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〈プロ野球クライシス:中〉テレビ依存 曲がり角

2010年12月16日10時41分

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 「もっとしっかり売り込んでもらいたい」。東京都内で11月18日にあったオーナー会議。出席者から日本野球機構(NPB)事務局に対する厳しい声が飛んだ。「営業不足」と指摘されたのは、地上波の全国テレビ放送が3試合なかった日本シリーズだ。

 シリーズ中継は出場球団が放送局を選定し、主催者のNPBは基本的に従う独特の「推薦制度」で決まってきた。第1、2戦はTBS系列のCBCが中日から推薦されたが、世界バレーの放送と重なったために辞退し、他に名乗りを上げる局もなかった。

 1試合あたりの放映権料は昨年、3千万円下げて9千万円になったとされる。それでも今回の事態を招いた原因をNPBは「推薦制度にある」と分析する。来季は広く中継局を募る方針だ。

 しかし、ある放送関係者の見方は違う。「シリーズと同じ時期に世界バレーがあることは、1年前から分かっていた。それでもNPBは対応しなかった」。さらに「もはや多くの視聴者は地上波でシリーズ中継がなくても困らない。その現状を認識した上で折衝してくれないと、見通しは暗い」と警告する。事実、今年の第3戦(11月2日)の平均世帯視聴率(関東地区)は6.8%(ビデオリサーチ社調べ)にとどまった。

 視聴率をめぐる苦悩はシリーズだけではない。今季の観客動員はパ・リーグが増え、セもわずかに減っただけ。それなのに視聴率は伸び悩む。

 顕著なのが巨人戦。ビデオリサーチ社によると、1994年に23.1%に達したナイター中継の視聴率は、昨年10.0%。今年は89年の調査開始以来最低の8.4%にまで落ち込んだ。主催試合の観客動員は約297万人と昨季から微増だったが、放送試合数は2006年以降減少を続け、今季は27試合だった。

 1試合あたり1億円と言われた巨人戦の放映権料が入らなくなり、球団の経営は苦しくなった。横浜球団の身売り騒動にも、放映権料の問題が色濃く影を落とす。

 来年以降、チャンネル数が一気に増えるBSデジタル放送は番組不足で、野球は優良ソフトと期待される。ただ、BSの放映権料は地上波より安く、日本シリーズでも1試合3千万円という。

 早大スポーツ科学学術院の原田宗彦教授(スポーツマネジメント)は「放映権料がかつての価格に戻ることはなく、もう頼るべきでない。しっかりチケットを売るしかない」と「体質改善」の必要性を主張する。長年、物心両面で結びついてきたプロ野球とテレビ放送。蜜月関係の曲がり角を迎え、球界の対応能力が問われている。

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