田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
新型コロナの後遺症 発症120日後でも 「脱毛」も2割以上に
国立国際医療研究センターが調査報告
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、肺炎などの症状が治まった後にも、様々な後遺症が生じることが知られている。症状が長く続くことから「Long COVID」とも呼ばれる。国立国際医療研究センター(東京都新宿区)の研究チームは10月、患者に聞き取り調査した研究結果を論文にまとめて発表した。息苦しさや咳(せき)、倦怠(けんたい)感、味覚障害、嗅覚障害が発症後120日以上たってもみられたケースや、2割以上の患者が脱毛の後遺症を訴えていることが分かった。10月21日付の「Open Forum Infectious Diseases」に掲載された。
せき、倦怠感、息苦しさ、味覚障害、嗅覚障害
調査は同センターを今年2月から6月に退院した患者に電話でインタビューし、対象となった78人のうち最終的に63人から回答を得た。内訳は、男性が42人、女性が21人で、平均年齢は48.1歳。約9割に当たる56人が日本人だった。47人(74.6%)が肺炎と診断され、酸素療法を受けた患者は17人(27.0%)、人工呼吸器を付けた患者が5人(7.9%)いた。29人(46.0%)が抗ウイルス薬の治療を受けた。
結果は、発症から60日時点で、咳が5人(7.9%)、倦怠感10人(15.9%)、息苦しさ11人(17.5%)、味覚障害3人(4.8%)、嗅覚障害が10人(16.1%)にみられた。発症から120日時点でも、咳4人(6.3%)、倦怠感6人(9.5%)、息苦しさ7人(11.1%)、味覚障害1人(1.6%)、嗅覚障害6人(9.7%)の訴えがあった。発症から30日後や92日後に嗅覚障害を起こしたという人もいた。
脱毛の症状 平均76日間持続
また、脱毛の症状が、回答が得られた58人のうち14人(24.1%)にみられた。新型コロナウイルス感染症の発症から脱毛の症状が起きるまでの期間は、平均58.6日だった。
14人のうち5人は症状が回復し、症状が続いた期間は平均76.4日間だった。残り9人については、インタビューの時点でも症状が続いていた。
脱毛は、エボラ出血熱やデング熱のような他のウイルス感染症でも、よく後遺症としてみられるという。研究グループの同センター国際感染症センターの森岡慎一郎医師は、「新型コロナウイルス感染症の患者の約4人に1人に晩期症状として脱毛が起きるとの結果は驚きだった。はっきりした原因は不明だが、ストレスが関係している可能性が考えられるのではないか」と話す。
森岡医師によると、ウイルス感染症でこれほど多様な後遺症が起きる例はほとんどみたことがないという。原因はそれぞれ異なるのではないかとみており、たとえば嗅覚障害や味覚障害では新型コロナウイルスが感染するACE2受容体が多く発現していることが関係している可能性や、呼吸器症状ではもともと肺気腫などの持病があることとの関係が可能性として考えられるという。
研究グループは、後遺症を引き起こすリスク要因と症状を長引かせるリスク要因の解明を目指して、症例数を増やした研究の準備を進めている。森岡医師は「人によって症状や長引く期間が異なることから、どんな人で起きやすく、どんな人で長引きやすいのかを明らかにするとともに、病態の解明にも取り組み、治療法の開発につなげたい」としている。(田村良彦 読売新聞専門委員)
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