なぜ女性はCOVID-19に罹患しにくいのか?
女性が男性と比べて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患しにくい理由の一つは、ソーシャルディスタンシング政策を守る比率が高いためであることが、新たな調査により示された。
ボッコーニ大学(イタリア)のVincenzo Galasso氏とPaola Profeta氏らが実施したこの研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」10月15日オンライン版に掲載された。
この調査は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうちの8カ国を対象に、2020年3月16〜30日と4月15〜20日の2度にわたり実施された調査データに基づくものである。
対象国と参加者数は、オーストラリア2,010人、オーストリア2,000人、フランス4,036人、ドイツ3,501人、イタリア1,997人、ニュージーランド1,997人、英国2,012人、米国4,096人(総対象者数は2万1,649人)であった。
3月の調査対象者数の総計は1万594人、4月の調査対象者数の総計は1万1,025人だった。
両調査において対象者は、COVID-19が人々の健康に及ぼす影響の大きさに関する予測や、学校閉鎖や経済活動の自粛といった感染拡大防止のための政策に対する賛否、COVID-19に関連したソーシャルディスタンシング政策の遵守状況などについての質問に回答した。
その結果、COVID-19を深刻な健康問題と捉える人や、パンデミックと闘うための公共政策に従う人の数には、有意な性差のあることが判明した。
例えば、3月に実施した調査でCOVID-19を深刻な健康問題と捉えていた人の割合は、女性で59.0%であったのに対し、男性では48.7%であった。
この割合は、4月の調査では男女ともに15%以上減少したが(女性39.6%、男性33.0%)、性差は有意なままだった。
また、公共政策に賛同する人の割合を1〜100で指数化すると、3月の調査では女性54.1に対して男性47.7、4月の調査では女性42.6に対して男性37.4であり、賛同者は男性より女性の方が有意に多かった。
ソーシャルディスタンシング政策に従っている人の割合(3月の調査で女性88.1%、男性83.2%、4月の調査で女性77.6%、男性71.8%)も、両調査において、男性より女性の方が有意に多かった。
Profeta氏は「最も大きな性差が認められたのは、咳をするときにひじで口を覆う行為だった。これは、ウイルス感染から他者を守るために行うものだ。それ以外の手洗いや、握手やハグをやめるなどの行為は、自身と他者の両方を守るためのものだ」と述べている。
こうした性差は、社会人口学的特徴や心理的要因などを調整した後でも認められた。ただし、男性と女性が同じ情報量を得ていた場合は、時間の経過とともに差は小さくなった。
また、お互いの見解を共有し合っている同居夫婦や、より直接的にパンデミックに接している人では、性差が比較的小さかったことも判明した。
Galasso氏は、「政策立案者が、移動制限やマスク着用などの行動様式の変容から成る“新しい日常”を促進する上で、男性の遵守率を増やしたければ、性別に合わせた伝達方法を考える必要がある」と述べている。(HealthDay News 2020年10月21日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.pnas.org/content/early/2020/10/14/2012520117
Press Release
https://www.knowledge.unibocconi.eu/notizia.php?idArt=22122
構成/DIME編集部
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