き攻略するルート

悪くはないがその場合、ンフィーレアの護衛がいなくなり危険が伴う。あくまで護衛依頼なのでいなくなったらダメなので。ナーベラルを置いてアインズだけゲートに潜る展開も考えましたがそれだとナーベラルは頑なに聞かない上、ナザリックに帰還するとシモベ達に怒られるのでこれも却下。

③別々にこなすルート

これも①と同じルートになるのでこれも却下。

④カルネ村の近くにゲートが開きそこまでンフィーレアの護衛を終わらせ、漆黒の剣と共に突入するルート

こ、これだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 という訳で④のルートに決定致しました。
 さて、次はいよいよ四話目。次はどこまでいけるかな?
 次回もお楽しみに!

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