今年5月にS級に特進した取鳥にとって7月弥彦が記念初挑戦だった。結果は1293着。準決勝では早坂秀と壮絶な主導権争いを演じるなど、存在感をアピールしたが「3日目、4日目はパフォーマンスが落ちてた。トータルで見たら50点」と自己採点は辛口だ。
4日制開催を戦い抜くスタミナなど、シリーズをとおして多くの課題が見つかった。そして弥彦で二次予選、準決勝と2度連係した岩津裕介も取鳥の弱点を見抜いていた。
「帰ってからバンクで岩津さんと会ったときに足りないものをはっきり言ってもらいました。まずはスピードが足りない。そしてバンクを上手く走れてない。そのためのメニューも岩津さんに教えてもらいました」
バンクを上手く走る。それは「簡単に見えて難しい」と取鳥は話す。高校までは帰宅部で自転車経験の短い取鳥にとっては当然といえば当然のような気はするが、「同期の(鈴木)竜士さんも自転車競技はやってないけど、それができてる。上位の選手も自然にやってること」。これから上を目指すうえで必ず必要になってくるスキル。岩津の課題克服メニューで、どこまで修正できるかだろう。
高校までのスポーツ経験もゼロ。「中学生の頃も走ったのは鬼ごっこぐらい」の取鳥だが、なぜか小さい頃から父(敬一・69期)と同じ競輪選手になれると信じて疑わなかった。「なれると思うよ」と話した父の言葉も根拠のない自信をあと押しした。そして2度目の受験で競輪学校に合格。ここまでは同期の吉田拓、新山響らに負けじと快進撃を続けている。
「部活もしてないから、インタビューされたり、注目されるだけで嬉しいですね。先を行ってる同期もいるし、目標は高く。高いとこを見てやっていきたい」
「絶対に強くなれる」は最近、父に送られた言葉。今度はこの言葉を信じて、取鳥はさらに高みを目指す。 (音無)
2019年1月18日 更新