序章・秋

 文化祭がしゆうりようして何となくきよだつ感におおわれていた十一月じゆん

 映画のさつえい段階で大いに暴れ、当日の上映会でも一応の興行成績を収めたハルヒかんとくだったが、これで当分は満足感のいんにひたっておとなしくしてくれると思いきや、そのテンションは文化祭前中後を通して全然変化しなかった。

 しかし学校側としてもそうそうハルヒの頭をらない具合に調子よくさせようという行事を次々繰り出すほどのごまの持ち合わせはなく、やったことと言えば生徒会会長選挙くらいのものである。正直、俺はハルヒが立候補したらどうしようかとヒヤヒヤしていたのだが、どうもハルヒは生徒会組織をれいさい文化系同好会側のきゆうてきであるというみような思いこみをしているようで、自らが身中の虫として生徒会に入り込み、学園いんぼう物語の黒幕になるつもりはないらしかった。

 むしろその黒幕──そんなもんがいたとしたらだが──とそつせんして戦いたいと思っているフシさえある。

 せっかくSOS団なんていうインチキな活動団体をもくさつ、または見て見ぬフリしてくれてるんだ。ありがたく立場をわきまえていればいいのにハルヒはいつでも戦う気満々、ただし何をどうやって戦う気なのかまでは今のところ俺の知る限りではない。

 だが、そんな期待あるいは予感とは無関係に、俺たちに戦いをいどんできたのは生徒会側のかくではなかった。

 ふくしゆうに燃えるりんじんだったのである。

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