「桜」巡る疑惑 安倍氏は国会で真実を
2020年11月26日 08時18分
「桜を見る会」前日の夕食会を巡る安倍晋三前首相の国会答弁は虚偽だった可能性が出てきた。森友問題でも事実と異なる政府答弁が百三十九回もあった。安倍氏は進んで国会で真実を語るべきだ。
激しい憤りを禁じ得ない。国会はいつから「虚偽答弁」がこれほどまかり通るような場に堕落したのか。三権分立や議会制民主主義を脅かす重大事である。にもかかわらず、政府や与党の危機感があまりにも乏しい。
安倍氏の後援会が主催した夕食会を巡り、安倍氏側が二〇一九年までの五年間、費用の不足分として総額約八百万円を補填(ほてん)していた疑いがあることが分かった。安倍氏周辺は東京地検特捜部の任意の事情聴取に補填を認めているという。
また、特捜部はホテル側から、安倍氏側の費用補填をうかがわせる領収書を入手したという。
この問題を巡り、安倍氏は在任中、国会で「安倍事務所が補填した事実は全くない」と断言し、費用は個々の参加者とホテルの直接契約により支払われ「後援会としての収入、支出は一切ない」とも主張していた。
補填が事実なら、政治資金規正法(不記載)や公職選挙法(寄付行為の禁止)違反に当たるばかりか、安倍氏は国会で虚偽の答弁を繰り返したことになる。
夕食会に限らず「桜を見る会」を巡っては、会の招待者を安倍氏が「政治家枠」を使って増やし、自身の支持拡大に利用した「私物化」疑惑や、巨額詐欺事件で逮捕されたジャパンライフ元会長が招待された経緯、招待者名簿の短期間での廃棄など、多くの問題が解明されていない。
一連の問題は政府や政治に対する信頼を著しく損ねる。国会は放置せず、行政監視機能や国政調査権を駆使して事実関係を徹底解明すべきだ。安倍氏には国会で説明責任を果たすよう求めるべきであり、虚偽答弁をすれば罰せられる証人として喚問してはどうか。
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題では、安倍前政権下の一七〜一八年に国会で行われた政府答弁のうち、事実と異なる答弁が計百三十九回に上ることも明らかになった。
政府が虚偽答弁を繰り返せば、国会は正しい法案審議ができず、行政監視機能や国政調査権を適切に行使できない。唯一の立法府であり、国権の最高機関である国会の存在意義を脅かす重大事態であるとの問題意識を、与党を含む全国会議員が持つべきである。
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