序章・冬

 涼宮ハルヒに関して色々思うところがあるのは当然だろうが、俺がたんてきにこいつを言い表すとしたら、それはこんな感じのキャッチコピーになるだろう。


 日本一かくミサイルの発射ボタンを持たせてはいけない女、ここに厳存す。


 いつぱんろんとしてつうの女子高生がそんなもんを持つことは万が一にもないが、こいつに限っては万分の一の確率が億になろうと、あるいはマイナスのるいじようがどこまでも続こうとまったく関係がない。あくまで持つか持たないか二つに一つなのだ。カウントダウンタイマーがついてないのに作動を始めた時限ばくだんよりタチが悪く、メルトダウン必至のげんよりめいわくなシロモノであるわけだが、そいつを作動停止といかないまでもマナーモードくらいにはすることは、方々に迷惑をかけた末に何とかできるらしいと俺は知らされていた。

 それはこいつの退たいくつをどうにかしてまぎらわせ、核ミサイルのことなんかをいつしゆんでも考えたりさせないことだ。当分の間でいいからほかの何かに熱中させることができたら、ウチのねこシャミセンがペットボトルのふたを投げてやると三分くらいはかじりついているのと同じくつで、その何かにかかり切りになるだろうから──。

 というのが、かつて語った古泉の主張のようであり、やつは現在でも意見を変えていないらしい。

 てなわけで、俺たちはまたもやとうへんぼくな目にっていた。

 遭っていた? いやホントにな。会うでも合うでもうでもない。いまくらいこの字がバッチリはまっているじようきようもそうそうないぜ。

 なぜなら俺たちは現在、しようしんしようめい十全パーフェクトなまでにそうなんしていたからだ。

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